「仕事が好き」男が言えば褒められるのに、女は非難される?【浜田敬子×松田紀子】
2018年7月23日、『第10回パワーママNight』が開催されました。パワーママNightとは、パワーを与えてくれる等身大のワーキングママのロールモデルをシェアし、日本の未来の活力につなげていく『パワーママプロジェクト』のオフラインイベント。
当日行なわれたトークショーには、『Business Insider Japan』統括編集長 浜田敬子さんと、『レタスクラブ』編集長 松田紀子さんの二人が登壇。プライベートでも仲が良いという浜田さんと松田さんによる、パワフルなトークショーが行なわれました。

『Business Insider Japan』統括編集長
浜田敬子さん(写真中央)
2017年1月に創刊したミレニアル世代向けニュースメディア『Business Insider Japan』。同年4月に浜田さんが統括編集長に就任するとまたたく間に急成長を遂げ、18年3月には外部メディアも合わせて月間5000万Viewを達成
『レタスクラブ』編集長
松田紀子さん(写真右)
2016年松田さんが『レタスクラブ』編集長に就任後、リニュアル後3号連続完売、2017年下期ABC部数は前年比142%アップ、創刊30年目にして初めて競合「オレンジページ」を抜く快挙を達成
人に頼ること、「仕事が好き」なこと、どちらにも背徳感は持たなくていい
司会:メディア業界って働き方がかなりハードなイメージがあるのですが、仕事と家庭の両立はどうされているのですか?
浜田:育休からの復帰直後は、ベビーシッターサービスを利用したり、自分の両親に子どもを見てもらえるよう頼んだりしていましたね。
松田:私も両親に頼っていました。よく「仕事と家庭の両立のコツってなんですか?」って聞かれることがあるんですけど、正直、私たちの中で出た答えとして、両立のコツはありません。頼れるところは頼るっていうのが一番。そこに罪悪感を持っちゃダメです。
浜田:私たちは「仕事が好き」だったので、育休中から早く復帰したくてしょうがなかったんですよね。産院で出会ったのをきっかけに、何人かのワーキングマザーで集まっては、「早く仕事したいね」っていつもそんな話をしていました。
松田:実際、育休中は働きたいのに働けないストレスを感じていたので、復帰後はもう爆発したように仕事しました(笑)。そうしたら、ある日夫に「仕事に復帰していいとは言ったけど、こんなペースで仕事をするとは思わなかった」って言われたんです。でも、私は本当に仕事が好きなので「これからも仕事は一生懸命やる。もしそれが嫌なら、あなたが働き方を変えるなり、転職して」って言ったんです。そうやってはっきり言ったことで夫も理解してくれました。
浜田:男の人が「仕事を好き」って言うと、良いこととされるのに、女の人が同じことを言うと非難されるのはどうしてなんでしょうね? そういう違和感を抱えているのも、私たち二人の共通点です。
司会:社内でも非難されることってあるんですか?
浜田:チームの人には、むしろ率先して仕事をやるので感謝されていました。でも、世間一般にというんでしょうかね……。「家庭よりも仕事が好き」な女性って、褒められることはあまりないですよね。
司会:お子さんには、仕事のことをどう説明されていますか?
松田:よくドラマで「ごめんね、ママが仕事をしているから」というようなセリフってあるじゃないですか。でも、別に仕事をしていることは悪いことではないので、私は息子に謝らないって決めています。だから、息子が幼稚園の頃に「あなたが仮面ライダーを好きなのと同じように、私は仕事が好きなの。だから、お互い頑張ろうね」って言いました。そしたら、何となくですが分かってくれました。
浜田:うちの場合は「仕事が好き」とはっきり言えなかった結果、小学校1年生になった時に突然「世の中には働いていないママもいるのに、なぜママは働いているの?」って聞かれました。その時に「社会に貢献したくて」とか複雑な理由をつけずに、「仕事が好き」って伝えればよかったなとちょっと後悔しています。
持つべきものはママ友。一人で抱え込もうとしないで。

浜田:今は、私たちが子どもを産んだ12年前と比べて、ワーキングマザーの比率も、かなり増えてきました。だから困ったことに関しては、どんどん声を上げていけばいいと思っています。あとは、しっかりしているお母さんとつながって、「明日子どもに持たせるものって、これであってる?」とか、LINEで聞くようにしていますね。
松田:それすごく大事! 小学校になったとたんに、連絡帳とかも小まめじゃなくなって、急に子どもが忘れ物したとか、学校でどうだとかが分からなくなってしまうんですよね。だから、私もしっかりしていそうなお母さんとつながりました(笑)。
司会:今ママになって12年目とのことですが、最初の1年目と12年目の今と、どちらがワ―ママとして生きやすいですか?
松田:私は今の方が楽ですね。息子が野球にはまっていることもあるので、幼少期の仮面ライダーを野球にすり替えて「好きなこと取り上げられたら悲しいよね?ママは仕事が好きなことなんだよ」と相変わらず説明しています。それに対して、今は前よりもちゃんと理解してくれています。
浜田:私は今の方が大変かな。周りから無謀だと言われながらも、中学受験に挑戦しているところなんです。実際に受験を前にして気付いたのは、世の中のお母さんたちは、お子さんに付きっきりで勉強を見てあげているということ。でも、うちはそれはできないので、行けるところに挑んでくれればなって思っています。だから、スケジュール調整とか、学校見学とかは私がやって、勉強を見るのは夫の担当って分けてやっていますね。
司会:仕事面のお話ももっとお聞きしたいのですが、お二人は編集長という立場になった時に、そのオファーを引き受けるか悩みませんでしたか?
松田:それはもう、私にできるかなって悩みましたよ。でも、そんな時に浜田さんに話を聞いていただいて、「あなたなら絶対できる」って言ってくれたんですよね。それが本当に心の支えでした。
浜田:副編集長が9年と長く、5人の男性の編集長を支えてきたので、さすがに最後に一度は自分の責任で編集してみたいと思うようになりました。大変な時期を振り返ると、いろいろなママ友に支えてもらってここまで来たなって思います。本当に持つべきものはママ友です。
仕事をするなら楽しい方がいい

司会:リモートワークがますます進んで、ワーキングマザーの働き方にも変化が訪れている半面、お二人のようなリーダーは、メンバーとのコミュニケーションも大事ですよね。対面でのコミュニケーション機会が減っている中でメンバーを束ねる秘訣は何ですか?
松田:どうでしょね。遠隔的なコミュニケーションであっても、根本的に上司と部下の関係で大事なのは、彼らが楽しみながら仕事をしているか気付いてあげられるかどうかじゃないかと思います。どうせ働くなら、楽しい方がいいんじゃないですか。もしも、部下がつらそうに働いているのを見つけたら、どうすれば楽しくなるのか一緒に考えてあげるようにしています。
浜田:実際に、編集に携わる人たちが楽しく働いているメディアの方が、読者も読んでいて楽しいと思うんですよ。編集部の空気感って制作物に出るものなので。だから、上司の文句ばかり言っている編集部ではなくて、皆が楽しく働ける組織をつくりたい。「仕事で結果を出さなきゃ」というストレスからの解放は難しいかもしれませんが、それ以外の面でコントロールできるストレスは最小限に抑えてあげたいですね。自分自身も、チームメンバーも120%力を出せる環境づくりに力を注いでいきます。
この後、会場では、パワーママたちによる交流会が行なわれ会は幕を閉じました。
また、イベント内ではパワーママプロジェクトから、8月8日(ハハの日・パパの日)を「両立感謝の日」に制定するとのお知らせも。両立感謝の日とは、子育てと仕事を両立している、両立を支えてくれる、すべての人へ感謝の言葉を伝える日とのこと。この日が、全ての子育て中のワーキングマザー、ファザーにとって、仕事と家庭の両立を考えるきっかけ、感謝されるような日になれば良いですね。
取材・文/於ありさ