【3つのポイントで解説】後悔しない転職・独立を叶えるために知っておきたい“報酬”の考え方

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「2020年冬のボーナスは前年比-10.7%でリーマンショックを超える減少幅」

先日、 三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表した「2020冬のボーナス見通し」では新型コロナウイルス感染症の収束が遅れる中 、企業業績や雇用環境の悪化が続いていることから、冬のボーナスは大幅減の予測が示されました。

この時期、ボーナスをもらった後の転職や独立を検討されている方もいらっしゃるかもしれませんね。そこで今回は、女性と報酬(給与)について考えてみたいと思います。

男女の賃金格差。日本はOECDワースト2位

賞与カット

日本は男女の賃金格差が大きいことで知られています。

厚生労働省が実施している「令和元年賃金構造基本統計調査」によれば、女性の賃金は過去最高を記録するも、男女間賃金格差(男=100)は、74.3(前年73.3)で、依然として大きな差があり、OECD加盟国の中では2番目に格差が大きい国(1位は韓国)でもあります(下図)。

(厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」より)

厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」より

OECD〈経済協力開発機構〉ホームページより

OECD〈経済協力開発機構〉ホームページより

日本で男女の賃金格差が大きくなってしまっている背景には、雇用形態や勤続年数、管理職数における男女差が根深く存在しています。

ハッピーな転職・独立を実現するために知っておきたい「報酬の考え方」3つのポイント

転職と給与

転職や独立は、自分の報酬を見直す絶好のチャンス。これまでのスキルや経験を生かしたキャリア選択ができれば、収入を上げることも可能です。

そこで、ハッピーな転職・独立を叶えるために「報酬」について女性たちが特に意識するとよいことを、3つのポイントでまとめてみました。

ポイント1)希望金額&辞退ラインを明確にする

一つ目のポイントは「いくら欲しいか」を明確にすることです。

求職者の方とお話しをしていると、報酬に強いこだわりを持っている人がいる一方で、こだわりが全くない人もいます。どちらがいい、悪いということではないのですが、仕事を獲得しようとする際には、希望金額は明確にしておくことをおすすめします。

なぜなら、理想とするライフスタイルや人生設計、家族構成などによって、必要な収入は一人一人違うからです。

皆さん自身がどんな暮らしがしたいのか、そのためにはどの程度の収入が必要なのか、理由や根拠も含めて言語化し、数値化してみてください。

また、それと同時に考えてほしいのは、「辞退ライン」について。「辞退ライン」とは、「この金額を下回るようであれば(たとえ内定をもらったとしても)辞退したい」金額のことです。

もしもエージェント(人材紹介)を使って転職や案件獲得をしようとしているのであれば、希望の報酬や辞退ラインは本音で伝えることをおすすめします。

そもそも、エージェントの介在価値は、企業と個人の間に立ち、その取引が両者にとってよりハッピーなものになるように交渉することにあります。

ですから、エージェントには遠慮する必要はありません。その方が、エージェント側も、クライアントと交渉がしやすくなります。

ちなみに、社員採用の場合は企業の中でそのポジションに対する給与水準が決まっているので、数十万円なら交渉で勝ち取れる場合もありますが、大幅なアップは難しいのが現実。

その点を踏まえた上で、希望を叶えられるような交渉や意思決定ができるといいですね。

転職と給与

ポイント2)職場・仕事選びの“こだわり条件”の中で、「報酬」の優先順位を決める

二つ目のポイントは、転職や案件獲得において自分は何を最も大事にして選択をするのか、「こだわり条件の優先順位」を明確にすることです。

次の職場を決めるとき、「仕事内容」や「雇用形態」「働き方」など、個人として重視したい項目は複数あるはず。その中で、何を譲れない「こだわり条件」とするのか、「報酬」の優先順位はどこなのか、転職前にクリアにできるとよいです。

例えば、一社に長く勤めている人の中には、報酬レベルが市場価格と比べて相当高くなっている人もいますし、大企業からベンチャー企業への転職ですと、年収ベースで数百万円ダウンになる場合もあります。

ただ、そこで「理念への共感」や「経験を積める」ことを優先度の上位で考えるのであれば、大幅な報酬ダウンになったとしても、チャレンジする意味はあるでしょう。

一方で、あくまで年収を優先順位の上位とするのであれば、無理に転職や独立はせず、現職にとどまった方が幸せかもしれません。正解・不正解ではなく、何を得られれば幸せか、個人の価値観の問題です。

また、知っておいてほしいのは、「報酬は高ければ高いほどいい」というものでもないということ。

年収を大幅に上げて転職ができれば、うれしく感じる人もいるかもしれませんが、該当企業の報酬水準に比べて高い報酬で入社するということは、それだけ「高い期待を背負う」ことになります。

自分が持っている以上の力を発揮しなければいけないかもしれないし、厳しく成果を求められるかもしれません。それはある意味、リスクにもつながります。

転職に関して言えば、入社時の報酬は希望の額に達していなかったとしても、入社後に成果を発揮し、少しずつ報酬アップを実現していく考え方もあります。自分の実力と会社の期待値をそろえてスタートできると、安心できますね。

フリーランスの場合は、同一企業内で同一業務を担当している限り報酬アップはなかなか難しいのが実情です。なので、業務内容に追加があったり、変更が発生したときが報酬アップの交渉をするチャンスです。

最近は「リモートワーク可」や「副業可」などの条件を重要視する人も増えてきています。報酬面では妥協する代わりに、「多様な働き方」の実現にこだわる。そういう人が増えているのは、人生100年時代ならではかもしれませんね。

転職と給与

ポイント3)自分の「市場価格」を考えよう

三つ目のポイントは、自分の「市場価格」を考えることです。報酬はあくまで市場価格。個人側に高い希望金額があっても、市場にニーズがなければ結果として報酬は高くなりません

自分のスキルや経験だと市場価格ではどれくらいが妥当な年収なのか分からない場合は、エージェントに値付けしてもらうのも一つの方法です。

エージェントによって得意な企業群や業界・職種が異なるため、複数登録してみて使い分けてみるといいと思います。

今回は、報酬の考え方についてお伝えしました。

報酬は生活の土台をつくるとても大切な要素です。報酬に関する自分の考え方をクリアにすることでよりハッピーな転職・独立が可能になります。これを機会にぜひ今一度考えてみてはいかがでしょうか。

田中美和

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事