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JUN/2019

【坂口健太郎】「いい意味で、わがままに」27歳・俳優生活6年目を迎えて感じる仕事観の変化

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一流の仕事人には、譲れないこだわりがある!
プロフェッショナルのTheory

今をときめく彼・彼女たちの仕事は、 なぜこんなにも私たちの胸を打つんだろう――。この連載では、各界のプロとして活躍する著名人にフォーカス。 多くの人の心を掴み、時代を動かす“一流の仕事”は、どんなこだわりによって生まれているのかに迫ります。

目尻にできるたっぷりのシワと、子どもみたいに愛らしいえくぼ。この人がはにかむだけで、どんなにささくれ立った心も一瞬でほぐれてしまう。

坂口健太郎

俳優・坂口健太郎、27歳。モデルとしてキャリアをスタートさせ、2014年に俳優デビュー。今年で俳優生活も6年目を迎える。そう言葉をかけると、「もうそんなになるのか。赤ちゃんが小学生になる年ですね……」と驚きと感慨が溶け合ったような表情に。そんな肩肘張らない素直なリアクションが、坂口さんらしくて、微笑ましい気持ちになる。

坂口さんが、俳優として演技のレッスンを受け始めたのは2014年の1月からだという。短いようで濃い経験をたくさん積んできたこの5年強。坂口さんの役者としてのスタンスや仕事観は、どのように変わってきたのだろうか。

坂口健太郎
【プロフィール】坂口 健太郎(さかぐち・けんたろう)
1991年7月11日生まれ。東京都出身。2010年、第25回メンズノンノモデルオーディションに合格し、デビュー。2014年、映画『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』で俳優デビュー。2016年には『64 -ロクヨン- 前編/後編』で、第40回日本アカデミー賞新人俳優賞、第41回エランドール賞新人賞を受賞。以降も、『君と100回目の恋』『ナラタージュ』『今夜、ロマンス劇場で』『人魚の眠る家』など数多くの作品に出演。今後の公開作に『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(2019年8月2日公開)、WOWOW『連続ドラマW そして、生きる』、舞台『お気に召すまま』がある

「いい距離感で、役と寄り添いたい」俳優・坂口健太郎が大切にするスタンス

坂口さんにとって3本目の主演映画(今作はW主演)となる『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』が6月21日(金)より公開される。坂口さんが演じるのは、ずっとすれ違ってきた父(吉田鋼太郎)の本音を知るために、自らの正体を隠して、オンラインゲーム『ファイナルファンタジーXIV』の世界で父に近づき、冒険の旅に出る息子のアキオ。気が優しくて、お人好し。特別個性があるわけでもなければ、突出した才能や能力があるわけでもない。ごく普通の、どこにでもいるような青年の役だ。

坂口さんは、こうした平凡なキャラクターを演じるのが抜群に上手い。無理にキャラクターを特徴づけるようなことはせず。だけど、ちゃんとその役ならではの愛嬌や体温を感じさせてくれるから、坂口さんが演じるとついその人物に親しみが湧いてしまう。

役者にとって普通の人間を演じることほど難しいことはないというが、どうして坂口さんはこんなにもナチュラルに画面の中で佇んでいられるのだろう。

坂口健太郎

「確かにそうなんですよね。衝撃的な役って、身近じゃないからこそ、ラインをどれだけ逸脱できるかが勝負。でも、アキオみたいな等身大の役って、どこにでもいそうなんだけど、でも10人いれば10人の日常や想いがあるわけだから、そこのいい塩梅をとるのってすごく難しい。自分でも、どうやっているんだかよく分からない(笑)」

自問自答して、最後は自分で照れ臭そうに笑い飛ばす。坂口さんは、どこまでも自然体だ。

「昔は役者って役の名前で覚えてもらえるのが理想だと思っていたんですよ。僕にあまり色がつきすぎると、どうしても坂口健太郎感が強く出過ぎちゃう。だったら、僕の名前なんて覚えてもらわなくていいやって。それがいろんな役を演じていくうちに、少しずつ変わっていって。今は100%役になり切るなんてできないと思うようになりました」

坂口健太郎

そう切り出して、坂口さんが挙げたのが、2016年にオンエアされたドラマ『模倣犯』(テレビ東京)。そこで坂口さんは等身大の青年とは真逆の知能犯・網川浩一を演じた。

「あの時、僕は何とか網川浩一という人間に寄り添おうとしました。でも、とてもじゃないけど、理解できないんですね。そこで思ったのが、こんなふうに理解できていないことが、“理解できている”ということなんじゃないかって」

役者は、自分ではない他人に成り代わる職業だ。だが、自分ではない以上、完全に手中におさめるのは不可能。むしろ手中におさめたなんて思ってしまう方が、怖い。坂口さんは、そう考えた。それは、今回のアキオのように「理解しやすそうに見える」役でも同じだ。

坂口健太郎

「100%アキオのことが分かっていると思うことこそ、エゴに近い気がして。役と寄り添いながら、ちゃんといい距離感をとっていたい、というのが今の僕の基本姿勢。どこかに坂口健太郎が残っている方が、僕が演じる意味が出る気がするんです」

完全に役と自分を切り離すのではなく、坂口健太郎という器を生かして役を見せる。坂口さんが演じる普通の青年像に愛着を感じるのは、彼がこれまでの27年間で育ててきた人間性そのものがそこに乗っているからかもしれない。

いい仕事をしていくために必要なのは、いい意味でわがままになること

経験を重ねるにつれて、人の考えは変化していくもの。変わり続けることで、人は成長できるのだ。では、もうすぐ俳優デビューから6年目を迎える坂口さんが感じている自分自身の変化とは何だろう。

坂口健太郎

「ここ数年で、いい意味でわがままになれたと思います。現場で我を出せるようになったのが一番の変化かも」

これまでは、現場にいるときはバランサーであることを心掛けていたのだとか。

「現場で自分の意見を言うのがすごく苦手だったんです。監督や周りの方から言われたことに100%応えることを優先していて、『自分がやるからこそ』というのは二の次になっていました」

会議で発言するのが苦手だったり、意見を求められたら急に体が硬直したり。Woman type世代にも、そんな悩みを抱えている人はたくさんいるはず。もっとちゃんと自分の考えを主張していかないとと思いつつ、それで波風が立ったり否定されたりするのが怖くて、つい周りの声に合わせてしまう。

坂口健太郎

「もちろんバランスをとることも大事なんですけどね。ただ、そうやってほんの些細なことでも自分の気持ちに封をして無理している自分がすごく嫌になった時期があって。もっとディスカッションをしなくちゃって自分の姿勢を意識的に変えるようになりました」

ちょうどそれが、役者として重要なポジションの役を任されるようになった頃のこと。作品に対する自分の影響力や責任に対して、坂口さんは逃げずに向き合うようになった。

「やっぱり自分が演じるキャラクターを一番愛しているのは自分だから。ちゃんと自分はこうしたいっていうことを伝えた方が絶対にいいなって。そうやってキャラクターが魅力的になれば、絶対に作品も魅力的になる。作品をより良くしていくためにも、いい意味でわがままになることは大事だって気付いたんです」

「意見が食い違うことを恐れない」
それこそが人と仕事をする醍醐味だから

そうやって自分から意見交換をするようになって気付いたことがある。意見が異なることは、決して悪いことではないということだ。むしろ意見が食い違うときは、自分一人では届かなかった場所に辿り着くチャンス。今回の現場でも、そんなことがあった。

「クライマックスで夜の街を走るシーンがあるんですけど、1回目に撮った時はすごく苦しそうな顔だったんですね。アキオの気持ちを考えれば、そういう表情になるのは自然なんですけど。監督から見ると、気持ちが出過ぎてしまっているから、もっと抑えてほしいと。それで何度か話し合いながら、アキオの気持ちを見せつつ、苦しそうに見えない、ちょうどいい塩梅というのを一緒に探っていきました」

坂口健太郎

自分はこうしたい、という意志は仕事をする上で重要だ。だけど、客観的な視点を取り入れることもまた同じくらいに大切なこと。たとえそこで意見が違っても、決してそれは対立じゃない。良いものを生み出すために必要なステップだ。

自分の考えだけに固執してもいけないし、周りに合わせているだけでもダメ。難しいけど、だからこそ人と一緒に仕事をするのって面白い。今はそう思っています

俳優と聞くと特別な職業のように思えるけれど、仕事でぶつかる悩みや壁は案外私たちと似ているところもあるのかもしれない。27歳、坂口さんが感じた気付きと変化は、きっとWoman type世代の働くヒントになるはずだ。

坂口健太郎

取材・文/横川良明 撮影/赤松洋太 企画・編集/栗原千明(編集部) スタイリスト/檜垣 健太郎(little friends) ヘアメイク/廣瀬瑠美


【映画情報】
映画『劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん』6月21日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
監督:野口照夫(実写パート) 山本清史(ゲームパート) 脚本:吹原幸太
出演:坂口健太郎 吉田鋼太郎 佐久間由衣 山本舞香 前原 滉 今泉佑唯 野々村はなの 和田正人 山田純大 /佐藤隆太 財前直見
声の出演:マイディー役(アキオのゲームキャラ):南條愛乃 あるちゃん役(ゲーム内フレンド):寿美菜子 きりんちゃん役(ゲーム内フレンド):悠木碧

原作:「一撃確殺SS日記」(マイディー)/ ファイナルファンタジーXIV(スクウェア・エニックス)
配給:ギャガ (C)2019「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」製作委員会 (C)マイディー/スクウェア・エニックス
公式サイト:https://gaga.ne.jp/hikarinootosan/

『プロフェッショナルのTheory』の過去記事一覧はこちら

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