スターモデルの育ての親が明かす! 働く女の価値を高める“喜ばせ力”

「働く女」進化論

仕事は頑張りたい。でも、一心不乱に仕事だけに打ち込むのはちょっと違う。
女性らしさやプライベートを大事にする余裕や人間的魅力を持ちながら、仕事の実力もある、できることならそんな“いい感じ”の女性でありたいもの。
とはいえ、実際それを体現するにはどうすればいい?
お手本になる女性を周囲で探してみてもなかなか見えてこない。
考え方や行動など、取り入れるべき具体的なポイントを注目の知識人たちに教えてもらった。
これからの時代に目指すべき、自然体でムリのない働く女性の理想像が見えてくるはず。今の自分にプラスワンとなる新しい視点やアクションを見出そう。

「働く女」進化論
【お話を伺った方】株式会社サトルジャパン 代表取締役 小林 悟さん
1951年、東京生まれ。27歳でインターナショナルモデルエージェンシー『サトルジャパン』設立。社長業と同時に自らモデルのプロデュースを務め、数多くのトップモデルをスカウトし、世に送り出してきた。現在は一般女性向けの『美人塾』を主宰し、外見と内面の両方の美しさを磨く方法を教えている。著書に『男が書いた「大切にされる女」39のルール』(三笠書房)など

仕事は幸せな人生を送るための手段
働くこと自体が人生の目標になってはいけない

男が書いた『「大切にされる女」39のルール』

男が書いた『「大切にされる女」39のルール』 小林悟/著 (三笠書房)

「好きな人から愛される」ことはもちろん、社会の中で「自分の居場所」を見つけ、「自分らしさ」を輝かせ、そして多くの人から大切にされるためには何が必要なのか。「愛されて幸せな女」になる究極の方法を教えてくれる1冊

モデル事務所の代表取締役として、シンディ・クロフォードやカレン・エルソン、SHIHO、現在世界的に注目を浴びているアジアのライジングスター“CHIHARU”などのスターモデルを世に送り出してきた小林悟さん。数多くの魅力的な女性たちを間近で見てきた経験をもとに、一般女性たちを対象とした『美人塾』を主宰し、自ら講師としてインナービューティー(内面の美しさや魅力)の磨き方を教えてきた。

「美人塾に来た女性たちに動機を聞くと、『自分に自信がない』『人生の目標がない』という人がとても多い。これまで何となく働いてきたけれど、30歳前後になってふと気付くと、仕事でもプライベートでも確たるものは何も手に入れてない自分に気が付いて、『このままの生き方でいいのか』と不安になるのでしょうね」

そんな女性たちに対し、小林さんは「まずは人生の目標をはっきりさせなさい」とアドバイスするという。

「そもそも多くの女性は、自分が人生に何を求めているのかがはっきりしていません。『人生の負け組になりたくない』とは言うけれど、『じゃあ、勝ち組になるってどういうこと?』と聞くと、誰も答えられない。社会に出て好きな仕事をバリバリやることが“勝ち”なのか、玉の輿に乗って優雅に専業主婦生活を送ることが“勝ち”なのか、パートナーと共働きで稼ぎながら仕事と家庭をうまく両立させることが“勝ち”なのか。この世に絶対的な“勝ち”などあるわけがないし、皆それぞれに違うはず。自分が目指すゴールを明確にしないと、そこへ辿り着くための手段も見えてきません。自分は何を得られれば幸せで、何を失うと不幸なのか。自分の中の価値観を、一度きちんと整理すべきではないでしょうか」

そして重要なのは、「仕事も幸せな人生を送るための手段の一つである」という考え方を持つことだと小林さんは話す。つまり、仕事そのものが人生の目標になってしまってはいけないということだ。

「人生のゴールは、あくまで“幸せになること”であるはず。その手段として、仕事があり、家庭や趣味があり、パートナーや友人たちがいるのだと考えるのが自然でしょう。ところが、仕事が人生のすべてになってしまっている女性は非常に多い。仕事のために恋愛や友人関係を置き去りにして、家では料理も掃除もしない。そんな女性が、人として魅力的に見えるでしょうか? 今の時代に社会から認められるのは、仕事だけができる人間ではありません。いくら仕事のスキルが高くても、人から慕われたり、信用されるような人間的な魅力がなければ、職場での存在価値もいつか失われてしまうことになります」

人を喜ばせることができる女性は
仕事でも私生活でも“成功者”になれる

小林さんは「インナービューティー」の定義を、「知性、理性、品性、感性(感受性)、機知、優しさ、羞恥心」としている。この7つを備えた女性こそが人間的に魅力的であり、他人から愛され、大切にされる女性になるという考えだ。そして、「これは恋愛や婚活といった場面だけでなく、仕事の場においても必要となる資質です」と断言する。

「『仕事ができる』というのは、『人を喜ばせる能力がある』ということ。お客様を喜ばせれば顧客満足度を高めることができるし、上司やチームの仲間を喜ばせることができれば社内的な評価も上がりますよね。恋愛や結婚だろうと、ビジネスの場だろうと、成功者になれるのは他人を喜ばせる人間なのです。なぜなら、人は“精神の満足度”に対して価値を見出す生き物だから。例えば、一泊50万円の一流ホテルに泊まっても、一泊5千円のビジネスホテルに泊まっても、やることは基本的に一緒です。食事をして、シャワーを浴びて、寝るだけ。なのに、大きな価格の差があるのは、提供されるホスピタリティにそれだけの違いがあるからです。そこに人は価値を見出すからこそ、差額の49万5千円を払おうと思うわけです。人間だって同じこと。『自分を満足させてくれるのはこの人しかいない』と思わせたら、相手にとって自分は価値のある存在になれる。しかも精神的な満足度は、ホテルの宿泊代と違って無制限に高めることが可能ですから、努力次第で自分は相手にとってプライスレスの存在になれる。その相手が顧客や会社の仲間たちであれば、あなたは職場でも絶対に必要とされる人間になるはずです」

同時に、「チームワークを大切にできることも、仕事ができる女性の条件」と小林さん。仕事に熱心になるあまり、たくさんの仕事を一人で抱え込んでしまう女性は多いが、それではいつか限界が来ると指摘する。

「こういう働き方をしていると、『あの人は何でも一人でできるから、私たちは何もしなくていいよね』と周囲の人たちに思われて、本当に大変な時でも誰も手伝ってくれなくなる。職場でも孤立することになるし、いつか仕事量が限界を超えてパンクしてしまうのは目に見えています。人生は短距離走ではなくマラソンなのですから、最初から最後まで全力疾走なんてできるわけがありません。無事にゴールまで辿り着くためにも、どこで手を抜いて、どこで勝負をかけるかを見極めなくてはいけない。時には他の人に頼ったり、力を借りながら、個人ではなくチーム全体で成果を上げることを目指すべきです」

小さな仕事を雑にやる人に
大きな仕事のオファーは来ない

いい女の条件29

『いい女の条件29』 小林悟/著 (三笠書房)

『「素直な女」はチャンスを引き寄せる』『“小さな日常”から「女の魅力」は生まれる』など、女性の内面にスポットライトを当て、もっと知的でキレイな女性になるための方法をふんだんに提案している

また、「もっと大きな仕事がしたい」と思っている女性には、「目の前にある小さな仕事こそ、きちんとやるべき」とアドバイスする。

「小さな仕事を雑にやるような人に、大きな仕事をオファーしようと思う人はいませんよ。世界で活躍するトップモデルだって、小さくて目立たない仕事をきちんと積み重ねてきたからこそ、今のポジションを得ることができたのです。そして、小さな仕事も手を抜かず、いつも一生懸命にやっている人は、必ず誰かが見てくれている。小さな仕事ほど、誰にも負けないつもりでやること。それが仕事で成功するための唯一の方法であると同時に、誰もが実践できる方法でもあるのです」

最後に、一人の女性として自分に自信を持ちたい女性たちへ、こんなメッセージを送ってくれた。

「“自立した大人の女”になるための条件は、『生計力』『生活力』『社交力』の3つを満たすこと。収入や支出を把握して暮らしの基盤を作る力、衣食住のライフスタイルを組み立てる力、いい人との出会いを作る力。この3つを磨けば、経済的にも精神的にも自立した女性になれるし、仕事でも私生活でも、自分にもっと自信を持てるようになるはずです」

取材・文/塚田有香