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OCT/2018

「女だから」の“ラベル付け”がキャリアの可能性を狭める―女性エンジニアが“好きな仕事”を長く続けるには?

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日本のITエンジニアにおける男女比は、およそ8:2と言われている。国や企業が女性活躍推進に注力している現代においても、エンジニアの世界では女性の進出がまだまだ遅れている。そんな中で、女性エンジニアは職場でどんな課題に直面するのだろうか。彼女たちの前に立ちはだかる、キャリアの壁とは? その実態を探るべく、3人のエンジニアにお話を聞いた。

「女だから」の“ラベル付け”がキャリアの可能性を狭める―女性エンジニアが“好きな仕事”を長く続けるには?
【プロフィール】右から
株式会社ウエディングパーク データ推進室 室長 菅沼幸子さん
株式会社AbemaTV 開発本部 コンテンツエンジニアリング 髙峯明日希さん
GitHub Business Support Engineer 鈴木順子さん

「女性だから」で一括りにされたくない

――まずは、皆さんのこれまでのご経歴と、今のお仕事について教えていただけますか。

菅沼さん(以下、敬称略):新卒でSIに入り5年ほど勤めていましたが、Web系のBtoCサービスの開発をしたいと思い、化粧品の口コミサイト運営会社に転職しました。そこで3年勤めた後、ウエディングパークに入社して8年目になります。今の会社では、ずっとWeb開発のリーダーをやっていて、4年ほど前から、サイトのデータ分析もあわせて担当しています。今月(2018年10月)からデータ推進室の室長になり、今後はデータ領域をメインに仕事をしていきます。

株式会社AbemaTV 開発本部 コンテンツエンジニアリング 髙峯明日希さん

髙峯さん(以下、敬称略):私は新卒でサイバーエージェントに入社しました。最初はアメーバピグの開発、そのあとはスマホゲームの新規開発、 2016年のAbemaTV立ち上げに携わって以降、こちらで運用開発を担当しています。その後産休・育休を取り、今年の4月にエンジニアとして復帰しましたが、復帰後も時短にはせず、8時半〜17時半のフルタイムで働いています。

鈴木さん(以下、敬称略):新卒でWeb系の大手IT企業に入社して、Webのアプリケーションやモバイルアプリの開発をした後、マネジャーのポストに就きました。基盤開発をしたり、開発環境を整備する組織を立ち上げたりと、その時々で興味を持ったことにも携わりながら仕事をしていましたが、7年ほど働いて、やりたいことをやり尽くして一区切りついた時に、GitHubが日本でテクニカルサポートを立ち上げるという話がありました。転職を考えていたわけではなかったんですが、これまでやってきた事とはまったく違うチャレンジができるのではと感じて転職し、もうすぐ3年になります。

――日本では、女性エンジニアは全体の約2割程と、かなり少ない状況ですよね。「女性だから」という理由で働きづらいと感じたことはありますか?

株式会社ウエディングパーク データ推進室 室長 菅沼幸子さん
菅沼:私自身は仕事をする上で性別によって差をつけられたくないと思っていたので、上長に掛け合って夜勤にも入れてもらえるようにしていました。ただ、これはあくまで「私」の考え。後輩の女性エンジニアに同じ考え方を押し付けないように気を付けないと、と思っています。

髙峯:私の場合は育休復帰後のタイミングで、会社側から時短勤務を適用したいかどうかの確認をされた時にハッとしました。時短を選択することでやりたい仕事に関わるチャンスが減ったり、仕事に対して正当な評価を受けられなかったりすることを避けたかったので、私は結果的にフルタイムで働くことを選び、希望を叶えてもらっています。ただ、24時間体制の障害対応業務は、子どもがいると、必ずしもタイムリーな対応が出来ると限らないので、上司やチームメンバーから配慮をしてもらっており、とても感謝しています。

GitHub Business Support Engineer 鈴木順子さん
鈴木:「女性だから」っていうのは、善意で言ってくれている場合が多いとは思うんですよね。でも、それを「ありがたい」と思うか「いやだ」と思うかは人それぞれ。だからこそ、「選択できる状態」で相談してもらえるといいいですよね。一番問題なのは、「彼女は夜勤に入れない方がいいだろう」「時短の方がいいだろう」と本人が知らないところで勝手に判断されて、交渉の余地がないケースです。

また、こういうことって、男性が女性に対してやってしまう場合もあれば、女性たち自身がやってしまうこともある。例えば、「女性は体調を崩しやすいから……」とか「女性は感情的な部分を大事にするから」とか、女性たちも言っていませんか?

菅沼:男性エンジニアだって体調を崩しやすい人もいるし、女性エンジニアだって体が強い人はいる。なのに、主語を「男性は」「女性は」という大きなものにしてしまうことで、変にステレオタイプを生んでしまうんですよね。それによってやりたい仕事をやるチャンスを逃してしまったり、キャリアの可能性に蓋をしてしまう人が出てきてしまうのはすごくもったいない。

30代は働き方を見直す時?女性エンジニアが20代で意識すべきこと

――髙峯さんは、育休からの復帰後もフルタイムで勤務されているということでしたが、実際、両立ってできるものなんですか?

髙峯:慣れないうちは大変なこともありましたが、やってみて思うのは、育児しながらでも成果は維持できるということ。エンジニアは実際に作業をする時間だけではなく、考える時間も重要ですが、ずっと考え続けていれば良いアイデアが浮かぶ、というものでもない。だから、限られた時間の中で集中して仕事をして、家では子どもと過ごす時間に集中し、すっきりした状態で寝る。すると、次の日に良いアイデアが浮かぶこともあるので、むしろ仕事の生産性があがったような気もします。

菅沼:頭をリセットする瞬間をつくるのは大事ですよね。私はいま暗い部屋で音楽に合わせてトレーニングをする「キックボクシング」にハマっていて、「ジムに行きたいからこの時間までに仕事を終わらせる!」と思うと、締め切り効果で集中もできるし、体力もつくし、ストレス発散にもなるのでいいなと思っています。20代のうちはとにかく仕事が楽しくて、24時間働いてもいい、なんて思っていた時期もありましたが、ずっと同じペースで仕事を続けていたら、いつか倒れてしまうんじゃないか、とも思っていました。

鈴木:新卒でエンジニアになったばかりのころ、毎日遅くまで働いていた時に男性の先輩に「35歳くらいから体にガタがくるから、今はいいけどどこかで働き方を見直さないといけない時期がくるよ」と言われたことがあります。体力的にパフォーマンスが落ちる時期は、遅かれ早かれやってくるので、20代のうちからある程度先を見すえて働き方を考えた方がいいとは思いますね。

菅沼:一方で、最近は「働かせ過ぎてはいけない」という風潮もあるので、働きたくても働けない20代も増えていますよね。自由な時間が多い分、その時間をどう使うかで30代の自分が変わってくると思います。限られた時間の中で効率的にスキルアップをしていくことも重要になってくるので、20代のうちに色々な方法を試してみるのもいいと思います。

――女性は結婚や出産でキャリアが中断されることもありますが、長く働いていくために必要なことは何だと思いますか。

菅沼:若いうちから信頼残高を積むのは大事だと思います。エンジニアはリモートでも仕事がしやすい職種ではありますが、働き方を変えたいと思ったときには、会社側の理解も必要ですからね。

鈴木:会社にとって有益な人は、会社からも優遇してもらえます。権利だけを主張するのではなくて、「君にいてもらえるなら新しいポストを用意するよ」くらいのことを上司や人事から言ってもらえるような立場になれるよう、実績を上げておけたらいいですね。

髙峯:育休から復帰をする女性エンジニアの中には、ついていくことができるか不安で職種を変更する人も多いのですが、それはすごく残念なことだと思っています。基礎的な知識があれば、勉強することで遅れていた分は取り戻せます。ただそのためには基礎力の高さが必要だと思うので、若いうちに積み上げておくことは大事だと思います。

鈴木:「周囲に迷惑をかけたくない」という想いが強い真面目な人ほど、復帰を諦めてしまいやすいというのはありますね。ただ、待っている側からしたら、一年なんてあっという間なので、ブランクは気にしなくていいと思います。

気負わず、普通に。仕事もプライベートも楽しみたい

――今後どんなふうにキャリアを重ねていきたいと考えていますか?

髙峯:子どもを産んだ後、主婦になる選択肢もありましたが私は「復帰する」と決めました。それは、新しいことを学んだり、自分のアイデアを形にしたりするのが楽しいからです。子育ても仕事も楽しみながら、エンジニアとしてのスキルを積み上げていきたいですね。

菅沼:
こういうキャリアを築きたいというこだわりはそこまでなくて、常に楽しく働きたい、というのが一番にあります。状況に応じていろんな経験を積んでいって、その中でスキルを身に付けていったり、やりたいことができたらそれを実現させるために必要なスキルを身に付けたりと、気負い過ぎないで柔軟にキャリアを重ねていきたいと思っています。

鈴木:エンジニアとしてのスキルはもっと上げたいし、今後もキャリアを積んでいきたい。それに、プライベートも大事にしながら、いろんなことにチャレンジしていけたらいいなと思います。

今はまだ、女性エンジニアでキャリアを長く積んでいる人の中には、何かを犠牲にしてバリバリ働いてきたような人が少なくないと思うんです。でも、これからはもっと多様な生き方や働き方があってもいいと思う。必要以上に気負わず、普通に仕事をやって、キャリアを積んでいきたい人が大多数だと思うので、そういう女性が長く働ける環境ができていくといいなと思いますね。

取材・文/中村英里 撮影/赤松洋太

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