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JAN/2018

専業主婦16年→サイボウズ広報へ。「通勤電車に乗るのも不安」だった私が仕事に復帰して分かったこと

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一度キャリアを降りたら、そのままずっと降りざるを得ない――。
残念ながら、それがこれまでの日本の現実。
今なお、結婚や出産を機に仕事を辞めてしまうと、専業主婦の期間が長ければ長いほど、正社員として職場に復帰するのは至難の技だ。

サイボウズ株式会社で広報を務める江原なおみさんも、再就職に苦労した一人だ。専業主婦として過ごした16年間はブランクと見なされ、就職活動は難航。そんな彼女は復職を果たした今、「専業主婦の期間は、私にとってブランクではない」と話す。長い期間を家庭の中で過ごしたからこそ感じる、“働くことの意味”とは。

サイボウズ株式会社  ビジネスマーケティング本部コーポレートブランディング部 広報  江原なおみさん
サイボウズ株式会社 
ビジネスマーケティング本部コーポレートブランディング部 広報 
江原なおみさん

大学卒業後、ソニーにて約7年間勤務。夫の海外転勤を機に退職し、以来16年間専業主婦。2児の母。2016年6月にサイボウズ株式会社の『キャリアママインターンプログラム』でのインターンを経て、同年9月に同社へ入社。キャリアチェンジ部門にて『Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2017』受賞

「この生活を続けて、最後に何が残るんだろう」

会社を辞めて専業主婦になったきっかけは、夫の海外転勤でした。希望すれば転勤先のイギリスで働くこともできたと思いますが、あえてしなかった。というのも、当時は仕事がとにかく忙しくて疲れ果てていたから、仕事から解放されて自由に時間が使えることがうれしくて。私の母が専業主婦だったこともあり、家にいつも母親がいることにも良いイメージを持っていました。

イギリスで出産した後、日本に戻ってからは子育てがあまりにも大変で、職場復帰なんて考える余裕はゼロでした(笑)。ただ、長男が小学生になった時、社会との繋がりが切れて孤立したような気持ちになりました。息子が幼稚園に通っていた頃は送り迎えで母親同士の交流があったけど、それがなくなったら話し相手が子どもだけになってしまって。すごく狭い世界で生きているように感じたし、大人と話がしたかった。

1年後に次男が幼稚園に通い始めてからは、そんな気持ちも紛れていったのですが、すぐにまたあの“孤独な時期”はやってくる。家庭の仕事はやりがいもあるし、友達とランチに行ったり習い事をしたりする毎日も楽しいけれど、「この生活を続けて、最後に何が残るんだろう」という不安も大きくなってきた。だから、次男が小学校に入学するタイミングで、いよいよ会社員としての復帰を真剣に考え始めました。

スキルもある、やる気もある、でも自信は全くない……
理想と現実のギャップに打ちのめされた仕事探し

初めて復職に向けて動き出した時でさえ、私の専業主婦歴は10年以上。いろいろな人材サービス会社に登録をして、アピールポイントを作るためにTOEICの勉強をしました。いざ満点を取って、「スキルはある、やる気もある、さぁどうだ!」と思ったら、理想と現実のギャップはものすごく大きかった。

サイボウズ株式会社  ビジネスマーケティング本部コーポレートブランディング部 広報  江原なおみさん

紹介される仕事はフルタイムが大前提。いきなりフルタイムで働く自信がなくて、気持ちはあっても応募ができない。でも、時短や週3の仕事では特別なスキルがいらない仕事ばかり。それが身の丈に合った仕事だったのかもしれませんが、出産するまではバリバリ働いていたので、「こんなものか」とすごくショックで……。思い描いていた理想と、現実のギャップに納得ができず、ずっとモヤモヤしていました。

本格的に就職活動を始めてから1年半が経ち、期待が徐々にしぼんでいった頃に面接を受けた企業からは、「やる気が感じられない」という理由で不採用通知をもらいました。やっぱり無理なのかな……。そう思い始めた矢先に、ブランクのある主婦を1カ月の期間限定で働かせてくれるサイボウズのインターン制度を登録していた人材サービス会社のWarisさんから紹介してもらいました。

サイボウズのオフィスがある日本橋は、自宅から電車で片道1時間の距離。もっと近くで働けるところを探していたから、はっきり言うと圏外でした。正直なところ、企業名も知らなくて(笑)。でも、面接に行ってみると、最初に「どのくらい働けそうですか?」って聞いてもらえました。次男の習い事の送り迎えがあるから曜日によっては15時に帰りたいと正直に伝えたら、「大丈夫ですよ」と言ってもらえて、1カ月間限定のインターンとして採用してもらえたのです。

ママ友以外と接点を持ったら、息子の未来の姿が見えてきた

満員電車に揺られて毎日オフィスまで通えるのか。
仕事の感覚が鈍っているんじゃないか。
当時4年生の次男は母親が家にいなくて大丈夫だろうか……。

最初は不安と心配でいっぱいでした。ただ、通勤はヘロヘロになりながらもどうにか通えたし、仕事の感覚やスキルは自転車に乗るのと一緒で、やってみれば意外と体が覚えていた。子供も「寂しいけど平気だよ」みたいな感じで順応性があることが分かった。それでも1カ月のインターン生活が終わった時の正直な感想は、「疲れた」でした(笑)。でも、3日ぐらい職場から離れたら、何だかすごく寂しくなってきちゃったんですよね。

サイボウズ株式会社  ビジネスマーケティング本部コーポレートブランディング部 広報  江原なおみさん

16年も専業主婦だったから、交友関係の9割が同世代のママ友。サイボウズは平均年齢が34歳ぐらいの若い人が多い会社で、インターンの時に目の前に座っていた社員は1993年生まれ。それって私が就職した年です(笑)。少し気後れすることもあるけど、これまで接点がなかった世代の人とも話せるのがとにかく面白かった。何だか、中学生の長男の少し先の姿を見ている気がしたんですよね。私と違ってスマホを使いこなしている長男に「そんなスマホばっかりいじって……」とか否定的なことを言ってしまっていたのですが、こういうものを使いこなしていくと、今目の前に座ってバリバリ仕事してるこの子みたいになるのか……と、頭の中で繋がったというか。

それに、仕事をしていると毎日たくさんインプットがあるから、帰って子供にシェアしようと思って、ものすごく喋る毎日でした(笑)。以前は「学校どうだった?」、「明日は何時に家出るの?」みたいな、子供が主語の会話しかできなかったんですけど、働いていると「お母さんは今日こういうお仕事をしたんだよ」とか、「今、世の中ってこうなってるから、あなたたちはこういうことをしたらいいよ」みたいなアドバイスもできるようになって、それが子どもたちにとってもすごくいいことなんじゃないかと思うようになったんです。

結局、インターンが終わって1週間くらいで正社員採用に応募して、正式に入社させてもらいました。最初の半年は9時〜16時で働き始めて、慣れてきた今は9時~17時。週に1回は在宅勤務にしています。ずっと会社で働いてきた人にとっては当たり前のことだと思うんですけど、通勤がすごく疲れるんですよ。でも週に1日家で仕事できれば、そこでリカバリーして「頑張れるぞ」って思えます。

「お母さんは一人で生きていける」

サイボウズ株式会社  ビジネスマーケティング本部コーポレートブランディング部 広報  江原なおみさん
本格的に仕事に復帰してからは、毎日ヘトヘト。最初の半年は仕事と家庭のバランスがうまく取れませんでした。これまで家のことを全部やっていたから、手の抜きどころが分からない。家のことは週末に全部まとめてやるようにしていたので、金曜日になると「あぁ、明日から週末だ……」って逆に気が重くなったりして(笑)。“主婦魂”が邪魔をするんですよね。今は、外食を取り入れながらうまく力を抜いてやれるようになったし、無理し過ぎないバランス感覚も身についてきました。

あとは、「案外大丈夫だ」と思っていた次男が、実は大丈夫じゃなかった。私が正社員として働き始めた途端に、何度も熱を出すようになってしまったんです。寂しい気持ちが体調に表れたのかな(笑)。実際、「お母さんは家にいてよ」と言われたこともあります。だから、在宅勤務で家にいるとうれしそうにしていますね。

一方で、中学生になった長男を見ていると、母親のことなんて全く眼中にないんですよ。だから次男には、「すぐにあなたもお兄ちゃんみたいなるんだよ。あなた達がお母さんの手を離れた後も、私は何十年も生きていく。生きがいのない毎日を送っているお母さん、嫌でしょう? それに何かあっても働いているからお母さんは一人で生きていける。あなた達に迷惑はかけないよ」みたいな感じで説得しています(笑)。

専業主婦もいい。でも、“復帰”の可能性は常に頭に入れておいて

私は専業主婦も立派な仕事だと思っています。でも振り返って考えると、専業主婦になりたい理由を明確にしておくのが大事かな。私のように、「仕事もう疲れちゃった」とか「両立が大変」という理由を否定するわけではないですが、その先の長い人生のことも想像した方がいいと、今だから思いますね。子供は想像以上に早く親の手を離れていきます。だから、「絶対に仕事に復帰はしない」ではなくて、復帰の可能性を頭の片隅にいつも置いておくことが大切です。

サイボウズ株式会社  ビジネスマーケティング本部コーポレートブランディング部 広報  江原なおみさん

私が復帰できたのは、運がよかっただけ。強いて言えば、子供が大きくなった先の何十年をどう過ごすのかを考えた時の不安が原動力になりました。人生100年と言われていて、40歳だとしても残り60年。そんなに長い時間、私は何をするんだろう……。保護者会や授業参観が一切なくなったとき、趣味だけで過ごしていける? 交友関係もどんどん細くなっていくし……。こうやって想像力を働かせると、ものすごく危機感が出てくるんですよね。

会社員として復帰するのは大変だったけど、主婦の期間は100%のブランクでは全くないと思っています。例えば幼稚園の役員なんかを経験すると、バックグラウンドも能力も全く違う人たちとうまくやっていく対人スキルが自然と磨かれます。あとは、不測の事態への対応力。予定を立てても子供が熱を出したり、わがままを言ったりすれば全部ダメになることは日常茶飯事。思い通りにいかないことが当たり前の生活だから、仕事で何かトラブルがあっても「そういうこともあるよね」って、うまく気持ちの切り替えができるようになったと思うんですよね。子育てを経験する前の私は、もっと尖っていて周りの人への思いやりも全然なかった。「何で期待通りに動いてくれないの!?」っていつも不満を抱えていましたから(笑)。今はすごくおおらかな気持ちで働いていますよ。

仕事って、“喜び”そのものですね。離れていた期間があるから、余計にそう思うのかもしれません。主婦の仕事って誰からも評価されないじゃないですか。せいぜい「おいしいご飯ありがとう」って子供がカードに書いてくれるくらい。だから、自分の仕事が目に見えるカタチになって外に出て、それを見た人から「頑張ってるね」って言われるとすごく嬉しいんです。

やっぱり通勤は嫌だけど、それでも会社に来るのは楽しい。『どこでもドア』があったらいいのにって、心底願っています(笑)。私みたいに専業主婦の期間が16年あっても働けることを、たくさんの人に、そしていろいろな会社に、分かってもらえるといいなと思います。

取材・文/天野夏海 撮影/栗原千明(編集部)

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