【高橋一生×川口春奈】が考える、“より良い未来”のつくり方 「過去も未来も変えられる。今ここにいる自分が変われれば」
過去に戻って、運命を変えられたら。誰もが一度は抱いたそんな願いから始まる奇跡のラブストーリーが公開される。それが、高橋一生さん&川口春奈さんのW主演で贈る映画『九月の恋と出会うまで』だ。
未来からの不思議な声によって命の危機を救われたヒロイン・志織(川口春奈)。けれど、それにより<タイムパラドックス>が発生。この矛盾を解消しなければ、志織は1年後、存在ごと消えてしまうと、同じマンションの隣人・平野(高橋一生)は警告する。運命に抗うため、もう一度奇跡を起こすため、平野と志織は声の主が誰なのかを探し始める――。
そんなタイムリープが題材となっている本作。生きていれば、やり直したい過去の1つや2つあるもの。落ち込んだ日は、「未来がもっとこうなればいいのに」と詮無い想像を膨らませてため息をつくこともある。でも、そう思い通りにはいかないのが、人生だ。過去と、現在と、未来と。私たちはどんなふうに向き合って生きていけばいいのだろうか。高橋さんと川口さんのお二人に聞いてみた。

高橋 一生(たかはし・いっせい)
1980年12月9日生まれ。東京都出身。数々の映画、テレビドラマ、舞台に出演。近年の主な映画出演作に『嘘を愛する女』『blank13』『空飛ぶタイヤ』、『億男』など。ドラマでは大河ドラマ『おんな城主 直虎』、『カルテット』『僕らは奇跡でできている』などがある。1月26日スタートのNHK土曜ドラマ『みかづき』では、主人公の塾講師・大島五郎を演じる
川口 春奈(かわぐち・はるな)
1995年2月10日生まれ。長崎県出身。07年、雑誌「ニコラ」のモデルとしてデビュー。09年、テレビドラマ『東京DOGS』で女優デビュー。11年『桜蘭高校ホスト部』でドラマ初主演を果たす。近年の主な映画出演作に『にがくてあまい』『一週間フレンズ。』など。ドラマでは『ヒモメン』(テレビ朝日)、『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ)などがある
過去は振り返らない。未来に想いは馳せない。
ただ、「今」に集中する
――作品を拝見して感じたのが、お二人の「運命に抗う力」でした。未来を変えようと、志織も平野も一生懸命行動を起こす。でも、現実の世界では、なかなか上手く自分の運命を変えられないものですよね。やがて来る未来をより良いものに変えていくために必要なものって何だと思いますか?
高橋さん(以下、敬称略):本質的なことを言うと、結局、“今しかない”んです、人生って。
――“今しかない”?
高橋:「こうだったらいいな」という理想を「未来」とはき違えている人って多いと思うんですけれど、「未来」は決して「今」と別次元のものではない。今この瞬間、立っている場所の地続きに「未来」があるんです。突きつめて言えば、過去も未来もなくて、僕らに存在しているのは常に「今」だけ。「今」の中に「過去」も「未来」も内包されているんです。ですから僕は「過去」を振り返ってセンチメンタルになることもしないし、「未来」に想いを馳せることもしません。それよりも「今」に集中すること。それが、結果的に「未来」をつくるというのが僕の考えです。

川口さん(以下、敬称略):そう思います。もちろん不安になりますけどね、これから先のことを考えたら。でも、実は「今」だけが平等なんです。未来がどうなるかは誰にもコントロールできないけど、「今」をどう生きるかは自分の意志でどうにでもなる。「今」だけが全員にフェア。だから、私も今この瞬間を楽しむことが一番大事なんじゃないかと思います。
高橋:僕は、「過去」を変えるということも自分の解釈の話だと思うんです。例えばすごく嫌な思い出があったとしても、それは「今」の自分が胸を張って生きていれば、いくらでもいい想い出に変えることができる。「過去」や「未来」に価値を与えてあげられるのは、結局「今」の自分だけなんです。
――お二人は昔からそういう考え方なんですか?

高橋:昔はもっと先のことを考えてあれこれ悩んでいたと思います。けれど、「未来がこうなっていたらいいな」という考えって、“今の自分にないものを求めているだけ”なんです。今、自分がそんなふうに思わなくなったのは、ある意味、すでに事足りているから、というのはあるかもしれません。
川口:私は考えてもどうにもならないことは考えないっていうタイプではあるものの、根はネガティブなんで、くよくよすることもある。それは自分でもよく自覚しているんです。だからこそ、無理にでもいいからポジティブに物事を考えようって、意識的に自分を変えようとしているところはあります。
――それはこのお仕事をしているからですか?

川口:シンプルに自分のためですね。ネガティブでいるよりポジティブでいる方がずっと楽だって気付いたから。自分が健康的でいるためにも、あまり深く考えたり悩み過ぎたりしないようにしているんです。
「君に任せてよかった」その一言のために仕事をする
――では、そんなお二人が「今」ベストを尽くすため、この映画に注いだものを聞かせてください。
高橋:“今まで通り”でいることですね。お芝居に臨む自分のベースを崩すことなく、今まで通り1シーン1シーンと向き合う。そんな撮影期間だった気がします。
川口:今見返したらいろいろ思うことは出てきますが、あの時あの場所でできるベストはやれた、という気持ちがあります。だから、あとは観てくださる方たちに委ねたいです。
――ベストなパフォーマンスを出し、胸を張っていい仕事をしたと言えるためにやるべきことって何だと思いますか?

高橋:僕は対外的な評価というのにまったく関心がなくて。僕のやるべきことは常に、“お話をくださった方の期待に応える”こと。この作品のこの役を、高橋一生にやらせたい。そう名前を挙げていただいた以上、すべてが終わったときに「高橋一生に任せて本当に良かった」と言ってもらえることが、僕にとっての冥利。それ以外の評価にはなるべく振り回されないようにしていますし、自分の「もっとこういう作品にしたい」という想いもできる限り入れないように心掛けています。
川口:高橋さんはすごく目線が高いし、自分なりの軸がしっかりあっていつも刺激を受けます。一方で、高橋さんみたいになれない自分がいて落ち込みそうになっても、「自分を責めない」っていうのは私が大事にしていることかもしれません。自己採点が厳し過ぎると、仕事はつらくなってしまいますからね。「気持ちが上がらないときも、たまにはあるよね」「私、頑張っているよね」って自分で自分を褒めてあげることも大切なんじゃないかと思います。

取材・文/横川良明 撮影/赤松洋太 企画・編集/栗原千明(編集部)
【映画情報】
『九月の恋と出会うまで』3月1日(金)全国公開
監督:山本透 原作:松尾由美『九月の恋と出会うまで』(双葉文庫)
出演:高橋一生 川口春奈
配給:ワーナー・ブラザース映画
kugatsunokoimovie.jp