01 OCT/2024

出社回帰する企業が増える今、リモートワークを続けるためにできる4つのこと

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出社回帰する企業が増える今、リモートワークを続けるためにできる4つのこと

Amazon、社員に週5日出社義務付け 米巨大テックで初」ーー世界最大のテック企業のひとつであるアマゾン・ドット・コムが、世界の社員に原則として週5日のオフィス出社を求めることになったというニュースが話題になりました。

私自身もフルリモートワークで企業経営をしているので非常に気になったニュースです。

日本企業でもGMOインターネットグループやクラウド会計ソフト大手のfreee(フリー)が原則として週5日出社をルール化するといった流れがあります。

みなさんの周囲でもこうした傾向は見られますか?

出社回帰の背景にある企業の懸念

企業が出社回帰を望む理由は、オフィスならではのメリットを感じているからでしょう。実際、出社回帰を決めた企業の理由説明を読むと大きく以下の背景があげられます。

リモートで会議に参加する人

会議の議論が深まる

オンラインでは複雑で抽象度が高い議論をするのが難しいという声があります。

こまかな表情の変化や身振り手振りなどニュアンスや感情を理解する上で重要になる非言語コミュニケーションがオンラインで伝わりにくい側面があるのも事実です。より議論を深めやすく、イノベーションを生みやすいのはやはり対面の会議と言えるのかもしれません。

オフィスで共通の空間を共有することで一体感が醸成され、チームワークが強化されるといった考え方もあります。「ちょっとした声掛け」がしやすいのもオフィスならではのメリットですね。

生産性の向上

一般的にオフィスでは仕事に集中できる環境が整っていますから生産性の向上につながります。

オフィスであれば同僚の席に立ち寄り、ちょっとした疑問をその場で解消することができます

しかし、リモートワークでは相手のスケジュールを確認し改めて打ち合わせを設定する必要があり、業務のスピードが遅くなってしまうといった意見があります。

その場のコミュニケーションで意思決定して進めていくことができるといった面でも、生産性向上に繋がりそうですね。

偶然の出会いからイノベーションが生まれる

オフィスでは「廊下ですれ違う」「ドリンクコーナーで一緒になる」「ランチを共にする」などの偶然の出会いから新しいアイデアや連携が生まれる可能性があります。

リモートワークだとコミュニケーションが最適化されるため、「たまたま出会う」機会は少なくなってしまいます。

以上のように、生産性を高めながら、仕事を通して生み出す価値も高めやすいことが、大手企業やスタートアップ企業で出社回帰が進んでいる大きな理由であると言えるでしょう。

リモートワークと女性のキャリアには密接な関係あり!?

出社回帰する企業がある一方で、女性が生き生き働き続けることとリモートワークには密接な関係があると感じています。

例えば、私が経営している会社で260名の管理職女性たちに「女性管理職を増やすために有効だと思うこと」を聞いたところ、「柔軟な働き方の実現(フレックスタイム・リモートワークなど)」と答えた人が約7割となり、最も多かったのです(下図)。

(株式会社Waris「女性管理職に関する調査」より)

(株式会社Waris「女性管理職に関する調査」より)

多くの家庭で育児や介護などを女性が中心に行っている現状を考えると、リモートワークができる環境であるかどうかは女性のキャリアにおいては非常に重要なポイントです。

働く場所の自由度が高まることで育児や介護との両立が格段にしやすくなるからです。リモートワークを求める個人側の要望等も考えると今後はリモートワークと出社を組み合わせる「ハイブリッド型ワーク」が主流になるのではないかと私自身は考えています。

女性が自分に合った働き方としてリモートワークも選択できるようにするためには、リモートワークに対する企業の懸念を払拭する必要があります。その解決策について考えていきましょう。

リモートワークの懸念を払拭する4つの施策

出社回帰に踏み切る企業側のコメントを読むと、「リモートワークによってコミュニケーションの質が低下し、イノベーションが生まれにくくなる」「生産性が下がる」と考えている企業が多いことがよく分かります。

これらの懸念を払拭するには、下記が有効です。

リモートワークの懸念を払拭する4つの施策

リモートでもイノベーションを生むための施策

【オンラインでも気軽に会話できる環境をつくる】

フルリモートワークで経営する私の会社ではバーチャルオフィスに集合して聞きたいことがあれば他のメンバーに聞きやすい状態をつくっています。

また「ランダムランチ」と称してランダムに選出したメンバー同士でオンラインでざっくばらんな昼食会をおこなうといった施策も実施しています。

オンラインでも雑談や気軽な会話がしやすい環境を整えることで、思いがけないイノベーションは生み出せるはず。

もし今リモートワークをしている方で、自由に会話する場がないと感じている人は、こういった場の創出を提案してみてもいいかもしれません。

また、社内のオンラインイベントや勉強会に参加し積極的に交流するのもおすすめです。

【スプレッドシート上でブレストができるようにする】

私たちの会社でもう一つ行っていることとして、スプレッドシート上でのブレインストーミングが挙げられます。

たとえば、サービスの名称を起案するとき。サービスの名称の候補と理由を期限内にスプレッドシートで集約しておいて、オンラインミーティングでそのシートに記載された各種アイデアを見ながらディスカッションをします。

互いが感じている現状の課題や疑問もスプレッドシートに自由に書き出しておくことで、より深い議論が可能になります。

リモートでも生産性を上げるための施策

【面談では困っていることや悩んでいることも共有しよう】

1on1(ワンオンワン:上司と部下が1対1で行う面談のこと)を定期的に実施している企業は多いと思いますが、そうした場を上手に使って自分の状況を率直に共有しましょう。

進捗共有にとどまらず、自分が今、困っていることや課題感を含めて共有することで一緒に解決策を考えられるような場にできると効果的です。

一人で抱え込まず、積極的に相談することが生産性向上への近道になるはずです。

【スケジューリングのテクニックを駆使しよう】

一日のスケジュールを立てて優先度の高いタスクから取り掛かることを習慣化したり、ポモドーロ・テクニック(25分間の作業と5分間の休憩を組み合わせる手法)のように時間を区切って作業したりしてみてもいいですね。

メリハリが付けにくくなりがちなリモートワークだからこそ、さまざまなスケジューリングのテクニックを試してみて、自分に合うものを取り入れてみましょう。

またときにはオフィスへ出社し、リモートワークと対面の良さを織り交ぜるのも、一つの手。最も効率が上がる働き方を見つけられるよう、自身から行動していきましょう。

書籍情報

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田中美和

【この記事を書いた人】
Waris共同代表・国家資格キャリアコンサルタント
田中美和

大学卒業後、2001年に日経ホーム出版社(現日経BP社)入社。編集記者として働く女性向け情報誌『日経ウーマン』を担当。フリーランスのライター・キャリアカウンセラーとしての活動を経て2013年多様な生き方・働き方を実現する人材エージェントWarisを共同創業。著書に『普通の会社員がフリーランスで稼ぐ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。一般社団法人「プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会」理事