制度が整っていれば安心ではない? 妊活と“本当に両立しやすい”会社の見極め方 【相坂サオリ】
20代~30代の女性が抱える仕事・キャリア・転職のお悩みに、その道のプロが本音でアドバイス! 「私らしい働き方」の発見や「いい転職」をかなえるためのヒントを提供します
今回寄せられたのは、不妊治療と両立するために転職を考えている女性のお悩み。
会社の制度や人事担当者の対応を見ていると両立しやすそうだけれど、現場の風土が見えないのが不安……。一緒に働くメンバーに理解があるかどうかは、どうすれば見極められる?
そんな相談に回答するのは、企業向け女性のキャリア研修講師であり、ワーママのキャリアとビジネスについての書籍『らしく起業』の著者でもある相坂 サオリさん。
自身も不妊治療とキャリアの両立に悩んできた相坂さんに、「本当に理解がある会社」を見極めるコツを聞きました。
株式会社LASSIC 代表取締役CEO 相坂 サオリさん
青山学院大学卒業。株式会社電通を経て、2020年に株式会社LASSICを設立。自身が不妊治療とキャリアに悩んだ経験から国家資格キャリアコンサルタントの資格を取得し、個人向けキャリア支援や、企業向けキャリア研修講師などを担当。2025年、女性のキャリアとビジネスについて書いた著書『らしく起業~キャリア迷子の会社員だった私が見つけた、“ゼロからマイビジネスを作る”自分らしい働き方~』を出版。他、多数メディア・イベント出演
転職先の職場が「妊活に理解のある風土か」を見極めたい
妊活に本格的に取り組むために、両立しやすい職場への転職を考えています。
リモートワークやフレックス勤務など、制度面では両立しやすそうな条件の会社にも出会えているのですが、実際に一緒に働く同僚や現場の雰囲気に理解があるかどうかが不安です。
面接でお会いする方々は妊活や働き方について理解を示してくれているものの、それが現場全体のスタンスなのかは分かりません。
入社後に「思っていた雰囲気と違った」とならないために、入社前の段階で職場の理解度や雰囲気を見極めるためには、どのような点に注目すれば良いのでしょうか。
妊活と仕事を両立するために転職を考えたとき、多くの方がぶつかるのが「制度は良さそうだけれど、実際の職場の雰囲気はどうなのだろう」という不安です。
リモートワークやフレックス勤務など、制度面で両立しやすそうな会社は確かに増えてきました。
しかし、制度としては整っているけど、それが使いやすいかどうかなどは別問題です。
実際には、「制度はあるけれど、現場では使いづらい」「想像していた雰囲気と違った」というミスマッチが起こることも少なくありません。
特に妊活は、通院の予定が急に決まったり、体調の変化があったりと、周囲の理解や協力がとても大切になります。だからこそ、制度だけでなく「職場の空気感」を見極めたいと感じるのは、とても自然なことだと思います。
ただ、入社前の段階で職場の雰囲気を100%正確に把握することは難しいのも事実です。
だからこそ、「なんとなく良さそう」という印象だけで判断するのではなく、いくつかのポイントから客観的に判断することが大切になります。
企業文化や職場の雰囲気は、さまざまなところにヒントが隠れています。
今回は、入社前の段階でも確認できるポイントを3つのステップに分けて整理してみましょう。
入社前に「現場の理解度」を見極める3つのステップ
【STEP1】制度の「実績」を確認する
まず最初に確認したいのは、制度が実際にどれくらい利用されているかです。
求人票には「フレックス制度あり」「リモートワーク可能」など魅力的な制度が書かれていることが多いですが、本当に大切なのは、それがどのくらい活用されているかという点です。
例えば、面接の際に次のような質問をしてみると、実際の働き方が見えてきます。
・産休・育休の取得率や復帰率はどのくらいですか
・子育てや介護と両立している社員の方はどのくらいいますか
制度があっても、実際には一部の部署しか使っていないというケースもあります。反対に、制度が自然に利用されている会社は、具体的な事例を挙げて説明してくれることが多いものです。
「制度があるかどうか」ではなく、「実際に使われているかどうか」を見ることが大切です。
【STEP2】社員の働き方の多様性を見る
次に注目したいのは、社員の働き方の多様性です。
企業の採用ページや社員インタビューを見て、
・時短勤務や在宅勤務の事例が紹介されている
・女性管理職が多い
など、社員の属性の多様性や、勤務体系のバリエーションをチェックしてみてください。
実際にライフイベントを経験しながら働いている社員がいる会社は、「働き方は一つではない」という価値観が根付いていることが多いです。
反対に、社員紹介が若手男性ばかりだったり、長時間働くことが前提のような雰囲気の会社は、制度があっても利用しづらい可能性があります。
職場の文化は、社員の働き方の多様性に表れることが多いものです。
【STEP3】仕事の進め方を具体的にイメージする
もう一つ大切なのは、「職種」や「仕事内容」から働き方をある程度イメージすることです。
例えば、仕事の納期が長く、自分でスケジュールを調整しやすい仕事は、通院などとの両立が比較的しやすい傾向があります。一方で短納期の業務やリアルタイムでの対応が多い仕事は調整しにくいケースも。
もちろん会社やチームによって状況は変わりますが、職種の特性からある程度働き方のイメージを持つことも、ミスマッチを防ぐための大切な視点です。
面接では、
・繁忙期の働き方
・チーム体制
・急なお休みが出たときの対応
などを具体的に聞いてみると、実際の働き方が見えてきます。
もし面接で話を聞くだけではイメージが湧きづらい場合は、選考段階で社員の方と面談させてもらったり職場見学をさせてもらったりして、直接雰囲気を確認してみるのも一つの手です。
また、短納期の業務が多かったり、リアルタイムの対応が求められたりする職種でも、妊活と両立しやすい会社はあります。
そういった会社を見極めるには、「チームで支え合える体制があるかどうか」に注目してみましょう。
制度よりも「どんな人が働いているか」に注目してみて
私自身も、妊活や出産を経験する中で、仕事との両立に何度も悩んできました。
その中で強く感じたのは、「制度が整っていること」と「本当に働きやすいこと」は必ずしも同じではないということです。
以前、私が身を置いていた業界もクライアント対応が主な仕事だったので、不妊治療の視点で見ると、両立しづらかったのは事実です。
どれだけ制度が整っていても、現場の理解や協力がなければ実際には使いづらいものですし、逆に制度が少なくても周囲の理解がある職場は働きやすいものです。
だからこそ会社を選ぶときには、条件や制度だけでなく、「どんな人たちが働いている会社なのか」という視点を持つことが大切だと思います。
実際に働いている人の姿や言葉、会社の雰囲気には、その企業の価値観が表れています。
もちろん、入社前にすべてを見極めることは難しいかもしれません。でも今回ご紹介したようなポイントを意識して情報を集めていくことで、「思っていた環境と違った」というリスクを減らすことはできます。
妊活もキャリアも、どちらも人生にとって大切なテーマです。
だからこそ焦って決めるのではなく、「この会社なら安心して働けそう」と自分が納得できる環境を選んでほしいと思います。
あなたが安心して働ける場所で、キャリアと人生の両方を大切にできることを心から応援しています。
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