年末は「こんまり流」の断捨離で自分を再発見? 片づけで磨く「ときめくキャリア」を見つける力

「私、このままでいいのかな」——仕事やプライベートで何となくモヤモヤを抱えていても、忙しい毎日に追われてついそのままにしてしまう人は少なくない。
そんなときには、物理的な「片づけ」が人生を変える第一歩になるかもしれない。
『人生がときめく片づけの魔法』(サンマーク出版)の著者で、片づけコンサルタントとして世界で活躍する“こんまり”こと近藤麻理恵さんは、「片づけは、自分がときめく仕事や生き方を見つける鍵」だと語る。
本記事では、2024年11月25日に開催された東京都主催の「第7回NEW CONFERENCE」での基調講演「こんまり流 ときめく人生をかなえる仕事術」から、片づけを通じて見つける自分らしい働き方や生き方のヒントを紹介しよう。

子どもの頃から片づけ一筋、こんまり誕生秘話
イベントに登場したのは、こんまりさんと、こんまりさんの夫で『人生がときめく片づけの魔法』シリーズのマネジメント・プロデュースを手掛ける川原卓巳さん。
冒頭の自己紹介から、こんまりさんの溢れんばかりの「片付け愛」が伝わってきた。
私は幼少期から片づけの研究が大好きで。大学2年生の時には、友人の家を片付けていたことが口コミで広がり、知らない方からも「お金を払うので教えてほしい」と依頼がくるようになったんです。
少しずつ片づけが仕事として成り立つようになり、「片づけコンサルタント」と名乗るようになりました。大学の卒論も片づけに関するテーマで、人生を通じて「片づけ一本で生きてきた」と言っても過言ではないんです(笑)

大学卒業後は、片づけが社会に役立つイメージが湧かず、一般企業に営業として就職したというこんまりさん。そこでも「片づけ愛」は留まることを知らなかったという。
ある日、営業先の中小企業の社長さまの散らかったデスクが見えて「片づけしませんか?」と声を掛けたんです。すると、意外にも「ちょうど今やろうと思ってたんだ!」とノリノリで対応してくださって。
そこから朝7時から9時の時間帯に片づけレッスンを行い、少しずつ口コミで依頼が増えたことで、独立を決意しました。その後は書籍を出版したり海外に片づけ法を広めたりして、今は自分が「ときめくこと」を仕事にできるようになったんです。
「ときめく仕事」に出会うための片づけの魔法
こんまりさんのように「ときめくこと」を仕事にできれば理想的だが、そもそも自分が何にときめくのか、見つけることすら難しい人は多いだろう。そこでこんまりさんは「まずは物理的な片づけをしてみてほしい」と話す。
私が提唱している片づけ法『こんまり®メソッド』は、片づけをするときにときめくものを選んで取捨選択するというものです。
今あるものを全て手に取ってみて「ときめく」ものを選び、不要なものを手放す。このときは、「ものを触る」ことがとても大切です。
例えば、クローゼットにかかっている服を眺めるだけでは、何が本当にときめくのかは分かりません。一つ一つ手に取り、自分の感覚に問い掛けてみてください。
ものに触れたときに、体が「きゅっと上がる感覚」がときめきの証だというこんまりさん。逆に、ときめかないものに触れると「体がずんと下がる感覚」がするのだとか。
これ、ネタとして言っているわけではないんですよ! 家の中にある一つ一つのものに対して、果てしない回数を繰り返し触っていくと、そのうち体が喜んでいる感じ、落ちる感じが、びっくりするほど違うことが分かってきます。

「こんまり®メソッド」では、洋服、本、書類、小物、思い出品の順番で片づけをすることを勧めている
川原さんも、「こんまり®メソッド」の効能について付け加える。
ときめくもの、ときめかないものが分かると、自分にとっての判断基準が明確になるんですよね。そして残す・手放すを繰り返すことで、決断力も高まっていきます。「自分のときめきを、自信を持って決められる自分になる」ことが片づけのメリットですね。
こんまりさんが20年以上実践してきたこのメソッドを使って、自分の「ときめき」を知ることで、人生そのものを変える人は少なくないと続ける。
片づけをすることで、全てのものに対して心の動きに敏感になって、自分のときめきの判断ができるようになるんです。自分の感覚が研ぎ澄まされ、ときめく働き方や生き方を見つけて、人生をシフトしていくお客さまをこれまで多く見てきました。
仕事と家族の両立にも「ときめく片づけ」を活用してみて

公私ともにパートナーであるこんまりさん、川原さんは、仕事と家庭の両立に関しても「片づけをすること」による効能があると続けた。
私たちは夫婦として、ビジネスパートナーとしても常に一緒にいるので、どのように仕事と家庭のバランスを取っているのかを聞かれることも多いんです。ずっと一緒にいるけれど、なぜ仲良くやっていけるのかと。
ここでも大切なのは、やはり片づけをすること。今の状況を全て可視化して、心地良いものを選ぶことを大切にしています。
二人の家庭では、家事分担や夫婦の役割を一度スプレッドシートにリスト化し、心地よさを基準に見直すことを実践しているそうだ。
家事をしたらスプレッドシートに印をつけて、それに気付いたら「ありがとう」と言い合うような運用をしています。
家事って当たり前になりがちだからこそ、改めて感謝されるとうれしいんですよね。これをシーズンごと、3カ月に一回くらいのペースで見直しています。お互いの状況確認も含めて、人生会議のようなイメージで話し合っているんですよ。
それぞれの強みや弱みを整理しながら、お互いの状況を把握する。それは会社の経営やチームビルディングなどにも同じ考えが適用できそうだ。
何か課題があるなら、まずは今の自分の状況をお片づけしてみるんです。自分が今どういう状況にあって、ここが得意で、何が悩みなのか。そうやって自分の働き方、生き方を俯瞰するために本当におすすめしたいのは、何度も言いますが物理的な片づけをすることです。
それが「ときめく生き方」だったり、仕事の仕方につながっていきますよね。
片づけってこうやって整理するものなんだ、これがときめきなのだと、自分の感覚を身につけることからぜひ始めてみてください。
年末年始は、さっそく片づけができるチャンスの時期。家にあるものに直接触れる「こんまり®メソッド」を取り入れながら、自分の「ときめく感覚」を養う年末を過ごしてみてはいかがだろうか?

KonMari Media Inc. CVO 片づけコンサルタント
近藤 麻理恵(こんまり)さん
5歳から『ESSE』などの婦人雑誌を愛読。15歳で本格的に片づけの研究をスタート。19歳で片づけコンサルティング業務を開始し、独自の片づけ法「こんまり®メソッド」を編み出す。2010年に出版した『人生がときめく片づけの魔法』は世界40カ国以上で翻訳され、シリーズ累計1,400万部を超える世界的大ベストセラーに。2015年に米『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。19年よりNetflixにて公開された『KonMari~人生がときめく片づけの魔法~』はエミー賞2部門にノミネートされ、同年で最も人気のあったノンフィクション番組1位となる。21年に公開された新シリーズ『KonMari~“もっと“人生がときめく片づけの魔法~』はエミー賞を受賞<デイタイム・エミー賞>。世界規模での片づけブームを巻き起こしている。現在は夫ととも3人の子供を育てつつ、「片づけ×ときめく生活」をテーマに発信をしている。最新刊『こんまり流 今よりもっと人生がときめく77のヒント』や『部屋も心も整う片づけ学』が好評発売中。

KonMari Media Inc. CEO Takumi Inc. プロデューサー
川原 卓巳さん
1984年広島県生口島生まれ。大学卒業後、人材系コンサルティング会社に入社。2016年にアメリカ移住後、シリコンバレーとハリウッドを拠点にKonMariのプロデュースとブランド構築、マーケティングを手がけるほか、日本発コンテンツの海外展開もプロデュースしている。近藤麻理恵の著書『人生がときめく片づけの魔法』シリーズをマネジメントし世界42ヵ国累計1400万部の大ベストセラーに。21年Netflixにて『Sparking joy with Marie Kondo』のエグゼクティブプロデューサーとして参画し、2022年テレビ界のアカデミー賞と称されるデイタイム・エミー賞を受賞、世界一のTV番組になる。著書『Be Yourself -自分らしく輝いて人生を変える教科書-(ダイヤモンド社)』『川原卓巳プロデュースの学校<上下巻>(匠書房)』|2023年『川原 卓巳プロデュースの学校』を設立。日本を代表するプロデューサー集団をつくりはじめている。