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MAR/2021

日本の「女性活躍」は進んだ? 非正規、管理職比率…データが示す無視できない男女格差

国際女性デー

「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」--東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が発言したのは2月3日のこと。

この内容に国内外から批判が集まり、森氏は辞任。橋本聖子前五輪担当相が後任になり、大会組織委員会の女性理事の比率を40%へアップ。五輪マラソン金メダリストの高橋尚子さんら女性12人が新たに選出されました。

この間には、経団連が新任の副会長にDeNAの南場智子会長を起用する方針を固めたというニュースもありました。

いまだかつてないほどジェンダーの問題に関心が集まった1カ月だったのではないでしょうか。

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「(森氏の発言を)そんなに問題視する必要があるのか?」
「日本でジェンダー差別はないのでは?(少なくとも私は差別されたことがない)」

一連の議論の中でこうした意見を目にすることもありました。でも、本当にそうなのでしょうか。私たちは事実をしっかり直視する必要があります。

田中美和

【この記事の執筆者】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事

女性の就業率は伸びるも、約6割が非正規。管理職比率は“極めて低い”

以下の右側のグラフを見てください。これは15歳~64歳の人口に占める就業率(収入を伴う仕事を少しでもしている人の割合)のグラフです。

オレンジ色が女性ですが、右肩上がりで伸びていることが分かります。2001年と比較しても13.9%増えています。

就業者数及び就業率の推移
男女共同参画白書 令和2年版」より

以下は年齢別の非正規雇用労働者の割合の変化で左側が女性、右側が男性のものです。

男性は65歳以上でこそ非正規雇用の人が70%以上を占めますが、女性は35~44歳の層以降のすべての層で非正規雇用労働者の割合が50%以上となっている点が特徴的です。

年齢階級別非正規雇用労働者の割合の推移
男女共同参画白書 令和2年版」より

管理的職業従事者に占める女性の割合について見ると、2019年は14.8%であり5年前の2014年の11.3%と比較して微増しているものの、他の主要国と比べると極めて低い水準にとどまっています(下図)。

就業者及び管理的職業従事者に占める女性の割合(国際比較)
男女共同参画白書 令和2年版」より

また、日本の上場企業における女性役員比率はいまだに6.0%にとどまり、女性役員数ゼロの上場企業も51.4%と半数におよびます(※1)。

つまり「女性活躍」という文脈で言えば、「働く女性の数」自体は大きく増えたのですが、その多くが非正規雇用であり、役員や管理職など指導的地位に占める女性割合はいまだに低水準にとどまっていることがよく分かります。

※1:東京商工リサーチ「2020年3月期決算上場企業2,240社 『女性役員比率』調査」より

女性のキャリア継続を阻害する、根深い「性別役割分業意識」

フルタイムやパートタイムなど多様な働き方があるのはいいことです。人生の選択肢が広がるからです。しかしそれが性別と結びついて固定化してしまっているとしたら問題です。

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背景には複合的な理由がいくつか考えられますが、一つは日本社会に根強くはびこる「性別役割分業意識」があります。男性が働き、女性が育児・家事をする…といったことです。

こうした性別役割分業意識に私たち一人一人がとらわれている場合もありますし、企業側がとらわれている場合もあります。

日本において女性管理職が少ないのは、こうした伝統的な性別役割分業によって、女性が管理職になるのに必要な仕事経験を積むことができなかったと考えられるからです。

プロフェッショナルとして成長するために必要な仕事経験を「修羅場体験」と言ったりしますが、日本企業では、女性の配置やキャリア開発に過度に気を使い、こうした仕事を与えない傾向があります。

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長時間労働と働く時間と場所の固定化も、長年、女性のキャリア継続を阻害してきました。しかしながら、近年、変化の兆しが見えてきています。

政府が主導する形での「働き方改革」のムーブメントのおかげで、長時間労働が抑制されるようになってきましたし、コロナ禍によって首都圏を中心にテレワークが普及し、働く時間と場所の自由度が増してきました。

これは明らかに女性にとって追い風です。

日本企業はまだ、女性の経験・能力を生かし切れていない

そんな中、私が共同代表を務めるWaris(ワリス)では今年1月から新サービス「Warisエグゼクティブ」を立ち上げました。これは企業経営における多様性を実現する女性役員(社外取締役、監査役、執行役員など)をご紹介するサービスです。

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サービス開始以降、40代・50代を中心に取締役や事業部長クラスのご経験を持つエグゼクティブ女性の皆さんに続々とご登録いただいています。

グローバルな外資系企業を中心にキャリアを積んでこられた方、大企業での経験を経て自身で会社を立ち上げ経営されている方、パートナーの海外転勤帯同のため離職を経験しながらも再度キャリアアップをはたされてきた方、企業で社外役員をしながら大学で教えていらっしゃる方……その経験とキャリアの多様性に目を見張るばかりです。

日本企業に必要なのはこうした経験の多様性ではないでしょうか?

登録される女性たちが口にするのは、ご自身のスキルや経験を生かしたいというだけではありません。「20代30代の後輩女性たちの少しでも力になれたら」と口にする方が少なくないのです。

自分自身が力を発揮することで、後輩女性たちを励ましたり勇気づけたりすることにつながれば……と。

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この10年は「女性活躍推進」と言われつつも、なかなか苦しい10年だったとも思います。

長時間労働や働く時間や場所の固定化とご自身のライフの両立に悩まれて職をあきらめたり、苦しい思いをされてきた方も少なくなかったはずです。でもこれからは違います。

ESGやSDGs(※2)といった考え方が注目を集め、この日本でもジェンダー平等や一人一人の多様性発揮が確実に重視されるようになってきています。明らかに新しい風が吹き始めています。

20代30代の女性の皆さんには、自分自身のWill(意志)を大切にしながら、社内外の多様なロールモデルとつながりつつ、野心を持って歩んでいってほしいです。

※2:ESG=環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字、SDGs=「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称

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