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MAR/2018

えっ、アノ国よりも下!? 「男女平等」途上国日本で女性が幸せを掴むには?【目黒依子・大崎麻子・治部れんげ】

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このランキングが何を表すか、お分かりになるだろうか。


1位:アイスランド
10位:フィリピン
19位:南アフリカ
76位:ケニア
108位:インド
114位:日本
120位:アラブ首長国連邦


これは2017年11月に発表された男女格差の度合いを示す『グローバル・ジェンダー・ギャップ指数』の結果だ。

日本は144カ国中114位。順位は毎年下がり続け、114位は過去最低の数字となった。ケニアやインドよりひどく、アラブ首長国連邦よりは少しマシ。これが世界から見る日本の男女格差の現実だ。

グローバルに活躍してきたジェンダー平等と女性のエンパワーメントの専門家によるNPO、Gender Action Platform (GAP)主催の元、2月20日に行われたセミナー『グローバル・ジェンダー・ギャップ指数の「正しい」読み解き方』。識者の女性たちの話を通じて、日本の現状と、そんな社会の中で女性が生きていくために必要な力が見えてきた。

日本女性が家事や育児に掛ける時間は“途上国並み”の水準

グローバル・ジェンダー・ギャップ指数は「経済活動への参加と機会」、「政治への参加と権限」、「教育」、「健康と生存率」の4つの分野で、国際機関の統計データを元に算出される。

男女格差の啓発を目的にランキング化されており、日本は2006年の80位という結果を受け、行政が格差是正の取り組みをスタートした。安倍政権は「女性活躍」を掲げているが、ランキングは下がる一方だ。

ジェンダーギャップ指数
Japan(The Global Gender Gap Report 2017)/ WEF

スコアの数字が1に近いほど、男女が平等であるということを示す。2006年と2017年で見比べて見ると、スコアはほぼ変わっていない。それにも関わらず順位が転落している理由を、「他の国がどんどんスコアを上げているから」と、長くジェンダー研究を行ってきたGAP理事長の目黒依子さんは話す。

ジャーナリストの治部れんげさんによると、「日本の女性の家事や育児の労働時間は途上国並み」だという。

ジェンダーギャップ指数  治部れんげ
写真左:治部 れんげさん
フリージャーナリスト。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。1997年一橋大学法学部卒業後、日経BP社入社。経済誌の記者・編集者を務める。2014年からフリーに。国内外の共働き子育て事情について調査、執筆、講演などを行う。著書『稼ぐ妻・育てる夫―夫婦の戦略的役割交換』(勁草書房)、『ふたりの子育てルール』(PHP研究所)など
Twitter:@rengejibu

写真中央:目黒依子さん
上智大学名誉教授。家族社会学や日本のジェンダー研究創成期より、各領域の研究・教育に携わる。国連総会日本政府代表代理、国連女性の地位委員会日本代表、国際機関理事・委員会委員、政府審議会・懇談会委員、国際女性会議(World Assembly for Women in Tokyo, WAW!)国内アドバイザー等、現在「女性・平和・安全保障に関する行動計画」評価委員会委員長、等。単著『主婦ブルース』筑摩書房、『女役割−性支配の分析』(垣内出版)、『個人化する家族』(勁草書房)、『結婚・離婚・女の居場所』(有斐閣)、『家族社会学のパラダイム』(勁草書房)他、共著書、論文多数

写真右:大崎麻子さん
ジェンダー・女性活躍推進・国際協力の専門家。上智大学卒業後、米国コロンビア大学大学院で国際関係修士号を取得。国連開発計画(UNDP)で、途上国の「ジェンダー平等の推進と女性のエンパワーメント」を担当。貧困削減や災害・紛争復興などのプロジェクトに携わる。2004年に退職後、帰国してフリーに。著書に『女の子の幸福論』(講談社)『エンパワーメント 働くミレニアル女子が身につけたい力』(経済界)

「ほとんどの先進国では男性の約2倍、途上国では5~6倍の家事を女性がやっています。一方の日本は、途上国に近い数字がはっきりと出ている。家事や育児、介護は妻や娘がやるものという意識があるんですよね。この話を左派の研究者にしたら、『初めて知りました』って言うんです。おそらく男性たちの多くが、家庭内での不平等に気がついていないんですよ」(ジャーナリスト・治部さん)

こうした現状を「当たり前」と思っているのは男性に限らない。女性自身も知らず知らずのうちに「家事も育児も女がやるもの」という感覚を少なからず持っているのではないだろうか。女性が保育園にお迎えに行くのは普通で、男性が同じことをすると「イクメン」と言われることが、こうした不平等を物語っている。

一方、働く女性と密接に関わる「経済活動への参加と機会」の分野でも、日本のグローバル・ジェンダー・ギャップ指数は114位と低い。

ジェンダーギャップ指数  目黒依子

「働く女性は増えているけれど、多くは低賃金の非正規雇用の職に就いています。それに、大卒の男性の賃金のピークは50代ですが、大卒の女性のピークは26~27歳というデータもある。つまり、結婚や出産等をきっかけに仕事を辞めていたり、パートなど非正規の働き方に切り替えたりしているということ。このことだけでも、世界ランク114位の理由がよく分かりますよね」(GAP理事長・目黒さん)

日本の女性が弱い理由は、「決定権がないから」

このような社会で働く女性は、ふいに厳しい状況にさらされることがある。この先の未来を生き抜くためのキーワードとなるのが、「力をつけること」を意味する「エンパワーメント」だ。女性のエンパワーメントで重要なのが「生きる上での決定権を持つこと」。社会的な位置付けの中で女性の立場が弱い理由を、目黒さんは「決定権を持っていないから」だと語る。

UNDP(国連開発計画)でジェンダー平等の推進と女性のエンパワーメントを担当してきたGAP理事の大崎麻子さんは、「人生を自己決定するためには社会や政治への参加が重要」と話す。

ジェンダーギャップ指数  大崎麻子

「自分たちが払っている税金がどう分配されているのか、どういう人がどういう法律を作っているのか、そしてそれらが自分にどう影響を及ぼしているのか。きちんと理解して、政治に関与することが大事です。個人ももちろんですが、社会を変えなければいけません。政治の場での予算の分配や法律の作られ方に対して、どれだけ女性が関与できているのか。これが女性のエンパワーメントにおいて重要です」(GAP理事・大崎さん)

「2020年までに指導的地位の女性割合を30%に」と政府が謳っているが、単純に女性の人数を増やすということではなく、意思決定の場に女性がいるということがポイントとなる。

「経済力があれば自信が持てる」会社で働くことだけが手段じゃない

会社や議会など、あらゆる意思決定の場に女性が参加するためには、女性が”決める力”を身に付ける必要がある。お昼に何を食べるかといった目先のことから、結婚や出産、そしてそれと同時に働き方まで、何かを決めなければいけない場面は多い。その際の一番の基本となるのは「経済力」と目黒さん。

「経済力を付けて、人に依存せずに自分で生きていけること。それが自信を持つことに繋がります。自信を持てれば自己決定ができるし、そうなればあらゆる場面で意思決定に関わることができる。よく経営者が女性を管理職にしたいと言いますけど、それまでに意思決定をするための訓練を受けているのでしょうか。考える力と自信がなければ、いきなり決定しろと言ってもできません」(GAP理事長・目黒さん)

ジェンダーギャップ指数  目黒依子

「結婚は愛情というオブラートで包まれた安全保障」と目黒さん。結婚相手を選ぶとき、ほとんどの女性が経済力を重視するが、その理由が「経済的に相手に依存する」という動機なのであれば注意が必要だ。

一方では、経済力を持つことの難しさを挙げる人もいるだろう。「スキルがない」「学歴がない」、理由はさまざまある。社会の制度や風土として、女性が稼ぐ力を身に付け、長く働いていくことが難しい側面も確かにある。だが目黒さんは、次のように述べる。

「多くの人が『社会が悪い』と言うけれど、ではどうして社会を変えようとしないのでしょう? その世代の人たちがどんどん提案して、仕組みを作ることができないわけではありません。それに今は収入を得る方法は本当にたくさんあります。手段は『会社で働く』だけじゃないんですよね。今までの働き方を前提に考えるのではなく、どうやったら経済力をつけられるのか。失望せずに済む選択をすることを考えていただきたいと思っています」(GAP理事長・目黒さん)

世の中を見渡せば、社会を変えるために動いている人はたくさんいる。頭が良くて力のある、一部のすごい人たちなのかもしれない。でも、世の中の大多数を占める“普通の女性”がアクションを起こさなければ、状況は変わらない。普通の女性ができることは限られているかもしれないけれど、まずは自分の人生の舵を取るために、”稼ぐ力”を身に付けたい。

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取材・文/天野夏海 撮影/栗原千明(編集部)

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