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JAN/2016

専業主婦率2%のスウェーデンは幸福度が世界トップレベル! 働く女性を幸せにする2つの条件とは

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日本の若い女性の中には、「結婚後は仕事を続けるより、専業主婦になった方が幸せになれそう」と考える人が少なくない。しかし世界に目を向けると、日本女性の考えとはまったく違う事情が見えてくる。

例えば、北欧のスウェーデンは専業主婦率がわずか2%。ほとんどの女性が結婚後も仕事をしているが、国民の幸福度ランキングは8位と世界トップレベルだ。ちなみに日本の専業主婦率は38%だが、国民の幸福度は46位とかなり低い。この数字を見ても、「専業主婦=幸せ」とは言い切れないのではないだろうか。

そこで、元国連職員であり、世界各地で女性たちが“生きていく力”を身につけるための支援プロジェクトに数多く参画してきた大崎麻子さんに、「仕事」と「女性の幸せ」にどのような相関関係があるのか聞いた。

50年前のスウェーデンは今の日本と同じだった?

ストックホルム
スウェーデンの首都 ストックホルム市街地

「確かに北欧諸国は女性の社会進出が進んでいますが、それは決して国民性や文化的な背景によるものではないと思います。なぜなら、かつてはスウェーデンを含む北欧諸国でも『男性=稼ぎ手、女性=家事・育児労働』という役割分業が一般的だったからです。

ところがスウェーデンは1960年代に入って好景気に沸き、多くの企業が人手不足に。そこで政府は労働力を補うために、女性も外へ働きに出てもらおうと考えました。今の日本でも安倍政権が女性の活躍推進を掲げていますが、国の経済が動機というのは、まさに同じ状況ですよね」

だが、いきなり国から「専業主婦をやめて、仕事をしなさい」と言われても、そう簡単に女性たちが納得するわけはない。

大崎さんによれば、当時のスウェーデンでも女性たちから疑問の声が上がったという。「これまで私たちが無償で育児や介護をやってきたのに、女性が外へ働きに出たら、こうした地域の福祉は誰が担うのか」と。

そして女性たちは各地で集会を開き、この問題について議論を始めた。

「そこで出た結論は、『女性の代わりに福祉を担う保育所や介護施設などを増やす必要がある』というものでした。そして実際に仕組みづくりを進めるため、女性たちが政治にどんどん進出していったのです。

その結果、育児や介護支援サービスの拡充に多くの予算が配分され、法律や制度も仕事と家庭を両立しやすいように変わりました。家計を一手に担っていた男性も、家事や育児に参加できるようになったのです。税金は高くても、いざという時には守ってもらえる福祉社会ですから、気持ちにもゆとりがあるのでしょう」

現代社会には、4つの“Work”がある

子どもを産んだ後も無理なく働き続けることができて、家事や育児もパートナーとの協力が当たり前であれば、スウェーデンの人たちの幸福度が高いのも納得だ。だがそれ以上に、「仕事」の捉え方が日本とは大きく異なるのではないかと大崎さんは話す。

「つい先日、国連が“Work(仕事)”をテーマとするレポートを発表しました。その中で、現代における仕事には次の4つの種類があると定義しています」

1、賃金を得て働く『有償労働』
2、家事や育児、介護などの『無償労働』
3、社会や地域に貢献する『ボランティア活動』
4、趣味で創作をしたり、習い事をしたりする『創造的活動』

「日本人の多くは、“仕事=有償労働”と考えますが、収入を伴わない無償労働やボランティアも立派な“仕事”なんですね。そしてスウェーデンの幸福度が高いのも、4つの仕事をバランスよくこなせるからだと考えられます」

家事や育児にゆとりが持てるから、ボランティアや創造的活動にも積極的になれる。だから、ただお金を稼ぐだけではなく、社会に貢献することで得られる充実感ややりがい、趣味の創作活動で得られる喜びを手にできるのだ。

「ライフステージごとに考えても、若いころは有償労働に集中し、子育て中は無償労働のウエイトを増やし、子どもが手を離れたら有償労働とボランティア活動や創造的活動を並行して楽しむ、といったバランスが取りやすい。これも幸福度の高さにつながっているのでしょう」

女性が幸せな人生を歩むための2つの条件

4つのwork
まだまだ制度や仕組みが整っていない日本で、女性が幸せな人生を歩むためには何が必要なのだろうか。大崎さんは特に重要なこととして、次の2つを挙げる。

1、“意見”と“事実”を区別する

「誰かに何かを言われた時、それがその人の“意見”なのか、客観的な“事実”なのか、区別することはとても大事です」

『専業主婦になれば幸せになれる』と言う人がいたケースを例にとってみよう。

「戦後の高度経済成長期の日本では、国ではなく企業が福祉を担ってきました。会社に正社員として就職すれば終身雇用が約束され、給与体系も夫が妻と子ども2人を養える水準に設定されていた。妻が専業主婦でもやっていけたのは、会社が夫の給与の中に妻の無償労働分も上乗せして払っていたからです」

ところが今は会社が社員の福祉を担う余裕はなくなり、男性の給与水準も低下。税制や社会保障の仕組みも共働き世帯を優遇する方向へ動きつつある。“客観的な事実”を見れば、社会や経済の仕組みは大きく変わりつつあることが分かるだろう。

「幸せな人生を送るには、こうした事実を踏まえて将来を考え、進むべき道を見極める力を持つことが必要です。その上で『どうして私は専業主婦になりたいの?』と自分に問い掛けてみてください。経済力が担保されない状態で専業主婦になることは、いざという時にあなたの幸せを脅かすリスクにはなりませんか? 他人の意見や世間の空気に流されて物事を決めてしまうと、いずれ後悔することになります。『自分はなぜそれを選ぶのか』の根拠を明確にする習慣をつけてほしいと思います」

2、SNSで政治に参加する
「先ほど話した通り、スウェーデンの国の仕組みが変わったのは女性が政治に進出したから。現在では議員の40%以上が女性です。一方、日本の女性議員は10%程度。特にこれから子育てをしていく若い女性が政治に関与しなければ、この国は変わりません」

何だかハードルが高いように感じるが、大崎さんの言う“政治参加”は簡単だ。

「例えば、ひとり親世帯の児童扶養手当は、一人目の子どもに4万5000円くらい支給されます。ところが第二子への加算額はたったの5000円。そこで、有志の支援者や専門家や著名人が集まり、オンライン署名サイトで『加算額を増やしてほしい』というキャンペーンを立ち上げました。すると、SNSで拡散されて3万9000人の署名が集まったのです。それを菅官房長官に手渡し、政策提言をしたところ、来年度から加算額が増えることになりました。

このように、今はSNSを通じて誰もが国の意思決定に影響を与えることができます。女性たちが声を上げれば世論が動き、国の仕組みを変えることができる。皆さんはとても大きな力を持っているのです」

今はまだ結婚や出産をしていない女性も、こうして声を上げていけば、いずれ自分が子育て世代になった時に仕事と育児を両立しやすい環境を手に入れることもできるだろう。声を上げている人の言葉に耳を傾け、賛同の声を示すだけでもいい。

他国の事情をうらやむのではなく、自分たちの手で物事を動かしていこうとする意思を持つこと。日本の女性たちが幸せを掴むためには、そんなマインドが必要なのではないだろうか。

 大崎麻子さん

大崎麻子さん

ジェンダー・女性活躍推進・国際協力の専門家。上智大学卒業後、米国コロンビア大学大学院で国際関係修士号を取得。国連開発計画(UNDP)ニューヨーク本部開発政策局ジェンダー・チームで、途上国の「ジェンダー平等の推進と女性のエンパワーメント」を担当。貧困削減や災害・紛争復興などのプロジェクトに携わる。2004年に退職後、帰国してフリーに。著書に『女の子の幸福論』(講談社)

取材・文/塚田有香

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