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DEC/2018

「育休明け、元いた部署に戻りたい」プレワーママの復職不安に3つの処方箋【連載:池原真佐子】

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 育児と「豊かなキャリア」の両立を!ワーママ2.0
『育キャリカレッジ』池原真佐子のWebメンタリング
育児と「豊かなキャリア」の両立を!【ワーママ2.0】

結婚しても、出産しても、仕事は続けたい。しかも、ただ働くだけじゃなく、やりがいのある仕事がしたい!――そんなワーキングマザーから寄せられたお悩み相談の数々に、働く女性向けにメンターサービスを提供する『育キャリカレッジ』代表の池原真佐子さんがメンターとして回答していきます!

今回の相談

(Cさん クリエーティブ職/29歳/妊娠中)

現在妊娠中です。今の会社で産休・育休を取る予定ですが、復帰後、希望の部署にまた戻れるのかは分からない状況です。もしも希望のポジションに戻れなかった場合のことを考えると、今から気持ちが暗くなります。その時は、会社を辞めるべきなのか、それとも会社の意向に従ってしばらく我慢しながら働くべきなのか……どうすればいいのでしょう?

池原さんからの回答

働く女性に、ちょっと先を行くメンターを紹介している育キャリカレッジでも、産前産後のプレワーママの方からの相談依頼が多く寄せられます。

妊娠中はただでさえ、産後の生活に不安を持ちやすい時期です。その上、仕事に関しても不安が募るのは、当然のこと。私自身、働きながら妊娠し、出産前は、「出産後も同じような働き方ができるのか」と、とても不安に思っていました。Cさんのお気持ちは痛いほどよく分かります。

ただ、「不安ですよね、そうですよね、分かります」と言うだけでは何も進まないので、今回は「マインドセット」、「綿密な準備」、そして「長期的な視野」、という3つのポイントをお伝えします。

出産前の過去を引きずらない。生まれ変わる

まずは、マインドセットを切り替えます。

子供を産む前と後は、別の世界にワープする、くらいの気持ちでいるといいかもしれません。個人差はありますが、産後は、体調も精神状態も、産前とは違います。また、生活スタイルも、時間も、夫婦の関係性も、一変します。

私自身、産後はさまざまな方の手を借りながらフルタイムで仕事復帰しましたが、産後は疲れやすく、特に夜間の睡眠もままならないときは、日中も集中できないこともありました。

つまり「産後は、働き方も、価値観も、一変する」ということを、復帰するにあたり、念頭におくと良いかもしれません。私たちはスーパーマンにはなれないのです。肩も凝れば、寝不足でイライラすることもある、家事や育児や仕事を、全て完璧にこなすことは出来ません。

その上で、例え、希望の部署で希望の仕事を継続できたとしても、「妊娠前はこれだけ働けたのに、出来たのに」と思うことは出てくるでしょう。その時、過去の自分の体力・労働量に応じたパフォーマンスを基準に比べてしまうと、とても辛い思いをすると思います。

だからこそ、「産後は、別人」になったくらいの気持ちを持ち、「ワーママとして、どう生産性を上げて、自分らしい仕事をするか」に切り替えるマインドセットが必要です。

もちろん、これは女性だけではなく、パートナーにも求められることです。産後は、女性だけではなく、配偶者のマインドセットの変更が不可欠。ぜひ、パートナーの方と、気持ちの切り替え、変化について話し合ってみてください。

準備することでしか、不安を拭うことはできない

希望の部署・仕事に戻れたとしても、あるいは戻れなかったとしても、産後に働き続けるためには、子供の病気や家事との両立などなど、さまざまなハードルが想定されます。

未来への不安を解消するには、想定される課題に対して、パートナー(あるいは支援してくれる友人や家族)と共に十分な準備をしておくことしかないと私は思っています。

私たちの場合、両家の親も遠方、かつ、臨月から夫が海外へ単身赴任で不在になる、私もワンオペでフルタイム復帰する、と分かっていたので、妊娠中は想定しうる困難に対して十分な準備をしてきました。

まず、夫と私で、それぞれ身近なワーキングマザーに「産後働く上で困ること」をヒアリングして、出てきた項目をまとめました。その上で、その項目に対してどのようなサービス・対処があるか把握するようにしたのです。そして、利用した方がいいと感じたサービスには事前に登録をしたり、資料をダウンロードしたり、分かる範囲で情報を記入しておき、いつでも登録できるようファイリングをしたりもしました。

具体例を一つ挙げると、ヒアリングでは「子供は頻繁に熱を出すので、仕事に支障がある」ということが分かりました。そのため、病児保育のサービスについて調べたら次のようなことが分かりました。

・病児保育には、民間と公的なものがあること
・民間は、入会にあたっての人数制限や事前登録が必要なところが多いこと
・当日依頼して必ず来てくれるところとそうでないところがあること
・公的なところは、熱を出してもその日すぐに預かってくれるところは無いこと(病院で診断書が必要)
etc

次に、アクションを起こします。民間の病児保育は、少し高くても子どもが熱を出しても当日必ず来てくれる会社に、妊娠6カ月の頃には事前登録を済ませ、一方で、当日来てくれるかは分からないけれど価格がお手頃な会社にも登録をしました。

公的な病児保育は、子供が生まれてからでないと登録は出来ないのですが、夫が事前に役所のHPから利用時に必要な資料をダウンロードし、子供の名前以外は記入を済ませ、いつでもすぐに使えるように5部くらい作成してファイリングしてくれました。どこの病児保育が近くて、何時まで預かってくれるのかも、地図を印刷し、条件や当日の持ち物、預かり時間、金額を書き込んでおきました。

その上で、急に熱を出したらどのような順番でどのサービスを使うのかを、何パターンもシミュレーションして、頭に入れておきました。

これは、産後の家事分担においても言えると思います。時短であってもなくても、帰宅後は育児をしていると疲弊するのは目に見えているので、食材の宅配サービスを、費用や条件とともに何パターンか登録し、いつでも使えるように準備しておきました。

このように、妊娠中こそ「産後の仕事で、明らかに目に見えて直面しそうな課題」については、綿密に準備する必要があると思います。どれだけ準備しても想定外はたくさんありますが、それでも、できる範囲で準備しておけば、いざという時に慌てずに済みますし、スムースに進みます。

また、希望の職種に戻りたいのであれば、上司と、よく話し合っておくという準備も必要です。

「子供を産んでも以前と同じように出来ます!やりたいです!」という根性論ではなく、産後はどのようなことが想定され、それに対してどう準備しているのか、復帰後にその仕事をする上で、どのようなサポートが必要か、ということをぜひ論理的に伝えてください。

また、子供が3歳になったらどうするか、6歳になったらどうするか、等、中長期的なキャリアの作り方についても、ぜひ上司と意識を合わせておくとよいでしょう。

目先のことだけで、極端な選択肢に走らない

産後、希望の部署、ポジションに戻れたら、とてもハッピーだと思います(それでも前述のように、産前と同じようにいかないことも多いですが)。

でも、仮にそうではなかった場合。Cさんは、「会社を辞めるべきなのか、それとも我慢しながら働くべきなのか」と極論に走っているように感じます。

プランドハプンスタンスという理論(Planned Happenstance Theory)があります。日本語では「意図された偶然」と呼ばれるもの。人生には、思った通りにならないことは沢山あります。全て計画通りの人生を歩むことは不可能です。

事故にあった、病気になった、左遷された、転勤になった、など、色々あります。でもそんな時こそ、その出来事を自分なりに、意味付けして、進んでいくことで、幸せなキャリアというものは作られていく、と言われます。この理論を唱えたスタンフォード大学の博士によると、「キャリアは予期しない偶然の出来事によって、その80%が形成される」とのこと。

例え希望通りの仕事ではなくても、その中で拓ける才能や可能性もあるかもしれませんし、やるうちに「やっぱりこれは合わない」と気づいて次のステップに進むきっかけになるかもしれません。

また、子育てが終わった後も、あなたのキャリアはまだまだ続きます。長期的な視点に立って、この数年がどのような意味があるのかを考え直すのもよいでしょう。その際、ぜひメンターとなるちょっと先をいく女性の先輩に話を聞いてもらうのが良いと思います。

育児や仕事で目の前のことしか見えなくなるので、話すことで広い視野を取り戻すことができます。

長くなりましたが、まずは、産後は別次元に行くと覚悟を決めること。そして、「誰にも分からない未来の不確定要素」で心をネガティブに使うようであれば、その時間は準備に充てること。

最後に、準備しても拭えない不確定要素については、もう心配しても対応しようがないので、そうなったら楽しむ、という心の余裕を持つことがとても大切です。


【この連載の寄稿者】
株式会社MANABICIA代表/育キャリカレッジ 代表
池原真佐子(いけはら まさこ)

福岡県出身、早稲田大学・大学院で成人教育を専攻。PR会社、NPOを経てコンサル会社で勤務。在職中にINSEADのパートタイムのコーチングと組織開発の修士(Executive Master in Change)を取得。同時に、エグゼクティブコーチング等の人材育成を手がける(株)MANABICIAを創業。その後妊娠するも、臨月でパートナーが欧州に転勤、東京でワンオペ育児開始。産後1年半経ったころ、キャリア女性にメンターをマッチングさせる育キャリカレッジを新規事業として立ち上げる。2018年秋からはドイツにも拠点を持つ予定。2017年に英ユニリーバDOVEでNourishing SecretのCMに、日本を代表する新しい女性として出演。その他、日テレNews等のメディア出演も多数。著書『自信と望むキャリアを手に入れる 魅力の正体』(大和書房:日本と韓国で発売)

『ワーママ2.0』の過去記事一覧はこちら

>> http://woman-type.jp/wt/feature/category/life/workingmotherをクリック

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