「残業ゼロ」がいいとは限らない? 働く女性に理想の残業時間を聞いたら意外な結果が判明【働く女性アンケート】
アンケート実施期間/2020年1月14日~24日 有効回答数/758名
調査方法/女の転職type会員に対してWEB上で調査
平均の月間残業時間は全体の69.5%が残業時間20時間未満。
この1年で残業を減らす取り組みを行った企業は32.8%に。
月の平均残業時間を聞いてみると、全体では約8割が残業をしていることが分かりました。その内訳は「1~19時間」が52.4%と最も多く、残業をしてはいるが、そこまで長時間ではないと言えそうです。
残業についての理想はどうかというと、意外なことに「0時間」を望む声よりも、「1~19時間」を望む人が多いという結果に。
年代別で見てみると、「残業0時間」を選んだ割合が、他の年代と比べて高かったのは30代。
20代は、「20~49時間」という少し長めの残業時間を選んだ割合が他の年代よりも少し高いなど、世代ごとに残業に対する理想は異なることが分かりました。
次に、勤めている企業の取り組みについて聞いてみると、この1年で残業削減に向けて何かしらの取り組みがあったと答えた人は約3割。
残業の事前申請義務化やフレックス勤務制度導入、ITシステムの導入など、大きな施策を行った企業も多かったようです。
「社員の残業時間を減らすのに最も効果的だと思うものは?」という質問に対しては、全ての年代で「上司や組織の意識改革」という回答が最も高く、国や会社全体といった大規模な改革よりも身近な存在である上司の意識改革を求める女性が多いことが分かりました。
Q.1 月間の残業時間の平均は?
働く女性に実際の残業時間について聞いてみたところ、全体の8割以上が残業をしているものの、残業ゼロが19.1%、「1~19時間」が52.4%、つまり全体の約7割は「月の残業20時間未満」ということに。
50時間以上の長時間残業をしている女性はどの年代でも5%程度にとどまり、それほど多くないことが判明しました。
年代別に見ると20代の残業ゼロ割合がやや少なく、同時に「20~49時間」の割合が他世代よりもやや高くなっています。
20代は覚えることが多いことや経験不足、社内でも仕事を回されやすい立ち位置であることなどが原因し、残業が多い傾向にあるのかもしれません。
Q.2 理想の月間残業時間は?
質問文の注意書きに、「実現可能性は考慮せず、あなたにとってのベストをお答えください」と添えたものの、理想の残業時間1位は意外にも「残業ゼロ」ではありませんでした。
結果は、「1~19時間」を選んだ人が最多で約6割。残業ゼロもしくは20時間未満を理想としている人が全体の9割以上を占めました。
Q.1で実際の残業が20時間未満と答えたのは約7割、つまり約2割の女性が理想よりも残業が多い現状となっているようです。
また、「理想は残業ゼロ」という回答について、20代と40代以上が3割前後ですが、30代では4割を超えるという結果が出ており、結婚や出産によって家事・育児に割く時間が増える時期であることが残業時間に対する考えに影響しているのかもしれません。
Q.3 あなたの会社では直近1年間に残業時間を減らす取り組みはあった?
Q.4 具体的な取り組み内容は?
定時になると上司が声を掛ける(20代/サービス・販売系/正社員/神奈川)
上司自ら残業をしない方針をとり、部下が退勤しやすい環境をつくった(30代/サービス・販売系/正社員/大阪)
意識改革のミーティング(20代/エンジニア/正社員/神奈川)
月に残業40時間以上する場合は事前に申請と許可が必要になり、誰も40時間は超さなくなった。(30代/事務・経理・人事系/正社員/千葉)
残業時間の多い人は社内掲示板に掲載されるようになった(30代/事務・経理・人事系/正社員/神奈川)
規定の残業時間を超えると上司と面談をする(20代/事務・経理・人事系/派遣社員/兵庫)
残業時間が一定時間を超えた日が複数日あると理由を書かされ医師の面談が必要になる(30代/エンジニア系/正社員/神奈川)
フレックスタイム制を導入してくれ、社員の働き方に合わせた勤務時間の実施を行ってくれた(30代/クリエイティブ系/正社員/千葉)
ようやくという感じですが、リモート勤務やフレックス勤務が導入されました(30代/事務・経理・人事系/派遣社員/神奈川)
3時PMで就業終了となるオリジナル半日休暇制度ができた(40代/クリエイティブ系/派遣社員/東京)
テレワーク導入(40代/事務・経理・人事系/派遣社員/埼玉)
残業20時間でアラートメールがくるようになった(20代/企画・マーケティング系/正社員/東京)
20時以降のメール送信禁止(30代/営業系/正社員/大阪)
PCが管理されていて、ログインできない時間帯がある(40代/営業系/正社員/東京)
強制的に業務が終了、そして、消灯(30代/事務/派遣社員/福島)
手作業だったものをシステム化した(30代/介護・医療・福祉系/正社員/神奈川)
業務の分担を見直して工数削減した(30代/事務・経理・人事系/アルバイト・パート/北海道)
残業時間を減らすと、評価が上がる仕組み(20代/営業系/正社員/千葉)
この1年間で残業を減らす取り組みがあったと答えたのは32.8%でした。
回答で多かったのは、軽めの意識改革系と管理体制の強化系となっており、手近なところから取り組んでいる企業が多い印象です。
さまざまな取り組み例が集まった一方で、声掛けのみで特に何もしない企業や、「朝早く出勤させる」「勤怠カード打刻後に残業を継続させる」「残業代込みの管理職に残業させる」というコメントも多く、本質的でない「働き方改革」が行われているという実態も浮き彫りになりました。
Q.5 社員の残業時間を減らすのに最も効果的だと思うものは?
どの世代においても「上司や組織が意識を変える」が圧倒的多数という結果に。
年代別に見てみると、僅差ながら、30代で「国の法律や罰則を厳しくする」という強制力の強い施策を選んだ割合が他世代より高く、逆に40代以上では「社員自身の業務効率アップ」を選んだ割合が高いという特徴が見られました。
また、その他の回答として、「不要な業務を減らす」「必要な人員の確保」という声も挙がっており、実際の業務量に対して人手不足が問題と考える人が少なくないようです。
残業時間や働き方改革の理想と現実はまだまだ乖離があるものの、この1年で取り組みがあったと感じる人が3割いるなど、社会全体が少しずつ前進しているのは事実。
働く女性自身による、業務に必要なスキルを伸ばしたり、効率的な業務フローを提案したりといった、「定時までに仕事を終えようとする努力」がより実りやすい世の中になっているのではないでしょうか。
※この記事は、下記『女の転職type』特設ページより一部編集の上転載しています
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