「収入はそこそこで」好きなこと・やりがい重視で転職してしまう女の末路【FP監修】
転職先を検討する際、「収入」よりも「好きなこと」や、「やりがい」を重視したいという女性はきっと多いのではないでしょうか。
私のところへマネー相談にいらっしゃる方の中にも、入社前に収入の交渉をしないまま転職してしまったという方が訪れることがあります。
もちろん、仕事は人生において大きなウェイトを占めるので、好きなことややりがいのある仕事を選択することはとても大切です。
ただ、きちんと報酬が伴わないと、長い期間働くには疲弊してしまいますよね。お金に執着し過ぎないのも、実は問題なのです。
女性にありがちな「収入は二の次」という感覚
私のお客さまで、転職経験のある女性たちにお話を聞くと、転職する際、意外にも「収入の交渉はしていない」という方が多くいます。
特に、比較的親の収入が高く、裕福な家庭で育った人の場合、幼い頃からお金に執着する必要がなかったせいか、仕事を選ぶ際にも収入は二の次になりがちです。
私の友人も人に教えることが好きで、塾の講師から大学の講師に転職した人がいますが、収入だけ見れば、塾で講師をしていた時代の方がよほどお金を稼いでいました(笑)。
大学の講師というと、ステータスはありそうですが、1コマあたりの講師料がとても安く、実家暮らしだからなんとか生活できるレベルです。
しかも、授業のために相当な準備をするので、実際の時給を考えるとまったく労働に対して報酬は見合っていないと思います。
ただ、彼女曰く「好きなことを仕事にしているし、安くても文句はいえない」とのこと。確かに好きな仕事に就ける人がそう多くはないので、彼女は幸せなのかもしれません。
しかし、講師になってから5年、ほとんど収入が上がらず、貯蓄もできないままだと言います。生活にも余裕ができず、あれほど好きだった講師の仕事ですが、今では辞めることを考えているそうです。
このように、収入を意識せずに仕事をしてしまうと、最初のうちは良いのですが、長期間にわたって仕事をしていくうちに経済的にも精神的にも追い詰められてしまいます。
もちろん、やりがいや好きなこと抜きに収入だけを重視して仕事選びをするのは違うでしょう。ですが、収入が伴わずに仕事をするのは趣味の領域になってしまう可能性もあり、注意が必要です。
対価を求めるということはそれだけ、仕事に対して責任も増しますし、プロ意識も強く求められます。仕事の世界では、収入=自分の価値とも捉えられるので、収入の交渉をするということはそれだけ自分に自信がないとできないことかもしれませんね。
「年収いくらでもいいです」はNG!
採用側も本気度を見ている
また、女性とお話ししていると、「お金のことを交渉するなんて恥ずかしい」という意識を持っている人も多いようですが、採用する企業側からすると、「収入面をきちんと交渉してくる方がやる気があって好感が持てる」という意見も少なくありません。
企業の中には、安く雇えるならそれに越したことはないというところもありますが、質の高い人材を求めている企業ほど、転職時の本人の本気度を重視しています。
あなたが企業の採用担当だった場合、自分の価値を「いくらでもいいです」と安売りしてしまっている人と、「自分はこれくらいの仕事ができる。
だから、年収もこれくらいを希望する」と伝えてくれる人と、二人が面接に来てくれた場合、どちらが“仕事ができそう”“会社に貢献してくれそう”だと感じますか? きっと、後者ではないでしょうか。
収入を上げる交渉をするということは、それまでの仕事の実績やどのように会社に貢献できるかをきちんとプレゼンすること。そのプレゼンが認められて、はじめて、収入アップが約束されるのです。
今まで収入のことはあまり考えずに仕事を選んできたという人は、この機会に自分の中での仕事観を考えてみましょう。そして、今後どのように仕事をしていきたいのか、一度整理してみるとよいですね。
マネーマネジメントコーチ、DCプランナー
高山 一恵(たかやま・かずえ)