01 SEP/2014

「何で分かってくれないの?」働く女の「上司への不満」覆面座談会

働く女子にとって、しばしば悩みのタネになるのが上司の存在。上司からのちょっとした一言でヘコんだりイラッとしたり。なかなか考え方が合わずモヤモヤしている人も多いのでは? そこでWoman typeでは、かつて株式会社リクルートで最強の母との異名を持ち、現在は女性活躍の推進をミッションとする株式会社ACT3の代表を務める堂薗稚子さんを迎え、上司に対する「何で? どうして?」をスパッと解説する連載企画、『堂薗姐さんの「上司のキモチ」翻訳講座』をスタートします!
今回は、連載スピンオフ企画として実際に3人のワーキングウーマンから堂薗姐さんに上司への不満や疑問をぶつけてもらう座談会を開催。果たしてどんな本音トークが飛び出すのでしょうか……。

座談会に参加したメンバー

堂園稚子さん

堂園稚子さん

前職では、営業職を経て『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長、ダイバーシティ推進マネジャーなどのポストを経験。現在は自身が設立した株式会社ACT3で代表を務める

Aさん

Aさん

30歳。食品メーカー勤務。営業職を経て、今年からマーケティング部に異動。プライベートでは今年結婚したばかり

Bさん

Bさん

28歳。システム会社勤務。大手鉄道会社のシステム運用を手掛ける

Cさん

Cさん

26歳。メーカー勤務。1年間、マーケティングを経験し、現在は商品開発を担当。大学院卒の社会人2年目

なかなか気持ちが通じ合わない上司、
本音を言っても大丈夫?

Aさん

新しい仕事を任されるとき、いつも上司は「これをやったらお前の成長になるから」って言うんです。でも、正直、私は自分の成長のために働いているわけじゃない。だから、そういう言い方をされても全然モチベーションが上がらないんです。どうしてこの人はこういう言い方をするんだろうって、いつも引っかかってしまうんですけど。

堂薗さん

きっとそれは上司側もAさんがピンと来てないのを分かってると思うよ。一生懸命Aさんを鼓舞しようとしたのに、全然伝わらなかったなって。それで、ションボリしてきっと4時半くらいから新橋で飲んでる(笑)。

Aさん

本当ですか。そんなヘコむ感性を持ち合わせてるとは思えないんだけど(笑)。

Bさん

うちの常務もよく現場の声を知りたいって言ってランチミーティングを開くんです。でも、私たちが何か意見をしたら全部否定で返ってくる。「それは現場が変わらなきゃいけないよ」とか。そしたら、こっちはもう「そうですよね」としか言いようがなくて。

Aさん

部下のモチベートの仕方を心得ていない上司っていっぱいいますよね。でも、そこまで上司に期待していいのかなとも正直思うんです。

堂薗さん

私は、“グルになっておきたい最大の相手は上司”だと思ってるのよね。まずは何でも本音で言ってみれば? そしたらきっと正当なアドバイスをしてくれるし、あなたに親近感を持ってくれるはずだから。

Bさん

でも本音をぶつけてもダメな人もいますよね。いろいろこっちが打ち明けたのに、「で、あなたはどう思うの?」って聞き返されて終わったパターンもあります。

堂薗さん

その上司は下手っぴなんだよねぇ、きっと。そこで諦めちゃうのはもったいない。大事なのは全部自分が主体になること。その後も自分からどんどんアプローチしてみたら?

Aさん

気心の知れてる上司だといいですけど、分かってもらえない上司にはつい殻に閉じこもっちゃうんですよね。変にいい子になってしまうというか。

堂薗さん

それは上司から面倒くさい女って思われるのが嫌なのよ。でも、それって愛されたい気持ちの裏返し。誰だって上司から評価されたいって思ってるわけじゃない? でも、この人は自分のことを認めてないって思うから、「分かってない」とかいろいろ文句が出てくる。まずは、分かってもらうためにどう頑張るか。上司は使い倒すためにあると思って行動してみてほしいな。

結婚、出産……いろんな迷いを抱える時期
上司とどう向き合っていけばいい?

Aさん

あと、最近気になるのが上司の目です。私はこの間、結婚して、正直、これからいつ子どもができてもおかしくない状況。業務について厳しく指導してほしいけど、私みたいにいつ出産で戦線離脱するか分からない部下には、「あんまり言っても仕方ないか」って思われているのかなって気がします。

堂薗さん

そういう上司はいると思うよ、実際。

Aさん

出産するとキャリアが中断されるわけだし、いつどのタイミングで産むのが会社や上司にとってもいいのか考えると何も決められなくなっちゃって。

堂薗さん

そこに正解はないと思うな。もっと偉くなってからとか、このプロジェクトを成功させてからとか、いろいろ考えてしまうけど、人生なんてそんなに計画通りにはいかないって、私も今になってよく分かるし。だからこそ、上司にはできる限り何でも相談しておいた方がいいと思う。

Cさん

堂薗さんはお子さんができて仕事に対する考え方は変わりましたか?

堂薗さん

変わったね。でもそれを教えてくれたのも、やっぱり上司だった。例えば、子どもの事情で出勤が5分遅れるなんてありがちだと思うけど、それが積み重なったら周りの不信感になる。だから、不測の事態を見積もって早めに間に合う時間に家を出ろって。ワーキングマザーだからこそ時間は絶対に守るべしって教えてくれたのが上司だったし、今もその教えはすごく私の中で大切なものになっているかな。

上司だって部下と分かり合いたい!
堂薗式・上司とうまくコミュニケーションを取る秘訣

上司の言動や態度に「何で!?」って思うことがあっても、上司の立場になって考えてみると分かってくることもあるはず

上司の言動や態度に「何で!?」って思うことがあっても、上司の立場になって考えてみると分かってくることもあるはず

Cさん

私の場合、異動してきてすぐ、OJTを担当してくれる先輩から「あなたが入ってくることで私の仕事が増えて生産性が下がる」って言われたことがあって。そんなの、新人のうちは仕方ないし、私のせいじゃないのに、何で言われるんだろうって、すごく不安になりました。

堂薗さん

何か相手がカチンとくることをやったとか?

Cさん

いや、ほとんど初対面なんです。

堂薗さん

自己主張が強いと思われたとか?

Cさん

いや、そんなことはないんですけど。ただ、第一印象で生意気そうに見えると言われることはありますね。

堂薗さん

その口癖のせいかもね(笑)。誰かに意見を言われたときに、つい「いや」って否定から始めちゃうってよくあるよね。でも、上司から見れば「いやって何だよ」ってなっちゃう。ただの口癖で悪意はないのに、そこで損しちゃったらもったいない。「そうですよね。でも」から始めるテクを身につけるとコミュニケーションがスムーズになるかもよ。

Aさん

上司の目線からすると、自己主張の強い部下ってやっぱり扱いづらいですか?

堂薗さん

むしろ鼻っ柱が強いくらいの方が可愛いね! 一緒に感情ぶつけ合って、ときには、お互いに泣けるくらいの方が気持ちいい。

Cさん

上司が泣くんですか?

堂薗さん

私は泣く(笑)。やっぱり分かるもん、相手の気持ちが。部下のことを自分のことのように思ってくれる上司はいっぱいいる。男性はどうしても人前で泣けないだけで、本当はすごく理解したいと思ってるはずだよ。

Bさん

あんまりそんなふうに見たことがありませんでした。

堂薗さん

女性ってどうしても上司に仕事的にも人格的にも完璧を求めがち。マイフェアレディ願望というか、車のCMに出てくる佐藤浩市みたいにカッコいい上司に特訓されたいって気持ちがあるじゃない?

一同

あるある!

堂薗さん

でも、想像してみて。10年後、自分がそんな完璧な上司になれると思う?

Aさん

ちょっと自信ないですね……。

堂薗さん

“上司も人なり”なんだよね。特に今はいろんなハラスメントリスクを背負わなきゃいけない時代。部下を理解したいけど、どう接していいか分からない。そんな難しさを上司はみんな抱えてるの。もちろん上司が一番変わらなきゃいけないけど、部下も上司の立場になって考えてみてほしい。そしたら自分の気持ちも自然と優しくなれるんじゃないかな。

Aさん

“上司も人なり”って考えたことなかったです。

堂薗さん

部下の母性に救われてる上司ってたくさんいると思うよ。だからぜひ上司に父性を求めるだけじゃなく、上司の気持ちも分かってあげてください。

Bさん

そうですね。今までずっと上司は何も私たちのことを考えてないと思ってましたけど、話を聞いて、「もしかしたらあの人も?」と思えるようになりました。

Cさん

あとはお話をしているときの堂薗さんの目がすごく優しくて、素敵だなって思いました。

堂薗さん

そう? でも私、上司にすると怖いよ。特訓するから覚悟しておいて(笑)。

Cさん

はい(笑)。

普段上司に感じている不安や疑問をぶつけてかなりスッキリした様子の3人。今回のトークで出てきた、働く女性たちが持っている「上司への不満・疑問」について、今後の連載で詳しく解説していただきます。第1回は9月中旬の予定、乞うご期待!

取材・文/横川良明