
【占星術師ANNA.】回り道の果てに見つけた「自分をごまかさない」働き方
生き方も、働き方も、多様な選択肢が広がる時代。何でも自由に選べるってすてきだけど、自分らしい選択はどうすればできるもの? 働く女性たちが「私らしい未来」を見つけるまでのストーリーをお届けします
SNSを中心に人気を博し、心に寄り添う言葉で多くの女性を勇気づける占星術師・星読み研究家のANNA.さん。Woman typeの連載「働く女の転職占い」も毎月大きな反響を呼んでいる。
しかしそんな彼女もかつては、映像業界の過酷な労働環境に心身をすり減らし、事務職の派遣社員として働いていたごく普通の女性だった。
「未来に何かいいことないかな」。占いにはそんな“無責任な期待”を寄せていた時期もあったという。
そこからなぜ今、占星術で多くの人の心を動かす存在になったのか。
回り道だらけだったというキャリアを振り返りながら、ANNA.さん流の「私らしい未来」の見つけ方をひもといていこう。

占星術師/ライター/講師 ANNA.
《自己発見や自己理解に繋がる星読み》|その先のビジョンは「大切な人を愛するように、世界と接する」こと|星と心の交点を読む人※メンタルケア中心でなく、内観と受容を促すスタイル|総フォロワー5万人超|2025年書籍を2冊同時出版!X:@anna0_x
「やりたいことなのに、体がついていかない」
今でこそ、こうして占星術に関わるお仕事をさせていただいていますが、私のキャリアは本当にいろんな寄り道から始まりました。
もともと映画が大好きで、キャリアのスタートはCM制作会社。でも、いざ入ってみると、その現場は想像以上にハードでした。
終電で帰って始発で出社するのが当たり前のような日々が数カ月続いて、元から体力がすごくあるわけではなかった私は、すぐに限界を感じてしまったんです。
「やりたいことなんだけど、体がついていかない」。その悩みは、すごくつらかったですね。

結局、心も体も限界だった私はCM制作会社を辞め、派遣社員で損害保険会社の事務として働くことになりました。
でも「やっぱり映画に関わりたい」とフリーランスの映画助監督として現場に戻ったりもしたけれど、それも1年も続かなくって。
20代前半はそうやって、夢を追っては諦めて、他の仕事をして…ということの繰り返しで「私、もうダメかも」なんて思って過ごしていました。
「好き」が仕事に変わった日
そうやって自分のキャリアに試行錯誤していたとき、映画の現場で知り合ったある編集者の方と意気投合して、「うちでライターやってみない?」と誘われました。
ライターなんてやったこともなかったのですが、制作の現場に少しでも携われるならと思い、案件を受けてみることにしたんです。
これが、大きな転機となるのでした。
編集部では「まずはANNA.ちゃんが好きなことを書いてみて」と言われたので、当時流行り始めていたYouTubeのタロット占い師さんを紹介する記事を書きました。
もともと私自身が、占い系のYouTubeを毎日見ていたオタクだったので(笑)、筆がどんどん進んでいったんですよ。
そしたら、その記事がすごく人気が出てたくさんの方に読まれたのです。
自分の「好き」という熱量が、初めて誰かの役に立ち、社会に認められた。そう実感できた、震えるほどうれしい瞬間でした。
その時、編集さんから「ANNA.ちゃんは占い師になった方がいいんじゃない?」って背中を押されて。

実は、子どもの頃から星占いの本を読むことが好きだった私は、職を転々としていた時に、「有名占い師の付き人」の求人に応募したことがあったんです。
面接してくれたプロダクションの社長さんに「君、なんとなく雰囲気あるから、うちで占い師やってみない?」って誘われたのですが、その時は断っちゃったんですよね。
でも今回は、自分の「好き」が役に立つなら、こんなにうれしいことはないって思えて。
20代後半にして、本格的に占い師の道へ進むことを決意しました。
占いは予言ではなく「人生のしおり」
ライターをしながら占い師の求人を探し、最初は渋谷の占い館で、タロット占い師としてデビューしました。
そこで手相や他の占術も学びながら、コロナ禍で対面占いが難しくなって時間ができたのを機に、占星術を本格的に学び直したんです。
占星術を学ぶと、占いは決してスピリチュアルな「予言」ではないことに気付かされました。
星を深く学ぶうちに「運命は定まっているものじゃない。今の自分が過去を振り返った時に、自らが歩いていった道のことを“運命”と呼ぶんだ」ということが分かったのです。
それと同時に、今まで私が占いに求めていたのは、自分を否定しながら「未来に何かいいことないかな」って無責任に期待することだったんだ、と。
占星術は、予言ではないし、自分を否定するためのものでも、未来にすがるためのものでもありません。
過去の自分を客観的に理解して、「あの時の経験は、こういうことだったんだな」って、人生の“しおり”を挟むように学びに変えていくためのツールなんだって、腑に落ちた瞬間でした。
その考えに至ってからは、バラバラに見えたこれまでの寄り道が、全部つながったような感覚でしたね。

もちろん占い師として歩み始めた道も、平坦なことばかりではありませんでしたよ。
特に20代でこの世界に入ったので、「若さ」が壁になることも。
お客さまから「若いのに私の話、分かるの?」と不安そうに言われたり、経営者の方から「うちの会社の受付嬢にならない?」なんて冗談を言われたりしたこともありました。
でも、そういう時もメンタルにくることはなくって。むしろ「面白いこと言う人がいるな」くらいに客観的に捉えていました(笑)。
「お若いですね」って言われたら、「ありがとうございます!」って大げさに喜んで、「この人、こんなに喜ぶってことは、結構年いってるのかな?」って相手に思わせる、みたいな(笑)。そんなふうに、しなやかに受け流してきたんです。
未来を見つけるなら「自分をごまかさないこと」
そうしてプロとして経験を積み、2023年に独立してからは、ありがたいことにすぐに企業との専属契約を結べたり、書籍のお話をいただいたり。こうして少しは皆さんに知っていただけるようになったのです。

独立して対面鑑定をやっていた時のANNA.さん
振り返ってみると、私のキャリアはいつも、不思議なご縁と運に助けられてきました。
でも、そのチャンスを掴むために意識していたことがあるとすれば、それは「無理をしないこと」と「自分をごまかさないこと」だったと思います。
例えば、新しいお仕事に挑戦するときは、いつも「生活の保障がちゃんと取れる場所か」を無意識に選んでいました。
生々しい話ですけど、やりたい気持ちだけで飛び込んで、自分が壊れてしまったら元も子もないですから。本当に、無理はしちゃいけないと思っています。
それに、自分をごまかさず、「今これがやりたい」「こうなりたい」って周りに伝えたり、逆にやりたくないことはやらないでいると、周りが「あの子はこれがやりたいんだな」って正しく認識してくれる。そうすると、自然と自分に合ったご縁が結ばれていく気がします。

もし今、かつての私のようにいろんな選択肢の中で迷っていたり、環境が苦しいと感じていたりするなら、一番大切にしてほしいのは「自分自身をごまかさないこと」です。
それが、自分らしい未来を見つける何よりのチケットになると思います。
つい私たちは、自分の嫌なところばかりに目が行って、「ここを直さなきゃ」と自分を偽ってしまいがちです。
でも、占星術で使うホロスコープを見ても、そこに「欠点」なんて一つも書かれていないんですよ。
「苦手だな」「やりたくないな」って感じるのは、何かとの比較で生まれる感覚でしかありません。
だから、もし自分の中にマイナスな思考がたまっていくときは、自分が無理に変わって今の日常を守ろうとするのではなく、その原因を見つけて、同じ問題が起きない環境へと移動してほしいと思います。
報われない場所で頑張り続けるんじゃなくて、自分自身が報われる場所に、自分を連れて行ってあげてください。仕組みや環境が悪いなら、そこから離れていいんです。
回り道をしたって、大丈夫。
その経験の一つ一つが、いつかあなたの“運命”と呼ばれる道になるはずですから。
文/大室倫子(編集部)
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