仕事と子育ての両立生活を楽しむ秘訣とは?朝日新聞社・サイボウズのワーキングマザーが明かす
2018年6月30日、『結婚・出産しても長く働きたい女性たちへ。ライフステージが変わっても「自分らしく働く」秘訣』と題して、朝日新聞社のWebメディア『telling,』と『Woman type』によるコラボセミナーが行なわれました。 イベント当日、セミナーには女性たち約100名が参加。
本セミナーには、シングルマザーとして2児を育てる朝日新聞社『telling,』編集長の中釜由起子さんと、ソニー入社後16年の専業主婦生活を経てサイボウズに再就職し、2人の子育てと仕事を両立する江原なおみさんが登壇。
結婚や出産などライフステージの変化に影響を受けやすい女性たちが抱える「子どもができたら今のようには働けない?」「一度職場を離れたら、やりたいことはもうできない?」という不安を払しょくし、自分らしく働き続ける秘訣を語っていただきました。
ライフステージの変化の中で、変わる環境と変わらない意志
司会:お二人が、「ライフステージの変化」を特に感じたのはいつですか?
中釜 由起子さん(以下、中釜):入社2年目に、授かり婚をした時ですかね。記者としての2年目ってまだまだ下積みの時なので2年目でママになる人って社内的にも珍しくて、周囲にロールモデルとなるような人もいなかったんですよ。

朝日新聞東京本社
総合プロデュース室
メディア・ディレクター telling,編集長
中釜由起子さん
2005年、新卒で朝日新聞社に入社。『週刊朝日』の記者兼編集者として5年半従事したのち、デジタル系の部署の企画営業を経て、新規事業の部署へ。26歳で結婚し、第一子を出産。29歳で第二子を出産し、32歳で離婚、シングルマザーに。現在は10歳と7歳の息子を育てながら、ウェブサイト『telling,』の編集長を務める
江原なおみさん(以下、江原):私は、結婚した時ですかね。男女雇用均等法が施行されて、「これからは、女性もバリバリ働こう!」という勢いがある時に社会人になりました。でも、実際結婚してみたら、仕事も家庭もどっちも要領よくこなすってすごく難しくて……。
その上、当時の私は少し頑固だったので、「仕事も家庭も手を抜いちゃいけない!」って力んでいて、すごく疲れていました。それで、ある日突然、思い描いていた理想の自分と当時の自分がかけ離れていることに気付いて「このままじゃダメかもしれない」って思ったんですよね。

サイボウズ株式会社
事業支援本部 法務統制部
江原 なおみさん
大学卒業後にソニーにて約7年間の勤務。家族の海外転勤を機に退職。以降、イギリス、日本で16年間専業主婦として育児に専念。2016年6月に、サイボウズ株式会社の『キャリアママインターンプログラム』でのインターンを経て、同社へ入社。現在は、事業支援本部法務統制部で活躍する。
司会:中釜さんは20代の頃、自分の将来をどう考えていましたか?
中釜:もともと記者という仕事がやりたくて就職したので、ライフステージが変わっても辞めることは考えていませんでした。でも、当時結婚していた相手も記者だったので、同じように忙しいし、私の実家は九州にあるので手伝ってくれる人が近くにいるわけでもないという状況でした。そんな中で、「家庭」と「仕事」をどうやって両立させていこうかというのは考えましたね。
司会:少し働き方をゆるめられるような職場への転職を考えたりはしなかったのですか?
中釜:仕事にやりがいは感じていましたから、転職は考えなかったですね。でも「このままの働き方だと続けられない」ということは、自分も周りも分かっていたので、会社の中でできることを考えました。そして上司に「突発的な出張がある仕事をすることは難しいけど、ある程度自分で予定を組みながら仕事ができる編集者であれば両立できると思うのですが」と相談して、異動させてもらったんです。
司会:どういう働き方なら仕事を続けていけるか、ご自身で考えて会社に提案されたんですね。江原さんはソニーに入社した当時はキャリアアップを目指していたとのことなのですが、仕事を辞める決断はすぐにできたのでしょうか?
江原:難しかったですよ。でも、私の母が専業主婦だったこともあり、家に帰ると母がいるとか、困った時はいつでも母に頼れるというのがいいなって思っていました。それに「仕事も家庭も完璧にこなさなきゃ」というのに疲弊していたので、一度自分の時間をつくるためにも「辞めるのはありかも」と思ったんです。
いざ専業主婦になってみると、すごく楽しかったんですよ(笑)。でも、数か月で満足して「そろそろ仕事に復帰しようかな」と考え始めた頃に第一子ができました。そうなったら、職場復帰どころではなくなってしまいました。
司会:それから16年専業主婦をやって、再就職しようと思ったのはどうしてですか?
江原:子どもたちが成長していく中で、「私はこの先どうしていくんだろう」と考え始めたんです。専業主婦の期間を振り返ると、楽しいことも辛いこともたくさんあって「こんな時間が永遠に続くのかな」って思う時もありましたが、実際はあっという間でしたね。子どもの成長はすごくはやい。息子たちが大きくなっていく中で、母親が入り込めないような世界もどんどん出てきましたし。
司会:お仕事に復帰されて、いかがですか?
江原:仕事そのものも楽しいのですが、いろんな世代の人たちと働ける環境がすごく刺激的ですね。そのせいか、最近では息子たちとも近い目線で話せるようになって、前よりも良好な親子関係を築けるようになった気がします。
司会:ブランクを経ての再就職となると、まだまだ難しい部分もあったと思いますが、江原さんはどのようにして再就職先を見つけたのでしょうか?
江原:まずは、分かりやすいスキルが欲しいなと思って、44歳にして初めて『TOEIC® Tests』を受けました。やるからには満点を目指そうと思って、息子と一緒に勉強したのは良い思い出。それで満点が取れたので、それを持ってエージェントに登録しに行き、週3日できれば時短勤務という条件でお仕事を探しました。
でも、週3勤務で時短となると“スキルがいらない”仕事しか見つからなくて、やる気はあるのにやりたいと思える仕事が見つからない。結局、2年くらい仕事探しを続けました。そんな中、サイボウズの「キャリアママインターン」に参加する機会をもらって、徐々に仕事の感覚を取り戻していき、入社することになりました。
子育てと仕事を両立する中、たどり着いた答えは「頑張り過ぎない」
司会:実際に子育てをしながら仕事をしていて、大変だと感じるのはどんな時ですか?

中釜:子どもが病気になった時ですね。保育園も預かってくれないし、毎回休むわけにはいかないし大変だなと思います。だから、育休中はピンチの時に子どもの面倒を見てくれる誰かを探すことに力を入れました。
力を貸してもらうのは、家族じゃなくてもいい。自治体が運営している地域のファミリーサポートだったり、有料のシッターさんだったり、いろいろな方の手を借りています。仕事も家庭もどちらも“一人で全力”だと疲れてしまうので、頼れる先を探して頑張り過ぎないようにしています。
江原:私の場合は、再就職して少したった頃に、次男が今までずっと一緒にいた母親が不在がちになった寂しさから熱を出したりするようになってしまった時が一番大変でした。でも、春休みのタイミングで、次男を会社に連れて行って「お母さんはここで仕事してるんだよ」って見せてあげたら、自分なりにイメージが湧いたようで、「お母さん良い会社に就職したね」って言ってくれて(笑)。今では母の仕事を応援してくれています。
司会:お二人の職場の方だったり、地域の方だったり、いろいろな方たちと交流する中で、お子さんたちにもメリットが多そうですね。
中釜:たしかに、人見知りは全くしない子に育ちました。現在はフルタイムで働いているため、家に帰るのが遅い時もあるのですが、そういう時に一緒に夕飯を食べてくれたり、時には叱ってくれたりする大人がたくさんいてくれるのは、とてもありがたいです。
仕事、家事、子育て、全部を完璧に一人でこなす必要はない
司会:忙しい毎日の中で、楽しく「仕事」と「家庭」を両立させるために、お二人が工夫していることはありますか?
中釜:あまり良い子ぶらないこと、「自分で全部できる」って思いこまないことですね。ご飯が作れない日があっても良いし、部屋が片付いていない日があっても良いと思うんです。あとは一人でやろうとしないこと。我が家では、子供たちにお風呂掃除したら100円、靴をちゃんと揃えたら20円みたいな感じでお手伝いしてもらいながら、みんなで家庭の中の仕事をまわしています。
江原:それはうらやましいな~。うちはもう子どもが大きくて家事には非協力的(笑)。最初が肝心だったなって反省しています。ただ、「仕事も家事も子育ても完璧に」と思って疲弊してしまった過去があるので、今はうまく家事で手を抜くことは覚えましたね。ちょっとした工夫なんですが、週末にご飯を作り置きしたり、週に2回くらいは外食したりお惣菜を買ってご飯を済ませて、自分を追い込み過ぎないようにしています。

司会:自分一人で何でも抱え込まないようにすることは大事ですね。では、これからお二人がチャレンジしたいことは?
中釜:『telling,』の編集長という立場になって、チームの皆がもっと輝くためのマネジメントを勉強していきたいですね。あとは、新規のメディアの編集長をやれる機会はなかなかないことなので、『telling,』というメディアが、皆さんのような女性たちが困ったり、悩んだりした時に見たくなるようなメディアに大きく育てていきたいです。
江原:まずはこれから先もずっと働き続けること。「人生100年時代」と言われている中で、残りの50年以上を生きなくてはならないと思った時に、いつまでも自立した大人でありたいですしね! あと、息子たちがこれから成長していく中でも、同じ目線でアドバイスしあえたり、議論しあえたりする関係でいたいんです。だから、今は踏ん張り時だと思います。
司会:最後に、これから転職活動に臨む女性たちへメッセージをお願いします。
中釜:女性って仕事も、家庭も、子育ても……ってすごく忙しいと思うんですが、どれか1つができているだけでも、かなりすごいことだと思うんです。だから、繰り返しにはなりますが、完璧にやろうとしないで、まわりに「助けてください」とか「力を貸してください」って言った方がうまくいくのではないかなと思います。
江原:女性のキャリアパスは、ライフイベントによって、すごく変わって当然。だから、描いていたキャリアパス通りに突き進んでいくのも素敵だけど、「こんなはずじゃなかったのに」って思った時は、「そんなこともあるさ」と軌道修正すればいいんです。今振り返ると、チャレンジに「遅い」ことなんてありません。そして、「こうなりたい」を年齢を理由に諦める必要もありません。もしも決断を間違ったとしても、またやり直せばいいだけ。柔軟に物事を考えて、思うがままに突き進んでいってくださいね。
取材・文/於ありさ 撮影/編集部