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JAN/2020

アンフェアな社会を生き抜くには?ドラマ『ザ・モーニングショー』に学ぶ“男性優位社会”で戦う女性のタフネス

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伊藤ハルカ
海外ドラマコラムニスト・伊藤ハルカが推薦!
今月のパワーウーマン

海外ドラマコラムニストの伊藤ハルカが、旬な海外ドラマ作品の中から、注目のパワーウーマンをご紹介! 強くて、知的で、お茶目で、美しい……個性的なキャラクターが続々と登場する海外ドラマから、女性の“働き方&生き方”を学んじゃおう!
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2019年11月1日より始まったAppleの定額制動画配信サービス『Apple TV+』。今回は、Appleオリジナル作品第一弾として、配信開始当初から話題の『ザ・モーニングショー』をご紹介します。

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本作の舞台となるのは、朝の情報番組の「裏側」。テレビ局で起きたセクハラ事件の真相や、キャリアの頂点に上り詰めた女性の苦悩や葛藤、現代人の関心を誘う社会問題が数々取り上げられます。

主演は、ベテラン女優のジェニファー・アニストンとリース・ウィザースプーン。男性優位の放送業界でエネルギッシュに戦う二人の姿が見所の一つです。

今月のオススメ作品:『ザ・モーニングショー』(Apple TV+)

大手ネットワーク局の朝の看板番組「ザ・モーニングショー」の舞台裏を描くドラマシリーズ。ラブコメ映画の女王と名高いジェニファー・アニストンと、オスカー女優でプロデューサーの顔も持つリース・ウィザースプーンによるダブル主演もこのドラマの見どころです。

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ジェニファーが演じるのは、地位もお金も手にする番組のトップアンカー、アレックス。リースは「暴言の女王」の異名を持つ型破りな地方局のレポーター、ブラッドリーを演じています。

ストーリーは、共同キャスターとしてアレックスや番組を支えてきた人気アンカーのミッチが職場の女性スタッフに無理やり性的関係を迫り、解雇されるところからスタート。

すっぽり空いたミッチの席に誰が座るのか、椅子取り合戦がスタートするわけですが、番組の顔であるキャスターのセクハラとあって番組も局も起死回生に必死。

イメージを一新する大物をキャスティングしたい……と目論むものの、上層部との意見の食い違いがきっかけで、アレックスが一度番組で共演しただけのブラッドリーを公共の場で電撃指名。真実を伝えるためなら何でもするアンコントローラブルなブラッドリーをキャスティングしてしまったが故に、番組づくりは迷走してしまいます。

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また、ロスの山火事災害や数年前のラスベガス銃乱射事件、ハーヴェイ・ワインスタイン氏のセクハラ訴訟など、実際にアメリカで起きた事件とリンクしてストーリーが動くスタイルが本作の特徴。その中でも物語のベースとなるのは、ミッチのセクハラ問題です。

ミッチ本人はもちろん、彼のセクハラ行為を黙認していた局の上層部にも責任が問われ、彼らが「どこまで知っていたのか」がストーリーの焦点になってきます。番組を守るために情報をコントロールして放送すべきか、全容を明らかにして伝えるべきか、番組やアンカーのあり方が問われるのです。

セクハラやMe Too問題といえば、日本でも、ジャーナリストの伊藤詩織さんが元TBSワシントン局長の山口敬之氏を性的暴力により、肉体的、精神的苦痛を受けたとして訴え、勝訴したことが記憶に新しいと思います。伊藤さんの裁判では、「同意の上だった」と山口氏が主張していましたが、このドラマでのミッチの主張もまさにそれ。

セクハラのボーダーラインが分からない人がいるかもしれませんが、このドラマの最終話こそが、その答えを与えてくれます。「受け手が不快に思ったらそれはセクハラ」なのです。

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このドラマで描かれる放送業界は、年功序列や男性優位などの古い慣習が根強く残る世界。その中で女性たちは「我慢する」ことに慣れきってしまっています。そんな中、このままじゃいけないと立ち上がるブラッドリーと、それに引っ張られる形で正義を見せるアレックス。本作は、タイプは違うけれど同じくたくましい二人の女性によるエンパワーメントドラマなのです。

今月のパワーウーマン【1】
アレックス・レヴィー(ジェニファー・アニストン)

まずは、視聴率ナンバーワンの朝の情報番組のメインキャスターの座をつかみ、それを長年維持するパワーウーマン、アレックスについてご紹介します。

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ジェニファー・アニストン

ジェニファー・アニストン演じるアレックスは、仕事で地位も名誉もお金も手にし、NYの一等地にある高級マンションに住む、まさに人生の成功者です。プライベートでは、別居状態の夫と娘が一人。

夫との関係はとっくに終わっていますが、“朝の顔”であるアレックスにとって、離婚はタブーなため、別居に留まります。十数年間、毎朝3時起きの生活を続けてきたアレックス。夫や子どもとの時間と引き換えに、地位を得た女性といっても過言ではありません。

地方局でレポーターをするブラッドリーを、上から目線で小馬鹿にするアレックスにイラッとさせられるシーンもありますが、地位と名誉を守るために男性たち相手に孤立無援で戦う姿を見ると、応援せずにはいられなくなってきます。

氷のように冷たい女性かと思いきや、家族から見放されてつい涙をこぼしたり、保身に走るかと思いきや、ここぞという時にジャーナリスト魂を見せたり。業界のトップランナーとしてのプライドを見せつけながらも、垣間見えるのは孤独と寂しさと涙ぐましい努力です。

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ベテラン女優のジェニファー・アニストンは大ヒットドラマ『フレンズ』で、レイチェル役を好演して以来、ラブコメ映画の女王に。最近はもっぱら映画での活躍が多かったジェニファーにとって、ファン待望のドラマ復帰作です。

『フレンズ』出演時には、シーズン8から交渉の末、1話100万ドル(1億1,000万円)のギャラをもらっていたといわれるジェニファー。注目される本作でのギャラは、その倍の1話200万ドル(2億2,000万円)というから驚きです。製作総指揮も務めていることから、実際のギャラはそれ以上になるのではとハリウッド・レポーターは報じています。

15年間で培ったキャリアを元に、見事交渉を成立させたジェニファーはアレックスに通ずるものあり? 一方、実生活では『フレンズ』での共演以来、コートニー・コックスと20年来の親友であり、元夫のブラッド・ピットやジャスティン・セローとも友好な関係を築いているのは有名な話。親友や家族に囲まれるジェニファーは、仕事だけで生きてきたアレックスと少し違うポイントかも。

今月のパワーウーマン【2】
ブラッドリー・ジャクソン(リース・ウィザースプーン)

一方、暴言の女王ブラッドリー・ジャクソンは、ジャーナリスト魂に溢れる40歳で、曲がったことが大嫌いな女性。正義に反する人や事件に黙っていられない血の気の多いキャラクターです。

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リース・ウィザースプーン

突然開かれたトップキャスターへの道に、胸躍るのかと思いきやそんなことはなく、心にあるのは真実を追求し、それを包み隠さず伝えること。大手ネットワーク局の看板番組のメインキャスターに抜擢されても、プロデューサーや上層部の言いなりには決してなりません。

インタビューでは、上司に「聞くな」と言われた部分まで踏み込み、山火事被害の現場からは、社長に「伝えるな」と言われた、セレブが消防士に金銭を払って自宅周辺の消火活動を優先的に行わせた話を報道。このブラッドリーの信念を貫く強い姿勢に圧倒されることは多く、ドラマ内でもたくさんの女性たちが彼女を支持しています。

そんなブラッドリーを演じるのは、オスカー女優のリース・ウィザースプーン。コメディー映画『キューティー・ブロンド』への主演を機にその名を馳せたリース。一時期ラブコメ映画を中心に活躍しますが、カントリー歌手の妻役として歌声を披露した『ウォーク・ザ・ライン』でオスカーを受賞。これまでのコメディー女優からイメージを一新します。

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リース・ウィザースプーン

以降、6年ほど女優としての低迷期が続き、主演する映画が相次いで失敗しますが、『わたしに会うための1600キロ』で復活。HBOドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』ではニコール・キッドマンと共演し、エミー賞を総なめにするなど、女優としてもプロデューサーとしてもセカンドステージにたっています。

実生活では三人の子どものママ。20歳になる子のママには到底見えないリースですが、本作のブラッドリーはこれまでとは違う新しい役柄。自分の信じた正義を貫くファイターと化すブラッドリーは、子どもたちの教育や女性の病気を支援する慈善活動を積極的に行うリースと少し重なって見えることも。世の中をよくしていきたいという強き思いは一緒なのかもしれません。

まるでタイプの違う二人の女性、アレックスとブラッドリーには、どちらも違う強さがあります。トップに立つアレックスは「努力の人」だし、ブラッドリーには決して長いものに巻かれない「芯の強さ」があります。

どちらになりたいか、どちらが幸せか。正解はありません。自分の思いに素直に生きればいいだけのこと。しかし、どちらの道にいくとしても強さとパワーが必要です。時としてアンフェアな世の中をタフに生き抜くための知恵を、ぜひこの二人の女性から学んでくださいね。

作品情報:『ザ・モーニングショー』

Apple TV + 

Apple TV +で、シーズン1を配信中
https://tv.apple.com/jp/show/unknown/umc.cmc.25tn3v8ku4b39tr6ccgb8nl6m

『今月のパワーウーマン』の過去記事一覧はこちら

>> http://woman-type.jp/wt/feature/category/work/powerwomanをクリック

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