生活が保障されたとしても「働き続ける」人が多数! 働く女性が仕事に感じる「お金を稼ぐ」以上の価値とは
「結婚したら寿退社」はすっかり影をひそめ、国も企業も、女性がずっと仕事を続けられるような環境をつくろうとしています。
20~30代の働く女性215人に「あなたは長く仕事を続けていきたいと思いますか?」と聞いてみると、「思う」と答えた人は8割以上。当事者である女性の多くも、長期的にキャリアを築いていきたいと考えていることが分かります。
でも、そもそもなぜ長く働きたいと思うのでしょうか? 一番に頭に浮かぶのは「生活のため」というもの。男性の年収が上がりにくくなっていることを背景に、共働きが当たり前となりつつある世の中、金銭的な不安を払拭する意味で「長く働きたい」と考える人は多そうです。
そこで次はこんな質問。「もしも生涯の生活が保障されるくらいのお金があったとしたら、今の仕事を続けますか?」。
すると「辞める」と回答した人が6割強と半数以上を占めました。最初の質問では8割以上の女性が「長く続けたい」と答えていましたが、こちらの質問では一変して「続ける」が少数派に。
では「続ける」と回答した人たちが、生活が保障されてもなお今の仕事を続ける理由を見ていきましょう。
「生活基盤がしっかりしているからこそ仕事に集中できるから」(23歳/営業事務)
「生活が保証されていたほうが、安心して事業を展開できるから。事業で失敗しても許されるから」(24歳/一般事務)
「お金があったら、貯金や投資に回して、今の仕事は続けたい。今の仕事が好きだから」(27歳/秘書)
【お金のありがたみを忘れたくない】
「お金があるからという理由で仕事をすぐ辞めるのは嫌です。お金はただの紙切れであり自分の汗を流して一生懸命働いて得るからこそ価値があると信じているからです」(25歳/その他)
「仕事する一番の理由はお金だけど、でも働く姿を娘に見せたいし、娘のために少しでも貯金したいので」(31歳/一般事務)
【人としてダメになる】
「堕落してしまいそうだから」(28歳/事務・企画関連職)
「仕事を辞めたら誰とも会話しない日が出てきそう」(29歳/事務・企画関連職)
「人の役に立ちたいし、あるお金だけに頼っていたら自分の居場所を失いそう」(34歳/接客・販売)
「浪費家だから一生涯困らないお金あっても使っちゃいそうで恐いから」(32歳/接客・販売)
【大事な役割ですもの!】
「社会から必要とされたいから」(35歳/事務・企画関連職)
「日本国憲法に『勤労の義務』がうたわれているから」(30歳/総務・人事)
「人生の基盤は家族と職業だから」(36歳/一般事務)
【働くことで得られること】
「働く事で人に感謝され、その分の報酬をもらえればやりがいを感じられるから。楽な生活だけが幸せだとは思わない」(29歳/営業事務)
「仕事でしか学べないこともあると思うので、いいこともつらいことも含めて経験したい」(36歳/営業)
「仕事が自分を成長させてくれるから」(31歳/ウエディングプランナー)
「働かないと楽しくない」(28歳/ツアーコンダクター)
これらの意見に共通しているのは、今の仕事に対して「お金を稼ぐ」以上の価値を感じているということ。生活が保障されているかどうかは関係なく、仕事をすることそのものに意義を見出しているようです。
一方の「辞める」と答えた人は、辞めた後に何をするのでしょう?
「自分のしたい職業に転職し手に職を付けたいから」(23歳/営業)
「アパレルの専門学校か、Web・DTPなどクリエイティブ系のスキルを身に付けられるキャリアスクールに通って別業界へ転職する準備をする」(28歳/技術関連職)
「転職します。仕事をしないのもつまらないので」(23歳/営業)
【お金にはならないけど……】
「犬に関する仕事を元々していたので、身寄りのない犬たちを引き取ってトレーニングして、里親に出すことを専念したい」(31歳/受付)
「海外で日本語教師のボランティアをして、生活したい」(32歳/マーチャンダイザー、バイヤー)
「お金が稼げるかは関係なく、好きなことで社会と関わっていたい」(28歳/経理・財務)
【思い切って会社を興す!】
「そのお金を使っておしゃれなCAFEをオープンさせたり、品質の良いかわいいファッションブランドを作ったり、起業したいです」(29歳/営業) 「起業する。子供の成長に合わせて働ける場を自分でつくり出したい」(36歳/営業事務)
【Going my way】
「雇用形態や収入を気にせず、自分の好きな仕事を目指す」(36歳/経理・財務)
「1度の人生なので、働くより自分が後悔しないように生活する」(29歳/未就業)
「遊んで暮らしたいのは性」(39歳/営業事務)
「ひっそりと猫と暮らす」(29歳/未就業)
「趣味の木工をして、家の装飾や菜園を楽しむ」(33歳/経理・財務)
【いざ世界へ!】
「自然の多い外国に行き、農業や牧畜業、観光業など、今まで携わったことがない仕事に就きたい」(28歳/総務・人事)
「世界を旅し、広い視野を手に入れる。新しい趣味を発見しに行く」(24歳/接客・販売)
「お金が充分あるなら海外を点々としながらネットで適当に稼ぐ方がいい」(30歳/一般事務)
【夢を追う】
「今の仕事を辞めて経済的なことで断念したピアノの先生になりたい」(28歳/営業事務)
「漫画家になりたいので絵を描きまくりたいです」(27歳/営業関連職)
「やりたかった料理の仕事をやる」(28歳/経営企画)
【家族との生活に専念】
「家のことをしっかりしていきたいため」(31歳/接客・販売)
「彼との生活が仕事より優先したいことだから」(33歳/システム開発)
「ゆったり子育てしたい。それが終わったら夫婦でのんびり旅行でもする」(32歳/システム開発)
「子供を産んで育てたい」(27歳/編集者・記者・ライター)
【自分探し】
「自分を見つめなおして、何をしたいか考えたい」(39歳/一般事務)
「将来の事をじっくり考えて、住む場所や仕事を改めて考えたい」(24歳/接客サービス関連)
死ぬほど遊ぶ! といった回答が続出するのかと思いきや、何かしら仕事を続けるという意見が多数。収入にはつながらないボランティアや、生活できるほどの収入になるか分からないけどやりたい仕事に就くといった意見からは、先述した「続ける」派と同様、働く理由が生活のためだけでないことが見てとれます。
社会とのつながり、やりがい、自分の成長、とにかく好き……。アンケートから見えてきたのは、働く女性の多くが、働くことに対して「お金を稼ぐ」以上の何かを見出しているということ。
この“何か”について、これから始まるWoman type4周年記念特集では、さまざまな角度から考えていきます。
「なぜ働くのか」。キレイ事や一般論ではない、“自分にとっての働く理由”は、この先のキャリアだけでなく、どのような人生を歩んでいくのか、考える際の軸となってくれるはず。
何十年と続く仕事人生。納得感を持って、イキイキと働いていいくために、一緒に考えてみませんか?
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【アンケート調査概要】
●調査方法:転職サイト『女の転職@type』の20代~30代女性会員およびWebマガジン『Woman type』サイト読者へのWebアンケート
●調査期間:2015年7月30日~8月3日
●有効回答者数:215名
取材・文/天野夏海(編集部)