転職したいのに「最悪な運勢」だったら…? 占い師に聞く、悪い結果の受け止め方【真木あかり】
年の瀬が近づき、雑誌やTVで「来年の運勢」特集を目にする機会も多くなった。
来年こそ転職したいと考えている人にとって占いの結果は気になるところだが、「仕事運は最悪!」「転職は絶対NG」といった悪い結果が出ることも。
占いはあくまで占い。そう分かってはいても、なんとなく出鼻をくじかれたような気がしてしまう……。
そんな時、最悪な占いの結果をどう受け止めれば良いのだろうか? 人気占い師・真木あかりさんに、率直な疑問をぶつけてみた。

真木あかり
占い師。学習院大学卒業後、フリーライターなどをへて占いの道に。占星術や四柱推命で運命をひもとき、人が自分の人生をより良く生きるためのアドバイスを行う。『タロットであの人の気持ちがわかる本』(説話社)、『真木あかりの超実践 星占い入門』(主婦の友社)、等著書多数 ■X(Twitter)
10年に一度訪れる低迷期は「修行」のチャンス
「転職したい」と考えている時に、占いで最悪な結果が出てしまったらどうすればいいと思いますか?
転職を諦める必要はないと思いますよ。
ただし、悪い結果が出ている人の中には「低迷期」に差し掛かっていることが少なからずあり、そのタイミングで新しいチャレンジに打って出ると不利になることもありますね。
低迷期って、一体何ですか?
持ち前の力がうまく出せなかったり、普段よりもチャンスに恵まれにくかったりする時期のことです。
一般的には、新しいことを始めても努力が報われにくいとされています。
四柱推命という占いでは、10年ごとに2年間、「空亡(くうぼう)」と呼ばれる低迷期が訪れます。
10年に一度って、けっこう頻繁に訪れるものなのですね。
「転職したい」と思うきっかけは、低迷期からくる焦りに起因することも多いのです。
占い結果で「新しいことはダメ」「うまくいかない」などとある場合、転職そのものがダメというより、仕事に対する向き合い方自体を見直した方がいいですね。
ただ、実際に低迷期は予期せぬトラブルも起きやすいのです。
この時期に新しい環境に飛び込んだりリスクある挑戦をしたりするのは避けて、足元を固めることに集中した方が無難ではありますね。
やはり転職は避けた方がいいのでしょうか……?
そうとは限らないですよ。
あくまでも空亡は、頑張ってもなかなか報われない状況に「なりやすい」時期。壁に多く直面するかもしれませんが、絶対に失敗するというわけではありません。
むしろ、そうやって大変な時期を乗り越えることが、今後のキャリアにとってプラスに作用する可能性もあります。
どういうことですか?
例えば、転職先で同じプロジェクトに参加していた先輩が退職することになり、急きょその仕事を引き継ぐことになったとします。
「いきなり仕事量が増えて災難だ」と思うかもしれないけれど、難易度が高い仕事にたくさん挑戦できる機会でもあるわけです。
そこで頑張って結果を出すことで昇進につながる、なんて可能性もありますよね。
大変な時期を踏ん張ることで、長い目でみたらキャリアが良い方向に向かうかもしれないのですね。
そういうことです。だから空亡の時に「それでも頑張ってみたい」とおっしゃる方には、「トラブルが多い時期だから、修行だと思って頑張ってね」とお伝えしていますね。
ただ、一つ注意してほしいのは、ハラスメント。
特に運勢が悪い時期は、ハラスメントを受けていることに気付かず、勉強だと思って耐えようとしてしまいがちです。
そうならないためのアドバイスはありますか?
空亡の時に転職する場合は、友達や家族とよく話をするといいですね。
例えば転職する前から「こういう時期に転職するんだけど、私が変な考え方をし始めたら言ってね」などと言っておくのです。
自分だけでなく、第三者の目も準備しておく。それが、自分の身を守るために大切だと思います。

占い師は空亡の時期をどう乗り越える?
占い師の方でも、新しいことに挑戦しようと思ったタイミングと空亡の時期が重なることは起こり得るわけですよね。真木さんもそういう経験はありますか?
34歳の時に大学に入り直したタイミングが、まさに空亡の時期でしたね。
当時は会社員として働きながら、師匠の下で占いの勉強もして、さらに副業でライターの仕事もしていました。
専門分野を持ってライターの仕事を増やしたいと思っていたので、前から興味のあった心理学を本格的に学ぼうと考えたんです。
ただ、当時の私は空亡期。迷いはありましたが、占いの師匠に「空亡の時期に学んだことは絶対に後で生きるから、頑張ってごらん」って言われて、思い切って大学入学を決めました。
大変な時期だと分かっていてチャレンジした結果、どうでしたか?
正直、きつかったです。本業に副業、占いの修行、そして大学生活。複数のわらじをうまく履いていけると思いきや、いつの間にかボロボロのわらじになってました(笑)
それでも、「何が何でもこの経験を将来に生かしてやる」って思いでがむしゃらに頑張って、何とか大学を卒業することができました。
当初の想定通り、学んだ心理学をライターの仕事につなげることはできたのでしょうか?
はい。心理学の専門書などをたくさん執筆させてもらって、学費の何倍も稼ぐことができました。
今では「よし、頑張った分の元はとれたぞ」って満足しています(笑)
現在占い師として活動する中で、心理学の知識が生きることもありますか?
その二つに直接的な関連性はないものの、学んだことはすごく生きてるなと思います。
占いの鑑定は、カウンセリングと同じように一対一で行うのが基本。
相手のお悩みに耳を傾けて本音を聞く過程において、心理学で学んだ傾聴の基礎が役に立つんです。
「空亡の時期に学んだことは絶対に後で生きる」と占いの師匠から言われた通りになったのですね。
大変だったけど、あの時に頑張ってよかったと思いますね。
先ほどもお伝えした通り、空亡は「足元を固める」時期。勉強やスキルアップのための努力は、好調期よりもはかどったりします。
私の場合、ドタバタともがいたことで人生の土台ができあがったのだと実感しています。

「ちなみに2024年からまた空亡に入りますが、堅実に学んでいきたいと考えています」(真木さん)
占いは振り回されるものではなく、使うもの
占いで悪い結果が出たとしてもやりたいことを諦める必要はない。そうなると、結局占いの結果ってどう受け止めればいいのでしょうか?
占いは振り回されるものじゃなくて“使う”もの、と思ってほしいですね。
少し先の道にあるものを教えてくれる、“地図”を示してくれるだけなのです。
地図?
空亡は修行期間だと事前に分かっていたら、何かトラブルが起きても「大変な時期だから、とにかく頑張ろう」と踏ん張ることができたり、新しいことに挑戦する前も「リスクに備えてしっかり準備しておこう」と対策をしたりできますよね。
つまり占いはあくまでも、少し先の人生の道のりを示すもの。
その道のりの状況に応じて、しかるべき準備や対策をすることが大切なのです。
「仕事運が悪い」「転職はNG」といった結果をそのまま受け止める必要はないのですね。
占いをそのまま鵜呑みにするのは、実はとても危険です。
例えば大変なことが起きて壁にぶつかった時、「やっぱり運勢が悪いからだ」と占いのせいにしてしまうと、内省を忘れてしまう。
そうすると、人として成長するチャンスを逃してしまいますよね。
また、良い結果だった場合も鵜呑みにするのはNGです。
良い結果の時も、ですか?
「今年は仕事運が絶好調!」という結果を見て安心してしまう人も少なくありませんが、そのまま何もせずにいると「ちょっとラッキー」くらいで終わってしまうこともあるのです。
なので、占いの結果そのものより「それを踏まえて、自分はどんな行動をすべきなのか」を意識して過ごしてほしいなと思います。

良い結果であれば、それを生かしてどんな行動をするか。悪い結果であれば、ダメージを最小限にするためにどう備えるか。
自分がやりたいことを実現するために、占いをどう生かすかがカギになるのですね。
これから転職を考えている方は、占いの結果に対して特に神経質になってしまうかもしれません。
でも、占いはあくまで少し先の道のりを示すものであり、その道をどう進むかを決めるのは自分自身。
そのことを忘れずに、占いを効果的に“使う”ことを意識してみてくださいね。
取材・文/柴田捺美(編集部)