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JAN/2015

保育士に性別は関係ない! 男性保育士が“女性らしさ”に迎合しなかった理由

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さまざまな仕事で女性の積極活用が行われるようになり、女性の働き方は変わりつつある。とはいえ、まだまだ男性比率が高い職場が多かったり、職種によっては「男性の仕事」という世間のイメージが根強く残っていたりと、少数派であることに息苦しさを感じている人は多いもの。そんな人は逆に、女社会でマイノリティーとして働く男性の仕事観を覗いてみては? 紅一点ならぬ「白一点男子」の姿から、今の職場で前向きに働いていくためのヒントが見つかるかも!
保育士に性別は関係ない! 男性保育士が“女性らしさ”に迎合しなかった理由
わかたけかなえ保育園
小鮒拓己さん(29歳)
保育大学を卒業後、東京都中野区の保育園で3年間勤務。一度海外で働いてみたいという思いからグアムへ渡り、現地の日本人学校の幼稚部で3年間経験を積む。2014年に帰国し、現在の職場にて勤務を開始した

小学校には男性の先生がいるのに
保育士が女性ばかりなのが不思議だった

背が高くがっしりとした体育会系の風貌。子どもたちと向き合うと破顔一笑し、快活な口調ながらも優しく親しみを込めて話し掛ける。わかたけかなえ保育園に勤める小鮒拓己さんは、保育歴7年目。膝の上に園児を座らせて絵本を読み聞かせたり、食事で汚れた口周りを拭いてあげたりする姿は手慣れたものだ。

今の仕事につながる原点となったのは小学生のころ、6歳年下のいとこの男の子と遊んであげていたこと。一緒に走ったりゲームやトランプをしたりして、その子が笑顔になってくれることがうれしかった。「進級した中学校の特別授業に、女子にだけ保育園での実習授業が用意されているのがうらやましかった」と語る小鮒さんは、高校3年生の選択授業で迷わず保育を履修。やっと幼稚園や保育園での実習を経験できた。

「父親が学童保育に勤めていて、子どものころ『今日ドッジボールやってきたよ』という話を聞いたりしていたことも影響したかもしれません。パソコンに向かうことよりも、人と関わること、特に子どもと接するのが好きだったので、それが仕事になるならいいなと思っていました」

いつしか保育士を目指し始め、保育を学べる学科がある大学に進学。約120人の学生のうち男性はたった15人だった。

「男性が少ない場所だというのは分かっていましたし、『一緒に保育士になろうぜ』と夢を共有できる男友達もいましたから、特に抵抗はなかったです。保育士になるのは自分の中ではごく自然な流れでしたね。むしろ、小学校では男性の先生が当たり前にいるのに、1学年下であるだけで保育園や幼稚園に男性の先生がほとんどいないことに疑問を感じていました」

「男女の違い」ではなく「個々の違い」
全ての男性が力持ちなわけではない

保育士に性別は関係ない! 男性保育士が“女性らしさ”に迎合しなかった理由

そんな小鮒さんは、子どもたちと関わるときの自身のキャラクターは「ガキ大将」だと言う。

「保育には4つの役割があると言われていて、教師として教えてあげる役割、ちょっとかなわない相手としてのガキ大将の役割、同じ目線の友達のような役割、これやってもらえないかな? とお願いするような、ちょっと下手に出る役割。これを場面によって使い分けるのが保育士のテクニックですが、一番自然にできるのがガキ大将。僕は子どもと遊ぶときに本気で勝負するんです。ゲームで負けたら本気でくやしがるし、勝ったら思い切り喜ぶ。子どもにとって、そういう相手に勝つのと、勝たしてくれる相手に勝つのとでは、心に残るものが違うと思うんですよね」

自身のキャラクターを生かしながら子どもたちと触れ合ってきた小鮒さん。女性が多い職場とはいえ、男性が少数派であることの引け目を感じたことは一度もなかったという。

「環境に恵まれていたのもあると思いますが、女性の保育士さんともうまくやってきましたし、子どもたちや保護者の方に男性だからという理由で特別視されたこともないですね。そもそも子どもたちは、大人が男女を区別するような先入観を持って接しなければ、男の先生に対して違和感を持つことはありません」

男女の違いは確かにあるが、あくまでも「個々の体力や背景、キャラクターによっての違いに過ぎない」と話す。

「例えば僕は体を動かすのが得意なので、グアムの幼稚園で勤務していたころ、ヤシの木によじ登って、もぎ取ったヤシの実を地面で叩き割って子どもたちにジュースを飲ませたりしていました。力もあるから、子どもを高く高く持ち上げることもできます。でも、それはあくまで僕が得意なことであって、男性だからできるというわけではない。同じことができる女性もいれば、できない男性だっていると思うんです」

保育士に性別は関係ない
できないことは互いに補え合えばいい

一方で、教室に飾り付けをするときに使う四季折々の草花や動物を紙で作ったり、ピアノを弾いたりすることは苦手だ。そうした自分のできないことは、それらが得意な別の保育士にお願いしている。「できないことは保育士同士で補い合えばいい」というのが小鮒さんの考えだ。

そして、その考えは大学時代から一貫していた。一般的には女性のイメージが強い保育士だが、だからといっていわゆる「女性らしさ」に迎合しようとはまったく思わなかった。当時、複数所属していたサークルもスポーツ系ばかり。自分の持ち味や得意分野を伸ばしていこうというスタンスは今でも変わらない。

「保育士は、女性であれば母性を、男性であれば父性を発揮できる仕事。適正があれば、性別は関係ないと思っています。今はまだ男性保育士は少ないですが、これからもっと増えていってほしいですね」

小鮒さんの価値観には、ステレオタイプな男女間の得手・不得手の感覚はない。そうした意識を持つことから職業選択の多様化が始まり、自身の視野や可能性、チャンスも広がっていくのだろう。

取材・文/柏木智帆 撮影/柴田ひろあき

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