27 FEB/2015

“伝える力”と“課題を見つける力”を磨けば未来が変わる! エンジニアの価値は技術力だけじゃない/ヤフー株式会社

社会人人生、やり直したい? 働く女性たちの後悔から学ぶ教訓

女性活用が声高に叫ばれている昨今、多くの働く女性たちが、ビジネスパーソンとしてのスキルやマインドを磨き、自分の市場価値を高めていく必要性を感じ始めている。でも、市場価値の高い女性って、実際のところどんな女性? 身に付けているべきスキルやワークマインドってどんなもの……? まだまだ働く女性のロールモデルが少ない中、ぴんとこないことが多いのではないだろうか。 そこで今回は、現代の日本社会における“市場価値の高いオンナ”の姿を浮き彫りにすべく、日本のトップカンパニーで活躍中の管理職の方にインタビューを実施。各界のプロフェッショナルが考える“今、一緒に働きたい女性像”を参考に、業界、職種の壁を越えて社会に必要とされる女性になるための第一歩を踏み出そう。

特集第2弾でお話を伺ったのは、『Yahoo!路線情報』の開発を手掛けるヤフー株式会社の斎藤広美さん。エンジニアと言えば、圧倒的な男性社会。その中で貴重な女性エンジニアとして活躍する斎藤さんに、今、一緒に働きたい女性像を聞いた。

技術力だけがエンジニアの価値ではない
自分の意見を正しく伝えられる力も大切

社会人人生、やり直したい? 働く女性たちの後悔から学ぶ教訓

ヤフー株式会社
検索サービスカンパニー開発本部
開発3部 開発2リーダー 斎藤 広美さん

2007年新卒入社。以来、『Yahoo!路線情報』のエンジニアとしてサービスの裏側を支える一方、『Yahoo!地図』や『Yahoo! Open Local Platform』の開発にも携わる。2011年3月、「Yahoo!乗換案内アプリ社内スーパースター」を受賞。2013年4月より開発本部のリーダーに就任。サービス開発だけでなく、管理職として人材開発などマネジメント領域にも業務を広げる

社内を見渡してみて、「活躍しているな」と思う人たちに共通する特徴は、みんな自分の意見をしっかり相手に伝える力を持っているということ。サービス開発には、職種の枠を越えてさまざまな人が関わります。例えば、私の担当している『Yahoo!路線情報』なら、エンジニアが私を含めて6名。そこに企画や制作担当の者が加わり、約15名のメンバーでプロジェクトが構成されています。会議では、各自がそれぞれの立場から「このサービスをもっと良くするためには、ここをこうした方がいい」とアイデアを出し合うんです。そのときにちゃんと自分の意見が言えて、それを正しく相手に伝えられないと、いくら技術があっても仕事としては成立しません。

エンジニアというと、すごいプログラミングの技術を持っているとか、テクニカルなスキルを持っていることがその人の価値だと思われがち。でも、大切なのは技術だけじゃないはず。先ほども申し上げた通り、自分の想いを正しく伝えられる力。そして、競合のサービスを常にチェックすることとか、もっと便利なサービスはないかとか、問題意識を持って考えられるかどうかも大事なんです。特に、『Yahoo!路線情報』のような乗り換え案内のサービスは、競合がごろごろあって日々アップデートされています。それを自分でチェックし、どんな機能が加わったのかを知ろうとしたり、その機能を自社で実現するにはどんなデータや技術があれば開発できるのかを考えられる人が仕事で成果を挙げていると思いますね。

だから、正直なところ、この仕事では性別によって求められるスキルやワークマインドに違いはないと思います。強いて言うなら、生活者としての視点に立ったときに、女性だからこそできる課題提起はあるでしょうし、それが女性エンジニアの強みになることもあるでしょうね。逆に言うとそれぐらいのもので、あとは女性特有のものはそんなにない。むしろそういった意識は持っていない方がいいと思います。

進化の激しい業界では、
課題提起の視点を持ち続けることが大切

いま、『Yahoo!路線情報』はPCサービスからスマホサービスが主流になっています。デバイスが変われば、サービスに求められるものも変わっていく。スマホは持ち歩きながら使用するものなので、その場の使いやすさが何より大事ですよね。ワンタップで簡単に操作できるようにしたり、知りたいことがひと目で分かるような表示方法を考えたり。これからできることはまだまだ残されています。

だから、これから一緒に働きたいと思う人は、常に自分のサービスを使って、どこが不便なのか考え、課題提起してくれる人ですね。いくらプログラミングなどの技術が優れていても、周囲の言うことだけをやって動いていてはダメ。自分から「こういうものを作りたい」と発信したり、「実は、こんなものを作ってみたんです!」って持って来てくれたりする人の方が頼りになります。

「自分の意見を伝えられる人」というのにも関連しますが、“自分をアピールする力”も非常に大切。黙々と作業をやっている人と、自分から「やります」と手を挙げてくれた人が同じくらいの能力なら、やっぱりアピールしてくれた人に仕事を渡したくなります。だから、日頃から「こういうのやってみたい」とか「こういう領域に興味がある」って上司や周囲の同僚に話をしている人の元には、その分だけのチャンスが舞い込むはず。謙遜してしまってなかなか自分のことをアピールできない人は多いかもしれませんが、そこは少し勇気を出して考え方を変えてみるべきかも。自分が挑戦したいと思っていることや、自分がやってきた仕事の何がすごいかを分かっている人というのは、周囲から見ても非常に印象が良いと思います。

一人で作れる存在だからこそ
チームで仕事をする意識を忘れてはいけない

社会人人生、やり直したい? 働く女性たちの後悔から学ぶ教訓

先ほど、課題提起ができる人と一緒に働きたいということをお話しました。「課題提起」と言われると何だか難しいことのように聞こえるかもしれませんが、要は普段の生活の中で「なぜ」「どうして」っていう疑問を持つように意識するというだけのこと。

個人的な話なのですが、この間、京都に行く機会がありました。そうしたら同じ路線なのに、「東海道線」と「琵琶湖線」って二つの呼び名があって、すごく分かりにくかったんです。私にとっては「東海道線」の方がしっくりくるんですけど、地元の方は「琵琶湖線」って呼ぶそうなんですよ。こうやって、日常生活の中で「えっ!?」って疑問に思ったことや、不便だと感じたことは忘れないようにメモを取ってみたりしています。

弊社のエンジニア採用でも、技術力だけではなく、サービスを作る上で必要になる“課題発見能力”を重視しています。あとは、私の質問に対して、ちゃんと簡潔に答えが返せるかどうか。発言したことに根拠があるかどうか。そういったところを中心に見させてもらっています。エンジニアである以上は最低限のスキルがベースにあることは必要になってきますが、自分の意志をうまく伝えてくれる人が同じチームにいてくれると安心できます。

エンジニアは、腕と発想力さえあれば、作りたいものを一人で作れてしまう存在。でも、会社に所属している以上は、チームで仕事をしているということを忘れてはいけないはずです。自分と異なる職種の人への理解を示し、一緒にコミュニケーションを取りながらモノづくりをしていけるエンジニアの価値はきっと高いですよね。

取材/文 横川良明 撮影/赤松洋太

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