ベンチャー勤務だけど、結婚出産するなら大手に転職した方がいい? 悩む前に準備したい三つのこと【転職Q&A 喜多村若菜】

20代~30代の女性が抱える仕事・キャリア・転職のお悩みに、その道のプロが本音でアドバイス! 「私らしい働き方」の発見や「いい転職」をかなえるためのヒントを提供します
今回、転職に関するお悩みに答えてくれたのは、自分の特性や価値観に合った仕事を見つけるためのキャリアコーチングサービス『ミートキャリア』を運営する、株式会社fruor代表の喜多村若菜さん。
結婚や出産などのライフステージの変化を見据えて転職に悩む女性のお悩みについて、キャリアのプロである喜多村さんに解説してもらいました。

株式会社fruor
代表取締役CEO
喜多村若菜さん
1993年大阪府生まれ。神戸大学経済学部を卒業後、アクセンチュアに入社し、基幹系システム開発のコンサルティングを経験。2017年8月より教育関連のベンチャー企業の立ち上げに携わり、採用・育成を担当する中で、働き方の選択肢が少ないことに疑問を持つ。19年に株式会社fruorを設立
お悩み:結婚や出産を見据えるなら、今のうちに制度が整ってる会社に転職すべき?
現在、社員数50名程度のベンチャー企業で営業職として働いています。仕事はやりがいがあるものの、今の会社では家庭と両立しているメンバーがいないので、今後結婚や出産といったライフイベントを迎えることを考えると、働き続けるのは難しいかもしれません。
大手企業の方が、育休・産休制度が整っていたり、復職後のサポート体制が充実していたりするイメージです。20代の今のうちに、大手企業に転職するべきか、今の会社で頑張るべきか、決断できずにいます。プロの視点から、アドバイスをいただけると嬉しいです。
回答:いつ来るか分からない未来に、急ぐ必要はない

結婚や出産といったライフイベントとキャリアの両立について悩む気持ち、よくわかります。ミートキャリアでもそういったお悩みが大半を占めています。
特に、今の職場に家庭と両立して働いている先輩社員がいなかったりすると、「この先もここで働き続けていいのかな?」と不安になりますよね。
「今のうちに大手企業に転職した方がいいのか」というご相談に対して、私の答えは一言で言うと「今すぐはNO」です。
もちろん、大手企業には制度や環境が整っているという安心感があることは事実です。ただ、今のベンチャー企業で営業職としてやりがいを感じながら働いていらっしゃるということは、おそらく裁量の大きさや風通しの良さが質問者さんに合っている環境なのだと思います。
制度や環境だけを求めて急いで転職しても、仕事がミスマッチになってしまい、モヤモヤしてしまう可能性があります。
そして、結婚や出産のタイミングはコントロールできるものではありません。まだいつ来るか分からない未来に対して急ぐ必要はありません。
実際、出産を経てから働き方に合った環境を選んで転職している方も多くいます。
焦って今すぐ転職を決断するのではなく、今の職場でできることを増やしながら、将来の選択肢を増やす動きをしていくことが今は最適だと考えます。
ここからは、今準備できることをお伝えしていきます。
1.結婚・出産後の働き方をイメージする
まず大事なのは、「結婚や出産後に、自分がどのように働きたいのか」を具体的にイメージすることです。
理想的なのは、実際に結婚・出産後に働いている先輩から話を聞いたり、SNSで発信しているワーママ/ワーパパなどの情報を参考にしたりして、ライフスタイルを具体的に描いてみてください。
同じ会社の人でなくても大丈夫です。大事なのは、実現できるかどうかではなく「自分がどうしたいか」をイメージすることです。
参考までに、1歳の子どもを育てながらフルタイム勤務をしている平日スケジュールは以下の通りです。

このような生活を送る場合、「仕事は18時までに上がれる」「時には子どもが熱を出したときに早退や在宅勤務に切り替えられる」などの柔軟な働き方が必要になります。
出産後の働き方をイメージすることで、自分にとって必要な働き方の条件が見えてくるのです。
2.現職でトライしてみること
次に、今の職場でできるアクションを起こしてみましょう。
まずは信頼できる上司に「将来的には結婚・出産を視野に入れている」ということをあらかじめ共有しておくのがおすすめです。これは、あなたが「働き続けたい意思がある」という前向きな意思表示にもなります。
その上で、「出産後はこのような働き方ができるとありがたい」といった希望を伝え、社内での対応が可能かどうか相談してみましょう。
たとえば、時短勤務や在宅勤務、柔軟な勤務時間制度の導入、復職支援の仕組みなど、個別に対応してもらえるケースもあります。
まだ制度がない場合でも、最初のケースとしてモデルを築くことで、後輩の方々にとっても働きやすさをかたちにできる可能性もあります。
自分の希望だけでなく、会社にとってもメリットになるような提案をしていくことで、風通しの良いベンチャー企業でこそ変化を生み出すチャンスになります。
3.難しければ転職も一つの選択肢

それでも理想の働き方が実現できなさそうだという場合には、転職も一つの選択肢として検討して良いと思います。
その際は、自分が描いた「理想の働き方」を基準に、企業の制度や働き方、一緒に働く人の価値観やカルチャーを見て選ぶことが大切です。
転職のタイミングは今すぐでなくてもいいと思います。出産後に育休を取得し、その後働きながら子どもとの生活リズムを見て、転職を考えるという流れも現実的です。
実際に育児をしてみると、想像していたよりも「もっと働けそう」「もっと家庭に時間を使いたい」といった希望が具体的に見えてくるかもしれません。それが見えてからの転職でも十分間に合います。
育休制度は法的に守られた権利であり、ベンチャー企業であっても取得は可能です。
「自分のために動くことが、後輩のためにもなる」と捉えれば、制度づくりのプロジェクトのように取り組むことができ、仕事としても大きな意味のある挑戦になる方もいます。ぜひそれもトライしてみてください。
「柔軟にキャリアを変えていける状態を作っておくこと」が一番の備え
結婚や出産とキャリアの両立は、多くの方が直面するテーマだと感じます。私自身も出産前は、「この先、どう働いていけるのだろう」と悩んだことがありました。
でも今、振り返って思うのは、「柔軟にキャリアを変えていける状態を作っておくこと」が一番の備えになるということです。
ライフイベントによって人生のフェーズは変わるものです。だからこそ、キャリアプランも3年ごとに見直して、その時の自分に合った選択をしていけばいいと思います。
一度キャリアをセーブしても、3年ごとに見直していればまた仕事にアクセルを踏むといった選択もできるようになります。
まだ質問者さんは20代ということで、今後も働く期間はまだまだあると思います。将来の選択肢を広げておくためには、今いる場所で結果を出して実績を積み重ねていくことも大切です。応援しています。
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