29
OCT/2013

女優宣言の福田彩乃に見る、笑えない“自信”がもたらす悲劇とは

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ビバ! ばら色人生から学ばせて
ランチタイムのお慰みコラム
ビバ! ばら色人生から学ばせて

慢性化する経済不況、崩壊する社会規範……か弱き女にゃなんとも生きづらいこの21世紀。しかしながら親も学校も、ましてや会社の先輩や上司なんてなおさら、この世をサバイブする方法を教えてはくれません。そう、嗅覚を張りめぐらせながら学んでいくしかないのです。
そこで、昨今話題のあんな方やこんな方の生き方をお手本に、麗しき労働女子がより良き人生を送るための方法論を探っていきましょう。罵声や非難をものともしない図々しくもたくましき女たちの“生き方探訪”。

西澤千央(にしざわちひろ)
フリーランスライター。雑誌『散歩の達人』(交通新聞社)、『クイックジャパン』(太田出版)などで酒場を巡ったり芸人さんにしつこくしたり。Web『サイゾーウーマン』にて女性誌レビューも担当。世間に疎まれながら執筆中。ときどきつぶやくツイアカ→@chihiro_nishi

突然ですが……(ってこのコラムは大体突然ですが)、私はモノマネが大好きです。
モノマネ……この切ない響き。

「芸」として完成させるために、多くの時間と努力と持って生まれた才能が必要とされるにも関わらず、オリジナリティ重視のこの世の中ではどうも軽く見られがちなモノマネ。しかしその孤高感が見る者の心を捉えて離さないのです。なんならモノホンの聖子ちゃんや明菜ちゃんよりまねだ聖子さんと生森明菜さんを見たいし、ビトたけし氏の「浅草キッド」で号泣するし、段々とおかしな逆転現象が起こるのが恐ろしやモノマネの世界。

福田彩乃

さて、そんな聖域であるモノマネ界に彗星の如く現れたのが、今回のヒロイン。「売れてそうな女優だいたい仲良し!飲み友達は唐沢寿明!(※Zeebraで再生の事)」でお馴染みの福田彩乃さんです。

いやもう彗星という言葉がピッタリの、突如感でした。長澤まさみ、綾瀬はるか、ローラ、吉高由里子など美女たちのモノマネで一躍大ブレイクを果たした彼女。かと思えばサルやニワトリなど動物模写を挟み込み「(そこいらの趣味モノマネとは違いますから私ってば実力派ですから)」という風をビュンビュン吹かせてくる、なんともいけ好かな……いや勝気な福田さんに今回はじっくりと迫ってみたいと思います。

卓越した再生力とそこそこの毒、その分かりやすさこそ福田さんがテレビでウケている最大の要因ではないでしょうか。旬な女性たちのちょっとしたクセをショートサイズでバンバン繰り出す。まさに消費社会の象徴のようなモノマネ芸で。しかし、まぁなんということでしょう……彼女がメディアにバンバン出てくるに従い、日々降り積もるどうもしっくりこない感。福田さんのモノマネを見るたびに覚える、このなんとも言えない心のざらつきは何……おやおや更年期……?

筆者がモノマネに対して抱く気持ち悪い愛情はさて置きまして、よくよく考えてみますと、奇跡の声色を持つと言われる青木隆二氏もダメだったんですね、私。この二人の共通点、それは他でもない「自信」。

もちろん、自分の芸に自信を持つのは素晴らしいことですが、それが画面を通して見えてしまうと……冷めちゃうんですよね。上手なのは分かるけど笑えない。ビージーフォーの洋楽モノマネを見た小学生状態にされるのです。生粋のモノマネ芸人さんがあの手この手でこちらの感情を弄んでくれるのに対し、福田さんは「見て見て」感が強すぎてどちらがお客か分からなくなっちゃうと申しましょうか。

というのもあながち間違いではなかったようで、福田さんにとってモノマネは「女優になるための通過点の一つ」なのだそうです。まさかの女優宣言ですよ。あぁそういえばキムタク兄さんの心配要素しかない新ドラマ「安堂ロイド」の初回ゲストとして出てましたね。一歩ずつ着実に夢に近づいていってるようで何よりです。もう筆者のような人生此れ停滞期の人間に何も言うことはありませんが、ただ一つこれだけ言わせて下さい……

おい、モノマネ、なめんな……!!

ハイ、ものまねショーレストラン『そっくり館キサラ』の思い、勝手にぶつけさせていただきました!スッキリついでに言ってしまいますが、女優とは時にモノマネ芸人よりも世間を笑わせることが求められるお仕事ですよ。お米様を御覧なさい。スピードラーニング由来の自覚なき自信が「私失敗しないので……!」を生み出し、日本中を爆笑の渦に巻き込んでいるじゃあーりませんか!そもそも三田佳子先生の「女優女優女優!(from「Wの悲劇」)を笑わずに見れますか!ギャグと現実の狭間をカイジの鉄骨渡りばりのバランス感覚で進む女優。一方鋭い批評眼で見えないものを形にするのがモノマネ芸人。どちらも「お客様を楽しませてナンボ」な商売です。福田さんの「出来ます!」という自信は、本来求められている“サービス精神”を駆逐してしまったようで、その辺りがモノマネ至上主義オンナの心をザラつかせてしまうのですな。

福田彩乃

職場も5年目くらいになると、このような福田型ウィルスにかかる女性も多いと聞きます。私、本当はここにいるべき人間じゃないのかも……。上昇志向が強いのは誠に結構なことですが、今を蔑ろにして成功した人、あんまり見たことないんですよね。実際に福田さんも全国一億二千万人のモノマネファンを敵に回しちゃってますし。自信というのは普段は風呂敷に包み、いざという時に「やっぱりぃ俺は~きくまさ~むぅぅね~」のCMのようにバサーっと広げるもの。そういう見せ方の妙こそが、貴女をアッパーな世界にいざなってくれるのではないでしょうか。え?「やっぱり俺は菊正宗」のCM知らないって……?あの歌関口宏の奥さんが歌ってるのも?……あぁ……なんか最後すいません、福田さん……。

イラスト/村野千草(有限会社中野商店)

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