「会社の口コミ」を転職活動で生かすには? 危険な活用法・上手な活用法、その違いとは【キャリアアドバイザーの本音】

えさきまりな
連載:CAえさきまりな
#キャリアアドバイザーの本音

この連載では、今SNSで話題のキャリアアドバイザー・えさきまりなさん(@MarinaEsaki)が、長く働きたい女性のための後悔しない転職術を“本音”で伝授します!
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こんにちは。キャリアアドバイザーのえさきまりなです。

最近では、会社に対する口コミを投稿できる転職情報サイトが一般的になりましたよね。実際に見たことがある、という方も多いかと思います。

ですが、その口コミは本当に信用できる情報なのでしょうか? キャリアアドバイザーとして相談者の方とお話していると、やはり会社の口コミを見ながら転職活動をしている方が多い印象ですが、中には「危険だな」と感じる利用方法をされている方もいます。

そこで今回は、転職活動で「会社の口コミ」を参考にするときに注意してほしい点や、口コミの有効活用方法についてご紹介したいと思います。

口コミは「誰が書いたのか」「いつ書かれたのか」を意識しよう

最初に、口コミ投稿が可能な転職情報サイトを使うときの注意点を説明していきます。

まず、その口コミは「誰が書いたのか」という点を理解しておくことが大切です。

こうした会社の口コミは、「その会社が自分に合わない」と感じている現役社員や、すでに会社を退職した人が記入しているケースが多いです。

加えて、「〇〇文字以上入力すると他社の情報が閲覧可能になる」といったサイトの機能を利用するために、誇張した表現で口コミを記載し、文字数を稼いでいるケースも多く見受けられます。

口コミ

一方、前向きに働いている現役社員や、会社内で実績を出している社員層が会社の口コミをサイトに書き込むことは少ない傾向があります。

そう考えると、会社に対するネガティブな口コミが増えてしまう理由が分かりますよね。

私が過去に在籍していた会社にも「飲み会が頻繁にあって、毎回大変だ」といった口コミがありました(笑)。ですが実際は、お酒が好きな一部の社員のことで、会社全体の風土ではありませんでした。

次に、口コミが書き込まれた時期にも着目してみましょう。書き込み時点では事実でも、年月が経過した結果、状況が変わっている可能性も大いにあります。
 
例えば、創業から間もない時期に書き込まれた口コミには「残業月100時間」と記載があったとしても、それから年月が経ち、社内制度が整い、残業がほとんどなくなっているような会社も数多く存在します。

近年では、コンプライアンスの強化や働き方改革を促進している会社も多いので、書き込み時期が古い口コミの信憑性は低いと考えていいでしょう。

このように、決して正しいとは言い切れない情報で会社の良し悪しを判断している女性が多く、もったいないと感じています。

身近な人からの偏ったイメージの刷り込みに要注意

口コミが得られるのは、転職情報サイトなどのオンライン上だけではありません。家族や友人といった周囲の人からの情報を参考にしている、という方も多いでしょう。

自分のことを理解してくれている身近な人からの助言は、つい正しいと思い込んでしまいがち。ですが、その人の主観や、会社や業界に対するイメージで話す人が多いのも事実です。

口コミ

よく聞く例に、「不動産業界はブラックだ」「エンジニアは過重労働が当たり前」「営業は上司に叱られてばかり」といったイメージが挙げられます。

これらには、メディアによって脚色された情報から受ける印象が強く影響しているように感じます。

中には、転職経験はおろか、その業界の知識がない状態で話す人もいます。そういった人からの助言には注意が必要です。

もちろん、自分を思いやり、親身になって掛けてくれた助言であることには変わりありません。ですが、家族や友人にとっての良い会社が、自分にとっても良い会社とは限りません。

さらに、親世代からの助言には要注意です。時代の変化による世代間ギャップが生じている可能性が大いにあります。

余談になりますが、「親が子どもになって欲しくない職業」の一位がYouTuberというアンケート結果を見たことがあります(※)。こうした結果にも、一つの世代間ギャップが表れているのかもしれませんね。

※出典:2018年3月『日刊SPA!』

正しく口コミを集めるなら「身内以外の複数人」から話を聞くと◎

ここまで、口コミを鵜呑みにする危険性について説明してきました。次に、どうすれば口コミを有効活用できるのか、について考えていきましょう。

口コミ

まず、気になる口コミを耳にしても、すぐに信用しないことが大切です。その口コミについて複数人に尋ねてみてください。

その業界を知っていて、それぞれ立場が異なる人が望ましいです。可能であれば、身内を除いて5人以上に聞けたら良いですね。

転職情報サイトで見かけた口コミであれば、複数の転職エージェントや同業界で働く知人、転職経験のある友人に相談してみましょう。知人を辿って、その会社の現役社員から情報収集をすることができればベストです。

最近では、FacebookやTwitter、Linkedin、yentaといったSNSを駆使することで、あらゆる業界・職種で働く人たちに気軽にコンタクトが取れるようになっています。
もちろん、相手の負担にならないように配慮した内容の連絡をする必要がありますが、丁寧にメッセージを送れば、ダイレクトメッセージやコメントで質問に回答してくださる方もいると思います。

さまざまな視点からアドバイスをもらったら、最後は「自分で」判断を下すよう心掛けましょう。口コミを鵜呑みにして意思決定をした結果、何か問題が起きたとしても、他人に責任転嫁したところで事態は変わりません。

一つの情報を信用し過ぎず、必ず何かと比較して

ここからは、口コミサイトでよく目にする具体的な書き込み例を挙げて考えていきましょう。

例えば、「風通しが良い」という口コミで評判のA社に魅力を感じているとします。その場合、似た口コミの集まっている会社と相反する会社を含めた3社以上を比較にするのがおすすめです。

比較する際には、なぜそのような口コミがついているのか? という根拠を意識するとよいでしょう。比較方法は、以下の通りです。

【1】風通しが良いと評判のA社の口コミ詳細
・社長との距離が近く、意見を伝えやすい環境
・毎朝のランニング、週末のゴルフなど、家族ぐるみで交流するため、プライベートの垣根もない

【2】風通しが良いと評判のB社の口コミ詳細
・評価制度がクリアで、年齢や経験者数にとらわれない実力評価
・週に1度の上司との面談や、半年ごとに新しい取り組みを会社に提案する機会が全社員に与えられている

【3】風通しが悪いと評判のC社の口コミ詳細
・社員数の急増により、経営層の考えが全体に浸透しづらくなり、各部署の連携がうまくとれていなかった
・急成長中のメガベンチャーで、利益を上げ続けている。経営層が交代し、これから組織を抜本的に改革していく予定

このように比較してみると、必ずしもA社が一番魅力的とが限らない、と思えてくるのではないでしょうか。比較した結果、社内制度が整っているB社や、今後の改革が見込まれるC社を検討する方が多くいます。

風通しが良い・悪いとは具体的にどんなことを指すのか、理解できないまま入社を決断してしまうと、「イメージと違った」というミスマッチを起こす可能性があるので要注意です。

自分がどんな風に働きたいのか? という理想が抽象的なまま転職活動をしてしまう方も多いですが、さまざまなパターンで比較をすることで、自分の価値観に気付くきっかけにもなりますよ。

完璧な会社なんてない。転職の目的に冷静に立ち返ろう

どんな会社でも、完璧な組織というのはありません。人間が完璧でないように、どの会社にも欠点やウィークポイントがあるものです。

社員やお客さまにとってマイナスになる組織をつくろう、と思っている会社は、きっと存在しないでしょう。創業者や経営陣も、本当はもっと良い組織にしたいと思っているはずなのです。

それでも、経営上の課題で苦渋の決断をしていたり、手が回っていないケースが多いのではないでしょうか。

口コミ

つまり、悪い口コミには経営上の背景が必ずあります。経営者や人事も、そのような口コミがあることを知っているからこそ、力になってくれる人を採用したいと考えているかもしれません。

そこでおすすめなのが、面接であえて悪い口コミについて触れてみることです。

自分が目にした口コミを伝え、背景を聞いてみてください。質問に対する回答が、次の通りだったらどう感じますか?

■面接官A
「口コミで判断する人材は求めていません」

■面接官B
「あれは一部の退職者に書かれてしまった情報なので、事実無根です。心配しないで!」

■面接官C
「仰る通りです。それにはこういった背景がありまして、課題だと認識して改善に向けた取り組みを始めているんですよ」

会社に対する印象が、また少し変わってきますよね。

ご説明してきた通り、口コミも正しく理解すれば転職活動の心強い良い味方になります。ですが、あくまでも「判断材料の一つ」であることを忘れないようにしましょう。

先述したように、口コミはあくまで第三者の主観。悪い口コミだけで判断するというのは、人の噂話を聞いて「あの人、そんなにひどい人なんだ」とレッテルを貼るのと変わりませんし、逆もまた然りです。

口コミ

転職活動をしていると、たくさんの会社と出会います。そのうち、あれもこれもとすべてが完璧にそろった「青い鳥」探しになってしまいがちです。重箱の端をつつくように欠点を見つけては、運命の会社を探し続けることになります。きりがないですよね。

会社選びは、結婚相手などのパートナー選びと似ていると私は思います。お互いの欠点を許し、補えるかどうかが重要です。

相手に完璧を望むということは、自分の欠点も許されない。高望みをし続けた結果、チャンスを逃すか、実っても上手くいかない未来が待っていたりします。

目の前の情報に惑わされそうになったら、冷静に、転職の目的が何だったのかを思い出してください。そんなときは、ぜひキャリアアドバイザーに頼っていただきたいと思います。


【執筆者プロフィール】
えさきまりな

短大卒業後、事務職として働き、その後、二度の転職を経験。現在はキャリアアドバイザーとして年間600名以上の女性転職希望者の支援を行う。オンラインでも活動の場を広げ、「キャリアアドバイザーの本音」と題したTwitterアカウントが好評
Twitter:@MarinaEsaki