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MAY/2020

withコロナ時代に女性が身に付けたい“会社に依存しない生き方”を切り拓く方法「強みがない人なんていません」【Waris田中美和】

SHE株式会社が行った「新型コロナによる働き方への影響調査」によると、約9割(89.1%)もの女性が、「今後の中期的な生き方やキャリアを考え直したい」と答えたという。

さらに、調査対象者の7割が正社員という雇用形態にも関わらず、「企業に依存しない生き方を身に付けたいと思った」と回答をした。

新型コロナウイルスは私たちの暮らしだけでなく、キャリアにも確実に影響をもたらしている。

企業に依存しない生き方なんて、特別なスキルや人脈を持っている人だけができること。自分には無理と頭から決め込んでしまっている人もきっと多いだろう。

だけど、何かに依存しない生き方は、どんな変化が待ち受けているかまったく分からないこれからの未来を生き抜いていく上で、確かな支えになるはず。

そこでお話を聞いたのが、フリーランス女性と企業とのマッチングを創出するWaris共同代表の田中美和さん。withコロナ時代に、私たちはどうやって会社に依存しないキャリアを切り拓いていけばいいのだろうか。

Waris代表取締役・共同創業者 田中美和さん
Waris代表取締役・共同創業者
田中美和さん
1978年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年Waris設立。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(出版社)がある。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事

女性たちは、自分のことを「過小評価」し過ぎている

ーーコロナ禍、「企業に依存しない生き方を身に付けたい」と考える働く女性が増えてきたという調査結果が出ています。この背景には何があると思いますか?

田中さん

東日本大震災の時もそうでしたが、こうした社会的にインパクトの大きい出来事が発生したとき、多くの人が一度立ち止まって、自分の人生を考えます。

特に今回の場合、在宅勤務になったり、中には勤め先が休業になるケースもあったりで、自分のこれからについて考える時間ができたという人は少なくありません。

田中さん

その中で、先の見えない将来に対し、転ばぬ先の杖として、会社に依存しない生き方を望む人が増えたのではないでしょうか。

ーー東日本大震災から9年。これだけ短い間隔でこうした大きなクライシスが発生したことを考えると、これから先だって何が起きるか分からないなと改めて思いました。

田中さん

その通りだと思います。

今、私たちは誰もが不確実性の高い時代を生きている。たとえ大きな会社に入ることができたからと言って、10年後も自分の勤めている会社が安定的に発展し続けているかなんて誰も保証できない。

田中さん

実際に今回のコロナの影響を受けて、いろんな業界や企業がネガティブな影響を受けました。絶対安泰という業界はどこにもないんだと考えると、改めて自分の足でしっかり立てる力が必要になってくると思います。

ーー「会社に依存しない生き方」や「自分の足でしっかり立てる力」とは、言い換えると自分がどういうステータスであることを指すんでしょうか?

田中さん

簡単に言えば、「自分は何屋さんであるか」が明確であること。自分の強みや得意領域を確立できていることが重要ですよね

ーー自分の強みってよく言いますけど、ごく普通に働いている人から見ると、なかなか「これ」って言えないのが正直なところだと思いますが……。

田中さん

それ、本当にいろんな方がおっしゃるんですよ。

こうしたキャリアの話になると、たくさんの方が「私なんて大したことない」って口を揃えて言うんですけど、私からするとそれははっきり言って「自分を過小評価し過ぎている」と思います。

田中さん

少なくとも私がこれまでにお会いしてきた「私なんて大したことない」とおっしゃる方で、本当に大したことがなかった人は一人もいません。

ーーそうなんですか?

田中さん

「インポスター症候群」という言葉をご存知ですか? これは、どれだけ結果や実績を出していても、なかなか自分の能力を認められないことを言うんですけど、特に女性の方が顕著にこの症状が見られるんです。

田中さん

ヒューレット・パッカードの社内調査によると、社内公募があったとき、男性は条件を60%でも満たしていれば手を挙げるのですが、女性は100%当てはまらなければ自分からは応募しないそうなんです。

田中さん

たとえ周囲が評価をしてくれても、女性は「結果を出せたのは運が良かったから」と自分の能力によるものではなかったと謙遜しがち。でもその過小評価が自分自身のキャリアの妨げになることが往々にしてあるんです。

ーーそれ、すごい分かります……。

自信のない女性
田中さん

また、フリーランスと聞くと、IT・クリエイティブ系の職種の人しかなれないと思う方もいますが、実際には営業やマーケティング、人事、広報といった職種の方でフリーランスとして活躍している女性もたくさんいます。

ですので、会社に依存しない生き方を切り開いていくためには、まず過小評価はNGとお伝えしたいですね。

まずは自分の「ポータブルスキル」を明確にしてみる

ーーとは言うものの、正直、自分の強みってどうやって見つけたらいいのかよく分かりません……。

田中さん

まず手軽にできるという意味でオススメしたいのが、職務経歴書を書いてみることです。

ーーえ? 転職活動をする予定がなくてもですか?

田中さん

そうです。キャリアの棚卸しってすごく重要だと思っていて、そのために転職の意思は別にして常に自分の職務経歴書をアップデートすることは有効なんですよね。

ーー職務経歴書を書いていると感じるのですが、今までの実績って結局会社の看板や基盤があってできたことが多いじゃないですか。そこと自分のスキルって混同しがちだなと思っていて。どうやったら自分の能力を見極められるのでしょうか。

田中さん

おっしゃる通り、その会社のそのポジションでしかできない成果ももちろんあります。

ですから職務経歴書を書くときに大事なのは、これまで自分が積み上げてきたいくつかの経験を並べた上で、そこで獲得した共通のスキルは何なのかを明確にすることです。

田中さん

キャリアコンサルティングの世界では、それを「ポータブルスキル」と呼んでいるんですけど、こうした業種や職種に左右されない「ポータブルスキル」を見つけることが、自分の強みを明確化する第一歩になるのです。

ーー具体的に言うと、どういうことでしょうか?

田中さん

例えば、販売職で働いている方がいるとします。

その方が職務経歴書を書くとしたら、売り上げ成績がどうこうではなく、「さまざまな世代のお客さまに対して柔軟に対応できる」とか「月間の目標に対して、週次や日次ベースで具体的な目標を立て、着実に遂行できる」といった、業種や職種にとらわれない能力こそがポータブルスキル。

田中さん

これを展開していけば、営業職といった別職種へのキャリアチェンジも可能です。

ーーなるほど。

田中さん

さらに営業職を通じて得た市場を読む力を生かして、その後マーケティング職に転換することもできるかもしれません。

そうやって自分の可能性を広げていけば、どんな時代や社会の変化にも対応できる、依存しない生き方を見つけていけるのではないでしょうか。

強みを見つける手掛かりは「他者との対話」と「越境体験」

ーーただ、そうした強みを自分一人で見つけるのはなかなか難しそうですね……。

田中さん

ですので、二つ目にオススメしたいのが、他者との対話です。

自分が見ている自分と、他者から見えている自分って意外とまったく違ったりしますよね。ですから、時に他者の視点から自分を認識するのも大切なこと。

田中さん

上司や同僚、あるいは友人でもいいですし、必要であればキャリアカウンセラーやキャリアコンサルタントといったプロの力を借りてみてもいい。「私の得意なことって何だと思う?」と周りの人に気軽に聞いてみることが、思いがけない発見につながると思いますよ。

ーーキャリアカウンセリングっていろんな会社やカウンセラーがいるから、どう選んでいいのか分からないのですが……。

田中さん

本格的に転職をお考えでしたら、人材エージェントに相談してみるのが早いと思います。

キャリアカウンセラー
田中さん

ただ、もしそうでないなら、最近は『cotree』や『ボイスマルシェ』といったオンラインや電話で利用できるカウンセリングサービスがあるので、それらを使ってみるのもいいかもしれません。

当社でも「Warisキャリアエール」というオンラインキャリア相談サービスを昨年から立ち上げまして、非常に好評です。

田中さん

あるいは、フリーのカウンセラーやコンサルタントの方たちの場合、SNSやブログで積極的に情報発信を行っているので、それらをチェックした上で、自分と相性の良さそうな人にお願いしてみるのも手です。

ーー確かに自分一人で考えていても、なかなか自分の良いところなんて分からないですよね。

田中さん

あともう一つ私がオススメしたいのが、「越境体験」をすることです。

ーー「越境体験」?

田中さん

自分自身のボーダーを超えることですね。たとえば、副業やプロボノ(社会課題の解決に取り組むボランティア活動全般のこと)に参加してみることも、一つの「越境体験」です。

田中さん

これは私自身の経験談なのですが、会社員として働いていた頃にとあるNPOでプロボノをやらせてもらったんですね。そこで営業や広報を担当させてもらったおかげで、営業資料の作り方も学べたし、広報スキルも身に付いた。

それらはすべて起業した時に役立つ大きなポータブルスキルになりましたし、プロボノを通じて築いた人脈は起業後も私の財産になっています。

Warisのメンバー
Warisのメンバー。約30人がリモートワーク中心で働く
田中さん

会社とは異なる環境に身を置くことで、そこで出会った人たちから新しいフィードバックが得られるし、自己認識も深まる。自分が何屋さんかまだはっきりと言えない人には、一度ボーダーを超えてみることもオススメしたいです。

ーーお話を聞いていて、まずは「自分なんて」という思い込みを捨てることが重要なんだなと思いました。

田中さん

今日お話したことは、決してフリーランスになった方がいいよ、ということではないんです。今、問われているのは、そうした雇用形態ではなく、どんなときも自律的に働いていこうというマインドの話。

コロナに限らず思うことなんですけど、いかにハッピーに働き続けられるかって、労働寿命が長期化した人生100年時代においてすごく大事なこと。

田中さん

そこで重要になってくるのは、報酬よりも稼働時間よりも、今の自分が「なりたかった自分なのか」という、納得度です。「自分なんて」とうつむいているより、こうありたいというイメージを持って前に進んでいける方が、ずっとハッピーですよね。

田中さん

そのためにも会社に頼らず、キャリアの主導権を自分自身で握っておかないと。

これから独立するにしても、会社員として働き続けるにしても、常に自分の道は自分で決めているんだという自信さえあれば、きっとあなた自身のキャリアはよりハッピーなものになると思います。

取材・文/横川良明  編集/天野夏海  写真/田中美和さん提供

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