自分らしく働くって何? HPE社員の実践例に学ぶ、会社員女性が「キャリア自律」を実現する方法

「自分らしく働きたい」と思っても、そもそも自分がどんな働き方をしたいのかが分からなければ、自律的にキャリアを築くのは難しいもの。自分のありたい姿や理想のワークライフを描き、組織の中で実現していくために、まず何から始めたらいいのだろうか?

そこでお話を聞いたのは、コンピューターやソフトウエア製品の開発・製造・販売などを手掛ける日本ヒューレット・パッカード(以下、HPE)で働く本間晴子さん、山口涼美さん、山口智子さん。

日本ヒューレット・パッカード

【写真左から順に】
本間晴子(ほんま・はるこ)さん
2007年 日本SGI(株)に入社、17年HPEに吸収合併。現在はPointnext CME メディアソリューション部にて、放送業界におけるシステム構築・保守などを担当。現在は静岡県在住、フルリモート勤務を行う

山口涼美(やまぐち・すずみ)さん
18年に入社し、Pointnextデリバリー統括本部でカスタマーエンジニア、パートナー向けL2サポート業務を2年行い、20年にHPC&AI事業部へ異動。現在はプリセールスコンサルタント・AIビジネスデベロップメントマネージャーを務める

山口智子(やまぐち・ともこ)さん
17年に入社。現在はパートナー営業統括本部 第二営業本部 第一営業部にて、パートナー営業としてSIer企業を担当。案件発掘から提案、作業完了フォローまで含めた営業活動を行う

彼女たちは社員のキャリア自律を尊重するHPEのカルチャーの中で、地方移住をしてフルリモートで働いたり、自ら手を挙げ海外研修や難易度の高い仕事に挑戦したり……三者三様の方法で「自分らしい働き方」を実践してきた

>>「仕事は短期的に、人生は長期的にデザインする」HPE女性リーダーが語る“キャリア自律”のかなえ方

会社組織にいながらも自らキャリアを選択・決断する経験は、三人の人生をどう好転させたのか。「自分らしく働く」をかなえるために彼女たちが実践してきたことを聞いた。

海外派遣、地方移住、配属面接での意志表明……私たちがキャリアを「選択」した瞬間

ーー前回の取材で、HPEでは社員の「キャリア自律」を後押ししていると伺いました。皆さんがご自身の意思で「自分らしい働き方」を選択した瞬間について教えてください。

山口涼美(以下、山口(涼)):私は2018年に新卒でHPEに入社し、サービスエンジニアとしてお客さまの問題解決をサポートしてきました。

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転機となったのは、2年目の時に申し込んだ「アストロノーツ」という海外派遣プログラムです。以前から「いつかは海外で活躍できる人材になりたい」と思っていたので、活動内容に興味はあったのですが、まだ2年目の自分には難しいだろうと思い応募を躊躇(ちゅうちょ)していました。

ところが上司に相談すると、「仕事が忙しくなる前、若いうちに経験しておきなさい」と言ってくれたので、思い切ってAIビジネスの推進をテーマとした企画を申し込んでみたのです。

すると私の企画が採用され、イギリスやフランス、チェコ、ドイツを2~3週間かけて回り、HPEの現地法人やお客さまのことを調査する機会がもらえました。

帰国後は海外での取り組みを参考に、部門横断型のAIプロジェクトチームの立ち上げに参加し、AI関係のビジネスソリューションを扱う部署が本格的に設立されたので、社内公募制度を利用して異動

現在はAIのビジネスデベロップメントマネージャーとしてHPE製品のAI市場を拡大する活動に取り組んでいます。

ーー海外派遣プログラムへの参加が、AIビジネスを扱う現在の仕事につながったのですね。

山口(涼):そうなんです。AIビジネスに携わるようになってからは、さまざまな部署の人と仕事をするようになりました。

圧倒的に視野が広がり、他部署の人に対する想像力を働かせられるようになったのはすごく良かったなと思います。

ーー他のお二人のキャリアの転機も教えてください。山口(智)さんはどのように「自分らしい働き方」を選択しましたか?

山口智子(以下、山口(智):私は2017年にHPEに新卒入社しました。パートナー営業として金融系のシステムに強みを持ったSIerのお客さまを担当し続けて、今年で6年目になります。

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山口(智):私がキャリアを選択したのは、新人研修中の人事面談で「パートナー営業をやってみたい」という希望を伝えた時です。

もともと大学では心理学を専攻していたので、人が関係性を構築していくプロセスに興味がありました。

パートナー営業は「会社の垣根をこえてお客さまとの関係性を深めていく」という役割が魅力的だったので、ぜひチャレンジしてみたいと思ったんです。

ーー配属面談の時点で、すでにやりたいことの方向性が定まっていたのですね。

山口(智):そうですね。結果的に希望の部署に配属され、1年目の頃から数十億円規模のプロジェクトに携わる機会をいただきました。

決して止まることが許されない重要なシステムの構築など、緊張感を伴うプロジェクトを多く経験してきましたが、周囲の支えのおかげで一定の成果を上げることができ、2021年に社長賞・チーム賞を獲得しました。

私たちの職種はパートナーさまとの関係性が深くなる分、難易度の高い依頼を受けることも多いです。

しかし、課題を一つ一つクリアしていくことで関係性が深まり、プロジェクトに対する思い入れも強まるので、成功した時の喜びも非常に大きいです。

今、とてもモチベーション高く働けているので、やりたい仕事を人事に伝えて良かったです。

ーー自分で選択した仕事で成果が出ると、より一層やる気が高まりますよね。では本間さんの「自分らしい働き方」を選択した瞬間を教えてください。

本間晴子(以下、本間):私は2017年にHPEに吸収合併された日本SGIに、2007年に新卒で入社し今に至るまで、放送業界のお客さまのシステム構築・保守などを担当しています。

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本間:「自分らしい働き方」に関して最も大きな決断をしたのは、東京から静岡への転居に伴いフルリモートの働き方を選択した時です。

2019年に長男が小学生に上がるタイミングで、夫の地元である静岡への移住を決めました。

最初は退職するべきか悩んだのですが、上司が「テレワークでも全く問題ない」と言ってくれて、さらに自分が必要とされていることを感じられたので、同じ部署に継続して在籍して、フルリモートで働く選択をしました。

ーー地方に住みフルリモートで働くことを選択してから、何が変わりましたか?

本間:子どもが二人いるのですが、育休から復帰したばかりで出社していた頃は、常に時間との戦いでした。

どんなに業務を効率良く進めていても、ご飯を作る時間が取れなくて出来合いのお総菜に頼ってしまう日々が続くなど、子どもたちに対して罪悪感を抱くことが多々あったんです。

でも、今はちょっとした空き時間に家事を進められるので、時間の面でも精神的な面でもゆとりを持てるようになりました。生活全体の幸福度が高まったと感じています。

社内で信頼される人に、仕事もチャンスも集まる

ーーHPEには「信頼と尊敬」をベースにするカルチャーがあると伺いました。業務中に実感することはありますか?

山口(智):「信頼と尊敬」のカルチャーは、普段からすごく実感しています。

私は営業職なので、お客さまからの問い合わせや依頼を受けた時に社内の関係者に頻繁に相談をするのですが、嫌な顔をされたことはほとんどありません。

年齢や立場に関係なく、話をきちんと受け止めてもらえる風土があると思います。

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本間:とても共感します。少なくとも私がこれまで社内で接してきた人の中に「嫌だな」と感じた人は一人もいませんでした。年次に関係なく、対等に話を聞いてもらえる雰囲気がありますよね。

山口(智):今までのプロジェクトを振り返っても、社内の技術営業や製品担当の営業、製品部など、さまざまな人たちが私の相談に向き合ってくれたからこそ、正しい方向に導いてもらえたと感じています。

もし社内に相談しにくい空気があったら、悩みがあっても抱え込んでしまっていたかもしれません。

本間:話を聞いてもらえるカルチャーがあると、自分の意見を言いやすくなる効果があります。まだ十分に理解できていないことでも、怒られるわけではないと分かっていれば、まずは相談してみようかなと思えますよね?

「どんどん前向きに話せるようになるスパイラル」が、HPEの中で循環しているのを感じます。

山口(涼):自分自身が信頼してもらえるように意識するのも、大切なことだと感じています。

一つ一つの仕事の向き合い方、それはささいな約束だったり、対応のクオリティーだったり、あらゆる側面においてです。

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山口(智):私たち営業は、本間さんや山口(涼)さんのようなエキスパートにプロジェクトのサポートに入ってもらったり、お客さまの相談に答えてもらったりすることがよくあるので、社員同士の信頼関係はお客さまとの信頼関係を築くことにもつながっていると感じます。

山口(涼):そして、HPEでは、信頼される人にどんどん仕事が集まってきますよね。仕事で活躍するためには、まずは人から信頼されることが大切なのだと日々実感しています。

上司、同僚…周囲の人の言葉が「自分らしい働き方」を見つけるヒントに

ーー「自分らしい働き方」とは何かと悩む女性もいますが、皆さんはどうやってそれを見つけましたか?

本間:私は就職活動中に「どうして自分は一人で作業をするよりも、人と働きたいんだろう?」という観点から自己分析をした結果、「人の役に立ちたい」というキーワードが一番大切だと気が付きました。

このキーワードは、今でも折に触れて思い出しています。どうしてもモチベーションが上がらない時は「この作業を終えたら、きっとあの人が喜ぶはず!」と想像して、やる気を高めるんです。

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また数年前に、「本間さんは状況をふかんして行動することが得意だよね」と上司に言われて、それもまた私の強みなんだと気が付きました。

プロジェクト全体を見渡して「ここのサポートに入った方が良さそうだ」と判断したり、意見が対立している人がいたら進んで仲介に入ったりする私の性質を見て、そう言ってくれたのだと思います。

まず、組織の中でどういう役割が自分に向いているのかを理解することが、「自分らしく働く」ことにつながっていくのではないでしょうか。

ーー自分自身をふかんして見ることは、自分らしさを見つけるためにも大切なことだと思います。ただ、それがなかなか難しいのも事実ですよね。

本間:その場合は、周囲に聞いてみるのが一番だと思います。職場の人たちは、意外と自分を見てくれているものです。

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山口(智):信頼できる身近な人の意見に耳を傾けるのって、すごく大事ですよね。

実は最近まで、私自身どのような営業スタイルを目指すべきか悩んでいました。周りの先輩をまねしようと思っても経験値が足りず、「この仕事は自分の性格には合わないのではないか」と感じていたからです。

そんな時、上司が「山口(智)さんの長所は、周囲と関係性を築いてサポートを引き出せることだよ」と言ってくれたことは、今後の方向性を見つける上で大きなヒントになりました。

それまで私は、自分が人に助けられてばかりであることをマイナスに捉えていたのですが、上司に評価してもらえたことで、それによってサポートを得られていた部分もあったのだと気が付き、自信につながりました。

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ーー信頼関係のある上司からの一言が、「自分らしい働き方」を見つけるきっかけになったのですね。山口(涼)さんはいかがですか?

山口(涼):「自分らしい働き方」は今も模索している最中なのですが、先ほどお話しした海外研修に参加した時にびっくりしたのと同時に、一つきっかけを得た出来事があって。

HPEの海外オフィスでは、17時になると社員が仕事をスパッと止めて、お酒を飲みに行ってしまったんです(笑)

きっと彼らは専門性が高いので、「任せられた仕事でベストパフォーマンスを出した後は自分の時間」というふうに、メリハリをつけた働き方ができているのだと思います。

その光景を見て、「私もいつかそんな働き方ができるプロフェッショナルになれたらいいな」と憧れたんですよね。これも一つの自分らしい働き方なのかなと。

ーー自己分析や他者からの客観的な評価を生かして自分をふかんしてみること、時には「いつもいる場所」を飛び出して違う環境や価値観に触れてみること。そういう行動が、自分らしい働き方を見つけるきっかけになりそうですね。

本気で仕事に取り組むことで「自分の色」が見えてくる

ーー「自分らしい働き方」に加えて、自分の将来が見えないことに悩む女性もいますが、皆さんはいかがですか。長期的にキャリアの計画を立てていますか?

山口(智):私も長期的なビジョンははっきりしていません。

ただ、「将来こうなりたい」という明確なビジョンがないからこそ、まずは目の前にある課題を一つ一つクリアして、小さくてもいいから成功体験を積んでいこうと考えるようにしていますね。

山口(涼):私も「いつまでにこうなりたい」というビジョンがあるタイプではありませんが、「取りあえず今はここを目指そう」という短期的なゴールを持つことで、自分自身が仕事に対して「このような経験ができた」と前向きにとらえることができると感じています。

得るものが何かを考えると、自分が目指すべき方向への道筋も見えてきますよね。

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本間:私も長期の見通しはありません。なので、目の前の仕事に集中しています。

ただ、それでもいいと思うんですよ。自分ががむしゃらになって取り組んだ仕事を振り返ってみると、そこには自然と「自分」の色が出ている。何かに一生懸命取り組むことで、自分が大切にしたいものが見えてくるんです。

そして、その仕事を成し遂げた時に周囲からもらった言葉が、自分らしさを知るヒントになる。それらを積み重ねていくことで、自分らしい未来が見えてくるのかもしれませんね。

ーー皆さんが今後、仕事や働き方の面でチャレンジしてみたいことは?

本間:目標としてはささやかなことかもしれませんが、自分らしいワークライフバランスをキープしていくことですね。

子どもが生まれてからは本当に忙しい毎日だったのですが、今年から子どもが二人とも小学生になり、生活は少し落ち着いてきました。

今後は子どもたちに対する精神的なフォローが必要な時期だと思うので、家庭と仕事のバランスを保ちつつ、自分の心も大切にして働き続けていきたいです。

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山口(智):私の今の目標は、ビジネスパーソンとしてさらに成長することです。

営業現場において至らない部分がまだまだあるので、先輩たちのようにプロジェクトをリードする力や想像力、交渉力などのスキルを伸ばしていきたいと考えています。

そして機会があれば、自分の視野を広げるために他の職種にもいつかチャレンジしてみたいです。

当社では社内公募制度を利用して希望の部署に異動する人がたくさんいますし、もし自分がそれを利用することになった時も、周囲の人たちが「あなたがやりたいことなら応援するよ」と背中を押してくれると思います。

山口(涼):私がチャレンジしたいのは、どこへ行っても通用する専門性の高いプロフェッショナルとしてのスキルを磨くことです。

今担当している仕事は、何をどう進めていくのか、正解がないところから自分で考える必要があるので、そこが難しくも面白くもあるところ。

今は自分が満足できるまでこの仕事を頑張って、「どこに行っても十分やれるぞ」という自信を持てるようになりたいなと思います。

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取材・文/一本麻衣 撮影/小黒冴夏 編集/栗原千明・柴田捺美(編集部)