突然始まった「子連れ在宅勤務」にどう対応する? 実践で学んだ4つのコツと、大事なマインドセット
長く仕事は続けていきたい。でも、どんな仕事が自分に合っているのか、そもそもどんな人生を送りたいのか、自分のありたい姿が明確にならない女性も多いはず――。そこでこの連載では、さまざまな人生経験を積んできた『Mentor For』のメンターたちが、“豊かなキャリア”を描いていくためのヒントを後輩女性に向けて送ります
『Mentor For』公式メンター兼広報の井上千絵です。今回は、ここ数年フルリモートで働いてきた経験を生かし、今回コロナ禍で急遽在宅勤務と育児を両立することになった女性からのご相談に回答させていただきたいと思います。
先輩に聞きたい!
今回の相談内容
コロナ禍で、急に在宅勤務に。2歳の子が一人いるのですが、保育園に預けられないので、育児と仕事を自宅で両立することになりました。
夫は普段出社しており家におらず日中は協力を仰げません。子どもを見ながらの仕事は簡単な作業しかすすまず、思い通りにいかないのでついイライラしたりもしてしまいます。
子どもがいても在宅でうまく仕事をするコツや、会社に掛け合った方がいいことなどがあれば教えてください
平常時の4~5割くらい仕事が出来たら上出来です!

※画像はイメージです
私もAさん同様、今年3月1日から4歳の娘が通う幼稚園(預かり保育が午後6時まである園)が急きょ休園となり、プチパニックを起こしたのでお気持ちお察しします……。
私の場合、もともとフルリモートで働いていたのでワークスタイルは大きく変わらなかったものの、娘が同じ空間にいることで、活動時間が細切れかつ大幅に減ることになりました。
わが家の場合は、夫も3月初旬から在宅勤務に切り替わったのですが、「交代で娘を見ながら仕事をすれば何とかなるかな」という私の甘い考えは数日にして打ち砕かれました(笑)
夫は夫で早朝から深夜までオンラインでの電話会議が絶え間なく入っているので、なかなか娘の世話を頼める雰囲気でもありません。
前段が長くなりましたが、在宅勤務に切り替わったタイミングで、そのしわ寄せが真っ先に働くママたちにのしかかってくる現状をひしひしと感じています。
「子連れ在宅勤務」のマインドセットとして「平常時の4~5割くらい仕事が出来たら上出来!」と思うことがポイントだと感じています。特に、未就学児の子どもを見ながら仕事をするとなれば、誰にとっても「至難の技」と言えるはずです。
子連れ在宅勤務で取り入れてよかった4つのこと
私もバタバタと娘との在宅勤務を始めてから、あっという間に1カ月半が経ちました。
この間、娘との在宅勤務で取り入れて良かったことも見えてきたので、今日はAさんに向けて少しでも参考になればと思い4つのtipsをシェアさせてください。
1)「子どもがやりたいこと」から1日をスタートする

粘土でお遊びの時間/筆者撮影
未就学児の子どもにとって、大好きなママが目の前にいるのに自分に構ってくれないことを心で理解するのは難しいものです。そこで、毎朝仕事に入る前に「子どもと一緒に過ごす時間」を20分でもいいのでつくってから1日をスタートするようにしています。
娘が朝起きてくると、まず最初に「今日はママと一緒に何をやって遊びたい?」と質問します。娘の場合、例えばおままごとだったり、粘土遊びだったり、折り紙だったり……。その日の気分に最初にとことん向き合います。

粘土でお遊びの時間/筆者撮影
Aさんのお子さんは2歳ということですから、言葉にして遊びたい内容をはっきり伝えることが難しい場合もあるかと思います。そんなときは、お子さんが大好きな遊びをその時々でAさんが決めていく形で良いと思います。
2)仕事のコアタイムを自分で設定し、職場に共有しておく

Zoomミーティングの風景/筆者撮影
子連れ在宅勤務の一番のネックは、スケジュール通りに物事が進まないことではないでしょうか。私もパソコンに向かって集中出来るのは、せいぜい午前と午後で1時間〜1.5時間ずつ程度が現実です。
だからこそ、パソコンに向かう時間=仕事のコアタイムを毎日同じ時間に設定し、会社にもそのコアタイムを共有するようにしています。
そうすることで、職場の上司や同僚がミーティングをスケジューリングする際に、出来るだけそのコアタイムを意識してくれるようになりますし、逆にそれ以外の時間帯は、レスポンスが悪かったりミーティングの出席が叶わなかった場合でも、状況を理解していますので、コミュニケーションコストが格段に減ります。
ちなみに、コアタイムの設定は、1)の時間の直後がオススメです。子どもの「ママと遊びたい欲求」が一番収まっているタイミングを選んでください。
更にもう一つのポイントとして、私はコアタイムの始まりと終わりに、スマートフォンやAIスピーカーでアラームをかけています。こうすることで、まだ時間の感覚がない娘も「ママの仕事時間が始まるんだ」と音で認知してくれるようになりますよ。
3)子どもが一人遊びをする時間に罪悪感を持たない

iPad を見てお絵描き/筆者撮影
子どもと二人で過ごしていると、自分が仕事をしている間に子どもに一人遊びさせておくのはダメな母親なのではないか、と罪悪感を持ってしまいがちです。私も、子どもと在宅勤務が始まった当初は、度々そのような感情になっては落ち込んだり、仕事が進まない状況にストレスが溜まったり、もやもやしていました。
ところが先日、子育ての先輩女性から、「子どもに一人で遊ぶ力を身に付けさせることは、子どもにとっても自分で物事を考え、解決する能力を育むことにつながるんだよ」と助言してもらい、ハッとさせられました。すべて親が与えてあげる必要はないのだ、と気付いたのです。
それからというもの、わが家では私が2)で説明した仕事のコアタイム中に娘の一人遊び時間を意図的につくっています。その際、iPad(この機に私と娘用に新たに購入)を使って無料・有料のものも含め外部のサービスに存分に頼ることにしています。

iPadを使ってお話し中/筆者撮影
例えば、オンライン家庭教師(明るいお姉さんが1時間娘の話し相手になってくれる)やYouTubeの絵画教室動画、祖父母とのオンライン電話つなぎっぱなし、アマゾンプライムやネットフリックスのアニメ・映画などが娘はお気に入りです。
4)昼食準備はミニマムにして気分転換を心掛ける

昼食で気分転換/筆者撮影
子どもの昼食準備というのも、平常時と異なるストレスポイントになってくると思います。私の場合、これまで仕事に追われていた時はお昼を食べ損ねることも度々あったのですが、流石に子どもと一緒ですと、そうはいきません。
必ずお昼時間になると「ママ、お腹空いた―!」と定時のお知らせが娘から来るので、そこから昼食準備~食事~片付けと1時間以上は仕事の中断を余儀なくされます。
そこで、昼食準備はおにぎりやレトルトカレーなどミニマムのメニューにし、朝食時にお昼の準備も終わらせておくことにしました。
そうすることで、お昼時間になると、すぐに子どもと一緒に食べることができますし、お天気が良い日はベランダで食べるなど、ちょっと違う要素を入れることで、私にとっても気分転換の時間になるように心掛けています。
最後に、ここまで4つのtipsをご紹介しましたが、新型コロナウイルスの収束に未だ兆しが見えない中、一時的な対処だけでは個人としても企業体としても近いうちに限界が来るとも感じています。
冒頭で触れた「平常時の4~5割仕事が出来たら上出来!」というマインドにもつながってくるのですが、この機に子どもと共に働くことを一つのライフシフトと捉え、これから先Aさんがどんな働き方、生き方をしたいのかに考えを巡らせながら、この難局を一緒に乗り越えましょう。

【この記事を書いた人】
井上千絵
慶應大学大学院卒。民報テレビ局の報道記者8年、直近の2年は宣伝広報を担当。結婚・出産を経てテレビ局を退職し、PR会社で週3日会社員、個人事業で週2日の複業スタイルに。個人事業は2020年ハッシン会議として法人化。個人ではMentor For(運営会社MANABICIA)のメンター・広報責任者をはじめ、スタートアップ・地方企業を中心に情報発信・PR領域の戦略立案やメディア立ち上げの事業を複数担当。一児の母
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