厄年の女性がやってはいけないことは?30代女性を不安にさせる“厄年2大勘違い”を専門家が解説【2026年版厄年早見表付き】
厄年について、「悪いことが起きる年」と認識している人は多いだろう。
女性の場合、数え年で19歳、33歳、37歳、61歳と、30代で厄年が連続してやってくるとされているため、アラサー世代にとって厄年は気になるところだ。
さらに近年では、女性のライフスタイルや働き方の変化に伴い、厄年の常識も変わりつつある。これまでの厄年に加え、女性は25歳、39歳、52歳、63歳といった「新厄年」も生まれている。
厄年を迎えた人からは「ケガをした」「彼氏と別れた」「仕事がうまくいかない」など、悪い話を聞くことが多いもの。中には、暗い気持ちになってしまう人もいるのでは?
「厄払いってした方がいいの?」「厄除けのお守り持つべき…?」なんて不安な気持ちにもなるだろう。
そんなアラサー世代の不安を払拭するため、厄年の研究をしている宗教学者・島田裕巳先生に、あまり知られていない「よくある厄年の勘違い」を教えてもらった。
宗教学者・島田裕巳さん
作家、宗教学者。東京大学文学部卒業、同大学大学院人文科学研究会博士課程修了(専攻は宗教学)。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。現代における宗教現象、新宗教運動、世界の宗教、葬式を中心とした冠婚葬祭など、宗教現象については幅広く扱う。著書に『無縁仏でいい、という選択 墓も、墓じまいも、遺骨も要らない』 (幻冬舎新書)『神社から読み解く信仰の日本史』(SBビジュアル新書)など。X
【2026年最新】女性の厄年早見表 年齢 (数え年)/生まれ年 (西暦/和暦)/干支
18歳/2009年(平成21年)/丑(うし)
32歳/1995年(平成7年)/亥(い)
36歳/1991年(平成3年)/未(ひつじ)
60歳/1967年(昭和42年)/未(ひつじ)
【2026年(令和8年)の本厄】
19歳/2008年(平成20年)/子(ね)
33歳 ※大厄/1994年(平成6年)/戌(いぬ)
37歳/1990年(平成2年)/午(うま)
61歳/1966年(昭和41年)/午(うま)
※女性の厄年の中でも、33歳になる1994年(平成6年)生まれの方は、厄年の中でも「大厄」にあたります。
【2026年(令和8年)の後厄】
20歳/2007年(平成19年)/亥(い)
34歳/1993年(平成5年)/酉(とり)
38歳/1989年(昭和64年/平成元年)/巳(み)
62歳/1965年(昭和40年)/巳(み)
そもそも厄年とは?
厄年とは、一生のうち何らかの厄難に遭遇する恐れの多い年齢と言われている。現代においてもなお「万事に慎まねばならない年齢」として意識されることが多い。
厄年とする年齢は、数え年で男性は25歳、42歳、61歳、女性は19歳、33歳、37歳、61歳。 中でも男性の42歳と女性の33歳は「大厄」、その前後の年齢も「前厄」「後厄」とされ、肉体的にも精神的にも調子を崩しやすい年齢で、特に忌むべき年齢といわれている。
厄年が広まったのは江戸時代以降ですが、多くの人が厄年を気にかける風潮が生まれたのは、都市型の生活が普及するようになってからのことと考えられています。
女性の場合、まだ晩婚化が進んでいなかった時代は30歳過ぎには子育てが一段落していましたから、33歳は人生の中盤戦を意識するタイミングだったと言えるでしょう。
由緒あるものなのかと思いきや、意外とあやふやな厄年。ではそんな厄年の、よくある勘違いとは?
厄年の勘違い1.「悪いことが起きる年」
厄年の起源は単なる語呂合わせで、一般的に最も大きな厄年とされる、女性の33歳は“散々”、男性の42歳は“死に”に通じるから、という説が有力。だが、これといった根拠はないのだとか。
地域の付き合いが深かった時代は、冠婚葬祭の行事が年中行われ、そこに参加することで“人生の節目”を感じることができましたが、今はそうした機会が減っています。
都市型の生活になると、成人式以降、結婚式以外にそうした行事に立ち会う機会はそれほど多くありません。そんな中で、個人の人生の節目を感じるために通過儀礼として、厄年が浸透していきました。
成人式が子供から大人になる節目であるように、厄年も一つのタイミングにすぎない。
悪いことが起きるタイミングではなく、漫然と生きるのをやめて「自分の人生、これでいいんだっけ?」と立ち止まって確認するためのツール。それが現代の厄年の正体なのだ。
厄年の勘違い2.「大きな決断はしない方がいい」
一般的に、厄年に大きな決断はしない方がいいと言われることが多いが、島田さんによると、「むしろ厄年は自分の人生を良い方向に変えるためのチャンス」なのだという。
大学卒業や就職などのライフイベントがある20代と比べると、30代は生活に大きな変化が起きにくいもの。
20代の頃に比べて責任ある仕事を任されたり、ライフステージが変わったりする時期ではありますが、何かきっかけがないと、人生を見つめ直すことはしないものです。
20代の頃に経験を積み、人として一人前になっているはずの厄年の年齢をきっかけに、自分の思うような人生が送れているのかどうかを振り返り、もしもそうでなかった場合には必死で頑張るべきです。
ダラダラと続くだけの毎日では、何かをしようと思ってもなかなか頑張れないもの。厄年を良い機会ととらえてチャレンジすることで、これから先の人生に大きな転機をもたらしてくれるかもしれない。
諸説入り交じる厄年だが、「災厄が降り掛かる年」というのは、あくまで迷信。
実力が身についてきた30代は、自分の将来像や方向性が見えてくる時期でもあるため、そのタイミングで迎える厄年を「人の役に立てる年齢に達した」と考える説もあるという。
“厄年=役年”という説があります。今までの経験や積み重ねてきた実績をベースに、社員であれば部下のため、家庭であれば家族のためなど、誰かの“役”に立つことができる年になった。つまり一人前の人間になった証とも言えます。
そう考えると、必要以上に厄年を不安に思う必要はないのかもしれない。
逆に、思い通りにいかない時、失敗してしまった時には、「厄年だからしょうがない」と、厄年のせいにしてしまえば、気がラクになるというメリットもありそうだ。
「自分を納得させる言い訳や逃げ道として使える、便利な道具と考えるといいでしょう」と島田さん。加えて今回の取材では、現代ならではの厄払いの視点として次のように語ってくれた。
最近では、神田明神や赤城神社のように、現代人のニーズに合わせてアップデートしている神社も増えています。古い慣習にとらわれすぎず、今の自分の感性に合う神社へ行き、新たに決意を固めるのも良いでしょう。
厄年にやった方がいいこと・やってはいけないことはある?
厄年=厄災のある年ではない。そうはいっても、厄年に「やってはいけないこと」はあるのだろうか。
最もやってはいけないのは厄年だからといって『気に病みすぎること』です。ただ不安がっていても状況は変わりませんから。厄年について正しく理解して、ネガティブに考え過ぎないようにしてほしいと思います。
しかしどうしても不安なら、それを「行動を変えるきっかけ」にすればいいと先生は続ける。
昔から『断ち物(たちもの)』といって、願掛けのために好きなもの(お酒やお菓子など)を我慢する風習があります。
ネガティブな予感があったり、厄年で不安を感じたりするならば、それを打ち消すために「お酒を控えて健康になろう」など、自分の行動を変える覚悟のきっかけにする。そうすれば、悪いことも良い方向に転換できます。
単に「悪いことが起きそう」と怯えるのではなく、「じゃあ、ここを変えてみよう」と自ら変化を起こす。 そうやって覚悟を決めるための「スイッチ」として厄年を利用するのが、現代の賢い過ごし方と言えそうだ。
30代で終わりじゃない? 「新・厄年」の登場
最後に、島田先生から現代ならではの新しい「厄年」のトレンドについて教えてもらった。 実は今、33歳や37歳だけでなく、新たな年齢を厄年とする考え方が生まれているという。
寿命が延びた現代では、30代ですべてが決まるわけではありません。 最近では、39歳、52歳、63歳などを「新・厄年」とする考え方も出てきました。
かつて女性の厄年といえば、自分自身のことよりも「夫に災いが降りかからないか」を心配する意味合いが強かったものです。しかし、女性も長く働き続けるのが当たり前になった現代において、厄年はまさに「自分自身のキャリアや健康の節目」。
39歳は30代の締めくくり、52歳は親の介護やセカンドキャリア……と、ライフステージの変化に合わせて、こまめに「棚卸し」のタイミングが訪れるようになっているのです。
厄年が増えるというと怖く感じるかもしれないが、厄年はもはや、クリスマスやバレンタインデーのような“季節のイベント”として捉えるくらいが、現代人にはちょうどいいのかもしれない。
「最近ちょっと疲れているかも」「キャリアを見直したいかも」といった心の声に耳を傾け、人生をメンテナンスするための絶好の機会だ。
その年の干支にちなんだ神社に行くなど、初詣や厄払いを“イベント”として参加してみるのもいいでしょう。 「厄年だから」と家にこもるのではなく、そういう場に出かけていくこと自体が、ポジティブな気持ちに切り替えるきっかけになりますから。
厄年を「役立つ年」に変えられるかどうかは、自分の心持ち次第。 2026年、厄年を迎える人もそうでない人も、まずは近くの神社で「心の棚卸し」をしてみてはいかがだろうか。


