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JAN/2015

「女性上司の細かい指導」の裏にある、女性が長く働き続けるための大事な教訓

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堂園稚子
上司に対する「何で? どうして?」をズバっと解説
堂園姐さんの「上司のキモチ」翻訳講座

上司に対して日々感じている「なんでそんなこと言うの?」「どうしてそういうことするの?」という不満や疑念。それを直接上司にぶつけたいと思っても、「余計に怒られるんじゃないか」「印象が悪くなるんじゃないか」とモヤモヤしたまま自己完結してしまっている女性も多いのでは? そんな働く女性たちの疑問に、最強ワーキングマザー・堂薗稚子さんが、上司の立場からズバッと解説! 上司って、ホントはすごくあなたのことを考えてるのかも!?

「女性上司の細かい指導」の裏にある、女性が長く働き続けるための大事な教訓
遅ればせながら、新年のご挨拶申し上げます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
今年最初のテーマは「女性上司」です。もし部署を異動するとして、あなたの直属上司が女性だと知ったら、あなたはどう思うでしょうか? もちろん、その上司個人への評価に性差は関係ありませんから、「人による」という答えが正解でしょう。でも、あくまで仮定として、直感で答えるとしたら……。男性上司と女性上司って、何となく受け取るイメージが違うような気がしないでしょうか。

女性上司の厳しさには
「生きにくさ」を乗り越えてきた知恵が詰まっている

私も直属上司が女性だったことが何度かあります。女性が管理職に抜擢されることが少なかった時代、上司になる女性たちはとても優秀でした。社内でも評価が高くて、その人の同期の中でも抜きん出た業績を上げていて、私は個人的には「嫌だなあ」と思うより「緊張」の方が強かった記憶があります。これも個人的な感覚ですが、人数が少ないせいで、その女性上司のキャラクターが際立って聞こえてくる、ということも原因だったように思うのです。社内で有名な武勇伝のようなものが存在していたり、独身なのか子どもがいるのかといったプライベートな情報が男性に比べてよく知られていたり。だから「あの人が上司になるんだってね~、大変そうね」「昔、あの役員とも大ゲンカしたって話、知ってる?」などと周囲からも余計な噂話が聞こえてくる。

実際にマネジメントされたときも、男性上司はごまかせても女性上司はごまかせないことがいっぱいあった(笑)。私が一番印象に残っているのは、新人時代の女性上司。確信犯的にやったことを指摘されたとき、にこっとして「あれ?そうでしたっけ?」なんてごまかそうとしても、全く通用しない。「何へらへらしているの? やり直し!」と何度言われたかしれません。隣のシマの男性上司ならこの「にっこり作戦」、ちゃんと通用したのに! 婦人科系の不調や職場でのセクハラまがいのコミュニケーションなど、女性上司だからこそ相談しやすいこともある反面、彼女たちがそれらをちゃんと乗り越えてきた、と強く思ってしまっているだけに、逆に言いにくく感じていたことも事実です。

服装や身だしなみについて、言葉遣い、振舞い方について、男性上司なら気付いても指摘しなかったり、あるいは全く気付きもしないようなポイントで指導を受けた記憶も鮮明に残っています。例えば、お目に掛かるお客さまに合わせてヒールの高さを選べるように、デスクの下に3種類の靴を置いておくようにとか、謝罪アポでは、アクセサリーを外せ、口紅の色が赤すぎる、インナーはシャツにしろとか。何度「うるせーなー」と思ったことでしょう。

ある時、その女性上司との人事面談中に、こらえていた涙があふれてきてしまったことがあります。上司は私の涙を見ても、態度を全く変えずに面談を続けました。その間に涙は引っ込んだのですが、面談終了後、立ち上がって書類を片付けながら、「職場で泣くのはルール違反。女の涙を仕事の相手がどんな風に思うかよく考えなさい。あなたの価値が下がるだけよ」と言いました。「泣くなら別のフロアのトイレでね。みんなそうやって仕事してきたのよ」部屋を出るときに言われたこの言葉、彼女の表情、20年以上経った今でもよく覚えています。
よくよく考えると、これらの細かい彼女からの指導は、どんなときも仕事相手から「どう見られているか」「どう見られたいか」ということを考えろ、と言っています。女性が長く働き続け、現実のオトコ社会で生きていくために、実はこれはとても重要なことです。彼女たちが自分たちの「生きにくさ」を乗り越えながら得てきた知恵を、惜しみなく女性部下である私たちに授けてくれていた、ということではないでしょうか。

彼女たちの年齢をはるかに超えた今になっても、大事な教訓がたくさんあります。私が上司となった後、女性部下たちに私は同じように口うるさく、仕事の中身以外のことも指導してきました。うざったいと思われていたことも、全く心に沁みていないなと感じたことも幾度もありましたが、上司たちが授けてくれた知恵を若い世代に伝えることは私の使命のような気までしていました。私と同じように、いつかきっと分かってくれるメンバーがいるはず、と信じていましたし。

こんな風に、私にとっては数少ない女性上司の方が、多くの男性上司たちよりもたくさんの事を教えてくれた存在でした。そして今でも、厳しく温かい私の仕事人生のコーチだ、と弟子を自認し続けています。

同性だからこそお互い見透かせてしまう
ほんの少し「悪目立ち」の分を差し引いて見てあげて

一方で、女性上司たちもスーパーウーマンばかりではありません。叱り方が感情的に思えたり、機嫌が悪い雰囲気で話し掛けにくかったり、「何なのよ、管理職でしょ!」と思う気持ちや不満も、すごくよく分かります。女性上司と女性メンバーって、お互い「何を考えているか分からない人種」ではないんですよね。男性上司とのものよりずっと濃いコミュニケーションになってしまうからか、見透かされている分見透かせてしまうというか。だから、気分も伝わってきてしまうし、負の部分も強く浮き出てしまう。これを「面倒くさい女同士の関係」と見るのは簡単だけれど、もっと目を凝らして、「ああいう振る舞いはいまひとつ」「あのコミュニケーションは必殺技だな」といったように、女性がキャリアを積んでいく上で大事な何かが見えてくる機会だと捉えた方が、ずっと建設的な気がします。

私も上司だったときそうだったけど、自分でも余裕のなさから雑なコミュニケーションを取ったり、普段と違う態度を取ってしまったりして、後で落ち込んだこと、何度もあります。そういう女性上司の姿を見たこともあります。きっと男性陣も新米上司の時は同じような失敗をしているはずだけれど、目立って業績をあげてきた彼女たち、きっと周囲からも何やかんや言われている彼女たち、注目度が高くなってしまっている分、悪目立ちしているところはあるのではないかと思います。周囲も遠巻きに見るばかりで、アドバイスしたり親身になったりしてない可能性だってある。すごく孤独を感じている可能性も高いと思います。

女性の方が女性上司に対して厳しい見方をする、とよく聞きます。食わず嫌いもあるかもしれません。でも、いい意味でも「反面教師」の意味でも、女性が成長するための良いロールモデルになると思うのです。確かに、ワンマン、不公平、ヒステリック……こんな上司は男女問わずイマイチです。ただ、自分の成長のために、ほんの少しだけ彼女たちの「悪目立ち」の分を差し引いて見てあげられたら……面倒臭がらずに彼女たちと濃い関係性が築けたら……女性上司から多くの教訓が得られ、メリットを感じることができるかもしれませんよ。女性上司の生きた知恵、存分に受け取ってみたらいい、と私は思います。


堂薗稚子(どうぞの・わかこ)
株式会社ACT3代表取締役。1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として数々の表彰を受ける。「リクルートブック」「就職ジャーナル」副編集長などを経験。2004年に第1子出産を経て翌年復職。07年に当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用される。その後、第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、ワーキングマザーで構成された営業組織を立ち上げ、女性の活躍を現場で強く推進。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、13年に退職し、株式会社ACT3設立。現在は、女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行う
 堂園稚子

【著書紹介】

『「元・リクルート最強の母」の仕事も家庭も100%の働き方』(堂薗 稚子/1,404 円/KADOKAWA/角川書店)
「仕事も子育ても両立したい! 」と思っても現実はなかなか難しいもの。それにも負けず、子どもを育てながらてカンパニーオフィサーになった著者の働き方を紹介 >>Amazon

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