85歳の世界最高齢VTuberメタばあちゃん爆誕のワケ「今の若い人たちの仕事の悩みは贅沢すぎるね」
人生100年時代。年齢や常識に縛られず、チャレンジを続ける先輩女性たちの姿から、自分らしく働き続ける秘訣を学ぼう
2022年末、VTuber「メタばあちゃん」がさっそうと登場し、インターネット上をにぎわせた。
ひろこ85歳です。現役の後期高齢者です。
広島県出身。バカ孫に言われ、あいどる活動を始めました。お友達も募集中です。#新人Vtuber #Vtuber始めました pic.twitter.com/gDUanfO6pf— ひろこ(85)【メタばあちゃん®︎】 (@meta_grandma) December 7, 2022
「元気が有り余っているユニークなおばあちゃんたちをメタバースの世界で人気アイドルに育てていく『メタばあちゃん』プロジェクト」の0期生としてデビューしたのが、世界最高齢VTuber、85歳のひろこさん。
「何も分からんかったし、今でもよう分かってない」と笑うひろこさんは、スマホすら持っていない。そんな彼女はなぜメタばあちゃんとしてVTuberを始めたのか。
メタばあちゃんになって、生きがいはちょっと増えたかもしれん
メタばあちゃんになったきっかけ? それはただ、「おばあちゃん、これやってみんか?」ってバカ孫が言うたからです。
「おばあちゃん、これ読んでみてよ」って言われて、渡された紙を最初は読んだだけ。
何も分からんかったし、今でもよう分かってないんですよ。インターネットのことは何も分からんし、携帯電話も持ってないしね。普段はテレビを見るくらいで。
でも、孫の役に少しでも立つならやってみよう思うて、こうやってメタばあちゃんをやっとります。
初めてユーチューブでメタばあちゃんが自分の声でしゃべってるのを見た時は、まあ恥ずかしいような、うれしいような、ね。もう、びっくりびっくり。
でもね、みんながコメントをようけくださるんで、それがうれしいね。「みんな見てくれよってんじゃねぇ」という感じです。
コメントは毎朝嫁さんが読んでくれるから、それを聞くのが楽しみじゃね。
内容はね、バカ孫と一緒に考えよるんじゃよ。毎朝家族会議で「こういう質問が来てるけれど、おばあちゃんはどう思う?」って、一生懸命考えてます。
最近は「あれは撮り直した方が良かったんじゃないか」とか「あれで良かったんか」とか、気になることもあります。
プー太郎みたいな孫じゃけ、少しでも何かの足しになればと思うてやってるからね。
それに、見てる人や登録者が増えると、やっぱりうれしいね。生きがいはちょっと増えたかもしれん。
家族も一層仲良しになって、会話が増えて楽しいですよ。

それまでの楽しみは毎日のプールと韓国ドラマだったそう
一生の友達なんていないです。「85年間友達」なんて人はいないからね
メタばあちゃんは若い人なんだか、年寄りなんだか、よう分からんですけど、コメントをくださる人は若い人が多い感じがします。
いろいろ悩みがあるみたいじゃねぇ。恋愛じゃったら「ダメ男と付き合っています」とか。
そういう悩みは、私が若い頃にも経験しています。結婚したおじいちゃんはダメ男でね。私の経験を経て、ダメ男はずっとダメ男だと気付きました(笑)
だからまだ結婚しておらんのなら、「別れなさい」やね。私は好きで一緒になったけど、結婚したらもう遅いね。自分が働くより仕方ないって相手にせず、自分は自分の道を行きました。
ダメ男はどんどんひどくなったけん、最後にはどうしようもなかったね。でもまあ、早く亡くなったから(笑)
あとは、「友達をつくるのが苦手です」というコメントもありました。
私はね、友達は少ないですよ。今はプールに行ってるから、プールの人が友達と言えば友達。プールだけの友達。
そもそもね、一生の友達なんていないんですよ。ばあちゃんは85歳だけど、85年間友達っていう人はいないです。
50歳から60歳までの友達、プールだけの友達、その時々の友達でいいんじゃないかねぇ。
だから友達がおらんことを気にすることはないです。どこかに行って、そこで人と話せばもうね、すっきりするでしょう?
元気だったら死ぬまで働くのが普通じゃったけえ、70歳まで働いた
私は頭の中が空っぽだから、肉体労働ばっかりやってきました。
メリケン粉(※小麦粉の別名)や砂糖の卸問屋で30年勤めてね。20キロとか30キロの袋を肩に担いで、パン屋さんとかうどん屋さんに運んどったんです。
あの頃は機械がないからね。私が辞める頃にフォークリフトが入ったくらいで。
55歳くらいで体力が限界だったから重たいものを持つのは辞めて、今度は飲料水の工場に10年以上勤めて、70歳まで働きました。
工場の仕事が終わったら、夕方からは副業で新聞の集金もやりましたよ。
配達や集金した先でいろんな人とお話しするのが好きでね。若い人から年寄りまで、違う年代や立場の人と話すから勉強になるし、面白いじゃないですか。
若い人からは「人間関係が嫌だ」「あの人が嫌いだ」ちゅうコメントも来るけど、今の人は自分中心で生きてるから、あんまり話し相手がおらんのじゃないかね。
特に横のつながりばっかりで、上下のつながりがないんじゃないんですか。いつもとは違う人の話を聞いてみるといいと思いますよ。

私は息子夫婦と暮らしてるから、実は卸問屋を辞めた時、私が働く必要はなかったんです。
でもね、昔は元気だったら死ぬまで働くのが普通じゃったけえ、働くのは当たり前のことじゃった。しんどいとか、やらされてるとかじゃなくて、自分が楽しいのもあるしね。
あとは、孫たちと一緒にお祭りに行くお金を稼ぐためでもあったんですよ。
初めは仕事をするのは自分のためだったけど、途中からは子どものために一生懸命働いて、今もバカ孫のためにメタばあちゃんをやってます。
昔から自分のためにお金を使いたいと思わない。肉体労働じゃけ、着るもんも飾るもんもいらんから、別に買いたいものもなかったね。
欲しいもののために頑張るのもいいけど、何のために頑張るのか、見直してみるのもいいんじゃないかと思いますよ。
40代までは「まだひよこさんです」いう気持ちでいればいいんですよ
働いてた頃は元気な盛りやったから、しんどいこともなかったんです。その頃はみんなが生きるために一生懸命働いとったしね。
私ら、悩みなんか思う間がなかったですよ。
生活に追われてたけん、とにかく食うていくのに精いっぱいじゃった。「こんな悩みがある」なんて言う人もおらんし、そんなこと言うこと自体できなかったです。
特に30歳から60歳ぐらいまでは、もう、一生懸命じゃったね。
「もう30歳だ」「もうすぐ40歳だ」なんてことも全然頭になかった。気が付いたらおばあさんになっとったぐらいです。
そう考えると、最近は贅沢すぎるんじゃろうと思います。
「今の仕事が面白くない」「挑戦したいけどできない」ちゅうコメントが来ますけど、贅沢な悩みですよ。ほとんどの若い人は、ばあちゃんより楽な仕事しとるしな。
昔は就職したら定年まで勤めんといけんかったし、怒られることもたくさんあったけど、今は違うんじゃから、まずはやってみて、いけんかったら辞めればいい。
昔はそれはいけんことやったけど、今の人は若い時に仕事が次々変わってもいいと思いますよ。やってみなきゃ分からんから、会社が使ってくれるならまずは働いてみたらいいんじゃないですか。
ずっと立ち止まっとっても全然動かんからね。駄目で元々、一歩踏み出して、一回やってみたらいい。自分の好きな道を行けばいいですよ。
それに20代も30代も、まだひよこさんです。そこからが長いからね。やっぱり自分が好きなことをやってみた方がいいんじゃないんですか。
私はね、力仕事を辞めた時にニワトリになったように思った気がします。工場の仕事は卸問屋より楽でね。これでいいかなって思った。それまでは無我夢中で働いたからね。
だから40代ぐらいまでは「まだひよこさんですよ」いう気持ちでいればいいんですよ。ニワトリになるのは50歳手前くらいじゃないですか。

これからやりたいことは、元気にプールに行くことと、2カ月前に生まれたひ孫の成長を見ること。「現状維持でいいけんね」
取材・文/天野夏海 編集/柴田捺美(編集部)
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