忙しい女性でもすぐ実践できる「睡眠の質」の高め方5選【エアウィーヴ・睡眠健康指導士監修】

仕事でパフォーマンスを発揮するためにも、健康や美容のためにも、欠かせない睡眠。「しっかり眠りたい」というのは、忙しい日々を過ごす人々が持つ切実な願いだ。
ところが、現実は多くの人が睡眠に何かしらの課題を抱えている。
朝起きるのがつらい。うまく寝付けない。寝ても疲れが取れない……。
こうした睡眠の悩みを解消するにはどうしたらいいのか。睡眠健康指導士の資格を持つ“眠りのプロ”、寝具メーカー・エアウィーヴのスリープカウンセラーである古賀彩那さんに相談してみよう。

株式会社エアウィーヴ スリープカウンセラー/睡眠健康指導士
古賀彩那さん
金融機関で窓口業務を経験後、2021年4月エアウィーヴへ転職。未経験から睡眠について学び、現在は福岡県の店舗にてスリープカウンセラーとして従事
「朝すっきり起きられない」は当たり前じゃない
まずは「質の高い睡眠」について教えてください。どのような状態であれば、きちんと眠れていると判断できるのでしょうか?
寝起きの疲労感がなく、すっきり起きられた時は、良い睡眠が取れていると思います。
しっかり眠れていれば体と脳の疲労は回復されるので、寝起きの爽快感につながるんです。
え、朝眠くて布団が恋しいのは当たり前じゃないんですか……?
そうですね。毎日のように寝起きがすっきりしない場合は、睡眠の質が良くない可能性が高いと思います。
他に、日中に眠くなってしまう人も要注意です。基本的には夜きちんと眠れていれば、日中に眠くて仕事にならない、なんてことは起こらないはずですから。

朝すっきり起きられないのも、日中睡魔に襲われるのも、当たり前だと思っていました……。
そういう方は、ぜひご自身の睡眠を見直してみることをおすすめします。
ご存じの通り、睡眠不足はさまざまな悪影響を及ぼします。
睡眠が不足すると成長ホルモンの分泌が減って疲れが取れにくくなり、集中力や記憶力も低下しますので、仕事のミスにつながる……なんていうこともあるかもしれません。
健康や美容にも影響しますから、睡眠の質を高めることは生活全般において重要です。
睡眠のポイント1. 寝たい時間から逆算して起床時間を決める

睡眠の質を高めるために、具体的には何をしたらいいですか?
まずは平日、休日に関係なく、起床時刻と就寝時刻を一定になさってみてください。
せっかくの休日は朝寝坊したいです……。
お気持ちは分かります(笑)
ただ、私たちの体は起床後に太陽の光を浴びることで体内時計がリセットされ、その14〜16時間後に眠気が現れるようになっています。
つまり、仮に11時に起きて太陽を浴びると、眠気が生じる時間は深夜1〜3時になってしまうということ。
そうやって就寝時刻が後ろ倒しになって睡眠時間が足りなくなることで「休み明けの出勤がつらい」原因になってしまったりするんですよね。
なるほど。寝たい時間から逆算して、起きる時間を決めるのが重要なのですね。
そうですね。シフト制のお仕事をしていて生活リズムを固定するのが難しい方も、「寝たい時間の14〜16時間前に日の光を浴びる」ことを意識できるといいですね。
そもそも平日の睡眠の質が悪いから休日にたくさん寝たいと思うわけですもんね。
そう考えれば、平日の睡眠の質を上げることで、休日に普段と同じ時間に起きることへの抵抗は減っていくのかもしれないなと思いました。
おっしゃる通りです。質の良くない睡眠が借金のようにたまっていくことを睡眠負債と言うのですが、この睡眠負債をなくすには日々の積み重ねが大切なんです。
1日で直せるものではないので、無理せず、自分のペースで生活リズムを整えていってくださいね。
ちなみに、睡眠時間は何時間くらいが適切ですか?
人によって異なるので、自分に合った睡眠時間で質の良い睡眠を取ることが大事ですね。
適正な睡眠時間を把握するのは難しいのですが、睡眠環境を整えた上で、朝すっきり起きられなかったり日中眠くなってしまったりするようであれば、睡眠時間が足りていないのかもしれません。
睡眠のポイント2. 寝る前にスマホを遠ざける工夫をする

「寝る前にスマホを見てはいけない」とよく耳にするのですが、やはり良くないのでしょうか?
寝る1時間前にはパソコンやスマホなどの電子機器から離れるのが理想です。
というのも、小さい端末から放たれる光は目に与える影響が大きく、眠りのスイッチが入りにくくなってしまうんです。
また、スマホは情報量が多く、「このケーキおいしそうだな」「こんなニュースがあったのか」といったように、脳が活発化してしまう点も問題です。
寝る直前にうっかり会社のメールを開いちゃって、そのまま仕事のことを考えて眠れない……といった経験に心当たりがある人は多そうですね。
寝る前にスマホをいじったり、YouTubeを見ながら寝落ちしたりするのが習慣になっている場合はどうしたらいいですか?
画面を見ずに音だけを楽しんでみるなど、少しずつスマホと距離を置いていけるといいですね。
どうしてもスマホを手放せないのであれば、せめて画面の照度を下げたり、通知をオフにしたりすることから始めてみるといいと思います。
許容できる範囲で工夫して、少しずつスマホを遠ざけていけばいいのですね。
あとは、ベッドに入る前の行動を変えるのもおすすめです。
お風呂に入る前にスマホを離れたところに置いて、お風呂から出たらそのままスマホを触らずにベッドに入るなど、「スマホを遠ざける」ことを普段の行動に組み込むと習慣を変えやすいと思います。
睡眠のポイント3. 寝付けない時はベッドから出る

頭の中で悩みや不安がぐるぐるめぐってしまって寝付けないことがあるのですが、眠ることに集中するコツはありますか?
頭を空っぽにしやすい環境を整えてみてください。ヒーリングミュージックを流す、眠る前に紙に書き出して頭の中を整理するなど、リラックスすることを意識してみると寝付きやすくなると思いますよ。
それでも眠れない場合はどうしたらいいですか?
思い切ってベッドから離れた方がいいと思います。
起床時刻と就寝時刻を一定にするのは大切ですが、「早く眠らなければ」とあせってしまうと、眠りがストレスになることもあります。
眠れないことにあせるのではなく、「寝る時間が遅くなっちゃったけど、明日の朝いつも通りの時間に起きれば、夜は早く寝付くことができるぞ」と、前向きに考えていただけるといいですね。
ベッドから離れて、暇だからってスマホを見てしまうと悪循環ですよね……。眠れない時間は、何をするのがおすすめですか?
ホットミルクなど暖かいものを飲んだり体をほぐしたりして、緊張をゆるめることを意識してみてください。
あとは、読書もおすすめです。文字列を目で追う眼球運動は、眠気を誘うことが分かっています。できれば電子機器ではなく、紙媒体で読書をしてみるといいですよ。
その際、部屋の照明を落として、間接照明などで優しい光にできるとより眠気を誘いやすくなります。
睡眠のポイント4. 湯船に浸かるorシャワーを長めに浴びる

睡眠の質を高めるには、シャワーだけでなく、湯船にしっかり浸かることも大切です。
人は眠る時に手足の温度を上げることで熱を放散し、体の内部の温度を下げることで眠くなるのですが、その準備として体の内部の温度を上げておく必要があるんです。
そこで有効なのが入浴。40度ぐらいの湯船に15〜20分浸かり、お風呂から出た1時間後を目安に寝床につくと寝付きやすくなります。
15分湯船に浸かって1時間後に寝るには、お風呂を沸かしたり夕飯を食べたりする時間も含めると、少なくとも寝る2〜3時間前に帰宅する必要がありますよね。
「毎日はちょっと難しい」という人も多い気がします……。
お風呂に浸かる余裕がないときは、熱めのシャワーを長めに浴びるのでもOK! それでも体の内側の温度を上げられますよ。
温度が熱すぎると一気に体温が上がり、その後すぐに下がってしまうので、ぬるま湯よりちょっと熱いくらいの温度のシャワーで、体をしっかり温めてみてください。
睡眠のポイント5. 寝具を見直す

起きた時に首や腰が痛いことがあるのですが、何が原因でしょうか?
起床時に体の痛みがある人は、寝具が合っていない可能性が高いと思います。肉体的な疲れの度合いにもよりますが、基本的にはその日の疲れは睡眠で取れているはずですから。
あとは、ご紹介した睡眠のポイントを試した上で、それでも睡眠の質が良くないと感じる場合も、寝具を見直していただきたいですね。
基本的な質問ですが、良い睡眠を取る上で、なぜ寝具が重要なのですか?
先ほども少しお話しましたが、良い睡眠を取るには体の内部の温度を下げることが大切なんです。
その際ポイントになるのが、寝具の通気性。体と寝具が面するところから体の熱を逃すことで、スムーズに体の内部の温度を下げることができます。
でも、寝具が体にまとわりつくと、体が寝具に埋もれてしまうためかえって熱がこもりやすくなります。そのため柔らかすぎる寝具は通気性が良くないことが多いんです。
また、熟睡のためには自然な寝返りを妨げないことも大切ですが、寝具が柔らかすぎると、体が沈んでしまって寝返りが打ちにくくなります。
寝具が睡眠の質に与える影響は大きいんですね。
そうですね。寝具にこだわっていただくのは睡眠の質を上げる近道でもあります。
実際にエアウィーヴでは、多数の東大合格者を輩出している奈良の西大和学園の学生寮をはじめ、宝塚歌劇団の寮、パリオペラ座バレエ学校など、寝具を提供することで皆さまのパフォーマンスを眠りの面からサポートしているんですよ。

エアウィーヴ睡眠研究より(参照)

エアウィーヴでは、お客さま一人一人に合った寝具をご提供するために、体型の測定システムを使い、蓄積している測定データをもとに肩・腰・脚の三つの部位ごとに合う硬さを軸に、最適なマットレスを提案している。
自分の睡眠への悩みがスリープカウンセラーに転身する動機に
古賀さん自身も、ご紹介いただいた睡眠のポイントを実践しているのでしょうか?
もちろんです。もし一つでも試していただければ、「こんなに変わるんだ」と実感されると思います。
というのも、実はエアウィーヴに中途入社する以前、私の睡眠の質は相当良くなかったんです。寝起きの腰痛に悩まされていましたし、全然スッキリ起きることができませんでした。
振り返ると、当時はソファベッドの上に柔らかい寝具を乗せていたので、体が沈んでしまい、寝返りが打てていなかったんです。寝る前にはスマホもかなり見ていましたね。

意外です……!
だから私もエアウィーヴに入社して、朝すっきりしていないことが当たり前ではないと知って本当にびっくりしたんです。
そういう意味では、私自身が睡眠に関して悩みを抱えていたことも、未経験からスリープカウンセラーとして当社に転職した動機の一つでしたね。
睡眠の知識を深め、上質なサービスを提供する接客スキルを磨きながら、私自身が心から良いと思える商品をおすすめできますから。

睡眠のプロとして顧客の悩みに応えられるように、エアウィーヴでは季節ごとの寝具の知識を深める研修や、睡眠健康指導士の資格取得のためのオンライン講義、接客のベストプラクティスの共有など、睡眠の知識を深める機会が豊富に用意されている。実際、エアウィーヴのスリープカウンセラーは9割以上が知識・経験ゼロの未経験スタートだという
入社後、自身の睡眠の悩みは解消できましたか?
はい、解消できました!
研修で睡眠や寝具の知識を身に付けていくにつれ、睡眠で体の緊張が全く取れていないことに気が付いたんです。それ以降は、ご紹介したポイントを押さえながら生活習慣や寝具を整えていきました。
今では正しい姿勢で眠れるようになり、朝気持ち良く起きられるようになりましたね。もう腰痛もありません。
古賀さん自身が睡眠の質を改善した経験者でもあるのですね。
接客したお客さまの睡眠の質についても、改善できている実感はありますか?
そうですね。お客さまの中には、「よく眠れるようになった」など、購入後の感想をわざわざ伝えに来てくださる方もいらっしゃいます。
というのも、当社では「どうすればお客さまの生活がより良くなるか」というマインドで接客をしていますので、その分お客さまとお話する時間も長いんです。
寝具は頻繁に買い替えるものではないので、お客さまとの接点も購入時に限られてしまうのが一般的だと思いますが、一人ひとりのお客さまと向き合うことができるからこそ、長いお付き合いができていますね。
お店に立ち寄るたびに声をかけてくださる方も多くいらっしゃいます。

1回限りの接客ではなく、場合によって長期にわたってお付き合いをする。まさに「スリープカウンセラー」ですね。
たくさんのお客さまと接する中で、正しい知識をベースに睡眠環境や生活習慣を整えれば、眠りを改善することはできると実感しています。
エアウィーヴでは睡眠に関する研究結果を基に皆さまの眠りをサポートしていますので、うまく眠れていない方はぜひ睡眠のプロを頼っていただきたいですね。
私もスリープカウンセラーという名に恥じないよう、お客さまの悩みに寄り添いながら、これからも皆さまの睡眠をサポートしていければと思います。

取材・文/天野夏海 撮影/赤松洋太 編集/光谷麻里(編集部)