「“あなたらしく”成長できる職場に身を置き続けて」人生100年時代に女性がしなやかなキャリアを作る方法【PwC Japanグループ】
現在20〜30代女性の母親たちの世代では一般的だった寿退職は、今ではほとんど見られなくなり、結婚や出産などのライフステージを経ても女性が働き続けるのが当たり前になった。テクノロジーは進化し続け、人々の寿命は延びて人生100年時代と言われるようになった今、この先の女性の人生はどう変わっていくのだろう。
11月3日に『女の転職@type 転職イベント』で行われた、PwC Japanグループでダイバーシティ&インクルージョンを推進する梅木パートナーによる特別セミナー『「人生100年時代」を生きる女性たちへ ~しなやかなキャリアの作り方~』の中から、そのヒントを探ってみよう。

大切なのは何かを目指すことより、とにかく「続ける力を持つ」こと
これまで働いてきた25年を振り返ってみると、何かを目指すことよりも、とにかく「続ける力を持つ」ことが重要なのではないかと思います。
そのためには大きく2つのことが必要です。一つは自分の強みを持つこと。もう一つは、周囲との信頼関係を築くことです。ありのままの自分でパフォーマンスを発揮するためには、信頼関係がとても大切ですが、20代のころはこの点でとても苦労しました。大学を卒業したばかりで何の経験もない当時の私には、全然仕事が回ってこなかったためです。良いプロジェクトにアサインされる機会が少ない状態が5年ほど続きました。
今思えば、コミュニケーション能力が足りていなかったのでしょう。冗談の一つも言えない、つまらない人間だったと思います。そう気付いてからは、どんどん社内営業をして自分をアピールし、いろいろな人に「仕事をください」とお願いして回りました。
大きな転機となったのは、第一子の出産です。産育休から復帰後、別の部署に異動になり、アメリカ人の上司と日本人女性の上司と一緒に仕事をすることになりました。アメリカ人の上司は「好きな時間に来て好きな時間に帰っていい。事前に承認を取る必要もない」と言ってくれ、日本人女性の上司は「子どもがいるから早く家に帰らなければいけないことを申し訳ないと思わないで。そうでないと自分がつぶれちゃうから」と声を掛けてくれました。2人の言葉は私の心の支えになりました。
この先の人生を生き抜いていく知恵を授けてくれる、メンターやコーチを持つことはすごく大事だと思います。別の部署の人であってもランチに誘うなど声を掛けたり、社内にいなければ社外で探してみたりしてみてください。異業種交流会などで、かっこいい女性に出会えることがあるかもしれません。
その後、第二子を出産したのですが、妊娠中に「君をシニアマネージャーに推薦しようと思う」という打診が2人の上司からありました。でも私は自信がなかったので、固辞したんです。そうしたら、「自信があるかないかを聞いているんじゃなくて、やってみたいかどうかを聞いているんだ。やってみたいと思うのなら、私たちがサポートするからやってごらん」と。この一言で私は、一歩前に踏み出すことができました。
時短勤務制度もなかった当時、忙しい毎日を乗り越えることができたのは、自分の近くに理解し、サポートをしてくれる人がいたからです。一生懸命、真摯に仕事をしている姿を、周りの人は見ています。時間の制約がある中で、相手やチームのことを考えて行動に移すことで、周りの人との信頼関係は築かれていく。それこそが私の道を拓いていったのだと思います。
現在20〜30代の女性は100歳まで生きる時代。長い人生を充実させるために大切な3つの資産
「人生100年時代」と言われるようになりましたが、この先、個人の人生はどう変わっていくのでしょう?
現時点で日本の女性の平均寿命は87歳。少子高齢化社会が進み、2030年には人口の1/3が、2050年には1/2が65歳以上になるとも言われています。2030年には千葉県全体の人口に相当する、およそ340万人もの労働人口不足が予想されています。私たち女性の労働力としての重要性は、ますます増していくでしょう。

今後、現在30代の方は98〜100歳まで、20代の方は101〜102歳まで生きると予測されています。ライフスタイルは大きく変わり、70〜80代まで働く必要が生じる。そんな未来の新しい人生戦略を提示した『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略』という本では、3つの資産が重要だと紹介されています。
●生産性資産:生産性や所得、キャリアの見通しを向上させるのに役立つ資産
●活力資産:肉体的・精神的健康や、友人や家族との良好な関係など、人に幸福感をもたらし、やる気をかき立てる資産
●変身資産:人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意思と能力のこと
キャリアもプライベートも充実した人生を送るために、私は3つ目の変身資産が最も大切だと思います。この変身資産にはさらに3つの要素が必要とされています。
1つ目は、自分を知ること。どんなことをうれしいと思ったか、充実感を持ってやり遂げたことは何か、成長できたと思えた瞬間はいつか、それらの経験をどう将来に生かせるのか。忙しい中で自分と向き合う時間を取れていない人もいると思いますが、今の自分を知れば、将来の自分の可能性が分かります。自分自身に問い続け、自己のアイデンティティについてじっくり考えていただければと思います。
2つ目は、新しいネットワークです。新しい視点を得て、変身するためには、多様性に富んだネットワークに接することが不可欠。「身近に理想的な女性がいない」という声をよく聞きますが、むしろ私はロールモデルはいらないと思っています。なりたいと思える人がいないのなら、あなたがそういう人になればいい。ダイバーシティは新しい視点や価値を生みますから、これまでと違うのは当たり前。理想のロールモデルがいないことは、むしろウェルカムです。どんどん新しいことをやってみて、試行錯誤を繰り返しながら成長していけるといいですよね。
そして3つ目は、新しい経験に対してオープンな姿勢を持つこと。これが一番大事だと私は思います。未経験のことに対して自信を持てないのは当然ですし、一般的に女性は謙虚で、「無理だと思います」「自信がありません」と口をついてしまう人が多い傾向にあります。でも、仕事でもプライベートでも新しい経験に対して、積極的に「やってみたい」という姿勢を持つことはとても大切です。
自信があってもなくてもできることは変わらない。“あなたらしく”やればいい
女性がしなやかにキャリアを築いていくためには、先述した要素を意識しながら、まずはキャリアの軸をしっかり持つことだと私は思います。いろいろな人にいろいろなことを言われて、時にはブレてしまうこともあるけれど、試行錯誤をするうちに自分の軸は定まっていきますし、新たな引き出しも増えるものです。
重要なのは、「やるかやらないかは自分で決める」ということ。たとえ間違っていても自分で決めたことであれば、歯を食いしばって、あらゆる手段を使って成し遂げようと頑張れますよね。そういう人に、周りの人は手を差し伸べてくれるものです。
育児や介護など、まだまだ女性がメインになって行うことが少なくないため、多くの女性はライフイベントに左右されがちです。時には遠回りをすることもありますが、それでもやりたいことや、なりたい自分の姿を求め続けましょう。若い世代の男性を中心に、育児に参加する人が増えていることは素晴らしいけれど、それでも夫婦2人だけでは限界があります。上手に第三者に頼ることも時には必要です。

そして、業務を通じて成長できる職場を選んでください。同じことだけを繰り返すのではなく、自身の新しい専門性や能力を磨いていける環境に身を置き続けること。女性の皆さんは貴重な労働力として、これまで以上に企業から期待をされています。皆さんも企業を選ぶとき、「どんな成長ができる職場なのか」という視点を忘れずに持っていただきたいと思います。
とにかく、機会を与えられたら積極的にトライしてみてください。女性にはぜひ自信を持ってもらいたいです。というのも、極論を言ってしまえば、自信がある・ないにかかわらず、自分の能力は変わりません。機会が与えられるということは、皆さんの過去の行動や今のあなたを見て、周囲が「この人ならきっと大丈夫」と認めて受け入れてくださっている証なのです。
“Be yourself. Be different.” これは、PwC グローバルネットワークが掲げているダイバーシティのスローガンです。リーダーに推薦されたり、難しい仕事を任されたり、新しいことを打診されるとき、自分を追い込んでしまう女性は本当に多い。でも、「これまでの自分と違う自分になれ」と言われているわけではないんですよ。“あなたらしく”でいいんです。
一歩踏み出す勇気があれば、道は拓けるはずです。一人一人がありのままの自分で、それぞれのリーダーシップを大事にしながら、新しいロールモデルとしてイキイキとこれからの人生を送れることを願っています。
編集・構成/天野夏海 撮影/赤松洋太
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