出会いがない、結婚どうする? 悩んだときに真っ先にすべきこと【りゅうちぇる×男性学・田中俊之イベントレポート】
先行きの見通せない不安定な時代、いいパートナーを見つけて、長く「いい関係」を築いていくためには何が大切?
そんな疑問を解消すべく、2021年5月28日、Woman typeは男性学を専門とする社会学者の田中俊之先生と、仲良し夫婦タレントとしても知られるりゅうちぇるさんをゲストに迎え、「新時代のパートナーシップ」をテーマにウェビナーを開催。
二人が結婚生活で得た実体験や、男性学の視点から、「結婚」について考えてみた。
恋愛と結婚はまるで違う。結婚相手には「話し合い」ができる人を
ーーまずは田中先生にお話を伺います。この先、私たちがパートナー選びをするときに持っておくとよい視点とは?
結婚においては「話し合いができる相手」を選ぶことがとても大事な要素になりますね。恋愛で選んで楽しい相手と、結婚して長続きする相手とでは、全く違う可能性が高いです。
特に、ステータスで相手を選ぶのはやめた方がいい。日本では今なお収入が高い、社会的地位が高い男性が女性にモテる傾向がありますが、こういう条件でパートナーを選ぶのはとても危険です。
ーーというと?
結婚生活を長続きさせるには、夫婦が対等であることがとても大切だからです。
片方が優位な関係性だと、問題が生じた時に話し合いにすらなりません。
ーー人と接する機会が減ったコロナ禍では、自分に合うパートナーを見極めることがますます難しくなっている印象です。
確かに、新しい出会いを得るという意味ではマイナスかもしれませんね。ただ、恋人同士の関係性を試すには悪くないタイミングだと思います。
例えば、「週1回はビデオ通話しようね」など、別の手段で距離を埋めようという気力が見られるということは、相手が互いの関係性を大切にしている証拠。
それすらも「面倒だから嫌だ」という人は、その程度の関係性だったという判断材料になります。
ーー先生は大学で講義もされていますが、若い世代の結婚観について、何か変化を感じることはありますか?
そうですね、男子学生について言うと、共働き志向が強くなってきていると思います。
自分一人の収入で家族を養う事に対してリアリティーがないからでしょう。「共働きで、パートナーと一緒に生活を支え合っていきたい」と考えている人が多いです。
ーー妻にしっかり収入があることを期待する人も多いわけですね。
そう思います。女性に稼ぐ力があることは、非常に大事ですね。
もしも夫婦生活でトラブルが起きても、経済的に弱い立場だと逃げることも離婚することもままならない。
一方で、十分な収入があれば、離婚という切り札も早々に切れるわけですから。
運命の相手は、出会うものではなく二人でつくるもの
ーーここからは、りゅうちぇるさんにもお話を伺っていきます。
よろしくお願いしま~す!
ーーりゅうちぇるさんは、21歳で結婚されていますよね。パートナーシップのカタチはいろいろあると思いますが、なぜ結婚を選択したのでしょう?
僕、意外と古風なのかもしれない。結婚っていうことしか頭になかったんです。
ぺこりんと付き合っている時から「将来は子どもが〇人欲しいね」とか「こんな家に住みたいね」っていう話をよくしていて、「価値観が合うな」と感じていたのも結婚したいなって思った理由の一つ。
たくさんの人に「まだ結婚は早い」と止められて悩んだこともありましたけど、家族や事務所の人など、僕たちのことを深く知ってくれている人ほど背中を押してくれた。
だから、年齢なんて関係ない、「プロポーズしよう」って決めたんです。
迷ったときに「信用できる人の言葉を判断材料にした」というのが素晴らしいですね。
「常識的にどうか」ではなく、「自分にフィットするか」という観点で結婚を選んだ点が素敵です。
ーー先ほど、田中先生から恋愛と結婚では選ぶといい相手が違うというお話がありました。りゅうちぇるさんは、どう思いますか?
それはそうかもしれない。あと僕ね、一生を添い遂げるような運命の人って、偶然出会うんじゃなくて、自分たちでつくっていくものだと思うんですよ。
最初は四角形だった二人がぶつかり合って、角が取れて、だんだん丸くなる。そうすることでお互いが運命の人に変わっていく……ってイメージです。
「相手のために自分の形を変えてもいい」と思える人が、運命の相手なんじゃないかなぁ。
ーーなるほど、分かりやすいですね。りゅうちぇるさんとぺこさんはお互い仕事が忙しいと思うのですが、結婚前に確認しておいてよかったな、と思うことは?
二人で将来の話をたくさんして、プランを練っておいたことですね。譲り合えないような価値観のズレがないかは、確認しておくといいと思います。
もし、将来の話を真面目にするのが気まずいなら、IKEAにデートに行ってみるのはどうかな? 僕とぺこりんもIKEAに行って、「こういう部屋いいよね~可愛い~」って話しました。
そうやって、デートしながら何気なく将来の理想について話しておくといいかも(笑)
「IKEAデートが楽しいかどうか」は結婚相手を見極める上で良い手段ですね。
そういうことを面倒くさがる男性も多いかもしれませんが、結婚って面倒なことばかりなんですよ。
「味噌は赤味噌? 白味噌?」という話から子どもの教育方針まで、パートナーとぶつかり合うことはたくさんあります。
そういったぶつかり合いをしっかりしながら関係性を築いていける人じゃないと、結婚生活は長続きしないですね。
IKEAデートにも付き合ってくれないような相手なのであれば、その先のことを改めて考え直した方がいいかもしれない。
「この人、全然私と向き合ってくれない」と感じても、別れを選択するのが苦手な人もいますよね。
そういう人って、きっと自分に自信が持てていないんじゃないかと思うんです。
焦って妥協して結婚しても、うまくはいかない。だからまずは、あなた自身が自分に自信を持ってほしい。
「私なら次にいい人と出会える。だから今の人とは別れる!」っていう選択肢を持っていい。
自分に自信が持てたら、パートナー選びの視野もどんどん広がっていくと思います。
夫婦は元「赤の他人」。相手を知る会話を重ねて
ーーりゅうちぇるさんもぺこさんも、仕事で忙しいですよね? いい夫婦関係を続けていくために、心掛けていることはありますか?
忙しくても、なるべく二人でお話しする時間は取るようにしています。
会話の内容は「今日すごい変な色の虫がいたよ」とか、どうでもいい話ばかりなんですけど(笑)
一緒に生活をしていると、相手に「考えたら分かるでしょ」って言いたくなるシーンがたくさんある。
でも、夫婦といっても元は赤の他人。
お互い毎日いろいろな経験をして、知らず知らずのうちに変わっていることもあるし、普段からしっかりコミュニケーションを取っておかないと相手のことを分かってあげられないので。
りゅうちぇるさんは、お子さんが生まれた時に仕事をセーブされていましたよね?
はい!
ありがたいことにたくさんお仕事をいただいていたのですが、僕が忙し過ぎてぺこりんが一人で子育てするような状態にはしたくなかったんです。
だから言われる前に洗濯機を回したり、食器を洗ったり、ぺこりんに「ありがとう」を忘れずに伝えたり……。
「子育ては一緒に」っていうことは意識していましたね。
「心の余裕」がいい出会いを引き寄せる
ーー結婚は、ぶつかり合いの連続というお話がありました。いい話し合いをするために大事なことは?
まずは体調管理ですね。
ーーそれはなぜ?
自分の経験を振り返ると、妻といい話し合いができなかった時や、理不尽に子どもを叱ってしまった時って、大体自分が疲れている時なんですよ。
ですから、疲れていて心に余裕がないときは、無理に話し合いはしません。
「今は疲れているから、大切な話は明日でもいいかな?」と素直に伝えるようにしています。
「向き合いたいけど、今はできない」のと、「面倒だからそもそも向き合いたくない」のとでは、全く違いますもんね。
大好きな人と長く一緒にいたいなら、話し合いはサボっちゃダメ。
面倒かもしれないけど、サボったらサボった分だけ、後で大きな喧嘩になったり、さらにパワーが必要になる事態が起きますよ!
ーー話し合った結果、価値観のズレを感じることもありますよね?
そうですね。でも、それはそれでありじゃないかな?
例えば、僕とぺこりんって、性格が真逆なんですよ。だから価値観が違うこともたくさんある。
でも「自分にないものをたくさん持っているからこそ、ぺこりんのことを好きになったんだよな」とも思うんです。
そんな中でも、どうしても見逃せない価値観のズレは、時間をかけてでもすり合わせることが大事。その人と一緒に、いい方向に進んでいきたいならね。
でもこればっかりは一人が努力してもダメだから、一緒に歩み寄ってくれる人じゃないと、っていうのは思います。
相手への尊敬の気持ちを失わないということも、夫婦関係においては大切ですね。
みんな「自分を尊敬してほしい」し、「相手に変わってほしい」と思っている。でも本当はどちらか片方ではなく、お互いが変わる必要があるんです。
ーー二人で一緒に努力することで、先ほどりゅうちぇるさんが仰っていたような「運命の人」になっていくんでしょうね。
自分の心のコップに愛がたまっていない状態だと、素敵な人に出会ったとしても「私のコップに愛を溜めてよ」って必死になっちゃう。
だから、もしもこれからいいパートナーを見つけたいな、結婚したら大好きな人と長く一緒にいたいなって思っている人は、自分を愛してあげることから始めてみてほしいです。
心に余裕のある状態で、いっぱい相手を幸せにしてあげるつもりでパートナーを選んだら、きっと「運命の人」になれる人と出会えるんじゃないかな?
文/赤池沙希
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<プロフィール>
社会学者
田中俊之さん
大正大学心理社会学部人間科学科准教授。男性が男性だからこそ抱えてしまう悩みや葛藤を対象とした学問「男性学」の専門家。内閣府男女共同参画推進連携会議有識者議員、渋谷区男女平等・多様性社会推進会議委員として男女共同参画社会の推進にも尽力。著書に『男子が10代のうちに考えておきたいこと』(岩波書店)や小島慶子氏との対談本『不自由な男たち その生きづらさは、どこから来るのか』 (祥伝社)など
Twitter:@danseigaku
りゅうちぇるさん
1995年9月29日、沖縄県生まれ。高校卒業後に上京し、原宿でショップ店員をする傍ら読者モデルとして活躍。その後、テレビのバラエティー番組出演をきっかけに、人気を集める。2018年から「自分の色を取り戻そう」をテーマに掲げ音楽活動を始動。一児の父となった現在は、育児やダイバーシティに関する発信が注目を集めている。「育児セラピスト」一級資格を取得
Instagram:ryuzi33world929
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