厄年の本当の意味は? 女性が陥りがちな厄年2大勘違い&やってはいけないことを専門家に聞いた【2025年版厄年早見表付き】

厄年について、「悪いことが起きる年」と認識している人は多いだろう。
女性の場合、数え年で33歳、37歳と、厄年が連続してやってくるとされているため、アラサー世代にとって厄年は気になるところだ。
厄年を迎えた人からは「ケガをした」「彼氏と別れた」「仕事がうまくいかない」など、悪い話を聞くことが多いもの。中には、暗い気持ちになってしまう人もいるのでは?
「厄払いってした方がいいの?」「厄除けのお守り持つべき…?」なんて不安な気持ちにもなるだろう。
そんなアラサー世代の不安を払拭するため、厄年の研究をしている宗教学者、島田裕巳氏に話を伺った。
厄年が広まったのは江戸時代以降ですが、多くの人が厄年を気にかける風潮が生まれたのは、都市型の生活が普及するようになってからのことと考えられています。
女性の場合、まだ晩婚化が進んでいなかった時代は30歳過ぎには子育てが一段落していましたから、人生の中盤戦を意識するタイミングだったと言えるでしょう。
高齢化社会を迎える今では、63歳を大厄とする“新厄年”の提唱もあるのだとか。そう考えると、クリスマスやバレンタインデーのイベントとさほど変わらないものなのかも。
由緒あるものなのかと思いきや、意外とあやふやな厄年。あまり知られていない、よくある厄年の勘違いを教えてもらった。
厄年とは?

厄年とは、一生のうち何らかの厄難に遭遇する恐れの多い年齢のこと。現代においてもなお「万事に慎まねばならない年齢」として意識されている。
厄年とする年齢は、数え年で男性は25歳、42歳、61歳、女性は19歳、33歳、37歳、61歳。
中でも男性の42歳と女性の33歳は「大厄」、その前後の年齢も「前厄」「後厄」とされ、肉体的にも精神的にも調子を崩しやすい年齢で、特に忌むべき年齢といわれている。
厄年には神社で祈祷を受け、心身のさまざまな災厄をお祓いするのがいいと思われているのが一般的。
【前厄】
18歳 2007年(平成19年)生まれ/いのしし
32歳 1993年(平成5年)生まれ/とり
36歳 1989年(昭和64年/平成元年)/へび
60歳 1965年(昭和40年)/へび
【本厄】
19歳 2006年(平成18年)/いぬ
33歳 1992年(平成4年)/さる※大厄
37歳 1988年(昭和63年)/たつ
61歳 1964年(昭和39年)/たつ
【後厄】
20歳 2005年(平成17年)/とり
34歳 1991年(平成3年)/ひつじ
38歳 1987年(昭和62年)/うさぎ
62歳 1963年(昭和38年)/うさぎ
【前厄】
18歳 2008年(平成20年)生まれ/子(ね)
32歳 1994年(平成6年)生まれ/いぬ
36歳 1990年(平成2年)/うま
60歳 1966年(昭和41年)/うま
【本厄】
19歳 2007年(平成19年)生まれ/いのしし
33歳 1993年(平成5年)生まれ/とり
37歳 1989年(昭和64年/平成元年)/へび
61歳 1965年(昭和40年)/へび
【後厄】
20歳 2006年(平成18年)/いぬ
34歳 1992年(平成4年)/さる※大厄
38歳 1988年(昭和63年)/たつ
62歳 1964年(昭和39年)/たつ
厄年2大勘違い、その1「悪いことが起きる年」

厄年の起源は単なる語呂合わせで、一般的に最も大きな厄年とされる、女性の33歳は“散々”、男性の42歳は“死に”に通じるから、という説が有力。だが、これといった根拠はないのだとか。
地域の付き合いが深かった時代は、冠婚葬祭の行事が年中行われ、そこに参加することで“人生の節目”を感じることができました。
ところが都市型の生活になると、成人式以降、結婚式以外にそうした行事に立ち会う機会はそれほど多くありません。
そんな中で、個人の人生の節目を感じるために厄年という通過儀礼が浸透していきました。
成人式が子供から大人になる節目であるように、厄年も一つのタイミングにすぎない。「自分の人生を振り返って中間決算をする節目」として、上手く活用しよう。
厄年2大勘違い、その2「大きな決断はしない方がいい」
一般的に、厄年に大きな決断はしない方がいいと言われることが多いが、島田さんによると、「むしろ厄年は自分の人生を良い方向に変えるためのチャンス」なのだという。
大学卒業や就職などのライフイベントがある20代と比べると、30代は生活に大きな変化が起きにくいもの。何かきっかけがないと、人生を見つめ直すことはしないものです。
20代の頃に経験を積み、人として一人前になっているはずの厄年の年齢をきっかけに、自分の思うような人生が送れているのかどうかを振り返り、もしもそうでなかった場合には必死で頑張るべきです。
ダラダラと続くだけの毎日では、何かをしようと思ってもなかなか頑張れないもの。厄年を良い機会ととらえてチャレンジすることで、これから先の人生に大きな転機をもたらしてくれるかもしれない。
諸説入り交じる厄年だが、「災厄が降り掛かる年」というのは、あくまで迷信。
実力が身についてきた30代は、自分の将来像や方向性が見えてくる時期でもあるため、そのタイミングで迎える厄年を「人の役に立てる年齢に達した」と考える説もあるという。
“厄年=役年”という説です。
今までの経験や積み重ねてきた実績をベースに、会社員であれば部下のため、家庭であれば家族のためなど、誰かの“役”に立つことができる年になった、という考え方ですね。
厄年を迎えることは、一人前の人間になったという証とも言えます。
そう考えると、必要以上に厄年を不安に思う必要はないのかもしれない。
逆に、思い通りにいかない時、失敗してしまった時には、「厄年だからしょうがない」と、厄年のせいにしてしまえば、気がラクになるというメリットもありそうだ。
「自分を納得させる言い訳や逃げ道として使える、便利な道具と考えるといいでしょう」と島田さん。
厄年にやってはいけないことはある?
厄年=厄災のある年ではない。そうはいっても、厄年に「やってはいけないこと」はあるのだろうか。
先ほどまでの話とも通じますが、最もやってはいけないのは、厄年だからと「気に病みすぎること」。厄年について正しく理解して、ネガティブに考え過ぎないようにしてほしいと思います。
つい暗い気持ちになってしまいがちな厄年。迷信に惑わされず、自分の人生を見つめ直す節目の年と考えることが大切だ。
厄年は自分の人生を良いものに変えるためのチャンス。そう考えてみるだけでも、いい1年になりそうだ。

宗教学者
島田 裕巳さん
宗教学者、作家、NPO法人 葬送の自由をすすめる会会長、東京女子大学非常勤講師。 放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員、同客員研究員を歴任。新宗教の研究からはじまって、日本の仏教や神道にとどまらず、世界の宗教について幅広く研究し、数多くの著作を発表している。さらに、人の死や葬送の問題、しきたり全般、宗教と政治や経済との関連についても著作活動を展開している。著書は『厄年の研究』(学研パブリッシング刊)など多数
取材・文/上野 真理子