01 FEB/2017

川口春奈・デビュー10周年で見えた新たな地平「プレッシャーが自分を強くする。不安に負けず、前進し続けたい」

Another Action

普段の表情は“元気印”そのもの。そこにいるだけでパッと周りが明るくなるような華やかさを持った女優、川口春奈さん。そんな彼女が「新たなヒロイン像」に挑戦しているのが、2017年2月18日より公開予定の最新主演映画『一週間フレンズ。』だ。

川口春奈

川口 春奈(かわぐち・はるな)
1995年2月10日生まれ。長崎県出身。07年、雑誌「ニコラ」のモデルとしてデビュー。09年、テレビドラマ『東京DOGS』で女優デビュー。10年『初恋クロニクル』でドラマ初主演を果たす。12年、映画『桜蘭高校ホスト部』で映画初主演。その後も映画『絶叫学級』、『マダム・マーマレードの異常な謎』、『にがくてあまい』など主演作多数。14年には舞台『生きてるものはいないのか』で初舞台初主演を務めた

川口さんが演じるのは、毎週月曜になると友達の記憶だけ失ってしまう女子高生・香織。その特殊な記憶障害ゆえに香織は心を閉ざし、周囲に対して高い壁をつくるが、クラスメイトの長谷くん(山﨑賢人)だけが、香織と友達になろうとめげずに声を掛け続ける――。

川口春奈

“黙々と頑張る”だけじゃダメ!?
一緒に働く人への理解を深めたら、仕事がスムーズに進むようになった

「今回のお仕事で一番難しかったのは、香織が少しずつ成長していく様子を表現すること。長谷くんをはじめ、いろいろな人との関わりの中で、少しずつ香織は明るさを取り戻していくのですが、決してコロコロと表情が変わるタイプの女の子ではないので……。進んでいるようで進んでいない、だけどほんのちょっと前進している。そういう繊細な変化を丁寧に表現できればと考えながら演じました」

川口春奈

そう撮影を振り返る川口さん。愛くるしい笑顔を浮かべながら話す彼女からは、香織が抱えるような「人間関係の難しさ」とは無縁のようにも見えるが、実は自身も「かつては極度の人見知りだった」と明かす。

「10代の頃は初対面の人とコミュニケーションを取るのが苦手で、いつも人から声を掛けてもらうのを待つばかりでした。それに、せっかく話し掛けてもらっても、なかなか上手く会話がつなげられなかったり。もともとシャイな性格なんです」

だが、少しずつキャリアを重ねるうちに、「このままではいけない」と思い至るようになったのだとか。

川口春奈

「仕事って、人と人とのつながりから生まれることも多いもの。それなのに、自分から閉じこもっていたらいろいろなチャンスも逃げちゃうし、もったいないなって。それに、自分ではそんなつもりはないのに、『あの子はいつもムスっとしてる』って周囲の人に思われるのも本意じゃないし、ちょっと悔しい。だから、最近では自分から皆に話かけたり、働きかけたりすることを意識するようにしています」

人見知りの川口さんが、初対面の気まずさを乗り越えるためにフル活用したのが、「念入りな情報収集」で事前準備をすることだ。

「初めてお仕事をさせていただく方がいる場合は、事前にネットをくまなくチェックして会話のネタを探し、その方への理解を深めるようにしています。あとは、共通の知り合いがいたら、その人から『どんな人?』ってリサーチしたり。自分の中の会話の引き出しを増やすイメージです。今回の山﨑さんもそうでした。現場に入る前に、めちゃくちゃ『Wikipedia』で調べましたよ(笑)。その甲斐あってか、今回の現場には、自分でも驚くほどすんなり溶け込めました。一緒に働く人に対する理解が深まると、仕事って、すごくスムーズに進むものなんだなって痛感しましたね」

自分を変えるのは簡単なことじゃない。
周囲の人の力をチャレンジの原動力にする

自身の弱点を克服し、新しい一歩を踏み出そうとしている川口さん。自分の「弱さ」を克服し、前進するためには「人とつながろうとする勇気が大切」だという。

川口春奈

「自分を変えるのって、すごく難しいですよね。一人で変わろうとするとなおさら。でも、本気で変わりたいなら、いろいろな人とつながって、周囲の人から良い刺激を受けることが一番の近道かもしれない。香織も友人たちに心を開くところから前進し、変わることができました。年齢や職種、性別を問わず、自分の知らないことを知ろうとする好奇心や、新しい出会いとつながろうとする勇気が、自分を変える原動力になると思います」

また、「人見知り」という弱点を克服するために、川口さん自身が活用しているのが「手紙」だそう。

「口下手だから、その場でぱっと言いたいことが言えないことがあるんです。でも、文字にすると伝えられることってありますよね。映画の中で香織は、長谷くんとの交換日記を通じて少しずつ距離を縮めていくんですが、私はよく手紙を書いて自分の気持ちを伝えるようにしています」

「言いたかったけど、言えなかった」では何も始まらない。自分の気持ちを周囲の人に伝えることを意識し出したら、「仕事の幅も広がってきた」と川口さんは語る。

人にどう思われるかは気にしない!
挑戦することを恐れるより、その後の成長をイメージする

現在21歳の川口さんだが、実は今年でデビュー10周年。女優として大きな節目の年を迎えようとしている。人気ファッション誌『ニコラ』のモデルとしてデビューし、やがて女優へ。21歳の若さながら、映画やドラマで主演を務めるなど大役を任される機会も多い。その凜とした横顔には、作品を背負って立つ者としての責任もにじむ。

川口春奈

「責任感は、年齢と共に増している実感はあります」

そう自らの置かれている状況について想いを口にする。映画の主演ともなれば、プレッシャーも大きい。その重責に、川口さんはどのように立ち向かっているのだろうか。

「人にどう思われても気にしないこと。責任ある仕事は自分を成長させてくれる機会だと思うこと。プレッシャーに対する緊張や恐怖よりも、そこで得られる成長や達成感の方が大きいって信じているから、負けずに飛び込みたいと思えます」

プレッシャーが、自分を強くしてくれる。それは、ビジネスの世界でもまったく同じことが言える。大きなプロジェクトや新しいミッションを任されたときにこそ、思い出したい魔法の言葉だ。

「2017年は、私にとって仕事を始めて10周年という特別な年。今まで応援してくださった皆さんに直接感謝を伝えられる場をつくりたいし、もっと気合いを入れて女優という仕事に臨みたい。この仕事は、人の人生に寄り添うだけの影響力を持った仕事。そのことを忘れず、見てくれた人がハッピーになれるような女優を目指していけたら。それが、私のチャレンジです」

川口春奈

一つのキャリアの区切りを迎えたいま、自身の弱みを克服し、前進を続ける女優・川口春奈さんのAnother Actionがここから始まっていく。

取材・文/横川良明 撮影/竹井俊晴


映画『一週間フレンズ。』2017年2月18日(土)公開
監督:村上正典 
脚本:泉澤陽子 
原作:葉月抹茶「一週間フレンズ。」(ガンガンコミックスJOKER/スクウェア・エニックス刊)
主演:川口春奈・山﨑賢人 
配給:松竹株式会社      
公式サイト:http://ichifure.jp     
©2017 葉月抹茶/スクウェアエニックス・映画「一週間フレンズ。」製作委員会