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OCT/2013

プライベートを充実させることじゃないの!? 「ワークライフバランス」のよくある勘違い5つ

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メディアでよく取り上げられている「ワークライフバランス」。聞いたことはあるけれど、自分は何をすればよいのかイマイチ分からないという人も多いのでは。仕事とプライベートの時間配分をすればよいのか、ゆとりを持って働くというワークスタイルを実現すればよいのか――。
そこでよくあるワークライフバランスの勘違いを5つピックアップ。900社以上の組織改革コンサルティングを手掛けてきたワーク・ライフバランス社長の小室淑恵さんに企業側と社員、両方の視点から考えるワークライフバランスについて解説してもらった。自分らしく働き続けるためのヒントにしてほしい。

 小室淑恵

株式会社ワーク・ライフバランス
代表取締役社長 小室淑恵さん

資生堂を経て、ワーク・ライフバランスを設立。同社で『ワーク・ライフバランス組織診断』や『休業復帰支援プログラムarmo(アルモ)』を開発。生産性の高い組織を作るためのコンサルティングをのべ900社に行う。講演活動にも積極的に取り組み、主な著書に『6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター)などがある

「ワークライフバランス」よくある5つの勘違い

1.プライベートタイムをなるべく多く取る
ワークライフバランスは、ワークとライフの双方を、自分にとってより充実したものにしていくという考え方。時間の長短では計れない

2.出産・育児休業を取得する女性のためのもの
育児や介護、ボランティアや学びなど、ライフに含まれる要素は多様。当然ながら女性だけではなく、男性にもワークライフバランスは必要

3.余裕のある大企業のPR活動の一環
PRではなく、経営戦略。WLB推進により人材の採用と定着、残業代削減、商品開発力アップなど、さまざまな面で業績向上が見込める

4.制度が充実していて初めて実現できるもの
ワークライフバランスは主体的に創るもの。制度の恩恵にあずかる受身の姿勢よりも、制度をどう活用して何を実現するかが大切

5.残業のない会社なら楽に働ける
定時時間内に成果を出すことが当然要求されるので、高い生産性が求められる。むしろ成長速度の早さが必要な環境のはず

ワークライフバランスの実現は企業と個人の双方にとってメリットがある

「ワークライフバランスは企業の福利厚生ではなく、経営戦略として取り組むべき」

ワーク・ライフバランス社で代表取締役社長を務める小室さんは、企業が組織内の働き方を見直しワークライフバランスを推進する試みは、ここ数年で真剣味を帯びてきたと指摘する。

「企業からの問い合わせは毎年増えています。かつては余裕のある企業が女性や家族を介護している社員などの“弱者救済”として取り組んでいましたが、今の状況は大きく変わりました」

優秀な人材確保にはワークライフバランス戦略が不可欠

日本は世界にも例を見ない超高齢化社会になりつつあり、人口減少時代へと突入している。

団塊世代の大量退職とともに就労人口も減少の一途をたどる中、企業としては働き続けやすい環境を整え、なるべく優秀な人材を確保することが喫緊の経営課題となっている。

さらに、現在30代の団塊ジュニア世代は、5~10年もすると親の介護問題に直面する。兄弟姉妹の数が少なく共働きが多い世代なので、男性の管理職も、自分が介護を担うケースも少なくない。長時間がむしゃらに働き続けるスタイルは男女共に難しくなってきているのだ。

また、仕事内容自体の変化もある。“モノが売れない時代”と言われる昨今、消費者は高付加価値と低価格の両立を求め、売れる商品を生み出すことは至難の業。アイデアと創造性に富んだモノ作りが必要であり、そのクリエーティビティーの源泉は仕事以外の場で得られる経験や情報、人脈によって養われる。

「企業がこれから利益を生み出せるかは『ライフ』の場での有用なインプットを『ワーク』の場で発揮できる社員を育てられるかどうかです」

つまり、社員が毎日残業をしていても企業の業績は決して良くならないのだ。

「ライフ」の充実が人生の好循環を生む

さらにワークライフバランスの実現は個人の働き方や人生も豊かにする。長時間労働を行わないことで「ライフ」の時間を使ってさまざまな経験ができる。読書をしたり、勉強会に参加したりと自身の将来のための学びの時間に充てるほか、地域でのボランティア活動や趣味、家庭での家事・育児の時間として活用する。

「個人は仕事だけでなく『ライフ』の時間を大切にすることで、広い視野や多様性が身に付き、仕事と生活の相乗効果をもたらします。また、それによってうつ病などのメンタルの不調になることも激減します」

しかし、今の日本企業でワークライフバランスを整えるには課題に応じた仕組みや制度を見直す必要がある。

「まず長時間労働をなくすには企業は評価の仕方を変えなければいけません。月末や年度末時点での積み上げた成果ではなく、時間当たりの生産性を追求する評価を行うのです」

例えば、月末の売上総額で評価を行う場合、成果を最大化するために長時間労働や残業が起こりやすい。これを時間当たりの売上額の多寡で評価することになれば、効率的に業務に取り組む人がより高く評価されるように変わっていくだろう。

「このように仕組みを整えることももちろん大事だが、ワークライフバランスの実現には自発性が必要」と小室さんは強調する。

「会社の制度さえ整っていればワークライフバランスが実現できるということではありません。ワークライフバランスは個人が自分のために行うもの。個々人でも短時間で成果を出せるように働き方を見直さなくてはなりません。自分のこうありたいというキャリアや人生を真剣に考えた上で何を学ばなければいけないのか、どんな時間の使い方をするべきなのかを本気で見つめ直すことが第一歩。その上で、制度や環境を主体的に活用し、自分の理想のスタイルを自分の手で築いていくことが必要です」

取材・文/Waris(田中美和)

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