『amazonのすごいマネジメント』著者が悩みに回答!目標設定が苦手な管理職は「SMARTゴール」を活用しよう
元アマゾン ジャパン管理職、『amazonのすごいマネジメント』(宝島社)著者の二人が、管理職1年目の女性たちの仕事の悩みに回答! アマゾン流のベストプラクティスを使い、「管理職一年目の壁」を乗り越えるヒント、マネジメントの仕事を楽しむ秘訣を提供していきます
管理職1年目の悩み
マネージャーになっていつも悩むのが目標の設定です。
課全体の短期的な目標、3カ年計画など長期的な目標、そして、メンバー一人一人の個人目標……。
いずれも、低すぎても目標にならないし、高すぎても「どうせ無理」とメンバーをしらけさせることになり、目標をどんな風に考えればいいのかが分からず困っています。
(Bさん:マネジャー歴10カ月/29歳/マーケティング系職種)

【回答者プロフィール】
小西 みさをさん
アマゾン ジャパンの黎明期から急成長した13年間、アマゾンのブランド価値向上に貢献。経営メンバー兼広報本部長として、アマゾン ジャパンのリーダー育成に深く関わる。2017年1月にPR・ブランディングコンサルティング会社AStory合同会社設立、代表就任。 20年3月にaLLHANz合同会社共同代表に就任
小西さんからの回答
目標設定は一筋縄ではいかない。まずは会社全体の目標を把握して
目標設定は多くのマネージャーにとって、人材マネジメントをする上で大きなチャレンジの一つです。
私も多くの企業の目標設定に関わってきましたが、いずれも一筋縄ではいきませんでした。そして、私自身も「簡単にできた」と思ったことは一度もありません。
なので、まずは安心してください。目標設定は深く考えて、悩みながらつくることに意味があるのです。
では、目標設定で大切なこととは何でしょうか。
まずは、「自分の会社はどのような目標を達成しようとしているのか」を理解することが重要です。

Bさんは、自社の目標をすぐに答えられますか? 売り上げ目標でしょうか。それともビジョンやミッションの達成の方が重要でしょうか?
アマゾンを例に挙げると、常にビジョンから逆算した目標設定が求められていました。そのビジョンとは、「地球上で最もお客さまを大切にする企業であること」というものです。
一見どの会社でも、同じようなことを言っていそうだと思うかもしれませんが、このビジョンは会社や各組織の目標設定のほか、さまざまな意思決定をする上で大変重要な役割を果たしていました。
アマゾンはグローバルカンパニーですが、どの国においてもこのビジョンから逆算した目標設定を行っているのです。
例えば、皆さんもご存じのアマゾンのオンラインショッピングビジネスにおいては、このビジョンを達成するために「品ぞろえ、価格、利便性をイノベーションで(課題解決をし)強化する」というミッションを掲げています。
つまり、書籍、家電、ファッション含め、どの部門においてもお客さまのニーズにお応えするために品ぞろえを強化し続けることが目標に含まれます。

そして、価格についてもお客さまの満足度を高めるためには、より安い価格で提供するための施策を継続して講じることが求められます。もちろん、「利益も出しながら」です。
利便性においても、在庫率を上げるなど、オンラインでの買い物がオフラインと同等もしくはそれ以上の環境になるような目標設定をすることが必要とされていました。
全社の目標から逆算し、各課の目標を数値化
では、各部門が、品ぞろえ、価格の強化、利便性(在庫率等)の具体的なゴールを設定したとします。その部門のゴールを達成するために、各課や各担当者は、どのように目標設定したらよいのでしょうか。
アマゾンでは、各自がその部門のゴールに貢献する施策を数値化して目標設定します。
例えば、ファッションストアの品ぞろえを2倍にするという部門の目標がある場合、自分の課が靴の商材を扱っているとして、2倍以上の品ぞろえにするという目標を設定したとします。
その際、単に課で2倍以上達成しましょうという目標を立てるのではなく、2倍以上にするためにどんな活動やプロセスが必要なのかを目標にしていきます。
例えば、新たな商品の仕入れ先対象リストをつくり、各社が取り扱う商品数を把握し、何社との取引を可能にするのか、などの条件を含めた具体的な内容が必要です。

そして、アマゾンでは常に長期的な視点で目標設定をすることが求められていました。
例えば、お客さまの購買動向や市場は次の3年でどのように変わっていくのかを分析し、品ぞろえ、価格の強化、利便性(在庫率等)の目標を設定していきます。
それを前提に、達成方法として新しい事業施策の可能性を見いだし、アマゾン流企画書である「社内向けプレスリリース」を作って(詳しくは新著を参照)具体化・可視化し、必要なリソースを確保する承認プロセスを得ます。
一方、短期目標は、その長期目標から逆算してつくります。
ただし、事業環境は長期目標を立てたときから刻々と変化しますし、状況次第で会社の短期目標が変わる可能性もありますよね。すると、自分の課に求められることが変わることも。
その際は、状況の変化と会社全体の短期目標の修正を速やかに理解し、軌道修正することが必要です。
感覚的な目標はNG。「SMARTゴール」を活用して
前段でご紹介したとおり、長期目標にせよ短期目標にせよ、会社全体の目標から逆算して考えることが重要です。
ゴールを設定する際は、課の目標でも個人の目標でも、できるだけ数値化することを心掛けてください。感覚で「できた。できない」という判断をすることは建設的ではないからです。
また、目標を考える際に、「SMARTゴール」を活用するのもお勧めです。
SMARTとは、
・Specific(具体性)
・Measurable(測定可能)
・Achievable(達成可能)
・Relevant(関連性)
・Time-bound(期限)
の頭文字を取ったものです。
「私の部署は間接部門だから数値化は無理」と思う人もいるかもしれませんが、アマゾンでは間接部門もゴールを数値化していました。
個人の目標についても同様です。部下のゴール設定に頭を抱えるマネージャーも多いですよね。アマゾンでは、個人目標の設定について、まずは部下本人にやってもらいます。
そのためには、部下にあなた自身のゴールをしっかり理解してもらう必要がある。あなた自身は、会社として、課として、このチームは何を達成したい、しなければいけないのかを伝えましょう。

そして部下は、あなたのゴールにどのように貢献できるかを自分で考え、SMARTゴールを立てます。
それから、そのゴールが理にかなった内容になっているかを、マネージャーであるあなたと部下とで十分な時間を取って協議していきましょう。
一度の協議で、目標が決まらないこともあります。その場合は、課題を明確にして修正してもらい、再度十分な時間を取ってレビューしていくことをお勧めします。
部下が納得いく目標にすることで、よりモチベーション高くオーナーシップを持って仕事に取り組める環境をつくっていくのです。
目標設定だけでなく、目標達成を支えるのが管理職の仕事
一方で、目標設定しただけで終わってはいけません。マネージャーの大切な役割は、部下が目標を達成するために必要なサポートを行っていくことです。
例えば、私がアマゾンで広報本部長を務めていた際には、自分の直属の部下と毎週一人ずつ30分間の1on1ミーティング(一対一の会議)を設け、目標達成のための活動の進捗、課題を確認し、個人的な悩みなどあれば耳を傾けることに時間を費やしました。
これにより、部下がモチベーションを持って取り組んでいるかも確認でき、業務の滞りを防ぎ、スケジュールどおりに業務を進めることが可能になります。
これは私だけではなく、アマゾンのマネージャーであれば、誰でも行っていたことです。
部下の目標は、マネージャーであるあなたや、チームの目標達成に大きく影響します。ですので、マネージャーは常に部下が安心して自分の活動に取り組み、果敢に新しいことにチャレンジし、失敗しても理解を示しサポートする環境を整えることに注力すべきなのです。
いかがでしたでしょうか。 ぜひ、参考にしてみてくださいね。
書籍紹介

「なかなかチームで結果を出せない」「部下が無難な数値目標ばかり出してくる」など、管理職の方々のチーム運営に関する悩みを、ジェフ・ベゾスが生み出したアマゾン流マネジメントで一挙解決! 黎明期のアマゾン ジャパンに入社し、長らく新規ビジネスの立案やブランディングを担当し、現在は起業家として活躍する太田理加、小西みさをによるアマゾン流マネジメントの極意を紹介。
『「管理職1年目の壁」突破法』の過去記事一覧はこちら
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