誰からも好かれている「デキる女」が備えている“そとづら力”の磨き方
周囲から「デキる女」と思われるのは、なかなか難しい。バリバリ働いて仕事で成果を出しても、いつもストレスを溜めてイライラしていたり、周囲を不快にする振る舞いをしていたら、間違いなく「デキない女」と見なされる。一方で、いつも明るい笑顔で楽しそうに働いていたり、細やかな気配りができる女性は、顧客や上司・同僚からも信頼を得ていることが多い。つまり、誰からも好感を持たれるような“感じのいい女性”こそが、「デキる女」の必須条件なのではないだろうか。
「そうですね。ビジネスの現場で活躍している女性は、表情や言葉遣い、振る舞いといった外見的な要素を意識していると思います。言い換えれば、“人に見られること”を常に意識していると言えるでしょう」
そう話すのは、全日空の元トップ客室乗務員で、現在はビジネスコンサルタントとしてホスピタリティ精神にもとづく人材育成や教育研修を手掛け、『人は「そとづら」が9割』の著者でもある、三枝理枝子さん。
三枝さんはズバリ、「デキる女になるためには、“そとづら”を良くしましょう」と提言する。
「見た目の印象を良くすることは、おもてなしへの第一歩。一般に“そとづらが良い”という言葉はあまり良くない意味で使われていますが、そとづらを良くすることで相手を不快にさせず、心地良くさせることができます。
決して悪いことではありません。人間にとって、そとづらはいわば家の「玄関」のようなもの。そこを明るくきれいにしていれば、自信を持って他人を迎え入れることができますし、多くの人と良好な人間関係を築くことができるので、お仕事でチャンスをいただけることも増えるはず。
つまり、そとづらを良くすれば、自分の夢や目標を叶えることにもつながるのです」
となれば、堂々と“そとづら”を磨いて、周囲に「デキる!」と思わせてしまおう。見た目や会話、行動においてどんな心掛けをすればよいのか、三枝さんに具体的なアドバイスをいただいた。
最強のマジック・フレーズ「恐れ入りますが」を使いこなす
相手にお願いごとをしたり、ちょっと言いにくいことを伝える時は、「前置きのクッション言葉+依頼系の語尾」を使うと、相手に不快感を与えずに、こちらの意図を伝えることができる。例えば「お待ちください」ではなく、「恐れ入りますが、お待ちいただけますか?」と言えば、格段に印象は良くなるはず。この前置きの言葉は「マジック・フレーズ」と呼ばれ、ほかに「お手数ですが」「よろしければ」などが代表的だ。
「特に『恐れ入ります』はさまざまな場面で使える万能フレーズ。とっさにいろいろと使い分けるのが難しいという人は、まずはこの一言を口に出す習慣をつけましょう」
“間抜け”な女にならない!
打ち合わせや商談の場でよく見かけるのが、自分の考えを伝えようとするあまり、機関銃のようにしゃべり続けてしまう人。聞いている側が話の内容を理解する暇さえ与えないので、「一体この人は何が言いたいの?」と不信感を持たれてしまう。
「この状態を回避するコツは、間を置くこと。自分の意見を述べる時も、『私の考えは』と言ったところで一拍の間を置くと、相手は『何だろう?』と思って耳を傾けてくれます。会話の途中で間を置けば、相手がその内容について考えたり、頭を整理する時間も持てるので、その後のコミュニケーションも円滑に進むはずです」
会話の間が抜けている=“間抜け”にならないよう注意を!
椅子の背もたれには寄りかかるべからず
打ち合わせの最中、ふと相手を見たら、椅子の背もたれにだらんと寄りかかっていた……。そんな様子を見たら、話している方は「真剣に聞いてるの?!」と文句の一つも言いたくなる。
「姿勢の良し悪しは、その人の働き方や生き方の表れだと心得てください。背筋がピンと伸びている人は、優美で自信に満ちあふれているように見えるもの。だから周囲の人たちも、『この人なら仕事を任せられそうだ』と信頼を寄せるのです」
特に長時間座っている時は、気が抜けて姿勢が崩れやすいので要注意。どんな椅子でも背もたれはないつもりで腰掛けていれば、美しい姿勢を維持しやすい。
何かを指し示す時は、指先をきちんと揃えて
相手に資料を見せながら説明する時、人差し指1本で「この数字なんですが……」と指し示してはいないだろうか。指どころか、ペンを使っているとしたら論外だ。
「この場合は、5本の指をきちんと揃え、手の甲を下にして指し示すのがマナーです。この“指先を揃える”というのが重要なポイント。指先にまで神経を注げる人は、『仕事でも細部まで気を配ってくれるだろう』という信頼感を相手に与えることができるのです」
名刺を交換する時や手土産を渡す時も、指先まできちんと揃えるよう心がけて。また、渡してすぐに手を引っ込めるのではなく、相手が受け取った後にゆっくりと手を離すと、優雅で余裕のある女性だと感じてもらえる。
相手をイラッとさせる「ながら動作」は絶対NG
こちらが話しかけているのに、相手はパソコンの画面を見ながら「そうですね」。こんな対応をされたら、誰もが「自分はないがしろにされている」と感じて不快になるだろう。人と接している時に、別のことをしながら会話をすると、相手は「心がこもっていない」と感じるもの。複数のことを同時にやろうとせず、一つの動作が終わってから次の動作に移ることを心掛けたい。
「挨拶をする時も、おじぎをしながら言葉を発するのではなく、まずは相手の目を見て『おはようございます』と声を掛け、言い終わってからおじぎをすると、礼儀正しく洗練された印象を与えることができます」
部下や後輩に注意する時は、「サンドイッチ方式」で
部下や後輩を持つようになると、仕事の依頼や誤りを指摘しなくてはいけない場面も出てくる。だが、「~しなさい」という乱暴に指摘をしても、相手は不快に思い反発するだけで聞く耳を持たないだろう。そこで活用したいのが、「サンドイッチ方式」で相手に伝えること。まずは「最近、頑張っているみたいね」と相手を褒める。その上で、「お客様への対応は、こうするといいんじゃないかな」と注意事項を伝える。そして最後にもう一度、「あなたが成果を上げてくれて、私も助かるわ」と褒める。パンでハムを挟むように、注意の言葉を褒め言葉でサンドしてあげればよいのだ。
「褒めることに慣れていないという人は、最初の褒め言葉だけでも実践してみてください。すると相手は『自分の頑張りをちゃんと見てくれているんだ』と嬉しく思うので、続く注意事項にも耳を傾けようとするはずです」
確かにこれらは、普段から「人に見られている」という意識を持たないと、なかなか習慣化できないだろう。いきなりすべてを実践するのは難しくても、まずはこのうちの1つだけでもチャレンジしてみてほしい。自分の言葉や振る舞いが変わることで周囲の反応や接し方が変わり、その結果、自分を見る目や評価も変わることが必ず実感できるはずだ。