【斉藤壮馬】声優歴15年の彼が、エンタメ業界の新境地を切り開くヒプマイと共に進化し続けるワケ

斉藤壮馬

一つの領域を究めてきた人ほど、アンラーンしながら世の中の変化に適応していくハードルは高かったりする。

しかし、時代のニーズを捉えて自らも進化し続けることができてこそ、プロフェッショナルとも言えるだろう。

そして、そんなプロの姿を体現しているのが、声優・アーティストとして活躍する斉藤壮馬さんだ。

斉藤壮馬

斉藤壮馬(さいとう・そうま)さん

声優。山梨県出身。主な出演作は「るろうに剣心―明治剣客浪漫譚―」緋村剣心役、「BEYBLADE X」黒須エクス役、「ブルーロック」千切豹馬役、「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」哀絶役、「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」夢野 幻太郎役、「機動戦士ガンダム閃光のハサウェイ」レーン・エイム役、など多数。ナレーション、朗読劇などでも活躍するほか、アーティストとして音楽活動もおこなっている。■X

2010年に声優デビューして以降、『るろうに剣心』『BEYBLADE X』『ブルーロック』『鬼滅の刃』など人気作からのオファーが絶えない声優として、エンタメ業界の第一線を走ってきた斉藤さん。

2017年に音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク』に声優として参加して以降、本来の声優としての領域+αのチャレンジを続けてきた。

未経験からラップを習得し、実力派のラッパーたちからも一目置かれるクオリティーまでそのスキルを磨き上げ、ラップに声優ならではの表現力を乗せるーー。今年は、日本初の試みである観客参加型の「インタラクティブ映画」となる、映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』に出演している斉藤さん。

声優歴は15年になる彼が、自らの経験に甘えずに、目を見張るスピードで進化するエンタメ業界とともに進化し続けられるのはなぜなのか。

時代のニーズに応え続ける、斉藤壮馬のプロフェッショナリズムに迫る。

新しい挑戦を求められるのは、信頼されている証

斉藤さんが2017年から声優として参加している『ヒプノシスマイク』は、総勢18人の個性豊かなメインキャラクターが6チームに分かれ熱いラップバトルを繰り広げる、「音楽原作キャラクターラッププロジェクト」だ。

「声優×ラップ」が異色の組み合わせだと思われていた時代から、声優たちによる本格的なラップに挑戦。コミック・ゲーム・アプリ・舞台・アニメといった多彩なメディアミックスも行うなど、当時はまだ例がなかったことに次々と取り組み、常にエンタメ業界に新しい風を吹かせてきた。

今年公開される映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』も、ラップバトルの勝敗が観客の投票によって決まり、上映回ごとにストーリーの展開や結末が変わる、日本初の「インタラクティブ映画」として注目を集めている。

映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』
斉藤さん

『ヒプノシスマイク』の映画化の話を聞いた時は、アニメの延長線上のストーリーが展開される映画なのかなと思ったんです。

しかしふたを開けてみると、主軸をラップバトルに置いていて、しかも観客をどれだけ熱狂させたかで勝敗が決まるというじゃないですか。今回の「インタラクティブ映画」という試みにぴったりのコンセプトですよね。

「ヒプマイは、またおもしろい世界を見せてくれるなあ」と、すごくワクワクしましたね。

『ヒプノシスマイク』は最初から、この映画を一つの到達地点として描いていたのではないか──。そう話す斉藤さんが『ヒプノシスマイク』に参加したのは、2017年。

以降7年間、『ヒプノシスマイク』が進化するたびに、新しい挑戦を求められてきた斉藤さん。

本来の声優としての領域を越えたチャレンジを求められることを、負担に感じたことはないのだろうか。

斉藤さん

ヒプマイを初めて知った時、「自分たちのやりたいことを、やりたい放題やってみよう!」という作り手の皆さんの気概がすごくすてきだなと思って。

どんなにプロジェクトの規模が大きくなっても、「自分たちがワクワクすることをやろう」というスタンスは一切ぶれない。

そこに魅力を感じているからこそ、ヒプマイが前代未聞の挑戦をする度に、一緒にワクワクできるんです。

斉藤さん

声優として参加する僕自身にも、常に新しいことに挑戦することが要求されてきたけれど、僕はむしろそれがうれしくて。

やったことがない不安やプレッシャーよりも、「こんなに新しいことを求めてくれるほど信頼されてるんだ、『できる』と思ってくれてるんだ」という喜びを感じる7年間だった気がします。

斉藤壮馬

自分を進化させる一歩は、他人の基準をおもしろがること

声優に求められる役割の幅が広がっていくことをポジティブに受け止めていた斉藤さんだが、エンタメ界の進化に適応し続けていくために、必ずやっていることがあるという。

斉藤さん

「他人のものさしを信じる」ことです。

例えば、僕はヒプマイで夢野 幻太郎というキャラクターを演じているのですが、新曲が届いた時に、「幻太郎はこんなことはしないのでは」と感じたとしても、自分の固定観念だけで決めつけるのではなく、「幻太郎はこれもありえるんだ」って思ってみるようにしています。

斉藤さん

もちろん、「これは違う」っていう軸を持っておくのも大事なんですけど、「幻太郎ならこれも成立するかもしれない」と、作り手の方たちが信じた可能性を一緒に信じてみるのも同じくらい大事だと思うんですよね。

自分の外側の基準をおもしろがるのは、自分を進化させていくために必要なんじゃないかな。

斉藤壮馬

この考え方は、斉藤さんの声優としての仕事の幅を広げていくことにもつながっている。

『ヒプノシスマイク』を通して、「これが声優の仕事である」という自分の基準を越えた役割にも果敢に挑んできた背景には、「外側の基準」をおもしろがって取り入れる彼のスタンスがあるのは確かだ。

斉藤さん

ただ、何でもかんでも「外の基準」を取り入れるわけではなくて、「やる」「やらない」の判断は、自分のワクワクに従うようにしています。

僕の好きな漫画で『ホイッスル』っていう作品があるんですけど、その中に「どうやったらなれるのかではなくて、なぜなりたかったかを考えなさい」っていうセリフがあって。

仕事をしているとつい「どうすればうまくいくのか」という思考になりがちなんですけど、そこで立ち止まって、「そもそもなぜやりたいのか」っていう気持ちを常に見失わないようにしたいなと思っています。

斉藤さん

ヒプマイも作り手たちのワクワクから生まれて、ワクワクが育て上げてきたコンテンツです。

自分の心が躍るかどうかに目を向けて、「やりたい」と思えることであれば、どんどん外の基準も取り入れていく。それが僕のスタイルです。

斉藤壮馬

声優は作品の一要素に過ぎない

変化を受け入れながらも、斉藤さんにはデビュー当時から変わらない信念がある。それは「作品が主で、声優は従」という考え方だ。

斉藤さん

僕が声優を志した時、あくまで作品やキャラクターがメインであって、声優はその一つのセクションに過ぎないというところに美学を感じたんです。

あれから15年以上たち、今ではだいぶエンタメ業界も声優の世界も位相が変わってきていますが、この考え方が変わったことはありません。

作品全体における自分の役割を俯瞰して捉える力と、内面から湧き上がる好奇心、そして必要に応じて外の基準をどんどん取り入れていく柔軟性。これらを掛け合わせて、自らの進化を止めないことこそが、斉藤壮馬のプロフェッショナリズムなのだろう。

今後もめまぐるしく変化していくであろうエンタメ業界において、どのような姿勢で挑んでいくのか。彼の回答は極めてシンプルだ。

斉藤さん

きっと、エンタメ界はこれからもずっと変化し続けます。

そんな世界にプロとして身を置く人間として、「まずやってみる」という気持ちは忘れたくない。それが自分の新しい可能性を開いてくれると信じてるから。

斉藤さんの仕事への向き合い方は、変わりゆく時代を生き抜くためのヒントを私たちに与えてくれるはずだ。

斉藤壮馬

取材・文/安心院 彩 撮影/竹井俊晴 編集/光谷麻里(編集部)

作品情報

映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』2025年2月21日(金)全国ロードショー

映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』

『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』は、日本劇場映画〝初〟となる<インタラクティブ映画>。スクリーン上で繰り広げられるラップバトルの勝敗は、映画館内の観客の投票によって決まります。

投票はスマホアプリを通じてリアルタイムで行われ、投票数が多かった選択肢に沿ってストーリーが進行。観客ひとりひとりの選択で、上映回ごとに展開や結末が変わる…日本映画史上初めてとなる参加型映像体験をお届けします。

●CAST
【Buster Bros!!!】山田 一郎:木村 昴、山田 二郎:石谷春貴、山田 三郎:天﨑滉平
【MAD TRIGGER CREW】碧棺 左馬刻:浅沼晋太郎、入間 銃兎:駒田 航、毒島 メイソン 理鶯:神尾晋一郎
【Fling Posse】飴村 乱数:白井悠介、夢野 幻太郎:斉藤壮馬、有栖川 帝統:野津山幸宏
【麻天狼】神宮寺 寂雷:速水 奨、伊弉冉 一二三:木島隆一、観音坂 独歩:伊東健人
【どついたれ本舗】白膠木 簓:岩崎諒太、躑躅森 盧笙:河西健吾、天谷奴 零:黒田崇矢
【Bad Ass Temple】波羅夷 空却:葉山翔太、四十物 十四:榊原優希、天国 獄:竹内栄治
【言の葉党】東方天 乙統女:小林ゆう、勘解由小路 無花果:たかはし智秋、碧棺 合歓:山本希望

●STAFF
原作・音楽プロデュース:EVIL LINE RECORDS
キャラクター設定原案・世界観設定:EVIL LINE RECORDS・百瀬祐一郎
監督:辻󠄀本貴則
脚本:百瀬祐一郎
キャラクターデザイン:Kazui
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ

配給:TOHO NEXT
製作:ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Movie 製作委員会

映画特設サイト映画公式X

©ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- Movie

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