「こんな30代にはなりたくない!」 20代女子が危機感を抱く“痛キャリア”とは?

30代になった自分を想像したときに、ネガティブな未来ばかりが思い浮かんで不安になるという20代女性は多い。実際に、Woman typeが実施したアンケートでも、「30代の仕事と人生が不安」と答えた人は8割にのぼった。(グラフQ.1)

では、20代女性が「こうはなりたくない」と考える30代の“痛キャリア”とはどんなものか。最も多かったのが「仕事の能力が低い」で、以下「年収200万円台」「転職先がない」などが続く。(グラフQ.2)

そして「30代の自分が“痛キャリア”になる可能性は?」という質問には、4割近い人が「非常に高い」もしくは「やや高い」と回答。20代女性が抱く危機感は思った以上に強いことが伺えた。(グラフQ.3)

そこで若い女性たちのキャリア事情に詳しいキャリアカウンセラー・藤井佐和子さんに、“痛キャリア”恐怖症の女性が多い背景とその不安を払拭するためのアドバイスを伺った。
「仕事の能力が高い」ってどういうこと?
“あるべき像”が見えていない20代女性たち
「将来をネガティブに考える女性たちからよく聞くのは、『ロールモデルがいない』ということ。同じ会社で働く先輩女性たちを見ても、向上心ややる気が感じられず、何となく今の会社にしがみついているだけに思えてしまう。『自分が選んだこの仕事が楽しくて仕方ない』というポジティブさが伝わってくる30代女性を間近で見たことがないから、自分の将来にも明るいイメージが描けないのだと思います。仕事と育児を両立しながらバランスよく働いている女性が身近にいないことも、不安を大きくする要因になっていますね」
藤井さんのもとにカウンセリングに訪れる女性たちの中にも、30代を目前にして急にあせり出す人は多いそう。「このままでは自分も先輩たちのようになってしまう。転職や結婚をするにしても、30歳までになんとかしなくては」と焦燥感に駆られるからだ。とはいえ、相手が必要な結婚はともかく、仕事の能力やモチベーションの低さを“痛い”と感じるのであれば、自分自身がスキルややる気を高める努力をすることで不安は解消できるのでは?
「ところが、そもそも『仕事の能力が高い』とはどういうことかを理解していない女性は多いんです。つまり、働く女性としての“あるべき像”が明確になっていないんですね。それに加えて、自分の現在の能力を客観的に把握できていない。今の自分ができることとできないことが明確になっていないので、『できないことを補うための勉強をしよう』といった具体的なアクションプランに落とし込めないのです」
広い視野を持ち、周囲の期待に応えることが
結果的に高い評価につながる
そんな女性たちに、藤井さんは「自分が周囲から何を期待されているのか」を考えるようアドバイスしている。20代の今、期待されていることはもちろん、30代や40代になったときの自分は何を期待されるかを同時に考えることが大事だ。一般的に20代のうちは、失敗してもいいから、目の前の仕事を一生懸命にやることが期待される。そして30代になると、20代の経験をもとに、周囲を巻き込みながら自ら仕事を進めることが期待される。つまり、20代のうちは自分のことだけ考えていても許されるが、30代になったら、他の人たちの立場や意見も尊重しながら仕事を進めることが求められるわけだ。
「例えば会議用の資料を作るにしても、20代の人は上司に言われた通りに内容をまとめるだけで精一杯かもしれませんが、30代の先輩は会議の目的を上司に確認し、『どんな資料にすれば出席者が会議の目的を達成しやすいか』を考えているかもしれない。20代の自分と同じ仕事をしているように見えるのに、周囲の評価が高い先輩女性がいたら、それは広い視野を持って仕事をしているからです。できれば皆さんも20代のうちから視野を広くするよう心掛けて、仕事の全体像を意識しながら日々の業務に取り組めば、それが『仕事の能力が高い』という評価につながるはずです」
また、アンケートでは多くの人が「30代で転職先がないのは痛い」と答えているが、「30代で転職に成功するのも、前職の会社で周囲の期待に応えてきた人」と藤井さんは話す。よって、30代のキャリアが不安なのであれば、まずは今の会社で期待に応え、実績を積み上げることが第一。
「加えて、求人情報を定期的にチェックしたり、人材紹介会社のカウンセリングを受けたりして、自らの市場価値を客観的に把握しておくといいですね。現在のように環境変化が激しい時代には、会社の合併や組織改編によって、転職せざるを得なくなる可能性は誰にでもある。自分を守るためにも、普段からの情報収集が必要です」
30代は人生のゴールではない!
今考えるべきは「どうすれば周囲の人の役に立てるか」
20代女性の中には、仕事だけでなく、「自分は結婚や出産ができるのだろうか」とプライベートの面で将来への不安を抱く人も多い。「30代の“痛ライフ”」について聞いたアンケートでも、「貯金ゼロ」に次いで多かったのが「友人の中で自分だけ独身」という声だった。だが藤井さんによれば、仕事に真剣に取り組み、自分を成長させることが私生活にもプラスの効果をもたらすという。(グラフQ.4)

「ライフプランに不安を感じるのは、自分に選択肢が少ないから。今は男性の年収も下がっていますから、結婚しても相手から共働きを希望される可能性は高い。自分がある程度の収入を稼げる人材になっておけば、結果的に『生き方』の選択肢が広がります。これからの時代は、仕事で一人前になるということが、公私ともに人生を豊かにするための条件になるのではないでしょうか」
そして何より大事なのは、「30代はゴールではない」という事実を冷静に見つめることだ。30代の先には、40代、50代、60代と人生が続いていく。特に今後はリーダー職に就く女性も増えるが、チームで成果を上げるにはメンバーたちの協力が不可欠。その時に、周囲の人たちから『この人を助けてあげたい』と思われる人間になっていなければ、チームの中で孤立して、それこそ40代以降の“痛キャリア”まっしぐらになってしまう。
「20代のときに周囲の人の役に立つことを第一に考えて仕事をしてきた人なら、その人がリーダーになった時、今度は周囲の人が味方になってくれます。ですから、30歳を目前にして『“痛キャリア”になるのでは』と不安になっている人は、『どうすれば自分が評価されるか』ではなく『どうすれば周囲の人の役に立てるか』を考える習慣をつけてください。その意識を変えるだけで、30代の過ごし方は大きく違ってきます」
人生の全てが30代で決まるわけではなく、むしろ「人生の勝負は40代から」と考えれば、「これからの10年間でやれることはたくさんある」と前向きになれるのではないだろうか。その先の長い人生を実りあるものにするためにも、30代が近づいた今こそ、仕事への意識を変えるチャンスと言えそうだ。

【お話を伺った方】株式会社キャリエーラ 代表取締役 藤井 佐和子さん
大学卒業後、光学機器メーカーの事務職を経て、インテリジェンスにて女性の転職をサポート。現在はキャリアコンサルタントとして、女性のキャリアカウンセリングや企業のダイバーシティサポート。大学生のキャリアデザインなどに携わる。カウンセリング実績は1万2000人以上。オフィシャルブログ「藤井佐和子のキャリアカウンセリングブログ」
【アンケート調査概要】
●調査方法:転職サイト『女の転職@type』の20代~40代女性会員およびWebマガジン『Woman type』サイト読者へのWebアンケート
●調査期間:2014年3月6日~10日
●有効回答者数: 20代女性120名
取材・文/塚田有香