岸田内閣で女性閣僚はたったの3人。「女性はリーダーには向かない」は本当?

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2021年10月4日、岸田内閣が発足しました。第100代目の内閣総理大臣となるそうです。女性閣僚はこのうち3名。

前回の菅内閣に比べると1名増えましたが、それでも全閣僚に占める女性比率は15%。女性閣僚が占める比率の世界平均21.9%(※1)を下回っていますし、G7でも最低。

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オーストリア、スウェーデン、ベルギー(いずれも女性閣僚比率57.14%)などのヨーロッパを中心に女性が閣僚職の50%以上を占める国と比べると非常に低い水準にとどまっています。

これは政治の世界に限った話ではありません。日本企業における女性管理職比率は2020年度の数字で12.4%(課長職以上)で、平成21年(2009年)と比較するとわずかに2.2%しか増えていません(※2)。

では、なぜ日本では女性リーダーがなかなか増えないのでしょうか。

時々、「女性はリーダーに向かないからだ」「女性が望んでいないのでは」という声も聞こえてきますが、本当にそうなのでしょうか。

「リーダーシップに男女差はほとんどない」が、ステレオタイプは消えぬまま

「実はリーダーシップに男女差がほとんどないことは、1990年代から学術的に明らかになっています」

そう話すのは、金城学院大学名誉教授でキャリア心理学を専門とする宗方比佐子さん(※3)です。

「しかしながら、そうした研究結果が出てから30年が経過した現在でも、指導的立場に就く女性は非常に限られたままです。

その原因として、とても強固なステレオタイプが存在することによって、社会や職場が変化しないことが多くの研究者によって指摘されています。

ジェンダーバイアスによって、さまざまな事態で男性は女性より高く評価されがちですし、時代や文化を超えて、『管理職といえば男性』というステレオタイプが存在しているのです」(宗方さん)

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「ジェンダー・バイアス」とは「男女に対して無意識に認知や評価がゆがんでしまうこと」を指します。

最近では「アンコンシャス・バイアス」(無意識の思い込み、偏見)という言葉を耳にする機会も増えてきました。

アンコンシャス・バイアスは決して男女(ジェンダー)に限った話ではありませんが、いずれにしても無意識の偏見・認知のゆがみによって、評価まで影響を受けてしまう点が特に問題です。

無意識の思い込み「ある」が75%以上

この「アンコンシャス・バイアス」について、先日、内閣府が初となる大規模な調査(※4)を行いました。

全国の20代~60代の男女1万名以上を対象としており、性別に基づく思い込みの36項目について質問をしているのですが、回答者全体の実に76.3%が、 一つでも「そう思う」または「どちらかといえばそう思う」と回答。

こうした無意識の思い込みが私たちにとって非常に一般的であることを示しています。

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特に「女性には女性らしい感性があるものだ」「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」については男女ともに5割前後の高い比率となっています。

また、女性側の上位回答を見ていくと、「育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきでない」「共働きで子どもの具合が悪くなったとき、母親が看病するべきだ」「家事・育児は女性がするべきだ」といった回答が20%強~30%強を占めており、異性に対する思い込みだけではなく、男性・女性自身も無意識のうちに自身で(場合によっては異性よりも強く)思い込んでいる可能性が見てとれます。

「無意識の偏見」を乗り越えるために必要なこと

では、こうした無意識の偏見が社会全体に広く存在する中で、どうやって女性リーダーを育成し、増やしていったらいいのでしょうか?

「まずはこうしたジェンダー・バイアスの存在について女性も男性も広く知ることが大切です」と話すのは、前述の宗方教授です。

「学術的に見てリーダーシップのスタイルにはほとんど男女差がなく、その効果についても女性が男性より劣っているという事実はありません。このことをぜひ多くの方に知っていただきたいです」(宗方さん)

最近では、企業内でジェンダー・バイアスやアンコンシャス・バイアスについての研修や教育制度を目にする機会が増えてきました。これはとても大事な施策です。

一方で、組織全体を変えるには時間と労力がかかるのも事実。そんなときは「小さな組織で女性にチャレンジの機会をつくるのも手です」(宗方さん)

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さらに、女性たち一人一人がチャレンジの機会に飛び込んでいく姿勢にも意味があります。

社内横断的なプロジェクトに手を挙げてみたり、社内での新規事業の募集に応募してみたりしてもいいかもしれません。

もちろん、自分自身で独立・起業したり、副業で社外での活躍機会を自分からつくりにいったりすることも道を切り開くことにつながります。

最近の副業・兼業解禁の動きやテレワークの浸透によって、誰もがチャレンジする機会を得やすくなっていますよね。少しだけ勇気を出して、一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

(※1)国連女性機関(UN Women)調べ 

(※2)厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」より

(※3)宗方比佐子キャリア心理学ラボ munelabo 代表 

(※4)内閣府男女共同参画局「令和3年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」より

田中美和

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事