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JUL/2019

『蒙古タンメン中本』愛好家・づけとごさんの、中本への桁外れの情熱ーー「中本は自分にとって家族と同じ。本当の家族には『一緒にすんな』って言われるけど」

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<特集>#愛を語ろう

「愛」って恋愛だけじゃない――。この特集では、好きで好きでたまらないものがある人たちに、熱烈な“愛”を存分に語ってもらいます。自分の「好き」を深めるヒントや、「好き」を見つけるヒントをもらっちゃおう!

激辛ファンのみならず、ラーメンファンからも熱く支持される“辛うまラーメン日本一”のラーメン店、『蒙古タンメン中本』。

上板橋に本店を構え、東京・神奈川・埼玉など、首都圏を中心に22店舗を展開(2019年7月時点)し、セブン&アイグループで販売されているカップ麺シリーズも人気だ。

店のルックスや雰囲気とは裏腹に、『蒙古タンメン中本』(以下、中本)には女性ファンも多い。

「激辛ラーメン」というイメージが強いためか、最初は度胸試し感覚で中本に足を運ぶ人が少なくないが、不思議なことに、一度食べると「またあの味が欲しい」と思うようになってくる。気付いた頃には“中本の虜になっていた”というケースもよく聞く話だ。

そうしてコアなファンを増やし続ける中本だが、その中でも並々ならぬ愛を中本に注ぐ人がいる。ファンサイト蒙古タンメン中本の道を運営するづけとごさんだ。

 づけとご さん 1989年に初めて「蒙古タンメン」を食べて以来、中本にハマってしまった「ただの客」。中本の運営サイドと特別な関係はない。

【プロフィール】づけとご

1989年に初めて「蒙古タンメン」を食べて以来、中本にハマってしまった「ただの客」。中本の運営サイドと特別な関係はない。
Twitter:@nakamotonomichi

まず、こちらのサイトをご覧いただきたい。

>>蒙古タンメン中本を愛して止まない人の為の『蒙古タンメン中本の道』

サイト内の注意書きにもある通り、一個人が運営するファンサイトであるにも関わらず、公式サイトを遥かに超える情報の充実ぶりである。店舗情報はもちろんのこと、電車で店に向かう際の最短ルート、今月の限定メニューや店長の異動情報、中本の歴史やグッズ情報まで、「なぜこんなことまで知っている」という情報が、全方位的に網羅されているのだ。

また、このサイトの特徴は、サイト運営者の主観がほとんど見えないことにもある。あくまで、中本についての情報が、客観的にデータとしてまとめられている。しかし、圧倒的な情報量と更新頻度の高さなどから、づけとごさんの熱量を感じずにはいられない。仕事でやっているわけでもないのに、一体なぜここまでのことができるのか。

づけとごさんが中本を深く愛する理由や、中本のファンになったことで人生にどんな影響があったのかを聞いてみた。

最初は「蒙古タンメン」を半分食べるのがやっとだった

編集部

づけとごさんと中本の最初の出会いについて教えてください。

づけとご

約30年前になりますが、学生時代にあちこちのラーメン屋で食べ歩いていた時期があったんです。その時に友人から、「辛いラーメンがあるから行こう」と誘われて、先代の中本正さんがやっていらっしゃった「中本」に足を運んだのが最初です。
この時に注文したのは「蒙古タンメン」。一口食べて、あまりの辛さにびっくりしました。もともと辛い食べ物が得意じゃなかったから、心の中ではもうギブアップ。何とか半分は食べたんですが、完食はできなかったんですよ。

そこからどうやって中本にはまっていったんですか?

中本デビューで完全にKOされて、自分は中本の魅力に気付けなかったんですけど、店の前にはいつもたくさんのお客さんが行列をつくっていて。「あんな辛いだけのラーメンに、なぜこんなに人が集まるのか」ってただ疑問だったんですね。 それで、自分もその魅力を知りたいと思うようになって。

1~2カ月に1回くらいのペースでお店に通って、1年くらい通った時にようやく「蒙古タンメン」を完食できたんですよ。気付けば、その時には「辛さの奥に存在する旨味」も感じられるようになっていたし、野菜の甘さすら味わえるようになっていましたね。
ここで、いろいろなラーメン屋をまわるのはやめました。頭の中は常に中本のことでいっぱいになり、もっと食べたい、もっと知りたいという気持ちが湧いてくるようになっていたんです。

中本を食べたいときに食べたい。だから、働き方も変えた

では、中本に通う頻度もそこからどんどん増えていった? 今では週6回は中本に通っているそうですが。

そうです。ただ、先代がお店をやっていた頃は、営業時間が短かったので、食べたいときに食べに行くっていうのが難しくて。自分も会社員として働くようになって時間の自由が減り、相変わらず月1くらいで食べにいくのがやっとでした。

それから、1998年に、先代のお店が終了してしまいますよね。

はい。2000年に、中本ファンの一人だった白根誠さんが店を復活させてくれるまでは、中本が食べられなくなってしまいました。2000年2月10日、先代の味を受け継ぎ、人気メニューの名を冠した「蒙古タンメン中本」が上板橋にオープンした時の感動は忘れられません……!

そして、白根さんが2代目の店主になったことで、中本の営業時間が長くなり、一気に食べるペースが増えましたね。2000年代の初めのころは、週に2~3回は食べていたかな。

その頃、中本への印象はどう変わっていましたか?

中本の本当の魅力に気付きましたね。先代の頃から中本のラーメンはそれなりに食べてきていましたから、「ここの魅力はよく分かっている」という気になっていたんですよ。でも、それは間違いだった。

白根さんのお店で食べる回数が増えていくと共に、一番辛い「北極ラーメン」と全く辛くない「塩タンメン」と、どちらを食べるか悩むようになったんです。それで、「中本のラーメンは辛いからうまいんじゃない」っていうことが、自分の中ですごく明確になって。普通の食べ物と同様、「おいしい」ということが中本の魅力なんだ! と思えたんです。

週6回も中本に通われていると聞いて驚きましたが、「おいしいものを週6回食べに行っている」ということだと思うと、なんだかごく普通のことのように思えてきました(笑)

いつからだったか、空腹になると中本のメニューしか頭に現れないようになったんです。どうすれば中本を食べられるか、といつも考えていました。まさに虜です(笑)

しかし、当時は残業も多く、営業職など外まわりのある仕事でもなかったので、「食べたいときに中本を食べる」っていうことができず、フラストレーションを抱えていました。
それで、思い切って働き方を変えることにしました。中本を毎日食べて仕事をするにはどうすればいいか、という前提で自分の人生を切り替えてみたんです。

それで、起業するという選択肢が浮かんできた、と。

はい。必然的に。妻には「毎月、必要な金額はちゃんと渡すから」ということだけ約束して、脱サラして会社を始めました。まぁ、いざとなればどんな仕事でもする気でしたから、不安は特にありませんでしたね。

周囲の方の反応はいかがでした?

中本がだんだんと人気になり、メディアなどでもよく取り上げられるようになっていったので、私の選択や活動に理解を示してくれる方がほとんどでしたよ。今では会社のクライアントも応援してくれますし。起業を選択したことは、正解だったと思っています。

ちなみに、中本で働こうとは思わなかったんですね。

思いませんでした。理由としては、無趣味な人間だった自分が、「中本」という人生を捧げられる最大の趣味を見つけて、これを仕事にしてしまったらまた趣味が無くなってしまうという事が大きいです。
趣味だからこそ、誰にも強制されず、自分の為に好きなメニューを好きなタイミングで食べられる。これが一番です。中本のラーメンを食べる事は大好きですが、作ることには全く興味がありません。

自分の足で稼いだ情報でファンサイトを更新し続ける

ファンサイト『蒙古タンメン中本の道』はいつから始めたんですか?

2003年です。当時、中本には公式ホームページがなくて、いくつか個人が情報サイトを運営しているくらいでした。そんな時、一つの中本情報サイトがクローズするというので、私がそれを引き継いだんです。

皆さんに、もっと中本のさまざまなメニューを知ってほしい。辛くないメニューもうまいことを知ってほしい。中本そのものの魅力を知ってほしい。中本を知ると、人生がもっと楽しくなるということを伝えたくて、サイトづくりには自然と力が入りました。
紹介したいことが山ほどあったので、コンテンツづくりに困ったこともありませんね。

ファンサイトであるにも関わらず、圧倒的な情報量に驚かされるのですが、どうやって運営しているのですか?

基本的には毎月全店を回ってスタッフの方とお話をする事で情報を得ています。

すごい地道!! ご自分の足で情報を集めていらっしゃるんですね!

この活動を2003年からやっているので、スタッフの方からの信頼で得られている部分が多いと思います。

サイト運営上、特にこだわっていることは?

情報の精査や、発表タイミングですかね。公式ページとの整合性などは注意するようにしています。また、「中本の道」はあくまでファンサイトなので「中本の魅力を伝えて応援する」という大前提がありますが、ともすると「中本からお願いされてやっているのではないか」と思われてしまう。そうならないよう、中立性を保つように心掛けています。

味についても、おいしい、辛い、などは私の主観なので、できるだけ淡々と事実を記載し、実際に食べたときのイメージと相違が出ないような説明を意識しています。
また、中本には半世紀の歴史があり、お店やメニューにもさまざまな歴史があります。中本をおいしいと思った方が、これらの歴史を知り、さらに中本を好きになることが「中本の道」の役割だと思っています。

中本にハマったことで、自分に自信が持てた

づけとごさんにとって、「中本」とは?

最初は「特別な存在」でしたが、ほぼ毎日食べるようになった今では、「家族」みたいなものですかね。いつも自分のそばにあるから、接する度に感動して感謝するっていうものではないけど。心の奥底ではすごく大事に思っているし、いつも感謝している。ちなみに、実際の家族には「ラーメンと一緒にすんな」と怒られますが。

(笑)

あとは、「一心不乱に何かに向き合う自分」 がいるということに、気付かせてくれた存在でもありますね。
中本に出会う前までは、「自分は何と無趣味で無個性な人間なのだ」と思っていました。そういうつまらない自分が嫌だったんです。でも、中本に人生を捧げてからは、本当に好きな事になら、一心不乱に突き進んでいけるパワーが自分にあるっていうことを知りました

そういうエネルギーを持っているということに気付いたことで、自分に自信が持てるようにもなったんですよ。恐らく、こういうエネルギーは誰もが持っているもので、私はたまたまそれが「蒙古タンメン中本」だったのではないかと。

何かに圧倒的な愛情を向けたことで、人生がより楽しくなっただけでなく、自信まで持てたと。

はい。好きなものへの圧倒的なエネルギーを全く発揮できずに人生が終わってしまうより、思いっきり発揮する人生の方がずっといいと思います。
だから、これからも躊躇すること無く、声を大にして「中本が好きだ」と言っていきますし、中本を食べ続けます!

では、づけとごさん流の「中本をディープに楽しむコツ」を教えてください。

そうですね、「食べたい時に、食べたいメニューを、食べたい量で食べること」が一番です。変に激辛路線にいこうとしたり、急いで深みに入ろうとすると、食べたくないメニューを無理に食べてしまうことになりますし……。あとは、「こんな辛いのを食べた」とか、人に自慢するために食べたりするのもちょっと違うかな。基本的には、「食べたいときに、食べたいものを、食べたいだけ」っていうのが中本を深く好きになる秘訣です。

半世紀の歴史を持つ中本道は、武道の様に険しく、奥が深いものです。あまり急いでいろいろ知ろうとすると、こちらが息切れしてしまいます。のんびり楽しく、おいしく食べていれば、自然と違うメニューも食べてみたいと思うようになりますし、いろいろなことが知りたくなって、ファンサイト『中本の道』に自然と辿り着きます。
ここまでくれば、あとは『中本の道』がズルズルと皆さんを深みに引きずり込みます

今まで一回も中本に行ったことがない女性にまず試してほしいことは?

自分が「いけるかな」と思う一つ上の辛さのメニューから試してみてほしいですね。感覚的な話ですが、店で同席した女性たちを見てきて、意外と辛さに強い人が多い気がしているんです。
辛かった~! でもおいしかった~!」という最高の感覚を味わってもらうために、ちょっとだけ勇気を出して辛めのメニューに挑戦してみるといいかもしれません。

また、中本のメニューはカスタマイズもいろいろできるのですが、定番メニューの味は数十年支持されたバランスの取れた味ですから、下手に変える必要はないというのが私の考え。慣れてくるまでは、そのメニュー本来の辛さで注文してみるといいですよ。中本を信じて、任せてみてください。

取材・文/栗原千明(編集部)

『#愛を語ろう』の過去記事一覧はこちら

>> http://woman-type.jp/wt/feature/category/work/loveをクリック

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