働く女性の7割が仕事は頑張っているけれど会社からは評価されていないと認識【働く女の価値は30歳を過ぎたら下がるのか?】

働く女性たちは「長く働きたい」「成長したい」と考えている。しかし、会社から自分が高く評価されていると実感している女性は少ない。女性たちの仕事とキャリアに関する意識と、企業側の本音を探った。
「会社は自分を高く評価していない」と感じているのに
その評価を素直に受け入れる女性たち
仕事には真面目に取り組んでいるし、それなりに経験も積んで、任される業務の範囲も広がってきた。でも、実際のところ、会社は私のことをどう評価しているんだろう————? 将来のキャリアを考えた時、ふとそんな疑問が頭をよぎったことはないだろうか。
20代、30代の働く女性たちの7割弱が自分は会社に高く評価されていないと感じている現実がある。仕事にやる気がないわけではない。
実際、彼女たちの多くは、長く働きたいと考えて、成長意欲も高い。皆、毎日頑張って働いているのだ。

20代・30代の働く女性にアンケートを実施したところ、勤務先は自分を「高くも低くも評価していない」という回答が約4割でトップ。「まあまあ高く評価している」というポジティブな回答も約3割あるものの、上のグラフの「特に高くも低くも評価していない」以下の回答を足し合わせると65.1%。実に7割弱もの女性が勤務先に高く評価されていないと認識している
●調査方法:転職サイト『女の転職@type』の20代~30代女性会員およびWebマガジン『Woman type』サイト読者へのWebアンケート
●調査期間:2012年6月16日~6月21日
●有効回答者数:338名(平均年齢30.2歳)

「仕事をできる限り続けたい」が約9割。「ビジネススキルや能力を向上したい」も9割強。ほとんどの女性が仕事に対して意欲的で成長していきたいと考えている。

約半数の女性が「評価について正当」だと回答。「不当」と考える人は2割強にとどまる。「YES」と「わからない」を合わせた7割強の女性が、評価について特に不満を抱えていないことになる。
約6割の女性が「出世や昇進をしたい」と回答。「ビジネススキルや能力を向上したい」と9割の女性が回答したことに比べると割合は大きく減る。
「機会があれば管理職にもトライしたい」女性は約4割。20代、30代の年代別に回答を見ても、同様の割合となった。
そんな自分の頑張りを認めてくれない会社に対して、女性たちはどんな思いでいるのだろう? 不満を抱えているかと思いきや意外にも、半数以上の女性が会社の評価を正当だと考えている。「会社に認められていない自分」を受け入れているのだ。
諦めの境地なのか、それとも「仕方ない」と納得するだけの理由があるのか……。
一方で、出世や管理職昇進への意欲はというと、それを望まない女性たちも多い。特に、管理職については、「能力・スキルが足りない」のほか、「人前に立つのが好きじゃない」「大きな責任を負うのは避けたい」などの理由で敬遠してしまう人が少なくない。
ほとんどの女性が働くことに対して意欲的に関わらず、「出世」や「管理職」というキーワードが出た途端、尻込みをしているよう。「会社に評価されなくても仕方ない」と考える女性が多い理由は、この辺にありそうだ。
また、結婚・出産後も、独身時代と同じ仕事を続けていきたいと望む女性は多い。同じ仕事を継続的に長く続ける。でもポジションアップはしたくない。30代、40代、50代になっても20代のころと同じ業務範囲で同じポジションで――。それが現実的でないことは女性たち自身も気付いている。それでも変化を望まない気持ちがある。だからこそ、この先の働き方が見えない。働く女性たちのジレンマがそこにある。
年齢による評価ポイントの違いはなし
ただし管理職に進まない人には厳しい評価も
先述で働く女性たちの多くが会社から高く評価されていないと感じ、その原因は出世や管理職へ進むということに対して消極的だからというところにあるのではと推測した。
では実際、企業側は自社で働く女性社員をどういうポイントで評価しているのだろう。また、社会人歴の浅い20代、長い30代で、企業が求める要素は変わってくるのだろうか。
あるインターネット広告会社の人事は「年代による違いは特にないですね。年齢に関わらず、目標を達成する力があるかどうかで評価します」と話す。また「自分で考えて動ける人、ハードな仕事も楽しんでやれるような前向きな人であれば、20代・30代に関わらず、高く評価しますよ」とWebマーケティング会社の人事も語る。

「独身時代と変わらぬペースで働きたい」「独身時代と同じ仕事をしたい」と答える女性が5割を超える結果に。独身時代と仕事内容や勤務時間、雇用形態を変え、負担を軽くして働き続けたいという傾向が見える。
取材をした企業の大半の人事たちは「年齢による違いはない」と言う。ただし「うちは若い社員が多いので、30代女性には、経験が浅い社員の尻をうまく叩いたり、社員同士が円滑にコミュニケーションできるよう気を配ってもらえると嬉しい」(コンサルティング会社人事)という意見も。そこからは「30代社員には、20代社員のフォローをしたり、後輩たちのお手本になってくれることを期待したい」という会社側の本音が見えてくる。
続いて、すべての女性に、管理職になることを求めるかに関しては、「働き方は人それぞれ選択すべきもの。管理職にトライしないことを責めたりはしない」(IT企業人事)
多くの企業が誰にでも管理職になることを強要したりはしていない。選択するのは本人の自由ということだ。ただし、評価については、厳しい見方もある。
ある情報サービス会社の人事は「管理職に進まないのであれば、専門職としてさらに高いスキルを発揮することが求められる」と話す。
「専門職でありながら、こなす仕事のレベルは現状維持が続くようなら、評価を下げざるを得ません」(情報サービス会社人事)
「管理職になれば、任される仕事も大きくなるので、評価はその分上がります。すると相対的に、管理職にならない人は、評価が下がったように感じる可能性はありますね」(インターネット広告会社人事)
「この人がいなければ仕事が回らない」
育休後の働き方をきめるのは独身時代の実績
「結婚・出産後も同じ仕事や働き方を続けたい」と考える女性が多いことについては、企業側も好意的といえる。「結婚・出産後も、時短制度などを利用して同じ部署で働き続けている人はたくさんいる。独身時代と同じ成果を出せるのであれば、何も問題はないと思います」(IT企業人事)、「私自身も育休後、出産前と同じ採用担当に復帰しました。子どもがいるからという理由で、異動を強制するようなことはありません」(Webマーケティング会社人事)という意見が一般的だ。
一方で、会社の規模や業務内容によっては、「同じように働くのは現実的に難しい」という声もある。「チームで仕事をする部署なら互いにカバーし合えますが、1名で担当している業務の場合、勤務時間に制約のある方に担当してもらうのは難しい。本人と相談の上、配置転換をしてもらうこともあります」(システム開発会社人事)。
企業が求めるのは、あくまでもパフォーマンス。意欲や熱意以外の、実績を担保してくれる“何か”があるか。そこを見ている。
数多くの企業に対して人材育成の研修を行う、キャリアカウンセラーの藤井佐和子さんは「同じ仕事を続けるにしても、30代になれば、他部署との調整や後輩の育成など、20代の社員には難しいことを積極的に引き受ける姿勢が必要。結婚・出産後の働き方についても、同じ仕事に戻りたいなら、独身時代のうちに『この人がいなければ仕事が回らない』と会社に思わせるくらいの高い実績を出しておくことが必要では」と話す。
考えてみれば、20代前半の新卒社員と、入社10年目の30代社員とでは、求められる成果や果たすべき役割が違ってくるのは当然のこと。長く働く以上は、必ず何らかの変化を求められるのだ。変わることを受け入れるか、かたくなに現状維持を貫くのか。ここに働く女の価値を決めるカギが隠されているのかもしれない。
お話を伺った方
株式会社キャリエーラ
代表取締役 藤井佐和子さん
大学卒業後、大手光学機器メーカーの事務職を経て、インテリジェンスにて女性の転職をサポート。現在は株式会社キャリエーラを設立し、キャリアコンサルタントとして、女性のキャリアカウンセリング、企業のダイバーシティーサポート、大学生のキャリアデザインなどに携わる。カウンセリング実績は1万2000人以上。オフィシャルブログ「藤井佐和子のキャリアカウンセリングブログ」も好評。