チームを蝕む「愚痴・不満が目立つ人」が劇的に変わるアマゾン流のマネジメントとは?【管理職1年目の壁突破法】
元アマゾン ジャパン管理職、『amazonのすごいマネジメント』(宝島社)著者の二人が、管理職1年目の女性たちの仕事の悩みに回答! アマゾン流のベストプラクティスを使い、「管理職一年目の壁」を乗り越えるヒント、マネジメントの仕事を楽しむ秘訣を提供していきます
管理職1年目の悩み
部下が会社や仕事に対して不満を口にするのを聞くと、すごく不安になります。
同じ現場メンバーだったときは、自分だって一緒に愚痴りあったりすることもあったし、全部気にしなくていいとは思っています。
マネジャーとして取り合うべき愚痴や不満と、受け流していい愚痴や不満……その違いってなんでしょうか? そもそも、愚痴や不満が出ないチームをつくりたいとも思っています。
(Cさん:管理職歴5カ月/30歳/販売系職種・店長職)

【回答者プロフィール】
太田理加さん
アマゾン ジャパンに入社後、約13年間、新規ビジネス立案・立ち上げを担当し、立ち上げたビジネスの事業責任者を歴任。新規ビジネスをつくるということは、そのビジネスを実行する組織を一からつくること。よって、採用・人材育成・組織づくりに尽力。リーダーシップにフォーカスした幹部育成にも力を入れ、チームでイノベーションを起こす。2020年3月にaLLHANz合同会社共同代表に就任
太田さんからの回答
「愚痴や不満は放置しない」が大前提

確かに部下に不満を聞かされると、心配になりますよね。愚痴が多いチームメンバーは、私自身も経験し、最初はどう対応したらいいか戸惑いました。
もちろん、「今日の仕事はきつかったね~」というような、チーム内のちょっとした気晴らしのような愚痴もあると思います。
でも、不満があるなら解消しなければならないし、Cさんがおっしゃるとおり、そもそも愚痴や不満が出ないチームをつくるのが理想です。
また、部下が愚痴や不満をCさんに直接言ってくるならば、Cさんを信頼しているから言えるのでは、とも思えます。全く信頼してない上司には、不満すら言うことができないし、Cさんに甘えているのかもしれませんね。
ただし、愚痴や不満は、Cさん自身を不安にさせるだけでなく、チーム全体の雰囲気を悪くしたり、他のメンバーのモチベーションを下げてしまったり、良いことは一つもありません。
愚痴や不満をよく言う部下がいるならば、内容はなんであれ、マネジャーとしては、チーム全体のためにも対処すべきです。
正しい、正しくないは二の次。まずは話を聞くことから始める
では、部下の愚痴や不満にはどのように対処すべきでしょうか?
前々回ご紹介したアマゾンの行動規範には、Earn Trust(信頼を得る)というものがあります。
それには、「リーダーは注意深く耳を傾け、率直に話し、相手に対し敬意をもって接します。たとえ気まずい思いをすることがあっても間違いは素直に認め、自分やチームの間違いを正当化しません。リーダーは常に自らを最高水準と比較し、評価します」とあります。
まず、愚痴でも不満でも、一度全部話を聞きましょう。真摯に話を聞くと、部下も「自分を尊重してくれている」と感じることができます。
部下が話しやすいよう、会議室などで、1on1(ワンオンワン)=一対一のミーティングをするのがお勧めです。より話しやすくするためには、会社から少し離れたカフェなどを使っても良いと思います。

まず、部下が言っていることは正しくない、自分はそうは思わない、と思っても、部下には言いたいことがあるので、「いやいや」「そうじゃなくて」など言わずに、全部聞きましょう。
そして、この行動規範にあるように、部下の不満や愚痴の中で、「正しい」ことは素直に認めることも重要です。
問題の解決策は、基本的に本人に考えさせる
次に、不満や愚痴のケースごとに対応方法を考えていきましょう。
1. 会社や組織対する不満
もし、その不満が会社や組織の問題である場合は、解決策を部下本人に考えてもらうのが一番。それが難しい場合は、どうすればいいか一緒に考えてあげるといいと思います。
そこで妙案が浮かべば、それを会社に提案できるといいですね。
一方で、会社や組織に対する部下の不満が正しいとは限りません。主張が明らかに正しくない場合、なぜそう思うようになったのか、なぜそんなふうに愚痴や不満を口にするのか、理由を考えてみます。
そして、あなたが部下の主張を正しくないことと判断する理由を、相手が納得できるような言葉に変え、説明を尽くすことが必要となります。
2. 他のチームメンバーや他部署への不満
まずは部下から話を聞いた上で、一緒にどのような解決策が考えられるのかを話し合ってみましょう。
さらに、話し合いが終わったら、自分は部下が行動に出やすいように配慮をしつつ、二人で決めた解決策を「不満を抱いている相手」に部下本人から直接伝えてもらいます。
ここで重要なのは、部下に納得してもらった上で行動してもらうこと。そして、部下と他のメンバー、他部署の人との間で信頼関係を構築してもらうことです。
3. Cさん自身への不満
Cさんのマネジメントに不満がある場合は、それが正しい・正しくないに関わらず、「意見を言ってくれてありがとう」と伝えてみましょう。
なぜなら、影でこそこそ不満を言われるより、直接言ってくれる方が、正面から対処できるからです。
もちろん、部下の言っていることが正しければ素直に受けいれて、改善することが大事です。
しかし、部下の指摘が明らかに正しくない場合には、なぜ、それが正しくないか、客観的な根拠に基づいた説明をすることが大事です。
Cさんの感覚だけでなく、事実や根拠に基づいて丁寧に説明することによって、部下もCさんが敬意を持って対応してくれていると感じることができ、信頼関係ができるのです。
頭ごなしの否定はご法度。不平不満に同調するだけもNG

また、部下の愚痴・不満がCさんのストレスになっているとしても絶対やってはいけないことは、上から頭ごなしに否定したり、感情的に叱ったり、もしくは、なかったことのように受け流したりしてしまうこと。
これでは、信頼関係を築くことができません。部下の不満は、より一層強くなります。
そして、一緒になって愚痴を言うというのも、もちろんNGです。
共感をする、というのは悪いことではありませんが(むしろ部下は共感してほしくて、愚痴を言っているのかもしれませんね)、それだけでは、良い方向には向かいません。
必ず、一緒に解決策を考える、もしくは納得してもらうまで、説明を尽くすことが大事です。
1週間に一度の30分「1on1」でチームが変わる
では、そもそも愚痴や不満が出ないチームをつくることは可能なのでしょうか?
結論から言うと、「不満が多いチーム」を短期間で「全く愚痴や不満のないチーム」にするのは難しいです。なぜなら、いいチームとは信頼関係の下で成り立つものだから。
でも、時間をかけて信頼関係を築けば、愚痴や不満が出ないチームをつくることは可能です。

信頼関係を構築するには、風通しの良いコミュニケーションがマストです。まずコミュニケーションのとりやすい環境づくりをしてみませんか?
チームメンバーとは1週間に一度、30分でいいので1on1ミーティングをすることをお勧めします。
ミーティングでは、メンバーが抱えている問題を話してもらうだけでなく、自分からも、マネージャーの立場だからこそ理解している会社の今の方針や課題などを、共有するのもいいでしょう。
また、マネージャーの心構えとして、常に「相手を自分の鏡」だと思うことが大事です。一生懸命やっているのに部下の不満や愚痴が出る場合、自分のやり方にも問題があるのかもしれません。
そういうときは、その人とコミュニケーションをとりながら、その中で自分のどこが間違っていたのかを探ってみましょう。
自分の問題点が分かったら、今度はどうしたら部下が自分の考えに納得してくれるかを考え、自分の対応の仕方も変えていきましょう。
そして、部下のモチベーションは、「やらされている感」があると、上がりません。主体的に、仕事をやってもらうには、任せることも必要です。
やらされている感を減らすには、会社の方針・目標に沿った個人の目標を、部下自身につくってもらいましょう。その過程で自分が会社の方針や目標のどの部分に貢献できるかというのが明らかになっていきます。
すると、一般にありがちな、「自分は一体この会社で何をしているのか」と いうような疑問が減っていき、「自分は会社のこの部分に貢献する仕事を任されているいだ」という当事者意識が育つと、モチベーションも上がってきます。

風通しのよいコミュニケーションで信頼関係ができ、やらされている感がなくなれば、愚痴や不満も圧倒的に少なくなっていくと思いますよ。
Cさんは、ご自身が「部下の不満や愚痴を気にしすぎているのでは」とも思っているかもしれませんね。でも、気にしすぎは決して悪いことではありません。
それは、マネジャーとしてCさんがチームを大切に思っている証拠からです。ただ、気にして、モヤモヤしている状態というのはよくありません。気になることがあるならそのまま放置せず、部下と対話の機会を設けましょう。
コミュニケーションを通して、信頼関係のあるチームづくりを進めていきませんか? You can make it!
書籍紹介

「なかなかチームで結果を出せない」「部下が無難な数値目標ばかり出してくる」など、管理職の方々のチーム運営に関する悩みを、ジェフ・ベゾスが生み出したアマゾン流マネジメントで一挙解決! 黎明期のアマゾン ジャパンに入社し、長らく新規ビジネスの立案やブランディングを担当し、現在は起業家として活躍する太田理加、小西みさをによるアマゾン流マネジメントの極意を紹介。
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