今やりたいこと、いずれ挑戦したいこと、どちらを選んだらいい? キャリアアドバイザーが明かす、30代以降の選択肢を広げる行動
「どうやったら転職はうまくいく?」「私に向いている仕事って何?」はじめての転職には悩みや迷いがつきもの。長く自分らしく働き続けるための転職のコツを、キャリアアドバイザーが伝授!

いつかチャレンジしたい仕事があるけれど、今の仕事も楽しい。
でも将来のことを考えるなら、早いうちに転職した方がいい?
今やりたいことと、将来やりたいこと。
どちらを優先すべきか判断がつかない20代女性の悩みに、キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんが回答します。

<プロフィール> 株式会社キャリエーラ 代表取締役
藤井佐和子(ふじい・さわこ)さん
大学卒業後、カメラメーカー海外営業部にて3年半従事、その後、前職インテリジェンス(現:パーソルキャリア)では、創業期の1994年から8年間派遣事業部と紹介事業部の立ち上げに携わる。2002年株式会社キャリエーラを立ち上げ、キャリアアドバイザーとして1万7000人以上のカウンセリングを行う
今回の相談:いずれやりたいことがあるなら、20代のうちに転職すべき?
(20代/営業職)
30代になると未経験転職は難しくなると聞きますが、そうなると20代で選んだ仕事が今後の人生の方向性を決めてしまうように感じて不安です。
今は営業の仕事が楽しいですが、いずれは経営企画や事業企画の仕事にもチャレンジしてみたいなと思っています。
その場合、今のうちに転職しておいた方がいいのでしょうか。
・いずれやりたいことが明確にあるのなら、今のうちから準備をしておこう
・「いずれやりたいこと」の解像度を上げて、経験を生かしながらチャレンジする方法を考えてみよう
・20代のうちにできることを増やして、30代以降の選択肢を広げよう
「将来やりたいこと」をかなえる2つの準備
まず最初に、Eさんは「30代になると未経験職種への転職は難しい」と考えているようですが、決してそんなことはありません。
正確に言うと、職種によります。
例えば人気の事務系職種の場合、応募が集まりやすいこともあって30代以降は高い専門性やマネジメント経験をを求められることが多く、一方で営業やサービス業、介護職など人手不足が進む職種は、年齢を問わず未経験転職の門戸が開かれている傾向にあります。
まずは自分が希望する職種が、年齢を重ねると転職が難しくなるのかどうかをチェックしておきましょう。
その上で、Eさんが希望する経営企画や事業企画の仕事に関してお話しすると、これらは年齢を重ねてから未経験転職をする難易度が高い職種といえます。
やりたい意思が強いのであれば、すぐにチャレンジしてしまってもいいと思いますが、今のEさんは営業の仕事を続けたいと考えているんですよね。
それであれば、いざ経営企画や事業企画の仕事にチャレンジしようと思ったときに可能性を狭めてしまわないよう、準備をしておくといいと思います。

具体的にできることとしては、2つ挙げられます。
1つ目は、社内異動に向けた準備です。
Eさんが希望している経営企画や事業企画は、企業の中枢となるポジション。
会社のことを熟知しておく必要があるため、実は未経験かつ入社したばかりの中途入社者に任せにくい職種なんです。
そのため、転職よりも社内異動をねらう方が近道かもしれません。
異動のチャンスを狙う一番の方法は、今の会社でしっかりキャリアを積み、ポジションを上げておくこと。Eさんの「今は営業職を続けたい」という思いもかなえられて、一石二鳥ではないでしょうか。
なお、これは経営企画・事業企画職に限ったことではありません。やりたいことをかなえる方法として、社内異動を考慮に入れておくと、転職以外の選択肢が広がることはぜひ覚えておきましょう。
2つ目の準備は、必要な専門知識の習得。
経営企画・事業企画の場合、経営や財務会計、法務、マーケティングなど幅広い知識やスキルが求められます。
あらかじめ中小企業診断士や日商簿記といった資格取得を通じて知識を得ておくと、転職を有利に進められるだけでなく、異動のチャンスも増すはずです。
やりたいことは「別の職種」でもできるかも?
また、少し発想を転換して、「自分がいずれやりたいことは、本当にその職種じゃないと実現できないのか」を考えてみると、新たな道が見えてくるかもしれません。
Eさんが「経営企画や事業企画の仕事にチャレンジしたい」のはなぜでしょうか?
「営業職として経営層と接する中で企業の経営に興味が湧いてきたから」
「営業の仕事の中でも経営課題の解決方法を考えるフェーズが一番楽しいから」
このように「なぜ経営企画や事業企画なのか」を紐解き、その仕事を通して実現したいことを整理してみましょう。
そして、それは本当にその職種でなければ実現できないのかを考えてみてください。
例えばEさんが「経営課題を解決するための企画をすること」に魅力を感じているのなら、コンサルタントという道もあります。
コンサルタントであれば営業職の延長線上にあるキャリアなので、経験をダイレクトに生かしつつ「企画」に比重を置くことが可能です。
将来何をやりたいのか、もう少し解像度を上げてみて、これまでの経験を生かして実現できる職種はないかを探ってみる。
そうすることでより良い選択肢が見つかるかもしれませんよ。

キャリアを広げるために20代ができる「手持ちの武器」の増やし方
「今は好きなことをしたいけど、将来の選択肢を狭めたくはない」と考える人に、ぜひ意識してほしいことがあります。
それは、20代のうちにできることを増やすこと。
「この仕事は向いていないから」「これはあんまり興味がないから」などと食わず嫌いをせず、20代のうちはさまざまなことにチャレンジしてみてください。
社内公募やジョブローテーションなどを積極的に活用するのもおすすめです。
これからは、既存の仕事がなくなったり、反対に新しい仕事が生まれたりする可能性が高く、さらに転職を繰り返しながらキャリアを積んでいく時代に移り変わりつつあります。
だからこそ、できる限り手持ちの武器を増やしておきましょう。
そのためには、ただチャレンジをするだけでなく実績を出すことも重要です。
チャレンジし、ちゃんと結果を出してからまた新しいチャレンジをする。それによって経験を確かな武器にすることができます。
そうやって20代のうちにできることを増やしたら、30代になるタイミングでキャリアの棚卸しをする。
自分が何をしてきたのかを整理し、その経験を組み合わせたり、あるいは極めていく道を絞ったりしながら30代以降のキャリアを考えていけるといいですね。

20代の過ごし方次第で、将来やりたいことにチャレンジできる可能性は大きく広がっていくはず。30代以降のキャリアの土台は20代で作られると言っても過言ではありません。
できることを増やしておけば、「今やりたいこと」を「将来やりたいこと」につなげていける可能性もまた、高まっていくと思います。
取材・文/赤池沙希 編集/光谷麻里(編集部)
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