うつ病転職、どう進める? 企業への伝え方や不安を感じたときの対処方など【キャリアカウンセラー監修】

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これまでのカウンセリング件数は2万件以上! 女性に大人気のキャリアカウンセラー水野順子さんへの連載取材で、長く働き続けたい女性に役立つ転職・キャリアの情報を発信していきます。初めての転職活動に役立つノウハウも盛りだくさん! 長期的な視点で今後のシゴト人生を考える上でも参考にしてくださいね。

心身の具合が悪く、毎日ちゃんと会社に行くこともままならない……。
もしかして、うつ病……?
これって、ストレスフルな今の職場を離れたら、この症状は改善されるの……?

仕事の環境等が原因で体調を崩してしまっている場合、そのタイミングで転職を検討する人は少なくない。だが、こうした状況での転職活動は、どうすれば成功する? あるいは、転職活動は控えた方がいい?

“うつ転職”にまつわる疑問に、キャリアカウンセラーの水野順子さんが応えてくれた。

キャリアカウンセラー 水野順子

キャリアカウンセラー
水野順子さん

株式会社キャリアコレクション代表取締役、All About女性の転職ガイド。公務員・外資系大手人材サービス会社を経て独立。キャリアカウンセリングや研修・講演を通じ、メンタルケアや人間関係の築き方などを含めた女性のキャリア支援を行っている。過去に20,000人以上へのキャリアカウンセリングと、60,000人以上への講演・研修によるキャリア支援実績がある
■ホームページhttp://www.careerlabo.com/

自分の体調面の問題、書類や面接で伝えるべき?

「うつ病転職」ってどうすればいいの? 退職前に見直すべきことをキャリアカウンセラーが解説

うつ症状など、心身に不調を感じて転職活動を始めた場合、応募書類等にその事実を記載する必要はあるのだろうか?

「体調不良が原因で業務に支障が出る場合には、事前に伝えておくことが必要です。もし採用されても会社から期待される業務が遂行できなかった場合に、試用期間で解雇されるケースもあり得ます。体調面での不安を隠して入社しても、職場での配慮を得られず自分が辛い状況に陥りますから、応募書類や面接の段階で正直に話す必要があると思います」

ただし、「基本的には体調がしっかり回復してから転職活動を始めるのがベストです」と水野さんは話す。転職活動をすることで余計なストレスを感じ、体調を悪化させてしまう場合もある。

「本来は、無理をして転職活動を始めるよりも、治療や休養に専念すべきです。退職をすぐ決めてしまう前に、休職を取らせてもらうなど、今の会社に対処法を相談してほしいと思います」(水野さん)

一方、次の職場では「問題なく業務ができる」という場合は、過去の病歴を伝える必要はないという。問題なく業務ができるかどうかの判断は、自分だけで決めず、医師などの専門家の客観的な判断も参考にしよう。

「また再発する?」「働くのは無理?」
不安を感じた時は……?

また、症状が回復した後でも、「一度うつにかかったことがある自分はもう働けないのではないか」というネガティブな思考にとらわれてしまうことがある。しかし、「それは全く気にする必要はない」と水野さん。

「誰しも、色々な病気や体調不良に見舞われます。精神的な病は自分自身も周りも、『また再発するのでは』、『働くのは難しいのでは』と思ってしまいがちですが、再発しないよう上手に付き合っていくことが大事。これは、他のどんな病気とも同じです」

なぜ自分が今の職場で体調を崩してしまったのか、本当に職場に原因があるのか、その理由を考えてみると、自分に合った仕事や労働環境が見えてくるかもしれない。それは、転職活動をする上でも、今後長く働き続けていく上でも武器になるはずだ。

「何より大事なのは、あなたの体。健康な心と体があってこそ、仕事も楽しめるようになります」(水野さん)

人生100年時代、皆が同じペースでキャリアを築いていく必要はない。これまでに誰も経験したことがない長い時間を、私たちは働いていくことになるのだから、途中でしばらく休んだっていい。また、休むタイミングもそれぞれ違っていい。「皆一緒」という幻想は、捨て去っていくべき時が来ている。焦って転職をして後悔しないよう、自分のペースで進んでいこう。

取材・文/栗原千明(編集部)