「好き」を捨てずに、場所を変える。アパレル販売員がIT業界で見つけた、接客経験が“武器”になる働き方/株式会社USD
転職サイトで求人を眺めてみても、なかなか「ぴったりの会社」には出会えないもの。それでもあきらめずに行動し続けることで、思わぬチャンスに巡り合える可能性がある。
そう教えてくれるのは、システム設計をトータルで支援しているIT企業、株式会社USDの鈴木明星さんだ。
鈴木さんの前職はアパレル企業の販売員。未経験でのIT業界への挑戦だったが、持ち前の行動力を活かし、スピード感を持って転職活動を進めてきた結果、わずか1カ月で“理想の職場”に出会った。
鈴木さんはどのように転職活動に取り組み、新たな環境を手に入れたのだろうか?
株式会社USD 鈴木明星(すずき あかり)さん
服飾系大学を卒業後、大手アパレル企業に就職。販売員として都内の複数店舗で働き、副店長を経験。2024年4月に株式会社USDに転職。現在はアパレル企業のEC事業部でPCサポートの業務を担当している
昇格して責任が増えても、給料は上がらなかった前職
学生時代からファッションに興味があった鈴木さんは、自分の「好き」を軸にキャリアを歩んできた。
「服飾系大学を卒業後、大手アパレル企業に就職しました。大好きな服に囲まれて、お客さまとも関われる。販売員として接客に奮闘する日々は忙しかったですが、充実感のある毎日を送っていました」
丁寧な仕事ぶりが認められ、鈴木さんは副店長に昇格。接客業務に加えて、売上管理やスタッフの指導、店舗レイアウトの調整など、任される業務は次々と増えていった。
ところが、給与は昇格前とほとんど変わらなかったという。
「もともとアパレル販売員の給与面については、同年代に比べて平均以下と理解はしていました。それでも、業務内容と給料のミスマッチがだんだん気になってきて……。『もし転職して給料が上がるなら、それもいいかな』と思うようになりました。もともと、新しいことに挑戦するのは好きなんです」
転職を考え始めた当時、鈴木さんは27歳。「未経験の仕事に挑戦するなら、20代の方が選択肢が広がるはず」だと、5年間続けた職場を離れる覚悟は、自然と固まっていったという。
幅広い業界への応募が実り、理想の職場へ
新しい環境を求めていたものの、転職活動を始めたばかりの頃はアパレル業界を希望していた。大学時代から学んできた服の知識を、販売員以外の仕事で活かしてみたいという気持ちがあったからだ。
ところが、転職サイトをくまなく探しても、条件に合う求人はなかなか見つからない。そこで思い切って志望業界を広げ、「待遇」と「雰囲気」の二つだけを選社軸に設定し直した。
「待遇は給料面に加えて、働きやすさも重視しました。前職では急な欠勤でスタッフが少ない日もありましたが、そういう時でも業務が滞らないよう自分なりにできることに取り組んでいました。
会社の雰囲気は“アットホームで意見が届きやすい”ことを重視。大企業だとトップと話す機会がなく、自分の声が届きにくいと感じていたので、距離の近い組織がいいと思いました」
この決断によって、選択肢は一気に広がった。実際に求める条件が叶えられる職場かどうかは、面接で確認。すると、HPでは分からなかった企業の一面が浮かび上がってきたという。
「転職活動中に、働き方の話をすると表情が曇る企業もあって。求人では良いことが書かれていても、その雰囲気で『ここは違うかも』と察することができました」
ぶれない軸を抱えながら複数社の選考を受ける中で、一社だけ、相性の良さを肌で感じられた会社があった。それが現在所属するUSDだ。
「USDは一次面接から社長が出てきたので、少し驚きました。会社のいいところも悪いところもざっくばらんに話してもらえて、面接もすごく盛り上がって。こんな雰囲気の会社で働けたらいいな、という手応えも感じられました」
さらに、面接では鈴木さんの「やりたいこと」についても、USD代表の上原さんは親身になって耳を傾けてくれたという。
「私は副業でナレーションの仕事をしているのですが、転職後も続けたいと話したら肯定的に受け止めてもらえました。入社後の資格取得も応援すると言ってもらえたのも嬉しかったです。USDは、自分のやりたいことを実現できる会社なんだと思えました」
そして面接では、USD側のオープンな雰囲気に導かれるように「最初はアパレル業界の経験が活かせる職場を探していた」という本音も素直に伝えてみた。すると、返ってきたのは思いがけない言葉だったという。
「『ちょうどアパレルでの経験を評価してくれるお客さまがいるから、そこでECサイトのサポート業務をやってみるのはどう?』と言っていただいたんです。
単に『空いている案件』ではなく、私のバックグラウンドを知った上で、『ここなら鈴木さんが一番輝けるはず』と、アパレル企業のEC事業部でのポジションを提案してくれました。私の過去を否定せず、むしろ武器として扱ってくれたことが本当に嬉しかったですね」
鈴木さんは迷わず入社を決めた。すぐにいい転職先が見つからない中でも、あきらめずに行動し続けたことで、アパレル業界と関わり続けながら、新しいスキルにも挑戦できる理想の職場にたどり着いたのだった。
先輩の粘り強い指導で、未経験から短期間で一人立ち
鈴木さんは現在、アパレル企業のEC事業部に常駐し、販促業務のIT支援を担当している。メルマガのコーディングや配信設定、LP作成、ECサイト用ツールの導入サポートなど、その業務範囲は多岐にわたる。
IT業界未経験の状態から、一体どのように業務知識を習得したのだろうか。
「3カ月の引き継ぎ期間で、前任者の先輩から徹底的に教わりました。就職してからはパソコン業務をほとんどしてこなかったので、当然ECサイトのことは分からないですし、最初はできないことだらけ。でも粘り強い指導のおかげで、一通りの業務ができるようになりました。
一人立ちした後は、会社の手厚いバックアップ体制に支えられました。何か分からないことがあったときに、常駐先からUSDの上司や先輩にチャットで相談すると、5分と待たずに返事が返ってくるんです。離れていても困ったときはちゃんとケアしてもらえるので、安心感が持てました」
USDの雰囲気も、予想通りアットホームだった。だがそれは、ただ仲が良いだけの「馴れ合い」とは違う。
「社員同士の距離が近くて、変に格好つける必要がないんです。趣味の話や恋バナで盛り上がることもあれば、将来のキャリアやライフステージの悩みなんかも自然と相談できる。
仕事の時はプロとして切り替えますが、ふとした瞬間に『素の自分』に戻れる場所があるというのは、長く働く上でとても大切なことだと実感しています」
また、鈴木さんが安心して働けている理由の一つに、USDと顧客との「信頼関係の深さ」がある。
実はUSDには、いわゆる「営業職」がいない。それは「現場で質の高い仕事をしていれば、信頼が生まれ、自然と次の仕事に繋がる」という上原社長の信念と、長年築き上げてきた強固な人脈があるからだ。
「ガツガツとした営業をしなくても、社長や私たちがお客さまとしっかり向き合うことで、長く安定してお付き合いができています。
私が常駐している現場も、社長が昔から信頼関係を築いているお客さま先。私が何か提案をした時も『USDさんの提案なら』と耳を傾けてもらえるんです。守られている安心感の中で、目の前の仕事に集中できる環境ですね」
「成果が形に残る」から、仕事に自信が持てるようになった
入社して1年半が過ぎた今、鈴木さんは前職とは違ったやりがいを感じている。
「自分の作ったLPなどが形として残り、いつでも見返せるのはIT業界ならではの醍醐味。前職では成果が可視化されにくかったので、成果物が目に見えることは自分の自信にもつながっています」
その自信は、自分の成長にもつながっていると続ける。
「配属当初はさまざまな業務を並行して行わなければならず、頭がパンクしそうでした。でも一つずつ教えてもらって、できることが増えていったことで、最近はお客さまに突然話しかけられても、落ち着いて対応できるようになってきて。マルチタスクへの対応力も上がってきたように思います」
これからも足を止めることなく、新しいことへの挑戦を続けていきたいと、鈴木さんは前向きに語った。
「今はお客さまからのご依頼に対応する形が多いので、今後は自分から積極的に提案もしてみたいです。例えば、販促施策の成果のデータを出すだけではなく、そこからどんな施策をすればより良い結果につながるか。お客さまのプラスになるようなアイデアも提供していきたいですね」
持ち前の行動力で見つけた、新しい自分の居場所。鈴木さんはUSDで、今日も自分らしく輝き続けている。
当社の選考では一次面接から社長が参加し、会社の現状を包み隠さずお話しすることで、お互いの相性をしっかりと確かめる時間をつくるようにしています。鈴木さんは入社時からコミュニケーション力が高く、好奇心が旺盛で、新しい業務にも前向きに取り組み続けてくれました。
鈴木さんのように、お客さまに対する「目配り・気配り」ができる方は、仕事を頼まれる機会が多いため、未経験でもどんどん成長していきます。これからも当社の成長を担う一員としてご活躍を期待しています。
取材・文/一本麻衣 撮影/赤松洋太
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