【りゅうちぇる】世界を変える宣言! 「男とか女とか、どうでもよくない? 大事なのは自分らしさ」
ちぇるちぇるランドの王子さま、りゅうちぇる。メイクをし、カラフルな服を身にまとい、かわいいものが大好き! と目を輝かせる。世の中で言われる「男らしさ」とは、かけ離れた存在だが、若者を中心に絶大な支持を集め、100万人を超える人がりゅうちぇるさんのTwitterやInstagramのアカウントをフォローしている。

りゅうちぇるさん
1995年生まれ。原宿に上京後、ショップ店員の傍ら読者モデルとして活動。2015年にTV出演を機にブレイク。18年より「自分の色を取り戻そう」をテーマに音楽活動を開始。
Instagram: ryuzi33world929
twitter:@RYUZi33WORLD929
「私は女だから……」
「もういい歳だから……」
「お母さんなんだから……」
世の中には暗黙の「あるべき姿」があり、時にそうした枠に縛られてしまって私たちは自分の可能性に蓋をしてしまう。けれど、“らしさ”を守ることは、そんなに大事なこと……?
「常識」や「他人の価値観」なんて気にしない、自分らしくキラキラ輝くりゅうちぇるさんからのメッセージをお届けしよう。
孤独が嫌で自分らしさを抑えたら、結局一人ぼっちになっちゃった
僕は5人兄弟の末っ子で、お姉ちゃんが3人います。お姉ちゃんたちは、「女性だからマイナスなこともあるかもしれないけど、プラスなことや男にはできないこともある。だったらそれをやってやらぁ!」っていうタイプ。自分が置かれている性別や年齢の枠をいいように使うのが上手な人たちです。
でも、以前の僕は、それが上手にできなかった。
幼稚園のときからかわいいものが大好きで、女の子と一緒にいたし、バービー人形で遊んでいたんですよね。他の男の子は「デュクシ!」って言いながら戦いごっこをしているんだけど、僕は「デュクシって何!? やだ!」って感じで(笑)。

こういうのって、小さいころは「かわいいね」で終わる話だけれど、中学生になると「オカマ」って言われちゃうんです。給食の時間に牛乳飲むとき、僕、小指立つんですよ。それを見て、「オカマだ!」って。小指を立てたらオカマって、簡単に言っちゃう人が多かったんです。
僕も仲間はずれになることが怖かったから、皆の間で流行っているものを身に付けて、周りに合わせていた時期がありました。自分を偽って「偽りの友達」はできたけど、楽しく話せる話題なんて当然なくて。どんどんつらくなっちゃったんですよね。孤独になるのが嫌だから人に合わせようって思ったのに、誰にも理解されなくて、結局一人ぼっちになっちゃった。
「自分を出せないことよりも、孤独の方がマシ」
もうこんなつまらない人生は嫌だと思って、高校からは地元の子が誰もいない学校に行きました。高校からは好きなようにやってやる!って思って、メイクをしてそばかすを描いて学校に行って。最初は「何あの子?」って言われたりもしたけれど、同級生に受け入れてもらって、すぐに居場所ができました。
自分がありたい姿でいられる居場所を一つ見つけて

「自分らしさを出そうよ!」って話をすると、りゅうちぇるだからできるんでしょう? って思われちゃうんですよね。芸能人だからできるんだよって。でも、「明日から自分らしくレインボーの服着て会社に行こう!」みたいなことを言ってるんじゃないんです。殻にこもって自分を一切見せないんじゃなくて、自分がありたい姿でいられるような居場所を一つでもいいから見つけて、そこで自分を出せばいいと思う。それはすごく大きな一歩です。
夏休みに旅行した先で思い切り自分らしく過ごしてみるのもいいし、今はSNSっていう自分を出せる舞台だってある。僕は、高校に入学する前の春休みに、「ちぇるちぇるランドの王子さま りゅうちぇる」ってTwitterに書いたら、「こんな子が同級生にいるんだね」って話題になって。そばかすを描いて丸メガネを掛けて入学式に行ったら、「あの子がりゅうちぇるだ!」ってなったんです。「何だあいつ?」じゃなくて、「知らないの? Twitterで人気のりゅうちぇるだよ!」って。そのくらいSNSって、自分を表現するパワーがあるんです。
自分らしさを存分に出せる「居場所」を見つけるには、やっぱり自分の好きなことを大切にすることが一番大事だと思います。映画や雑誌を見たりして、自分の好きなものをとことん調べてみたり。世の中にはいろんな世界観や価値観があることを知って、「こういう風になりたい」って理想像をつくる。僕はディズニーやアメリカのキャラクターが大好きで、外国の男の子に近付きたいから、色素の薄いメイクをしようって思った。メイクがしたかったわけじゃなくて、なりたい自分に近づくための方法がメイクだったんです。
自分の好きなことや自分らしさをしっかり考えて、いろんな場所に行って、自分を分かってあげる。そうすれば、どこに自分の居場所がありそうか、見えてきやすいのかなって思います。
自分を偽り続けていたら、運命の恋も、天職もきっと見つからなかった

かわいいものが大好きで、でも女の子が好き。「自分って何なんだろう」って思っていた時期もあったけれど、そういう僕をぺこりんが認めてくれて、それから自分に自信が持てるようになりました。ぺこりんっていう居場所がなかったら、これまでの芸能界での生活も、やってこられなかったと思います。
ぺこりんとは原宿で出会って、お互いに一目惚れ。「一目惚れってどうやってするの?」「どうやったら運命の人と出会えるの?」ってよく言われるんだけど、自分らしさを出せていない人は、運命の人に出会ったとしても気付けないと思うんですよ。
僕は高校生の時から、何を言われても絶対に自分らしくいようって決めて、制服や校則がある中でどうやってりゅうちぇるを出すかを考えていました。それはすごく大変だったけど、今はどんな所にいても僕らしさを出せる。今日はTPOを考えてジャケットを着てみたけれど、ピンクっていう色でりゅうちぇるらしさを出す、みたいな感じ。
そうやって自分らしく居続けたから、どこにいてもぶれない強さも持てるようになったし、ぺこりんっていう運命の人とも出会えた。いろんな人との出会いにも恵まれて、自分を表現する仕事もできるようになりました。
目立つことをすると叩かれることもある。でも、何を言われたって全然へっちゃら。
ちょっと目立つ行動をしたら、いろんなことを言われるんですよね。これまでもビジネスカップルだとか、結婚や子どもを持つのが早過ぎるとか、あれこれ言われてきました。でも、学生時代からいろいろ言われてきたから、もう今は何を言われたって全然へっちゃら(笑)。プラスチックのハートっていうか、ゴム製のハートになっちゃった。
「僕はこうしたい」っていう信念があるからこそ、ぺこりんと2人で乗り越えていける。子育てだって、子どもができてママができることと僕ができることっていうのは考えたけど、おっぱい以外のことはパパだって何でもできる。男とか女じゃなくて、ぺこりんは同じ人間だって思っているから、一緒に乗り越えていこうって思うんです。
僕は自分を出せるようになって、本当に人生が楽しくなった。自分らしくいたから運命の人と今のお仕事に出会えて、すっごく幸せ。だから、このまま生きていくんだ! って思っています。
男とか女とか考えずに、自分らしく居続ける。そしてあわよくば、自分らしさをなかなか出せないこの世界の雰囲気やルールを変えていきたいって思っています。
取材・文・撮影/天野夏海